昨今、スマートフォンの普及が進み、雑誌やムックなどで、スマートフォン特集が多く組まれるなど、世間一般の話題として取り上げられるようになってきた。また、マーケッターの中でも、スマートフォンを活用したプロモーション手法が模索されており、企業活動の課題の一つとなっている。
スマートフォンユーザーをスマートフォンで調査する
ただ、スマートフォンを使っているユーザーがどのような性質を持っているのか、把握している人がほとんどいないのが現実だ。スマートフォンにかかわる人たちの間では、「最近20代スマホ女子が増えているらしい」「40代男性が多いらしい」といった話題が挙がるものの、それを証明するデータがなかなかない。そのためか、特にスマートフォンアプリ開発やスマートフォンサイトの企画などにかかわるアプリ開発会社・サイト開発会社からは、戦略の方向性をどうすべきか、手探り状態が続いているということをよく聞く。
もちろん、スマートフォンユーザーを対象とした調査がまったく行われていないわけではない。各調査会社や専門機関は、何とかスマートフォンユーザーの声を集めようとしている。しかし、スマートフォン市場はまだ導入期にあり、普及率が高まるのはこれからだ。そのため、パソコン向けのシステムでインターネットユーザーにスマートフォン所持についてアンケートを取っているのが実情である。回答者はパソコン上でスマートフォンに関するアンケートに答えるのが一般的であり、筆者の経験では、その出現率の低さからコストも多大にかかってきた。
今回、この特集記事で取り上げる調査は、こうした課題を解決するための調査方法である「スマホリサーチ」というサービスを利用している。これは筆者が代表を務めるモバイルマーケティング・ジャパンが持つマルチデバイス対応(パソコン、携帯電話、スマートフォンに対応)の調査システム「リサーチワン」と、ネットマイルが運営する共通ポイントプログラムの450万会員からスマートフォンユーザーを抽出して調査するサービスである。スマートフォンユーザーがスマートフォンで回答することができる特徴がある。利用シーンに近いためリアルタイムかつ回答精度が高まる、画面の大きさによりPCと変わらない質問内容と質問量が実現できる、などのメリットが期待される。
利用機種はiPhoneシリーズが上位、OSシェアではAndroidがトップに
まず、この「スマホリサーチ」で2011年6月28日、スマートフォンユーザー9214人にどの機種を利用しているかを聞いたのが表1だ。機種としてはiPhone 4を利用する率が高く、またiPhone 3GSも2番目に入っている。AppleのiPhoneシリーズの人気が高いことが分かる。
順位 | 機種名 | 利用者比率 | |
---|---|---|---|
1 | iPhone 4 | 2302 | 25.0% |
2 | iPhone 3GS | 1295 | 14.1% |
3 | IS03 | 595 | 6.5% |
4 | REGZA Phone T-01C | 523 | 5.7% |
5 | Xperia SO-01B | 419 | 4.5% |
6 | GALAXY S SC-02B | 348 | 3.8% |
7 | REGZA Phone IS04 | 345 | 3.7% |
8 | MEDIAS N-04C | 334 | 3.6% |
9 | iPhone 3G | 321 | 3.5% |
10 | 003SH GALAPAGOS | 293 | 3.2% |
その他機種 | 2439 | 26.5% |
この結果を反映するように、図1の通信事業者別シェアではiPhoneを扱うソフトバンクモバイルが49.7%とトップ、NTTドコモの利用者は29.3%となった。一方でプラットフォーム/OSのシェアではAndroidが50.8%、iPhone/iPadで利用されるiOSが42.5%となった(図2)。Androidは通信事業者を問わず多くの機種で採用されており、全体での利用者比率では既にiOSを抜いていることが分かった。