LPI CEOのジム・レイシー氏
LPI CEOのジム・レイシー氏
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 LPI(エルピーアイ,Linux Professional Institute)は,Linux技術者向けの資格「Linux技術者認定試験」(Linux Professional Institute Certification,以下「LPIC」)を主催するNPO(特定非営利活動法人)である。現在は,ホスト向けの「レベル1」資格とサーバー向けの「レベル2」資格,エンタープライズ(企業)向けの「レベル3」の3種類のLinux資格試験を実施している。来日したLPIのCEOであるジム・レイシー氏(写真)に,LPICの現状を聞いた。

2007年1月に,最上級レベルとなる「LPIC3」をスタートした。受験者の層に動きはあるのか。

 LPIC3を始めたが,現状の受験者数は,まだLPIC1とLPIC2が圧倒している。LPIC3は,コアとなる資格「Core」と,各専門分野に応じた周辺の資格「Specialty」から成る。Specialtyは現在,「Mixed Environment」(混在環境)しか選択できないが,2009年2月末に「Security」(英語版)をリリースする予定だ。「Security」以外のレベル3の試験としては,LPIのパートナー企業を含む多くの企業やLinuxコミュニティからWebサービスや仮想化,SELinuxなどの要望が上がっているが,現段階ではまだ決まっていない。どのようなスキルが今後必要になるのか,パートナー各社と一緒になって検討していく。

これまで受験者数のうち半数以上が日本人だったが,この状況に変化は出ているのか。

 全世界の受験者数に対する日本人受験者の割合は,相変わらず非常に多く,現在も約6割を占める。受験者が増えることは歓迎しているが,日本の割合は正直,もっと下げたい。15%くらいに落としたい。そのためには,グローバル化し,他国の割合を上げたいと思っている。中国政府に働きかけるなど,アジア各国での布教活動を進めている。

日本では日立製作所などのパートナ企業が,社員のLinux教育向けにLPICを使っているケースが多い。社員のLinux学習の進捗度を測る道具として使われている現状はどう見ているか。

 エンタープライズLinuxの普及に伴い,企業が従業員の人材育成としてLPICを取り入れる傾向が強くなり、社員としての受験が増えている。以前は,個人やコミュニティでの参加が多かった。米国などでは,メーカーがLPIC資格を自社の認定プログラムの前提条件として採用する動きも増え始めている。

例えば,どのような企業がどんな資格で採用するのか。

 米Oracle社や米Novell社に続き,米HP社も自社の認定資格の前提条件として,LPIC資格を加えることを決定済みだ。具体的には,同社のサーバー製品「HP ProLiant ML/DL Servers」と「HP BladeSystem」に関するASE認定(Accredited Systems Engineer)の条件に,LPIC2を加える。このようにLPICを他の認定のベースにしてもらうというのは,2007年初頭に掲げた目標でもあった。今後もメーカーとの提携を進めることで,この動きを世界的に広げていきたい。