音空間事業本部 野澤 由香、近藤 奈緒子
1. 設備概要
現行の音声中継車の更新による新規車輌導入に伴い、その内装工事を担当した。
メインルームは、5.1chと2chミックス環境の両立を目指して基本配置を決定し、サブルームにおいても、5.1chモニタリング環境に配慮した設計となっている。メインルームの空調については集中的に寒さを感じるなどのトラブルを軽減した設計としている。
デザインコンセプトは"洋館風"。木部形状や金物一つにも拘った納まりになっている。
2. 音響上の特徴、苦労した点
メインルームは拡幅するという条件と機器の配置から、ミキシングポイントが縦・横・斜め、どこをとっても中央になってしまうというのが懸念事項であった。施工途中のヒアリングで少し位置がずれただけでまったく印象が変わってしまうことが実感されたので、サイドの壁面に吸音体を追加し、さらに先端をR形状にして高域が返りやすくした。中の吸音材については素材・厚みを変えて何度も入れ替える調整を行ったが、メインスピーカーの邪魔になりそうだったサイド壁のモニターは逆にいい具合の拡散体となったようである。
卓の後ろに低域がたまることも予想されたのでスピーカー台裏に吸音スペースを深めに設置した。それでも聴感上物足りなかったため、拡散板と吸音材でバランス調整を行った。
お客様との音場調整ではメインスピーカーの低域の迫力とサラウンドの艶感を両立させるさじ加減がとても難しかった。
3. お客様の声
今回、音声中継車という限られた空間にも拘らず、理想としていたモニター配置を実現し、素晴しい空間を作り上げていただき、心より感謝致しております。また、洋館風にデザインされた室内は、落ち着いた雰囲気の中、細部のデコレーションまで気遣いが感じられ、居住空間としても非常に素敵な仕上がりで、居心地が良く、住み着く人が出るのではと心配になってしまいます。
メインルームに関しては、暫くスピーカーをエージングして、微調整をお願いしたいと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。
施工概要 | |
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工期 | 2009年5月~2009年6月(音響内装のみ) |
音声卓 | オタリテック(株) |
システム工事 | (株)タムラ製作所 |
車輌艤装 | 京成自動車工業(株) |
車輌外観
メインルーム
メイン後壁とサイド拡散体
サブルーム