MySQLは設計フェイズを容易にするためのツールも提供している。それが,MySQLWorkbenchだ。今回は,GA版(一般向け正式版)がリリースされたMySQLWorkbenchを紹介する。
MySQL Workbenchの役割
データベースは,様々な構成要素で成り立っている。データを格納するテーブル,高速に処理するためのインデックス,セキュリティを実現するためのユーザーと権限,さらにビュー,ストアド・プロシージャやトリガなどの構成要素によって,複雑で大規模な対象物でも抽象化してデータベース化することができる。
しかし,このように多くの構成要素を組み合わせてデータベースとして定義するのは容易な作業ではない。複雑な設計内容を文書で表現するのは困難であり,逆に文書からデータベース構成を理解するのは至難の業である。そのため,誰もが容易に理解できるようにデータベースの設計内容を図案化したのがER(Entity-Relationship)図だ。
MySQLWorkbenchは,ER図を用いたデータベース設計および管理を行うGUIツールだ。ER図を用いてデータベース設計を短時間に明快に行えるはずだ。そして,その設計内容に基づきMySQLデータベースサーバーにデータベースを構築することができる。また,既に稼働しているMySQLデータベースサーバーから情報を読み込んで,ER図にすることも可能だ。
図1●MySQL Workbenchの機能概要
なお,MySQL Workbenchは,コミュニティエディションとスタンダードエディションの2種類のエディションが存在する。コミュニティエディションは無償で利用できる。スタンダードエディションは,サブスクリプション(年額)が必要だが,コミュニティエディションよりも機能が強化されている。
表1●MySQL Workbenchのエディションライセンス | コミュニティ | スタンダード | |
ビジュアルデータモデルリング | |||
E-R図 | Yes | Yes | |
自動レイアウト | Yes | Yes | |
テーブル,インデックス,ビューのモデル化 | Yes | Yes | |
ストアドプロシージャ,トリガ,機能のモデル化 | Yes | Yes | |
ダイアグラム表記方法の選択 | - | Yes | |
妥当性のモデル化 | - | Yes | |
ユーザーセキュリティのモデル化 | - | Yes | |
リバースエンジニアリング | |||
SQLスクリプトからのリバースエンジニアリング | Yes | Yes | |
運用中データベースからのリバースエンジニアリング | - | Yes | |
フォワードエンジニアリング | |||
SQLスクリプトからのフォワードエンジニアリング | Yes | Yes | |
運用中データベースからのフォワードエンジニアリング | - | Yes | |
スキーマ同期 | |||
スキーマの相違比較(Diff) | Yes | Yes | |
SQLスクリプトへのスキーマ同期 | Yes | Yes | |
運用中データベースへのスキーマ同期 | - | Yes | |
DB ドキュメント出力 | |||
データベーススキーマデータのドキュメント出力 | - | Yes | |
すべての SQLオブジェクトタイプのドキュメント出力 | - | Yes | |
複数の形式でのドキュメント出力 | - | Yes | |
印刷 | |||
図の画像エクスポート | Yes | Yes | |
PDFエクスポート印刷 | Yes | Yes | |
図の高度印刷 | - | Yes | |
ユーティリティ機能 | |||
無制限Undo/Redo | Yes | Yes | |
DBDesigner4からのインポート | Yes | Yes | |
詳細検索 | - | Yes | |
スクリプト &プラグイン | |||
GRT(Generic Runtime) 環境 | Yes | Yes | |
デバッグパレット付きLuaシェル | Yes | Yes | |
ユーザープラグイン | - | Yes | |
コマーシャルサブスクリプション | |||
ナレッジベース | - | Yes | |
アップグレード,アップデート,フィックス | - | Yes | |
無料 |
99USドル /開発者/年 |
なお,日本での販売価格は,リセーラ各社によって異なる。