次代のOSともいわれる「Kubernetes(クーベネティス)」に関するニュースを目にする機会が増えている。Kubernetesは「Dockerコンテナ」のデプロイ(配布)やスケーリングなどを担うコンテナクラスタ管理ツールの1つ。Googleが開発した「Borg」を基にしたオープンソースソフトウエアで、現在は「Cloud Native Computing Foundation(CNCF)」が開発を管理している。

 CNCFに対し米マイクロソフト(Microsoft)や米AWS(Amazon Web Services)、米ヴイエムウェア(VMware)や米ピボタル(Pivotal)、米オラクル(Oracle)など大手ITベンダーの加盟が相次ぐなか、Kubernetesはデファクトスタンダードの地位を築いた。ITベンダーは自社のクラウド上でKubernetesのマネージドサービスを提供。Kubernetes上で開発したコンテナアプリは、基本的にどのベンダーサービスのKubernetes上でも動く。これがOSにたとえられる理由だ。

 米ネットフリックス(Netflix)や米グーグル(Google)など、ネットサービス系の企業を中心にコンテナ活用は進んできた。米調査会社の451 Researchが2017年1月に発表した調査結果では、コンテナ市場は2016年の7億6200万ドルから、2020年には26億8800万ドルへ成長すると予測している。

 国内の普及状況はどうか。IDC Japanが2017年5月に発表したユーザー調査によれば、Dockerを「本番環境で使用している」企業は6.0%で、2016年調査の3.7%からわずかに上昇。一方、「開発/テスト/検証段階」の企業は13.1%で、同5.2%から7.9ポイントもアップした。こうした結果から、「Dockerは検討/計画から実装する段階へ移行、2017年は普及元年に」としている。

 確かに、ネット系企業やスタートアップなど、いわゆるクラウドネイティブな企業では、コンテナ活用は当たり前だろう。しかし、特に、企業システムの分野で、その価値ほどにコンテナが普及してきたとは言い難い。その理由を考えてみた。