ソフトバンクモバイルは2013年9月30日、4機種のスマートフォンを含めた冬春モデルの新商品を発表した。発表会に登壇した孫正義社長は、携帯電話事業者間の競争軸が今後、端末ではなくネットワークやサービス、コンテンツにシフトしていくと指摘。発表会では自社ネットワークのつながりやすさの主張に終始した(写真1)。一方、成熟した日本市場に比べ、買収した米携帯電話3位のスプリントのほうが「伸びシロの余地が大きい」(孫社長)として、米国市場の開拓に優先的に取り組んでいることも示唆した。
「スマートフォン時代を築いてきたiPhoneが日本でも(NTTドコモ参入で)そろい踏みとなった。携帯電話事業者はネットワークの優劣で競争する時代になった。付随するサービスやコンテンツが差異化の重要な要素になる。そのような時代が近い将来に来ると予見していた」――。
孫社長はこう切り出すと、新商品発表会にもかかわらず、冒頭の約25分をつながりやすさの説明に割いた(スマートフォンの紹介はゲストイベントを除くと10分以下)。かねて同社はNTTドコモの参入を想定して自社ネットワークのつながりやすさのアピールに力を入れており、夏モデルの新商品発表会でも冒頭の約20分を割いていた。
今回の発表会でも、ソフトバンク子会社のAgoopによる月間10億件以上のビッグデータ分析をはじめ、第三者機関の調査結果などを引き合いに出しながら、接続率や実効速度は大手3社で1位とアピールした。孫社長は「残存イメージとして、ドコモが一番つながり、ソフトバンクが一番つながりにくいと思っている人が多いと思われる。実際にそのような状況もあったので我々の責任だが、大幅に改善したことも事実。信じてもらえないかもしれないが、本当に自信を持ってネットワークがつながりやくなった。つながらないソフトバンクと言われて悔しい思いをしてきたが、一気に倍返しだ」と胸を張った。日本にとどまるのではなく、「国内の競争を通じて作り上げたノウハウを大きく世界に羽ばたかせていきたい」(同)とした。