当社では、材料の音響特性を評価するために必要な測定システムの開発・販売に加え、それらの測定システムを用いた受託試験サービスもご提供しております。音響材料特性評価のエキスパートが、試験の目的等をしっかりヒアリングさせていただき、お客様のニーズに合った試験サービスをご提案の上、最適なアウトプットをご提供いたします。
当社では、長年にわたり測定システムを開発・販売するだけではなく、自動車業界をはじめとする各産業界の企業様よりご依頼いただき、第三者機関として中立的な立場で受託試験業務を行って参りました。特に国内でも数少ないBiot(ビオ)パラメータの測定評価技術を有することを特長としております。なお、ご希望の場合は、試験時のお立会い(状況によりやむを得ずお断りせざるを得ない場合がございます)やWeb形式のご見学も承っております。また、試験結果に対して、豊富な測定実績や測定原理に基づく知見を用いて、メカニズムや理論的な背景のご説明や、さらに性能を上げるためにどのようなところに着目すればよいかなど、ご提案させていただくコンサルティングサービス(別途有償サービス)もございます。
注) 状況によりやむを得ずお断りせざるを得ない場合がございます。ご了承ください。
下記のような流れで、ヒアリングから結果のご提出までを行います。
1. お問合せ
お見積依頼、ご質問・ご相談等、まずは下記よりお問合せください。
2. ヒアリングの上、評価項目を決定し、お見積書をご提出
お電話やメール、お打合せ(Web会議形式も対応可)にて協議の上、評価内容を決定し、お見積書をご提出いたします。
3. ご検討
評価試験実施のご検討にあたり、ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡ください。
4. ご発注・サンプルお預かり
ご依頼の際は、ご注文書ならびにサンプルのご提出をお願いいたします。
5. 評価試験実施
お立会いのご希望ございましたら、ご相談ください
(状況によりやむを得ずお断りせざるを得ない場合がございます。ご了承ください)
6. ご報告・今後のご相談
ご報告書をご提出いたします。ご希望の場合は、Web会議形式にて結果のご説明もいたします。
対応規格 | ISO 10534-2、JIS A 1405-2、ASTM E 1050 |
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測定方法 | 伝達関数法(2マイクロホン法) |
音響管 | 内径100 mm、40 mm、15 mmの3種類 |
測定周波数範囲 | 音響管の内径毎に規定あり -内径100 mm : 100〜1,800 Hz -内径40 mm : 200〜4,800 Hz -内径15 mm : 1,000〜10,000 Hz |
2キャビティー法による特性インピーダンス/伝搬定数試験も実施可能
測定方法 | 8マイクロホン法(新規測定方法、特許取得済) |
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音響管 | 内径100 mm、40 mmの2種類 |
測定周波数範囲 | 音響管の内径毎に規定あり -内径100 mm : 500〜5,800 Hz -内径40 mm : 1000〜10,000 Hz |
対応規格 | ASTM E 2611 |
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測定方法 | 伝達関数法(4マイクロホン法) |
音響管 | 内径40 mm、15 mmの2種類 |
測定周波数範囲 | 音響管の内径毎に規定あり -内径40 mm : 200〜4,800 Hz -内径15 mm : 1,000〜10,000 Hz |
測定方法 | 16マイクロホン法 |
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音響管 | 内径100 mm、40 mmの2種類 |
測定周波数範囲 | 音響管の内径毎に規定あり
-内径100 mm : 500〜5,800 Hz -内径40 mm : 1000〜10,000 Hz |
対応規格 | ISO 354、JIS A 1409 注) |
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室形状および室容積 | 2種類の残響室 -9㎥(不整形 7 面体) -140㎥(直方体) |
残響時間測定方法 | 内インパルス応答法またはノイズ断続法 |
測定周波数範囲 | 室容積毎に異なる -室容積 9㎥:400 〜 5,000 Hz -室容積 140㎥:160 〜 5,000 Hz |
注) 当社の試験は小寸法サンプルの試験を特徴としているため、室寸法および試料寸法は必ずしも規格に準拠しておりません。
対応規格 | ISO 15186-1、JIS A 1441-1 注) |
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室形状および室容積 | 2種類の残響室 -9㎥(不整形 7 面体) -140㎥(直方体) |
測定周波数範囲 | 室容積毎に異なる -室容積 9㎥:400 〜 5,000 Hz -室容積 140㎥:160 〜 5,000 Hz |
注) 当社の試験は小寸法サンプルの試験を特徴としているため、室寸法および試料寸法は必ずしも規格に準拠しておりません。
測定項目 | (単位厚さ)流れ抵抗 |
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対応規格 | ISO 9053-1 |
試料寸法 | 直径40 mm、ただし非常に薄いサンプルの場合は少し大きめに切り出したサンプルを挟み込んで測定。厚さは0〜最大50 mm まで。 |
測定項目 | 迷路度 |
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測定手法 | 超音波を用いた材料中の音速の計測による算出 |
試料寸法 | 直径40 mm程度。厚さは0〜最大50 mm。ただし超音波(100k〜1MHz)がサンプルを透過することが条件。 |
粘性特性長・熱的特性長試験と同時実施のご依頼が可能です。
測定項目 | 粘性特性長、熱的特性長 |
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測定手法 | 超音波を用いたQδ法 |
試料寸法 | 直径40 mm程度。厚さは0〜最大50 mm。ただし超音波(100 k 〜1 MHz)がサンプルを透過することが条件。 |
迷路度と同時実施のご依頼が可能です。
測定項目 | ヤング率、せん断弾性率、損失係数 |
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測定手法 | 2種類の算出方法による測定 i) 質点-バネによる一自由度振動系と仮定して得られた振動 伝達関数の共振周波数からの算出 ii) 分布定数系と仮定して得られたインピーダンスからの算出 |
試料寸法 | 直径20〜40 mmもしくは100 mm角程度。 厚さは0〜最大50 mm 。 |
測定方法 | 損失係数、ヤング率(単層材の場合) |
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測定手法 | 短冊サンプルを用いた中央加振法 |
対応規格 | JIS K 7391、JIS G 0602 |
自動車に限った話ではありませんが、機器の設計の場合はまず、機器全体としての目標スペックが決められ、それを部品レベルにブレークダウンしていくトップダウンの形を取ります。実際の開発は最下層の材料からボトムアップ的に進めます。製作のフェーズによって、要求される計測・予測技術が異なります。
材料の開発は単層材料の開発から始まります。まずは、材料の音響特性を特徴付けるパラメータを把握することが大切です。なぜならば、このパラメータを正確に知ることにより、材料を積層した場合の音響特性を予測できるようになるためです。このパラメータはBiot(ビオ)モデルの材料パラメータと呼ばれ、多孔質弾性材料の音響特性はこのパラメータから予測できます。Biotパラメータは、厚さ、密度といった一般的なパラメータのほかにポロシティ(多孔度)、流れ抵抗、迷路度(トーチュオシティ)、粘性特性長、熱的特性長、せん断弾性率、ポアソン比をあわせた9つのパラメータを指します。日本国内においてこれらのパラメータが実測できる施設は数多くありません。当社は、パラメータを実測できるだけではなく、実測したパラメータを用いたBiotモデルによるモデリング結果と垂直入射吸音率の測定結果を比較検証することで、より精度の高いアウトプットをご提供することができます。
積層材料のそれぞれの層についての、Biotモデルの材料パラメータが把握できている場合、積層材料全体の吸音・遮音特性は伝達マトリクス法により予測できます。この手法で材料の音響特性を予測するソフトウェアがSTRATI-ARTZで、積層構造の最適化に大きな力を発揮します。実験としてはここでも垂直入射吸音率・透過損失の測定が有効です。さらに最終的な材料の用途が内装材の場合、垂直入射吸音率試験と併せて実際の音波入射条件に近い残響室法吸音率試験や残響室-無響室を用いた透過損失試験による評価を行うことが一般的です。一方で開発段階においては規格で規定されている大きいサンプルを用意することが難しい場合があります。当社では、開発シーンに合わせ、小寸法サンプルでの試験も可能です。
自動車の内装材は、最終的にプレス成型されます。その中には、ワイヤーハーネスやダクトを通すための穴が開いていたり、材料の厚みがプレスにより均一でなくなったりといった原因で、フェーズ #2で得られていた性能を発揮できない場合があります。 一般的に成型品の吸音性能は残響室法吸音率で評価しますが、成型品の場合は吸音率を推定することは難しく、一般的には吸音力で評価することになります。また、成型品の遮音性能は透過損失で評価します。これらの測定は重要で、正しい評価結果を得るためには測定上の高度なノウハウが必要になる一方、遮音弱点部位などの発見と対策には十分ではありません。そこで当社では、成型材料を遮音測定用の残響室・無響室の開口部に取り付けた状態での表面近傍の音響インテンシティ分布の評価など対策に直結できる一歩進んだ解析を進めています。
開発の最終フェーズは、実車での性能評価です。実車での測定には、開発品以外の様々な要素も関係します。自動車は部品点数が多く、開発品の取り付けのためには他の多くの部品の取り外しが必要になります。このような部品の取り付け・取り外しといったことで材料の支持条件が変化し、結果に影響が出る場合があるので注意が必要です。 実車での評価は、特定音源に対する評価点への寄与度を把握する音響感度解析や音響心理評価実験などが利用できます。また、自動車のカットボディを残響室・無響室の開口部に取り付け、エンジン音に対するダッシュパネルの遮音性能をシステマチックに評価する試みも行っています。