Sunday, July 18, 2010

La Nana / 家政婦ラケルの反乱 [チリ映画]

la nana ストーリー
裕福なバルデス家で23年ものあいだ住み込みのメイドとして働いてきたラケル。バルデス家の子供たちの成長も見守ってきた。「家族の一員なのよ」。

このところ体調の優れないラケルを気遣って、夫人のピラールが提案する。「貴女のヘルプとしてもう一人メイドを雇い入れようと思うのよ」。新人のメイドに対してラケルはあの手この手でいやがらせをする。


あまり多くは語らずにおこうと思います。手短にいえば、面白かったです。私は好き。おおかたニコニコ顔で観ていたと思う。時間がかかっても人の心がほぐれていく様を見ているのはいいものだと。

youtube Radio From Hellによる監督へのインタビュー

このインタビューの中で主人公のラケルは“bitter, awful woman”と形容されています。監督も舌を出しての苦笑い。「住み込みのメイドという、アルゼンチン・チリ・ブラジル・メキシコといった中南米諸国の中・上流家庭には普通に見られる光景を描いていまして、それはかつての……」と言い淀む監督。DJが「奴隷制度の名残のような?」とつなぐと監督も「あえてそう表現しておこうと思います」。

監督自身の家庭にも住み込みのメイドがいて、25年以上も勤めてくれたのだと明かす。「メイドは若くしてそういう形態で勤め始めるので、つまりはボーイフレンドも親友と呼べる人も持てぬままその家で暮らすことになります。閉ざされた世界で孤独に生きるのです」……。


cnn Entrevista de CNN por Daniel Viotto (15 de diciembre): La película La Nana es la primera cinta chilena nominada en los Globo de Oro.


La nana@IMDb
La nana 公式
英題: The Maid
直訳: メイド

2009年サンダンス映画祭にて、ワールドシネマ・ドラマ部門グランプリおよび審査員特別賞を受賞。

監督: Sebastián Silva セバスティアン・シルバ
脚本: Sebastián Silva  Pedro Peirano ペドロ・ペイラーノ

出演:
Catalina Saavedra カタリナ・サアベドラ ... Raquel ラケル

Claudia Celedón クラウディア・セレドン ... Pilar ピラール: 雇い主(妻)
Alejandro Goic ... Mundo ムンド: 雇い主(夫)
Delfina Guzmán ... Abuela: おばあさま; ピラールの母親だろう

Andrea García-Huidobro ... Camila カミラ: 長女
Agustín Silva ... Lucas ルカス: 長男
Sebastián La Rivera ... Gabriel ガブリエル: 次男か三男

Mercedes Villanueva ... Mercedes メルセデス: 新人のメイド
Anita Reeves ... Sonia ソニア: ピラールの母のところにいた古株のメイド
Mariana Loyola ... Lucy ルーシー: 新人のメイド
Luis Dubó ... Eric エリック: ルーシーの叔父

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Monday, June 22, 2009

La buena vida / サンティアゴの光 [チリ映画]

la buena vidaストーリー
パトリシア:
都会の片隅の狭いアパートで息子をあやしている。物乞いが女手一つで一歳半の子を育てながら生き抜くのは容易なことではない。日銭を稼ぐために今日も通りに立つ。たちんぼの娼婦たちと場所をめぐって諍いになり、追い立てられる。誰のことも信じてはいない。「私に触らないで」。

テレサ:
夫とは離婚した。15歳になる娘パウラは近頃はろくに口も聞いてくれない。遊びに出かけるでもなく部屋にこもっってばかり。難しい年頃だ。手に余る。別れた夫ホルヘの携帯は留守電になっている。「電話をちょうだい」とメッセージを残す。

STD予防の啓蒙活動で今日は娼婦たちにレクチャーしている。「簡単に防げるんですよ。コンドームを使うんです」。

リタ・ロペスという娼婦が手を挙げる。
「申し訳ないけど、貴女はストリートの実態ってもんがわかってないんじゃないですか。あたしたちの客がどんなだかわかってないでしょ。あたしたちの客はね、男ばっかりじゃないの。時にはケダモノの相手もしなきゃいけないの。コンドームをつける? つけるのはそりゃぁできないこともないわよ。だけどね、口でつけてくれって言われたりするわけ。どう? 貴女、ちょっと口でつけてみてよ」。

エドムンド:
理容師として、またエステティシャンとして働いている。老いた母と暮らしている。父親はずいぶん昔に亡くなった。父親も理容師だった。腕も人柄もよかったと聞いている。今日は銀行にローンの相談に来た。フォードフィエスタを買いたいのだ。このあいだ40歳になった。「自分への誕生日プレゼントだよ」。

マリオ:
ベルリンの音楽学校で3年間学んできた。チリに帰国してきてから仕事探しに追われている。今日はチリ交響楽団のオーディションを受けにきた。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


チリのサンティアゴを舞台に展開する película coral (群像劇)。

大都会のせわしなくほろ苦い日常の中で登場人物それぞれの人生が隣り合っている。我々の人生のすぐ隣には誰かの生活が流れているし、自分の暮らしが誰かの存在のすぐ脇をかすっているかもしれない。「袖振り合うも多生の縁」とはよく言ったもの。

でもそんなことをいちいち想像しながら暮らしている人なんてやたらといるものではないから、互いの人生が描く線は永遠にぶつからないのだろうな、ふつう。こんなに近くを行き交っているのに。

そんなもどかしさも描きつつ、ふつうの人々のふつうの暮らしの中の苛立ちや失望、怒りを丁寧に見せてくれる作品。人々の微笑みを探して待つ作品。

疲弊し硬直した社会で登場人物のめいめいがもがく様子などは、ほんの数年前までなら対岸の火事として我々の目には映ったことだろう。しかし今の日本では……他人事ではなくなっているのでは? という気分がふっと心の中に湧いて出たことが、なによりも切なかった。


……といった具合に、それぞれの登場人物のエピソードを見たまんま受け止めてもいいだろうし、そうではなくて、チリの最近2、30年間を思い浮かべながらいったい何が何を象徴しているのかと考察しながら観てももちろんいいと思います。そういう作品だと思う。私はあいにく前者のようなシンプルな見方以上のことはあまり試みない人間なのでそこ止まりなのだけどね。


(コメント欄にメモ)(後日)

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Thursday, September 18, 2008

Tony Manero / トニー・マネロ [チリ映画]

LBFF第5回スペインラテンアメリカ映画祭の作品紹介より:
1978年、チリの首都サンチアゴではピノチェト軍事政権による独裁体制下、秘密警察によって反政府派の市民が粛清されていた。ラウル・ペラルタは映画『サタデーナイトフィーバー』の主人公、ジョン・トラボルタ演ずるトニー・マネロに異様なまでの憧れを抱き、自らも数人の仲間とバーのショーで踊る50 男。

テレビ番組“トニー・マネロものまねコンテスト“への出場と優勝を夢見て、あらゆる社会生活、道徳、人間関係に背を向け、自分のアイドルに病的に傾倒していくラウルの姿を通じ、チリ暗黒時代の絶望感とアイデンティティの喪失を描く。カンヌ国際映画祭で話題を呼んだ衝撃の問題作!

(メモだけ)

・重く苦しい映画だった。

・うん。まじめな作品

・苦しいし、怖いわ。でも嫌いではないです。でも軍政下モノは私はだめなのね。直接的に描いてなくても想像しただけで((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルになっちゃうのよね。

・チリ現代史

・ついさっき『頭のない女』のコメント欄にメモったことと合わせて観てみる。


(つづきはコメント欄で)


Tony Manero@IMDb
Tony Manero 公式かい?

・こんどのアカデミー賞のチリ代表作品として選出されたとのこと
Tony Manero fue seleccionada para postular al Oscar - 25/09/2008 - 18:10

映画祭
カンヌ 監督週間 など

監督: Pablo Larrain
脚本: Alfredo Castro アルフレド・カストロ  Mateo Iribarren マテオ・イリバレン  Pablo Larrain

出演:
Alfredo Castro アルフレド・カストロ ... Raúl Peralta ラウル・ペラルタ
Amparo Noguera アンパロ・ノゲーラ ... Cony コニ (ラウルの彼女というか愛人)
Paola Lattus パオラ・ラトゥス ... Pauli パウリ (コニの娘?)
Héctor Morales エクトル・モラレス ... Goyo ゴジョ (青年)
Elsa Poblete エルサ・ポブレテ ... Wilma ヴィルマ (宿・酒場の店主)

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Wednesday, June 18, 2008

Ciclo de cine chileno / 『ベッドの中で』他、チリ映画上映会 [チリ映画]

playセルバンテス文化センターのチリ映画上映会(※どちらの作品も日本語字幕で上映)

PLAY
クリスティーナは故郷を離れ独り都会で暮らす。「私を知っている人なんてこの街にほとんどいない」。病身の独居老人ミロスさんの家に住み込み、介護をしている。寝たきりのミロスさんに『National Geographic』を読み聞かせてあげるのも仕事の一つである。自由になる時間があればゲーセンでStreet Fighter IIに興ずる。そして街を歩く。「街を歩くのが好きなの」。「変わってるって言われたことはあるわね」。

ミロスさんのマンションのすぐ近くに公園がある。清掃人マヌエルのそばをクリスティーナが通り過ぎる瞬間、二人の視線がぶつかった。


ある朝いつものようにゴミ捨てに出たクリスティーナは焼却炉の蓋を開け、そこに洒落たビジネスバッグを発見する。好奇心から持って帰ってしまった。彼女は自分の小さな部屋で、バッグの中身を床に並べてみるのだった。


トリスタンはイレーネとの離婚が決まったところである。その夜、当てもなく街をうろつくトリスタンはとんだ災難に見舞われた。翌朝路上で目を覚ますと、昨夜仕事場を出る時にはたしかに肩から提げていたビジネスバッグが消えていた。

ところどころ時間が前後する造り。
なので、たった50時間前に観た映画なのにけっこう混乱してるぞ。どういう順番で何が起きて、だからココまでは書いてよくてココから先は伏せておこう…っていう作文を練るのに障壁となっている。

終わった瞬間の感情としては「ちょっと寂しかったかなぁ…」だった。

しかし、ここ要注意なんだが、他の人は(まったく)そんな風には感じなかったかもしれないのだ。私は基本的に生活と人生を見つめる目に悲哀フィルターの濃い奴がかかってしまっているので、この映画もそう見えてしまっただけのことかもしれない。


他の人はあのエンディングの情景に、彼女・彼らの明るく幸せで活力みなぎる明日を見たかもしれない。


en la cama『En la cama / ベッドの中で』

男と女がモーテルでセックスをし終えたところ。

「あのさ、君、苗字はなんだったっけ?」「あなた、私の名前、思い出せないんでしょ」

「何言ってんの。そんなんじゃなくて」「だってそれって、オサレに名前を聞き出すための常套手段よ」

「わかった。わかりましたよ。そうだよ」「へー、あなた、あたしが誰だかもわからないのにセックスしてたのね?」

「いや、君が誰だかはわかってるってば。ただ名前を忘れただけだって」

「あたし、名前についての本を持っててね…」「俺の名前は何だって書いてあった?」

「えっとね、『クラウディオ』はね…」「ちょっと待った。俺の名前、クラウディオじゃないよ」


二人は互いに名乗った。男はブルーノ。女はダニエラ。「どうも。はじめまして」「はじめまして」。


モーテルの部屋で二人の会話は続く。セックスをしてしゃべってセックスをしてしゃべって。時計の針は少しずつ進む。


ルシアとSEX』なんかケチョンケチョンに言ってきた私のことですから、それじゃぁ、こんなセックスシーン高パーセンテージの作品もどうせまた気に入らないんじゃないかって思っていたのですが、さにあらず

気に入ってしまった。というか、終盤、大泣きに泣いてしまった。

ただし、これ↑はたぶん例によって私の目に悲哀フィルターの濃い奴がかかっていたせいなので、泣く映画だなんて思って観ない方がいいと思いますよ、ということは書いておきたい。

Abetchyたちと話しながら帰って来たんだが、「いや、まぁ、Reineが大泣きしていたシーンは、たしかに、客席にそれなりの神妙な空気が漂っていたけども。いた・け・ど・も」「よっぽどなんかツボに入っちゃったんだなあと、『あー、泣いてんなあ』と思ってた」とのことでした。


私もいったい何であんなに涙が出たのかわかんなくって、我ながら戸惑ってた。


ダニエラとブルーノの目の動きを追って、二人の会話を聞きながら、何かを想像しまたは考察して、それで悲しくなって泣けてきたわけじゃないんだ。

私は何かを‘思い出して’いたんだ。ダニエラとブルーノの今後を想って泣いたんじゃない、私自身のこれまでが思い出されて、涙が止められなくなった。


私は自覚してる以上に疲れているのだと思う。

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Wednesday, November 14, 2007

Sexo con amor / 愛するSEX [チリ映画]

sexo"スペイン語作品を十数点メモって近所のレンタル店に行った。若い店員くんにメモを渡し検索してもらった。やがて彼は「いくつか現在当店に無い作品が」と言いながらカウンターから出てきた。

店員: っと…『愛するSEX』と『火星人メルカーノ』とコレとアレとソレが無いんです

私: あ。はい。無ければいいですいいいです。……あ゛。や、あれですよ、『愛するSEX』って、これ、別にやらしい話じゃないんですよ?

店員: あ、はい、いえいえ、あ、はい、大丈夫です、ええ

私: これ、ふt、普通のお話ですから


いや、なんかね、彼がその作品名を恥ずかしそうに口にしたもんだから、私もついつい言い訳しちゃったんだよね。二人でしどろもどろしちゃったよ。しかしこれは別に邦題が悪いわけでなく、原題の直訳が「愛のあるセックス」ですからしかたない。あの時レンタルできませんでしたが、Gyaoでやっていたのでちょうどよかった。(R15)


Gyaoの紹介文
SEXの悩みや不倫関係などそれまでタブー視されていた“愛と性”の問題を赤裸々に描き、チリ映画史上NO.1のヒットを記録した作品です。チリの事情を反映したリアルな人間ドラマが見どころ。監督を務めたのは、本国でコメディアンとしても活躍するボリス・ケルシア、豊満な肉体を惜し気もなく披露した主演女優はシグリッド・アレグリア。

小学校教師ルイザ(シグリッド・アレグリア)は、子供たちに「性教育」をどう教えるか模索中。そんなルイザ自身も “愛と性”の問題を抱えていて、彼氏とは別に生徒の親・ホルヘとも付き合っていた。一方、父兄の一人エミリオは、SEX嫌いの妻・マカとの関係に不満を抱いている。そして若い夫婦、アルバートとエレーナにも問題があって…。
___________________


sexo人物紹介
ルイサ(女教師)

ホルヘ(ルイサの受け持ちの児童の父★; 愛人; 有名作家; 妻とは離婚必至; 近著『仮想のセックスと現実の愛』; 「愛している人を抱くのが幸せだ」派; 「愛とSEXの融合」派)

バレンティン(ルイサの彼氏; 絵描き)

アルバロ(★; 性豪; 女と見れば口説くビジネスマン; 結婚直後から浮気の連続; 「愛とSEXは別物」派)

エレナ(出産間近の妻)

カルロス・ロハス(エレナの大学時代の男友達)

アンヘリカ(アルバロの情交相手; 情緒不安定)

エミリオ(★; 肉屋; 一年以上夫婦生活なし; 罪悪感があるから愛人などとてもとても)

マカ(妻; 性交痛がひどいので夫を拒否)

スーザン(マカの姪; フランスから遊びに来た)
________________________


そうね。
楽に観ちゃってよいのでは? 何日かに分けて少しずつ観ようかと思ってたけど、気づいたら最後まで観ちゃってたから面白いということなのだろう。

難を言えば、個々のカップルの問題が独立しちゃってるところかな。性愛にまつわるトラブルの事例を挙げたオムニバスのようになっちゃってる。散漫な印象。もっとそれぞれが絡み合って(ヤラシイ意味でなくて)くれた方が好み。

スペイン映画って人間関係は交錯しがちだと思うのね。それに慣れてしまった身としては、たとえば『靴に恋して』ほど複雑にもつれてくれとまでは言わないが、本作においてももうちょっと登場人物同士で関わり合ってほしかった。

そこに目をつぶれば終始ニヤニヤと苦笑しながら楽しめると思うよ。男と女がいったい何が原因でどんなタイミングで腹を立てるのかが覗ける。特に男性は女性のその辺の心情を‘勉強’できるかも。


真面目な観方しようと思えばできそうだけどね。
たとえば、ルイサの受け持ちのクラスの父兄の中でも若い年齢層であるアルバロの宗教観について。彼がマリオ神父にあからさまな拒絶反応・嫌悪感・不信感を示したのだけど、あれはチリ現代史を知っている人にはすぐにピンと来る・合点が行く態度なの? ちょっと調べたら何か知識が拾えそうかなという気がしたシーンではあった。

けど、今の私はあちこちの骨がズシンズシン痛むので深追いしないことにしました。今回は楽に流そうと思います。また、今回はチリのスペイン語という私の苦手な音なので語句メモも少なめ。体調が万全ならもうちょっと聴き取りを頑張ったかもしれませんが、肩・腕が重すぎたため流し気味に終了。


(チリ映画)
監督・脚本: Boris Quercia
出演
Sigrid Alegría シグリッド・アレグリア ... Luisa ルイサ
Patricio Contreras パトリシオ・コントレーラス ... Jorge ホルヘ
Francisco Pérez-Bannen フランシスコ・ペレス=バネン ... Valentín バレンティン

Álvaro Rudolphy アルバロ・ルドルフィ ... Álvaro アルバロ
Cecilia Amenábar セシリア・アメナーバル ... Elena エレナ
Carlos Osorio カルロス・オソーリオ ... Carlos Rojas カルロス・ロハス
Catalina Guerra カタリーナ・ゲラ ... Angélica アンヘリカ

Boris Quercia ボリス・ケルシア ... Emilio エミリオ
María Izquierdo マリア・イスキエルド ... Maca マカ
Javiera Díaz de Valdés ハビエラ・ディアス・デ・バルデス ... Susan

Sexo con amor@IMDb
(直訳: 愛のあるSEX)
愛する SEX@ぽすれん

・主題歌 "sexo con amor" by Pettinellis


これから言うことが月並みすぎて我ながら萎えますが:
えーっと、男ってのは、基本、やっぱ、なにかね、そのぅ……挿れることばっか考えてんのかよ? 挿れることとか挟んでもらうこととか、そうにぅことばっかかよ? 本作の性欲旺盛なアルバロなんか見てると「しょーーーーーがないねーーーーー」って苦笑いしか出てこないよ。ほんと、しょーがないね ┐(´д`)┌


参考: 「しょーがないねー」
http://www.youtube.com/watch?v=Qn72obcbThA
「笑てんメンバー」より)

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Sunday, September 16, 2007

Machuca / マチュカ~僕らと革命~【ワールド・チルドレン・シネマ】[チリ映画]

machucaクーデターがどうした、軍事独裁政権がこうした、粛清がどうで、拷問がこうで……っていうようなこと、私、知りたくないんだよね。知らないで済むなら知らぬまま一生を終えたい。

そういうテーマの映画ってホンットに嫌い。リアルに描いていようがぼかしていようが、どこの国のいつ頃の話であろうが、ヤだ。怖い。身震いがするわ。(∩゚д゚)ワーワー


というわけで、観てしまった記憶を消したいのに何年経っても消せないのが、たとえばこういった作品群:

・『蜘蛛女のキス
・『愛と精霊の家
・『死と処女
・『キリングフィールド
・『ベント~堕ちた饗宴~【字幕版】

どうして観ちゃったのかなと、呪わしい。あまり用いたくない表現だけど、‘トラウマ’ です。そして、もう一作挙げると、

・『セプテンバー11』のケン・ローチの篇 ⇒ http://es.youtube.com/watch?v=7vrSq4cievs (ポルトガル語字幕)

このオムニバス映画はたしかNYの911のちょうど1年後、つまり2002年の9/11深夜にテレビ放映されたと思う。私はそのとき観た。今、これを書くために5年ぶりに観るけど、アジェンデ政権が崩れた5分50秒から先を観たくない。あー、やだ。ほんと、観たくない。なんで、私、こんなの観直してんだろ……

………(やだやだ言いつつ観ているとこ)………

で、観終わって、たった11分の映像なのにドッと疲れているわけです。なんて恐ろしいんだろう。

IMDbのレビューよりストーリー説明:
>A man from Chile writes a letter to the American people of what happened the 11th September 1973. That was the day president Allende was killed in Pinochet's coup d'état with aid, as Loach puts it out, from CIA and support from Nixon and Kissinger. You see films from Allende's days and from the coup days, hearing stories about the sexual torture of political prisoners, including women being raped by dogs and so on.

Youtubeのポル語字幕から一部:
Um dia, na prisão, vi um homem sendo arrastado pelos braços. Ele não conseguia andar. Sangue saia de seus ouvidos. Quebraram os ossos dele e depois o assassinaram. Ficamos sabendo sobre os campos de tortura dirigidos por oficiais do Exército treinados nos EUA. Ficamos sabendo sobre os que foram estripados, jogados de helicópteros, torturados diante de seus filhos e cônjuges. Sabem o que eles faziam? Ligavam fios elétricos nos genitais. Enfiavam ratos na vagina das mulheres. Treinaram cães para estuprar mulheres. 

ごめん、私、こんなの日本語にしたくない。やだ。文字打ってるだけで身の毛がよだつ。こんなこと思いつくのも正気の沙汰でないし、実行できるのはますますどうかしてるよ………っつってもたぶん我々は誰でも実行できてしまうのだろうと思えてくるから、余計に恐ろしいのである。


さて、ここでようやく『Machuca』の話に入るわけです。「チリ、サンティアゴ, 1973」という文字から始まる。

南米のことはよく知らないので、1973年のチリについて予習しないといけない。ということで、映画は始まった途端にひとまず停止。中南米の映画となると予習タイヘンすぎ。

チリ・クーデター@Wikipedia

日刊ベリタ : 記事 : もうひとつの9・11 チリでの軍事クーデターの日 社会の痛手は癒えたのか?


さて、予習はほどほどにして映画に戻ると、冒頭、朝のラジオニュースが聞こえてくる。
「…ホセ・トア大臣は野党の反動主義的な案を非難し…」

また停止。まだ映画は2分30秒しか観てないのに、ここまで書くのに2時間はかかってる。

えーっと、ホセ・トア大臣とは?

アジェンデ政権(=世界ではじめて選挙によって合法的に誕生した社会主義政権)の内相・国防相だった人なのですね。社会主義者。チリの911で身柄を拘束されてから半年後に亡くなったようです。亡くなったんですか、自殺したんですか、殺されたんですか。『Memoria Vivaというページ (チリ軍政下の人権侵害に関するサイト)』を読むと、半年で27キロも痩せて最後の病院施設に移送された頃には、BMIなんて13.29だったみたいじゃないですか。ひどいことされたんだろうな……((((;゚Д゚))))


で、えーっと、もうここらでホントに映画を観始めたいと思います。

つまり今日の映画『Machuca』は、チリに上述のような時代が訪れてしまう直前のサンティアゴを舞台としたお話です。ピノチェトの時代はすぐそこまで来てるんです。(予習終わり)
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DVD(スペインから購入)のあらすじ紹介
チリ、1973年。ゴンサロ・インファンテとペドロ・マチュカはサンティアゴに住む11歳。ゴンサロは裕福な地区、ペドロは数ブロック先に最近違法に建てられた貧困層のバラック密集地にそれぞれ暮らす。学校が統合政策を試みたことで、この二人の少年は出会うのであった。二人を分かつ目に見えない強大な壁。革命の希望に満ちたこの時代、夢を実現したくてその壁を打ち破ろうと願う者もいた。
____________

ここまで読んだら、あのジャケ写で女の子を挟んで肩を組む二人の少年の、どっちがゴンサロ・インファンテ(お金持ち)でどっちがペドロ・マチュカ(貧乏)だか、顔でもうわかるでしょう。
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1) ネクタイも結んで制服もパリッと決めたゴンサロ少年の教室に、校長であるマッケンロー神父が、穴のあいたセーターを着た浅黒い肌の子供を数人連れて入ってきた。

神父: 新しいお友達を紹介します。この子たちは学校のすぐ近くに住んでいるので、どこかですれ違った覚えのある子も多いんじゃないかな

児童たち: ……。

神父: えぇぇ? ほんの何ブロックしか離れてないんだよ? .

児童その1: 僕あの子のこと知ってます。うちの洗濯の小母さんの子供です。

神父: ほらね。よーし。今日からは同級生ですよ。きちんと迎え入れましょう。兄弟を迎えるようにね。いいですか。

ペドロ・マチューカがたまたまゴンサロ少年の後ろの席に座ることになり、二人は仲良くなっていった。


2) いかにも意地の悪そうな卑怯な目をした狡猾で陰湿で粗暴な面もある威張り屋のガストンが、休み時間にさっそくペドロ・マチュカをつかまえて言い放つ:
「俺たちが施してやってるんじゃん。君、授業料なんか払ってないだろ? うちのお父さんたちが君らの分まで払ってやってるんだぜ」


3) ペドロの近所の、ちょっと大人びた女の子シルバーナ。ゴンサロが「momioってどういう意味?」と聞いたとき:
「なんにもわかっちゃいない金持ちのことよ、あんたみたいなね」。(※momioについては後述)


4) ペドロの父はアル中。ペドロが父にゴンサロを「友達さ」と紹介した。アル中親父は言う:
「‘友達’? ‘と・も・だ・ち’? あと5年もしたらその‘友達’とやらがどうなるか、お前はわかってんのか。このお方は大学に行くんだろーよ。お前は便所掃除でもしてるんだよ。それじゃ10年後はどうだって? 10年後はこのお友達はパパちゃんの会社で働いてるよ。お前はまだまだ便所を磨いてるんだろうが。15年後にはこの方はいよいよ会社を継いで、はい、お前は? 言ってみろ。まだまだ便所掃除だよ。‘友達’ってか。その頃にはお前の名前だって覚えちゃいねーよ」


こういう人物関係から成るストーリーです。


ゴンサロの5つ年上の姉には彼氏パブロがいる。パブロ青年はテレビに映るアジェンデを指し、「こいつ、馬鹿じゃねーの」と言っている。富裕層ではあるが社会主義にも理解があるゴンサロの父はこの若者をよく思っていないようだ。パブロ青年は、ペドロ・マチューカに初めて会ったときも、やはりと言うべきか、嘲りからかい、そして威嚇するのであった。冷たい顔をしたこの青年はやがてナショナリズムに傾倒する。

映画序盤でパブロ青年(Tiago Correa)が映った時には「いゃん♥ 冷たい系イケメン(*´Д`*)」と色めいたんだが、映画が進むにつれこの男のその後が想像されてゾッとした。『愛と精霊の家』のヴィンセント・ギャロ並みに忌まわしい存在に思えてきた。


陰険なクラスメートのガストンやパブロのような人が、もうちょっと大人になって権力や武力を手にしたら何をすると思う? ペドロたちのような‘川向こう’の人々をいったいどうするだろうね。

『Machuca』は素晴らしい映画。でも、私、これを‘いい話’とは言いたくない。

これは、恐ろしい話。


(チリ映画)
・まさに今日スペインラテンアメリカ映画祭で上映された作品
Machuca@IMDb
Machuca 公式
マチュカ ─僕らと革命─@ぽすれん

・DVDGOで12.93ユーロ

2009.09.18 加筆 
DVD発売日: 2009/12/18

監督: Andrés Wood アンドレス・ウッド
脚本: Eliseo Altunaga  Roberto Brodsky Mamoun Hassan Andrés Wood

出演:
Matías Quer マティアス・ケール ... Gonzalo Infante ゴンサロ・インファンテ
Ariel Mateluna アリエル・マテルナ ... Pedro Machuca ペドロ・マチュカ
Manuela Martelli マヌエラ・マルテリ ... Silvana シルバナちゃん
Ernesto Malbran ... Father McEnroe マッケンロー神父(校長)
Aline Küppenheim ... María Luisa Infante ゴンサロの綺麗なママ
Federico Luppi フェデリコ・ルッピ ... Roberto Ochagavía ロベルト・オチャガビア(ママの友達)
Francisco Reyes フランシスコ・レジェス ... Patricio Infante ゴンサロのパパ
Tiago Correa チアゴ・コレア ... Pablo パブロ青年
Alejandro Trejo アレハンドロ・トレホ ... Willi ウィリー小父さん
Sebastian Trautmann セバスティアン・トラウトマン ... Gaston いじめっ子ガストン

←クレジットタイトルなどでかかる曲:
チリのバンドLos Jaivasの『Mira niñita』

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