本場中国のウーロン茶で炊いた茶粥 - 2019.01.22 Tue
今朝いつものように茶粥を食べていたら制作担当者のカミさんが「今朝の茶粥どう?」と聞いたので「別に、いつもの茶粥だけど」と答えた。
そんな私を見て「よかったわ」と言うではないか。カミさんがこのような言い方をする場合、1億円の宝くじが当たってよかった!とか東京大学に合格してよかった!などというような時に用いることはなく、秘密がばれないでよかった、あるいは今月もなんとかやりくりが出来てよかった、などという場合に使うことが多く、今回も宝くじも買ってないし東京大学に受験する子供も居ないので「よかったって、どーゆーこと?」と聞き返した。
するとカミさんは「何年か前にお父さんのところへ訪ねてきた中国人のお客さんがお土産に持ってきてくれたお土産のウーロン茶で炊いてみたの」と教えてくれた。ちなみに私の記憶が正しければその中国のお客さんが訪ねて来たのは半年とか1年前のことではなく3年か4年あるいはそれ以上前のことである。当然賞味期限はとっくの昔に切れている筈である。
もちろん頂いたばかりの頃には「これはとても珍しく高価なモノだから」ということなので1袋だけ試飲してみたが、日頃自前のほうじ茶しか嗜んでいない口には、いくら珍しく高価な中国茶であったとしても違いなど判別出来る訳もなく、「特別なお客様が来た時にでもお出しすることにしましょうね」と茶箪笥の奥に仕舞っておいたのであった。
あれから何年か時が過ぎ、いよいよ30年続いた平成もあと100日で終わりとなった今日の朝、何気なく茶箪笥の整理をしていたカミさんがホントに幻の銘茶になりかけていた中国茶を見つけて、「どうせこのまま置いといても誰も飲まないんだから、それに賞味期限だってとっくの昔に切れてるんだから」という短絡的な判断で茶粥にしてしまった、のであろう。
カミさんにそう言われると(世が世なら遣唐使が命懸けで渡ってきた海を超えて届けられた高級中国茶なのだからいくら賞味期限切れであったとしても真剣に味わってみなければならないぞ、昔の言葉にも「腐っても鯛」という名言があるではないか)と神経を茶粥に集中して口に注ぎ込んでみた。だがやはりいつもの茶粥との違いを見出すことはできなかった。
「やっぱり変わんないけどなあ」とカミさんに言うと、「じゃあ、私も食べてみるわ」と自分の茶碗に半分くらい注いで、ひと呼吸置いてから口に入れていた。暫くすると「やっぱりうちのお茶で炊いたお粥の方が香りがあっていいわね」と言い、そのあと「ちゃんとひと袋ずつ真空パックしてあったから風味も損なう筈はないと思うんだけど」と言ったかと思うと、今度は「でも小指の先位の小さな包み2つでよくこれだけの色が出たものよね。さすが中国の高級茶、恐るべしだわ」と言い、はたまた「今度は2つじゃなくて5つ位入れてみようかしら」と宣うのであった。