コナラ

下毛野(しもつけぬ)
みかもの山の
小楢如す
目細し(まぐわし)児らは
誰が筍(け)か持たむ

万葉集 - 巻三

コナラ

日本の山林においてはポピュラーな存在であるコナラ。鉢植えでは野趣のある姿が魅力的な樹木です。春の芽吹き、夏の瑞々しい葉、秋の黄葉へと移ろう姿も見ごたえがあり、四季折々に野の風情を見せてくれます。英語ではオークという名前ですが、こちらは聞き馴染みのある方も多いかもしれません。家具としても一級で、ワインやウィスキーの樽材としても重宝されています。

コナラの育て方

置き場所

屋外の場合

基本的に風通しのいい明るい場所での管理が適します。しかし強い西日が当たるような場所は避けましょう。また、夏は強い日差しからは保護しましょう。

「春・秋」
日当たりと風通しの良い環境で育成しましょう。特に春は新芽が芽吹く大切な時期。しっかり日の光を浴びて広がった葉は丈夫に育ちます。

「夏」
風通しのよい半日陰場所で管理します。強い直射日光や西日は葉焼けや急激な水切れの原因になるので避けましょう。よしずや遮光ネットなどを用いて日陰をつくるのもオススメです。

「冬」
自然界と同様に、しっかり冬を体験させる必要があります。屋外管理で大丈夫ですが、寒風や霜からは保護しましょう。ムロや半屋内(寒い場所)などで管理することをオススメします。なお、落葉後は日光に当たらなくても特に問題ありません。

屋内の場合

屋内で管理する場合、風通しの確保が重要になります。たまに外の空気に当てたり、雨に当てたりしてあげると植物はリフレッシュできて元気に育ちます。エアコンの風邪 が直接当たる場所や、直射日光が長時間当たるなど極度に気温の上がる場所は避けてください。

「春・秋」
日当たりと風通しの良い環境で育成しましょう。窓辺などが適しています。

「夏」
優しい日当たりで風通しのよい場所で管理します。夏の強い直射日光は葉焼けの原因になるので、レースのカーテンなどで遮光してあげると良いでしょう。また、しめきった部屋では「蒸れ」によって痛んでしまう可能性がありますので、できるだけ風を通してあげると植物には優しい環境になります。

「冬」
5℃以下の環境で冬を体験させる必要があります。11月~2月の間は屋外に近い環境で育成しましょう。落葉樹なので、寒さに触れると黄葉し、その後葉を落とします。落葉後は日光が当たらない環境でも問題ありません。

→植物の冬越しについて

水やり

成長期の水切れに注意。特に春~夏はたっぷりあげましょう。水やりの目安は、春秋は1日1回、夏は朝夕の1日2回、冬は3日に1回です。また、暑い時期の葉水は、葉の乾燥防止や健康維持に効果的です。朝や夕方に霧吹き等で与えるといいでしょう。

みずやりのタイミング

肥料

真夏を除く4〜10月は1~2週に1回の頻度で液肥を与えます。また、冬も月1回程度の液肥は効果があります。 ※バイオゴールドヴィコント564を基準にしています。その他の肥料を与える場合は説明書などを参考にしてください。 ※置き肥の場合、春と秋には月1回、固形肥料を与えます。

病害虫

アブラムシ、カイガラムシ、ハマキムシが付くことがあります。 梅雨など、高温多湿の時期はうどんこ病に注意します。

コナラ(小楢)の仲間

クヌギ、ナラガシワ、ミズナラ、カシワ、アベマキなど。

木々の小話

生態系・人の暮らしを支える楢。

コナラの実はドングリです。ドングリというのはコナラなどブナ科の樹木の果実の総称。栄養のバランスが良く、森の動物たちの格好のエサとなり生態系を支えています。また、発芽率も非常に高く、自然落下で発芽するのにプラスして、野鳥やリスなどの小動物によって遠くに種子が運ばれることにより、広い範囲で育つことができます。そして動物だけでなく人間もまたドングリを食用としていた時期があります。農耕文化が発達する以前の縄文時代の遺跡からはその形跡が数多く発見されています。

現代においては家具、酒樽、薪炭やシイタケのホダ木など、多様な用途で重宝されており、私たちの暮らしを彩り続けています。

名前の由来。

そもそも「ナラ」は、風に揺れる葉が触れあって“鳴る”様子から由来されたというものがあります。そのほかにもしなやかなさまを表すナラナラ、「平ら」の意など、諸説あります。どの説も、柔らかい風情を見せるこの樹種ならではのもの。

コナラの詳しいお手入れ

コナラ(小楢)に適した用土

一般には赤玉単用または、鹿沼土を混用したもの使用します。 なお「石木花の土」が適合します。

植え替え

2~3年に1回の植え替えが目安となります。適期は春先ですが、暑さが収まった秋頃の植替えも可能です。

樹形を維持する方法

大らかな野趣のある枝ぶりが美しい樹木ですが、適宜、手を入れることで樹形を維持しましょう。

芽摘み

春先はよく新芽が伸びます。特にどんどん伸びる枝(徒長枝)はあまり伸びすぎないうちに摘み取ります。

剪定

5〜9月の間、勢いよく伸びる枝は剪定します。

育成のポイント

◯植物に四季を体感させてあげることで末永く健康的に育成できます。特に冬はしっかり休ませてあげましょう。

◯夏の水切れに注意します。朝に水をやっても夕方乾いてしまうようなら置き場所を工夫し、できるだけ涼しいところで管理しましょう。どうしても乾いてしまう場合は腰水でしのぎます。※腰水の常用はNGです。あくまで暑い期間限定にしましょう。

◯屋内管理の時間が長いと、徐々に元気がなくなってしまいます。雨の日は外に出して雨に当ててあげたり、夜は夜露に当てたりするとリフレッシュできます。

◯活性剤を定期的に与えることで、より健やかに育成できます。

肥料・活性剤

Leaf
やや下膨れしたような形の葉。縁には、はっきりと鋸刃があります。
秋には黄色やオレンジ色に色づきます。
Flower
樹齢を重ねると花が咲きます。小さな花が集まり、尾状に垂れ下がります。
Seed
花の後、ドングリがなります。
耐寒性 Cold
水やり Water
日光 Sun
肥料 Fertilizer