調査会社のノークリサーチは2015年12月9日、中堅・中小企業のクラウドサービスの評価に関する調査結果を発表した。情報共有、顧客管理、会計/決済、セキュリティ、販売/仕入/在庫/生産など10分野の業務システムにおけるクラウド活用状況からサービスに関する評価を集計・分析した。それによると、年商5億円以上~50億円未満の中小企業で最も成功したクラウド利用に該当する業務は、情報共有が35%と最多で、会計/決済とセキュリティが11.7%、顧客管理とWebサイト/ECサイトが10%、データ転送/変換/連携が8.3%、販売/仕入/在庫/生産が6.7%と続いた。
同社では、情報共有が35%と最も多くなったものの、その他の分野については1割以下に留まっていることを指摘。クラウドを提案・販売するクラウド事業者や販社やSIerでは、「ユーザ企業がクラウドのどのような点を評価しているのか?」を把握し、コスト削減だけではないクラウド活用のメリットを訴求していくことが重要となると指摘している。
また、同社は、企業が最も成功したクラウド利用に対してどのように評価しているかも調査。それによると、年商5億円未満の企業、5億円以上50億円未満の企業、50億円以上100億円未満の企業のいずれも、期待通りの成果があったという評価が最多だった。具体的には、年商5億円未満の企業では42.4%、5億円以上50億円未満では36.7%、50億円以上100億円未満では70.5%だった。
ただし、同社では、年商5億円未満の企業ではクラウドに「期待:有」の割合が7割に達していたことを指摘。クラウドを選択することで運用費用を削減したいと考える企業は7割に達するが、実際に実現できている割合は半数強に留まっているという。
一方、年商5億円以上~50億円未満の企業層では「期待:有」の割合が5割未満に留まっていることから、必ずしも大多数の企業がクラウド利用に対して運用費用の削減効果を期待しているわけではないと指摘。また、企業規模が大きくなるにつれて業務システムも複雑度になり、クラウド移行による運用費用削減を実現するための難易度も高くなると指摘している。
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