ある程度は予想された結果とはいえ、これほど深刻な状況だったとは──。そう言わざるを得ない衝撃的な回答の数々だった。
日経情報ストラテジーとITproが2013年2月に共同で実施した、IT業界における組織風土改革についてのアンケートの集計結果である。
このアンケートは、ITproのウェブサイトと、日経情報ストラテジーが2月22日に都内で開催した有料セミナー会場の両方で実施した。内容は同じものである(実施したアンケートのページはこちら:助けて!組織風土改革にすがるIT業界、既にアンケートは終了)。
6つの質問と自由意見に対し、合計で971件もの回答をいただいた。まずはこの場でご協力いただけたことに、お礼を言いたい。本当にありがとうございました。
回答はITproで883件、セミナー会場で88件の有効数が集まった。ITproでのアンケート期間は2月5日から同19日までである。
対象はITproの読者が大半を占めるため、おおむねIT業界関係者と考えてよいだろう。内訳は「独立系IT企業」に所属する人が全体の約40%と最も多く、次いで「ユーザー系システム子会社」と「ユーザー企業のシステム部門」がそれぞれ20%弱で続いた。回答者の性別は90%が男性、年代は30代と40代がそれぞれ40%弱ずつで大勢を占めた。
自由意見欄につづられた、回答者からの「悲痛な叫び」とともに、6つの質問に対する回答の割合を詳しく見ていこう。
なお、今回のアンケート結果を問題提起として、IT業界で悪化する組織風土への“処方箋”を提示した特集記事を、3月末発売の日経情報ストラテジー2013年5月号に掲載している。
特集では、組織風土改革の第一人者であるスコラ・コンサルトの柴田昌治氏による解説や、IT業界を代表して誌面に登場いただいたNTTデータ相談役の山下徹氏と柴田氏の対談などを掲載している。この調査結果とともに、併せてお読みいただきたい。
無関心の壁を作り、会話や協力ができない職場
アンケートで尋ねた6つの質問項目は、2012年9月に私が柴田氏と話をした時の内容が基になっている(関連記事:悲鳴を上げるIT業界から組織風土改革の依頼が急増中)。
実際にアンケート結果が集まってみると、私自身は改めて、最初の質問「Q1.同じ部門の社員同士であっても心に壁があり、会話や協力ができていない。同僚のことを、実はよく知らない」の結果にショックを受けた。
実に48%の人が「はい」と答えているのである(図1)。毎日顔を合わせている同僚のことを、約半数の人は「実はよく知らない」のである。これがIT業界の現実なのだ。
柴田氏が以前から指摘していた通り、「自分の周りに『無関心の壁』を作って仕事をしている人」が非常に多いことが、アンケート結果で浮き彫りになった格好である。
自由意見を見ると「お互いがコミュニケーションを取る努力をしない」(ITコンサルティング会社、40代女性)、「表面的な人間関係は一見良好であるものの、いざ仕事の話になると口をつぐんでしまう。ちょっとしたことへの配慮、褒めることができていないため、“言った者負け”の空気が蔓延し、対話力の低下を招いている」(ユーザー系システム子会社、40代男性)といった回答が目に付いた。