マイクロソフトが9月19日に開催したWeb関連カンファレンス「REMIX07」において,「セカンドライフの実像と将来」をテーマにパネルディスカッションが行われた。パネラーの一人であるゴールドフィッシュ社長の大里安弘氏は,「ユーザーがセカンドライフに求めるのは人と人とのつながり。それをビジネスのスキームにすることが肝要」と述べた。
パネルには,仮想世界「splume」を開発・運営するスプリューム 社長の梶塚千春氏,野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 社会ITマネジメントコンサルティング部 主席研究員の山崎秀夫氏,セカンドライフのユーザー・コミュニティを運営するゴールドフィッシュ 社長の大里安弘氏がパネラーとして,ジャーナリスト/コンサルタントの増田真樹氏がモデレータとして参加した(写真)。
山崎氏は,セカンドライフの利用者について,「当初,ゲーマーがゲーム感覚で参加することが多かったが,最近ではSNSの利用者などがコミュニティ感覚で参加することが多くなっている」と見る。SNSの利用者は互いに出会いたいというニーズがあり,セカンドライフはいわばオフ会のようなものだと言う。ただし,仮想空間でアバター同士が出会ってからコミュニケーションをとるまでの“導入”が弱いとして,アバターのライフスタイルやワークスタイルをどのように確立するのかが課題だとした。
ビジネス現場での動きについては,「企業から仮想空間内に建物を建てたいという問い合わせを多くいただくが,建てても人は来ない,割に合わないと答えている」と大里氏は,自らの経験を紹介。さらに,「仮想空間内のユーザーは確かにおもしろいアトラクションも求めるが,それよりも人と人とのつながりを求める。いったんつながったつながりはそう簡単には切り離せない。それをビジネスのスキームにする」(同氏)と語り,例えば,企業のユーザー同士がコミュニケーションをする場を提供することで,持続的にユーザーを囲い込めるとした。
これに関して山崎氏は,あるホテルが,PowerPointも使える貸会議室をセカンドライフ内で提供している例を紹介し,遠く離れたもの同士が時間と空間を共有する出会いの場としての仮想空間の機能を強調した。さらに,「セカンドライフのオープンソース化にとても期待している。各企業が自前で仮想空間のサーバーを立てるようになったら,非常におもしろくなるだろう」と語った。