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Skypeの隆盛と凋落の20年史

www.cnbc.com

ファイル共有ソフトウェアの Kazaa の開発者だったニコラス・センストロムとヤヌス・フリスが Skype 社を立ち上げて20年になるんですな。

記事を読んでもよいが、動画の自動翻訳字幕を見たほうが分かりやすいだろう。

動画の最初、Skype のあの特徴的な着信音が流れ、「この着信音には聞き覚えがあるでしょう。でも、おそらく何年も聞いたことないですよね」というナレーションから始まるところがニクい。

初期の主要開発者がインタビューに答えているが、P2P アプリケーションとして破格の成功をおさめ(Skype って、Sky Peer-to-Peer の意味だったのね)、月間数億人のユーザを誇るまで上りつめ、そしてその後凋落するにいたるストーリーである。

Skype の初期のうなぎ上りの成功は、2005年の eBay による26億ドルでの買収につながるが、eBay(のメグ・ホィットマン)は Skype の複雑さを理解しておらず、結局 eBay と Skype の間にシナジーは生まれなかった。

そして、Skype はスピンアウトして売りに出され、2010年にはマイクロソフトが85億ドルという巨額で買収するが、Xbox などのマイクロソフト製品に組み込まれ、毎日10億ユーザにリーチするという目標は実現しなかった。

マイクロソフトによると、今でも毎日3600万人のユーザが Skype を使っているらしいが(マジで?)、マイクロソフトという大企業の中で Skype は埋没してしまった。Skype が複雑化し、動作が重くなる一方で、使いやすい WhatsApp がそのお株を奪う。

そして、2016年にマイクロソフトが Slack に対抗して Teams を立ち上げると、Skype は Teams にとっても目の上のたんこぶになる。2020年にパンデミックでネット会議の需要が高まっても、使用されたのは Skype ではなく、Zoom(や Teams)だった。

今も Skype は死んではいないが、もはやゼロ年代のときのような「現象」ではなく、未来は不透明である。

「かつては AT&T がインターネットサービスの消滅地だったように、今はマイクロソフトがカスタマブランドの消滅地なんです」というオム・マリクの言葉には笑ってしまったが、Skype が Bing の AI 機能を組み込んでいるのは知らなかったな。

ワタシにとっても Skype は思い出深いアプリケーションである。ある友人との長電話はすべて Skype でだった。その総計は呆れるほどの時間だったろう。そういえば、別の友人のイギリス留学時にも、Skype にはとてもお世話になった。そのように Skype はとても恩義があるアプリだが、ワタシの今のメインマシンには入っていない。

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