「YouTubeの次に来るサービスはこれだ!」。そんな評判を得て,今ネット上で大変盛り上がっているサービスがある。「Twitter」である。このサービスを一言で表現すれば「ミニブログ」あるいは「ミニSNS」。140文字以内の短いテキスト・メッセージを投稿し,仲間と情報共有するというサービスだ。

写真1●Twitterのトップページ
写真1●Twitterのトップページ
「What are you doing?」をキーワードに世界中のユーザがさまざまなメッセージを投稿。Twitterのトップページではそれらを一覧表示している。
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 「今何してる?」という質問に答えるかたちで,ユーザーがそれぞれ現在の状況や思いを書き込んでいく。メッセージは友人間のみで公開してもよいし,全世界のユーザーに向けて一般公開することも可能である(写真1)。誰かを「友人」として登録すると,自分の投稿と友人の投稿を同じ画面にリスト表示し,それらは刻々とアップデートされる。

 Twitterの特徴は,Web/携帯電話/IM(インスタント・メッセージ)の連携機能を持っているところだろう。パソコンのWebブラウザーで書き込めば,それが友人の携帯電話やIMにも送信される。携帯電話を使って投稿すれば,それがTwitterのWebページに反映される。IMで書き込んでも同様にWebに掲載される。外出時でも投稿でき,友人の状況もチェックできる。そんな便利さが受けているのか,Twitterのユーザー数は今急増している。

SunのCEO Schwartz氏も高く評価

 海外メディアの報道によれば,Twitterが盛り上がりを見せたのは今年3月半ば。エンターテインメント系メディア・カンファレンス「South by Southwest(SXSW)」がきっかけだったという。Twitterは今年,同カンファレンスのインタラクティブ部門Webアワードでブログ賞を受賞した(SXSWインタラクティブ部門の発表資料)。これをきっかけに話題になり,カンファレンスに参加したテクノロジ系ブロガーたちが一斉に広めたようである。

 TwitterのエンジニアであるBiz Stone氏によれば,3月半ば過ぎのTwitterのユーザー数は10万人だった。しかしその3週間後には2倍に増えており,この勢いは今も止まらないという(マサチューセッツ工科大学Technology Review記事)。確かにAlexaの調べを見ても,Twitterのページビューはこの短期間に急激に伸びていることがわかる。

 Twitterは3月25日付Financial Timesの一面にも取り上げられて話題になった。その後,The New York Post,TIME Magazine,Newsweek,The New York Timesと立て続けに有力メディアに取り上げられるなど,いま最もホットな存在と言えるのかもしれない。Financial Timesの記事では,米Sun Microsystems CEOのJonathan Schwartz氏がTwitterを高く評価していると伝えている。それによれば,同氏は「バイラルな(急速に伝播する力を持つ)ポストYouTube世代のインターネット・アプリケーションの中で,最も新しいヒットがTwitter」と評価した。こうしたアプリケーションは,膨大な数のネット・オーディエンスを瞬く間に魅了する可能性を持っているという。

 また同氏は,Twitterを単なる一過性の流行と決めつけ,その成功を認めようとしない人に向けて次のように警告している。「誰かが16億5000万ドルの価値を付けるまで,YouTubeも冗談のように思われていた」(同氏/Financial Timesの記事

「Blogger」設立者のEvan Williams氏とBiz Stone氏

 実は,Twitterが注目されているのにはもう1つ理由がある。それはTwitterの設立者がEvan Williams氏ということである。同氏はWebの世界でスーパースターと評されており,「Blogger」の運営会社Pyra Labsを立ち上げた人物である。後にPyra Labsを米Googleに売却し,2004年12月に「Odeo」というポッドキャスト・サイト事業を始めた。残念ながらこのOdeoサービスは当初の期待ほどの成功を収めなかったが,そのOdeo社で進めていた社内プロジェクトにTwitterがあった。

 Evan Williams氏はその後,新会社Obviousを設立。この会社が投資家からOdeoとTwitterの全資産を買い取った。Obvious社は今,TwitterをOdeoよりも有望視しており,TwitterをObvious社の中核事業と位置付けているという(telegraph.co.ukの記事)。

 また前述のエンジニアBiz Stone氏(Webサイト)は,Evan Williams氏の長年の協力者。SNSの「Xanga」の開発に加わったほか,Evan Williams氏とともにBloggerを立ち上げた。GoogleへのBlogger売却後2年間はGoogleに籍を置いていたが,Odeo,Twitterの開発にも携わっていた。今はObvious社でTwitterチームを率いている。