KDDIは2019年1月29日、同30日よりスマートフォンの新規購入者に対して「Apple Music」を6カ月間無料で提供すると発表した。発表会ではApple Musicの代表も登壇するなど、米アップル(Apple)との親密さを打ち出してサービスをアピール。ただNetflixのときとは異なり、通信とサービスを一体にしたバンドルプランとしての提供ではない点が気になる。なぜこうしたサービス提供形態となったのか、KDDIの担当者に話を聞いた。
アップルとの良好な関係によって実現
2018年に代表取締役社長に高橋誠氏が就任し、新体制となって以降のKDDIは、スマートフォン利用者に向けたコンテンツやサービスの充実に積極的に力を入れている。auの通信サービスと、定額制動画配信サービス「Netflix」を一体にしたバンドルプラン「auフラットプラン25 Netflixパック」の提供が、そうした傾向を物語っている。
そのKDDIが2019年初頭に見せた新しい動きが、アップルの定額制音楽配信サービスであるApple Musicとの連携施策である。2019年1月30日より、auのスマートフォンを新規購入した人に対して、Apple Musicを6カ月間無料で提供するというもの。この施策の終了時期は定められておらず、日本の携帯電話事業者としてはKDDIが独占提供するものになるという。
この施策に対するKDDIの注力ぶりを示しているのが、2019年1月29日に実施された発表会に、Apple Music代表の服部浩氏が登壇したことだ。アップルの関係者がキャリアの発表会に登壇するというのは、筆者が記憶する限り前例がないだけに、その力の入れ具合を見て取ることができよう。
そもそもなぜ、KDDIはApple Musicの6カ月無料提供を実施するに至ったのだろうか。同社のコンシューマ事業本部 コンシューマ事業企画本部 コンシューママーケティング1部長である松田浩路氏は1つの要因として、クラウド型で多数の楽曲を配信する定額制音楽配信サービスが伸びていることを挙げる。通信サービスを提供するKDDIとしても、そうしたサービスを求める利用者の声に応えるサービスを提供したい考えがあったそうだ。
そしてもう1つは、アップルとの長年にわたるパートナーシップである。KDDIはiPhone 4Sで初めてiPhoneを扱って以降、アップルとの関係を続けている。世界各国で通信サービスが利用できる「Apple SIM」にネットワークを提供したり、iTunes StoreやApp Storeなどのキャリア決済に国内でいち早く対応したりするなどして、アップルとの深い関係を構築してきた。それが、Apple Musicとのキャンペーン施策を独占提供するに至った背景にあると松田氏は話している。