トキワサンザシ

この道はいつか来た道
ああ そうだよ
お母さまと馬車で行ったよ
あの雲もいつか見た雲
ああ そうだよ
山査子の枝も垂れてる

北原白秋「この道」より抜粋

トキワサンザシ

可憐な白花の後に、たくさんの赤い実をつける常盤山査子(トキワサンザシ)。一年を通して華やかに変化する姿から目が離せません。そのうえ、とても丈夫で育てやすいので初心者の方にもおすすめの樹木です。
トキワサンザシの育て方

置き場所

基本的には屋外管理が理想的です。花つきをよくするためには日当たりのよい場所で育成しましょう。日当たりが悪いと花つきが悪くなり、鑑賞できる実の数も減ってしまいます。特に新芽が伸び始める春先から梅雨頃まではしっかり日に当てることが大切なポイントです。

屋外の場合

「春・秋」

明るい場所で育成しましょう。ある程度は直射日光でも大丈夫ですが、半日陰や明るい日陰が適します。

「夏」

風通しのよい、明るい半日陰で管理します。強い直射日光や西日は葉焼けや急激な水切れの原因になるので避けます。よしずや遮光ネットなどを用いて日陰をつくるのもオススメです。

「冬」

自然界と同様に、冬を体験させると翌年の花付きが良くなります。しかしあまりに寒い場所は苦手ですので寒風や霜からは保護しましょう。ムロや屋内の寒い場所などで管理することをオススメします。なお、寒さを体験すると葉が赤くなることがありますが特に問題ありません。

屋内の場合

屋内で管理する場合、風通しの確保が重要になります。常時屋内では弱ってしまいますので、外の空気に当てたり、雨に当てたりしてあげると植物はリフレッシュできて元気に育ちます。また、できるだけ日当りの良い環境で育成しましょう。

エアコンの風邪 が直接当たる場所や、直射日光が長時間当たるなど極度に気温の上がる場所は避けましょう。

「春・秋」

窓辺など明るい場所で育成しましょう。特に春は新芽が芽吹く大切な時期。よく日光や風に当てることで、丈夫で健康的な葉になります。

「夏」

日当りと、風通しのよい場所で管理します。夏の強い直射日光は葉焼けの原因になるので、レースのカーテンなどで遮光してあげると良いでしょう。また、しめきった部屋では蒸れて痛んでしまう可能性がありますので、できるだけ風を通してあげると植物に優しい環境になります。

「冬」

屋内でも越冬可能です。翌年の実付きを良くしたい場合は屋内でも、できるだけ寒い場所で管理しましょう。

→植物の冬越しについて

水やり

水やりの目安は、春秋は1日1回、夏は朝夕の1日2回、冬は2〜3日に1回です。特に夏場の水不足は葉焼けの原因となります。美しい実を楽しむためにも夏の水やりには気を配りましょう。また、暑い時期の葉水は、葉の乾燥防止や健康維持に効果的です。夕方に霧吹きやジョウロで葉水を与えましょう。

→みずやりのタイミング

また、どうしても乾きやすい時期や外出時は腰水という方法が有効です。

→腰水について

肥料

4~7月頃と、暑さが和らぐ9~10月頃、週1回を目安に液肥を与えます。
より健やかに育成し、実付きを良くするために肥料は効果的です。

※バイオゴールドヴィコント564を基準にしています。その他の肥料を与える場合は説明書などを参考にしてください。

※置き肥の場合は上記の期間に月1回、固形肥料を与えます。

病害虫

アブラムシ、ハダニ、アザミウマなどが付くことがあります。
もし虫が付いていたら早めに専用の薬剤などで対処しましょう。

→病害虫について

木々の小話

トキワサンザシの名前の由来。

トキワサンザシ(常磐山査子)は和名で、洋名はピラカンサといいます。
和名の常磐(ときわ)は一年中という意味で、この木が常緑の木であることに由来し、「サンザシ」は、実がサンザシの実に似ていることに由来します。

洋名のピラカンサ(Pyracantha)という名前は、ギリシア語のピル(pyr・炎)とアカンサ(akantha・棘)が語源で、棘があることと、赤い実が炎のように樹全体を覆うことに由来します。(※ピラカンサにもいくつか品種がありますが、石木花で扱う品種にとげはありません。あくまで原種の名前の由来ということでしょう。)

トキワサンザシは花や実が気軽にたのしめることから、世界中に広がり、多くの園芸ファンに愛されてきました。

トキワサンザシの詳しいお手入れ

トキワサンザシ(常盤山査子)に適した用土

基本的には赤玉土を主体に鹿沼土などを混ぜた混合土を使用します。

「石木花の土」または「石木花の土+」が適合します。

植え替え

トキワサンザシの植え替えの時期は秋と2~3月が適期ですが、夏頃まで可能です。また、非常に強い性質なのでそのほかの時期でも大きな問題はありません。植え替えは2~3年おきを目安に行うといいでしょう。

トキワサンザシ(常盤山査子)の摘果

トキワサンザシの実は完熟すると萎れてきます。そうなってきたら早めに摘み取っておくようにしましょう。なお、2月中には実を取っておくようにすると体力の消費を防げるので花が咲きやすくなり、次のシーズンも実を付けやすくなります。

上記画像のラインの位置を目安に鋏などでカットします。少し茎がのこってもやがて枯れ落ちますので気にしなくとも大丈夫です。

トキワサンザシ(常盤山査子)の受粉

4月~6月頃に花が咲いたら授粉を補助すると実付きの確率が高くなります。綿棒などでお花を軽くこすり付けると高確率で受粉します。

トキワサンザシ(常盤山査子)の剪定

伸びすぎた枝は秋~冬の間に剪定しましょう。なお3~6月頃には花が咲くので、2月以降は花芽が確定するまで剪定を控えますが、花芽が確定したら不要な枝を切っても大丈夫です。時々ヒコバエという根元から勢いよく伸びる枝が出てきますが、これを残しておくと養分を吸い取られて本体が弱ってしまいます。見つけ次第、こまめに切り取りましょう。

トキワサンザシ(常盤山査子)の育成のポイント

○植物に四季を体感させてあげることで末永く健康的に育成できます。特に冬はしっかり休ませてあげましょう。

 

○夏は直射日光を避けた、明るい日陰や半日陰で管理します。よしず等で日陰を作るのもいいでしょう。

 

○小さな鉢で育成する場合、水切れさせないように注意します。特に夏場は、朝に水をやっても夕方乾いてしまう様なら置く場所を工夫し、出来るだけ涼しい所で管理しましょう。どうしても乾いてしまう場合には、腰水で凌ぎます。※日々の育て方をご参照ください。

 

○暑い時期や乾燥する時は、朝や夕方に葉水をするのも大変効果的です。

 

○屋内管理の時間が長いと、徐々に元気がなくなってしまいます。できるだけ自然の風に当てて育てるよう心がけましょう。雨の日は外に出して雨に当ててあげたり、夜は夜露に当てたりするとリフレッシュできます。

 

○活性剤を定期的に与えることで、より健やかに育成できます。

 

○実を楽しむためには、花を咲かせる必要があります。花を咲かせやすくするには、良く日に当てて、肥料を与えることが最も大切なことです。

→肥料・活

Leaf
細長い卵型の葉をつけます。
Flower
春、白い可憐な花が密集して咲きます。
Seed
花後に、丸くて赤い実が結実します。
大変実付きの良い樹種です。
耐寒性 Cold
水やり Water
日光 Sun
肥料 Fertilizer