前回はAndroidの機能やアプリの紹介を通じて,Androidの概要や特徴をお伝えした。第2回からはいよいよ,Androidアプリの開発手法の説明に入る。今回の記事のゴールは,まず開発環境を整え,プログラミングの初めの一歩として「Hello World」アプリケーションを構築することだ。
Androidアプリケーションの開発には,Googleが無償で提供する「Android SDK」を利用する。Android SDKは開発者向けサイト「Android Developers」(図1)からダウンロードできる。Android SDKは,Java言語を利用した開発に必要なツールとAPIを提供しており,Androidエミュレータも含まれているので,Android SDKをインストールしたPC上でのデバッグ作業も可能だ。
Android Developersには,開発ガイドが用意されており,開発に必要な情報はここで入手できる。一部は日本語に翻訳されているので,APIの仕様など詳細な情報については開発ガイドを参考にしてほしい。
Androidアプリケーションの開発環境
Androidアプリの開発環境は,Windows XP,Windows Vista,Mac OS X 10.4.8以降,Linux (Ubuntu Dapper Drakeで動作を確認済みである)で動作する。Mac OSでしか開発環境が動作しないiPhoneアプリ(詳細は連載「オール・イン・ワンiPhone開発」参照)と違って,WindowsやLinuxなどのOS上で開発できることもAndroidアプリの魅力の一つだ。
また,Javaプログラマには馴染み深い「Eclipse IDE」も利用できる。本連載では,Windows OS上でEclipse 3.5 (Galileo) Windows版,JDK 6 Update 15 (Windows版),Android Development Tools plugins (ADT plugins)という3種のソフトを利用して開発を進める。この他の開発環境については,Android Developersサイトにある「System Requirements」のページを参照してほしい。
JDKをインストールする
Androidアプリの開発にはJavaを使うため,Android SDKだけでなくJDK(Java SE Development Kit)をインストールする必要がある。JDKは「Sun Developer Network」のダウンロードページから無償でダウンロードできる。ここでは,執筆時点での最新版「JDK 6 Update 15(Windows版)」を利用する。
Eclipseのインストール
Androidアプリの開発では,好みのエディタでソース・コードを書き,「Apache Ant」によりアプリケーションをコンパイルすることも,もちろん可能である。だが,筆者はEclipseの利用を薦める。目視によるレイアウト作成や,GUIによる各種の設定,コードの自動補完のほか,コンパイル後直ちにエミュレータを起動して動作を確認できるなど,多くの開発支援機能により開発効率を大幅に高められる。
EclipseはJavaのほかPHPやC/C++によるプログラミングにも利用でき,各開発言語向けのパッケージが提供されている。Androidアプリの開発で使うのは「Eclipse IDE for Java Developers」である。ここでは,Eclipseサイトで,執筆時での最新版「Eclipse 3.5 (Galileo) Windows版」をダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍し,任意の場所に保存する。ここでは「C:\android\eclipse」に保存したという前提で説明を進めよう。
Android SDKのインストール
Android SDKは,執筆時点で最新の「Android 1.5 SDK, Release 3」を利用した。SDKダウンロードページ(図2)から,自分のOSに合ったzipファイルをダウンロードしよう。この記事では,Windows用の「android-sdk-windows-1.5_r3.zip」をダウンロードする。
ダウンロードしたファイルは解凍し,任意の場所に保存する。ここでは「C:\android\android-sdk-windows-1.5_r3」に保存したという前提で説明を続ける。