大いなるICTの実験場---。1月30日から2月1日に開催された「ITpro EXPO 2008」の展示会では,ICT技術を使ったいくつかの新しい試みを実施した。その中の一つが,日立製作所のミューチップを使った「ICタグ付き入場パス実験」だ。
今回,約6万人のほとんどすべての来場者にICタグ付き入場パスを発行し,単なる入場記録以外のアプリケーションとして,ポイントラリーを実施した。この試みが来場者にどのように受け入れられるかは未知数だったが,結果は予想以上に好評だったようだ。1月30日の開幕以来,ポイントラリーでためたポイントを使った抽選会の電子ルーレット音が途切れることはほとんどなく,最終日の閉幕間際には抽選会場に長蛇の列が作られた。また来場者に対する「ITpro EXPO満足度調査」でも,回答者の32.7%が「参考になった/面白かった/良い企画だった」と回答している(関連記事:『IITpro EXPO 2008で最も人気があった主催者企画は「Windows Server 2008パビリオン」』)。
在庫管理や入出庫管理,入退場管理などにICタグが使われるシーンは増えてきた。それに加えてICタグは,イベント会場における「エンタテインメント」としての活用の可能性が見えたと言えるだろう。
ブースを訪れるたびにチャリン,チャリンとポイントがたまる
ではまず,会場内においてICタグがどのように活用されていたかを説明しよう。
今回,ITpro EXPO 2008に事前登録した来場者には,「ITpro Magazine EXPO版」とともに,あらかじめICタグ付き入場パスを送付した(写真1,詳細はメイキング記事を参照)。それを持ってきた来場者は,受付に並ぶことなく,そのまま入場ゲートでミューチップ・リーダーに入場パスをかざすだけで入場することができた(写真2)。そのまま入場できるのは,講演会場でも同様だ。
写真1●事前登録者に送付したICタグ付き入場パスと裏側に張り付けられたミューチップ [画像のクリックで拡大表示] |
写真2●ICタグ付き入場パスを入場ゲートのミューチップ・リーダーにかざして入場 [画像のクリックで拡大表示] |
事前登録者には,展示会場に入場した時点で50ポイントを付与した。会場内では,ITpro EXPO検定を受験したり,フォーラムに参加したり,主催者企画の各ブースを訪れたりした際に,ミューチップ・リーダーに入場パスをかざすと,そのたびごとに20または40ポイントを加算(写真3)。さらに,「獲得ポイントチェックカウンター」のリーダーを使えば,現在の獲得ポイント数や,どこでポイントを獲得したかをチェックできるようにした(写真4)。ポイントを獲得した場所を一覧表示したのは,同一ブースを二度三度訪れてもポイント加算はできないようにしたためである。どこのブースに行ったか,また,どこのブースには行っていないかの情報をきちんと確認できるようにしておかなければならなかったのだ。
写真3●会場内の主催者企画ブースなどに置かれたミューチップ・リーダーに入場パスをかざしてポイントを獲得 [画像のクリックで拡大表示] |
写真4●「獲得ポイントチェックカウンター」に入場パスをかざせば現在の獲得ポイントなどを確認可能 [画像のクリックで拡大表示] |
写真5●抽選会場のカウンターに入場パスを持っていけば,100ポイントをマイナスされて1回の抽選が可能 [画像のクリックで拡大表示] |
電子ルーレットのスタート・ボタンを押すと,電子音とともに「1等」「2等」「ITpro賞」などと書かれたパネルがランダムに光りはじめる(写真6)。そして,ストップ・ボタンを押して景品を確定する。景品は1等が有機ELテレビ,2等がブルーレイ・レコーダーなど(詳細はこちらを参照)。最低ランクの「参加賞」でも「ドリンク引換券」と,日経BP社のブースで書籍やCD-ROMなどを購入する際に使える「10%割引券」を進呈するようにした(写真7)。
写真6●カウンターの横に立てられている電子ルーレットで抽選 [画像のクリックで拡大表示] |
写真7●最低ランクの「参加賞」でも「ドリンク引換券」と日経BP社ブースで使える「10%割引券」を進呈 [画像のクリックで拡大表示] |