『建築大百科事典』なる書物が朝倉書店から出たのですが、じつは嬉しくもなんともありません。わたしに依頼されたテーマは「都城」だったんです。研究所をでてから6年めの2006年に「
東亜都城建築史草稿」を3回に分けてブログに連載したのは、この百科事典のためだったんですね。
当時から不安でした。編集者に愚痴ったものです。
「こういう大きな本はね、わたしみたいな下っ端が苦労して原稿書いても、編集・監修の
大先生たちが原稿書かないから、いつまで経っても、結局、本はでないんだから・・・」

予測は大当たり。おまけに、わたしの原稿は長いと言われ、中国篇と日本篇に分割されましてね。カッコイイ題目に変えろ、とも言われたんですよ。依頼原稿の題目が「都城」だったから、それにあわせただけなのに・・・それからずっと音沙汰なく、この夏に校正原稿が届いた。今度は図がなくて分かり難いから、さらに文章を圧縮して図を挿入せよ、という指示あり。たしかにそうだと思います。自分が編集者でも、そう指示したくなるでしょう。しかしですね、そういう指示はもっと早く頂戴したいものです。まる2年間ほったらかしにしておいていまさら遅い、と言ってわたしは、その指示に従いませんでした。そんな余裕があれば、D社の原稿や県埋文Cの原稿に集中しなければならないのです、今年は!
で、11月末日にこの大事典は目出度く刊行されました。
B5版上製函入り 752頁、定価29,400円(税込)、初版700部 執筆者には、残念ながら、1冊の献呈もありません。ただし、以下の優遇割引あり。
1)最初の1部を「私費」に限り定価の65%[税込19,110円]
2)2部目以降は通常割引の85%[税込24,990円、公費可]
ちなみに、小生に支払われる原稿料は約1万円。せめて原稿料とイーヴンになるぐらいの割引にしてくれないとね・・・買う気になりませんよね。というわけで、わたしは、この超高価『建築大百科事典』の購入を諦めました。ただ、扱いがちょっとひどいので、抜刷を要求したところ、製本がばらばらになった悲惨な抜刷が1部だけ届きましたよ。これでも業績の一つですので、とりあえず、浅川の執筆部分を示しておきましょう。
・3-36「都市と条坊の萌芽 -古代中国」
『建築大百科事典』朝倉書店、2008:p.258-259
・3-37「都市と宮殿の中華的世界 -古代日本」
『建築大百科事典』朝倉書店、2008:p.260-261
さきほど述べましたように、抜刷は1部しか頂戴しておりませんので、親しい皆様にもお配りすることができません。どうか皆様、ふるって朝倉書店の『建築大百科事典』をお買いあげください!
- 2008/12/18(木) 12:52:40|
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皆さんのために書いてくれて、どうもありがとうございます。
- 2017/04/23(日) 23:56:52 |
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このブログはすでに引っ越しております。今は、
http://asaxlablog.blog.fc2.com/ で更新中ですが、この古いサイトにも1~2ヶ月に一度は書くようにしており、たまたまチェックしたところ、新しいコメントを発見しました。ありがとうございます。
もうすっかり忘れていましたが、執筆者を人間扱いしていないですよね。同じような思いをした人が多かったんだと改めて感じ入りました。
- 2017/05/10(水) 11:47:02 |
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