Archive for 2月, 2010

粘土をこねることの大切さ

「創るセンス 工作の思考」 森博嗣
(Amazonだとこのへん)

森博嗣の工作本という事で読んでみた。
いや、工作本なのかな?啓蒙本?エッセイ?なんだか説明が難しい本。
もの作りが好きだと言える人は迷わず読んで欲しい一冊。そうでない人は下手すると書いてあることは理解できるけれども納得できないかもしんない。
この本の難しい所は、読んで何かが得られるわけではないあたり。なんせ内容を要約すると

「技術のセンスは言葉で説明できないから自分で作って理解して!」

という投げっぱなしで終わっているのだから。もっとも、本を読むことで教えてもらおうという種類の人間はあまり相手をしていなくて、そんな暇あったら手を動かしてなんか作れと諭してもいる。

人間は古来より物を創ってきた。その、もの作りという活動を「工学」により経験の記述とシェアをし、「組織化」で作業分担化して誰でも行えるようにすることで大量生産化を果たしてきた。しかして結局の所、技術は末端の技術者一人一人に宿るものであり個人が身につけるしかない。そういった技術は「センス」であり、自身の経験と勘という形で体得するしかないものである。
だから手を動かし、物を壊し、物を創り、失敗をして工作を積み重ねて行きましょう、というそういったお話。

それだけじゃわかりにくいから「若者の技術離れ」とか「技術力はトラブル発生時に発揮される」とか所々わかりやすいお話でかみ砕いて伝えてくれている。その、たとえ話がわかりやすすぎるのでそこに目を奪われがちだけれども、本当に言いたいことはもうちょっと深いところにあるように思える。

技術屋として普段考えている事をときたまこのBlogに書いていたりするけれども、本当に考えている所とかこれからどうあるべきかとかは全部この本に書かれちゃった感じ。なので、個人的にはおすすめの一冊。
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SIG-Indie 6 「同人シューティングゲームの潮流」いてきた

IGDA日本 同人・インディーゲーム部会第6回研究会(SIG-Indie6)
「同人シューティングゲームの潮流 – 80年代から現代まで、変化から学ぶ実践的な普遍性 – 」

IGDA日本が以前から同人ゲーム制作者を集めて色々発表やディスカッションを行っているのが SIG-Indie。以前からやっていることは知っていたんだけれども、ノベル系に偏っていたり(これは絶対数以上に型月やひぐらしのヒットが目につきやすいから?)商業との距離が近い感じがする雰囲気を漂わせていたのでちと静観していた次第。
だけど今回はシューティングですよ!シューティング!シューティングという文字を見てWEBをクリックしてみたら3D FPS戦争ゲームでひたすらがっかりする最近の流れとは全然ちがって、バッチリと2D段幕系の日本的なシューティングゲームですよ!

感想を先に言うと、思っていた以上に面白かった!
なぜか発表者全員「私の大好きなシューティングゲームは○○です」ともれなく宣言してるし、「開発中には○○をやり込んでいたので多分にインスパイアされています」という台詞もほとんどの人が言っていた。喋る方も聞く方も本当にゲームが好きで、好きすぎるから自分で作っているというのがビンビンに伝わってくる。プレゼンを通じて「うけるためには」「売れるためには」といった言葉がほとんど出てこなかったそんな勉強会。
後の方の若い人(といっても20代)ほどプレゼンはつたなくなっていくのだけれども、その分ゲームに対する熱意がだだ漏れ状態でもう聞いてて面白くてしょうがなかった。
「好きなゲームは○○でそれにインスパイアされて作りました」なんてノベルゲームの方じゃほとんど聞けないんじゃないかなあ。「○○は俺の嫁なので、その嫁に近づける様キャラクターを作りました」とかになっちゃうのかな。

意外に思われるかもしれないけれども「東方project」の名前はほとんど出てこなかった。みんな腫れ物に触れないようにさけている感じ。ようやく名前が出てきたのも中盤過ぎてからで、それも紅魔郷以前のPC98時代のものだったり。
これはその場にいるとなんとなく理由がわかる気がするのだけれども、説明するのがちょっと難しいなあ。
なんというか、今回の勉強会はシューティングが死ぬほど好きな「プログラマー集団」なのよね。これだけのプログラマー率が高いジャンルというのも同人ゲーム業界にとっては珍しいのじゃないかと思ってしまうほど。なので、弾幕そのものやゲームシステムに尋常じゃない入れ込みと考察、そして自分なりの実装を行っているといった具合。あんましキャラクターや世界には思い入れが無いというか、それで回っている世界はちと引いて見ている様な感じなんじゃないかと。
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By rerofumi in イベント,ゲーム   .::. Read Comment (1)

裁断機PLUS PK-513Lで(中略)Android(HT-03A)に入れてみた!!

裁断機PLUS PK-513Lで雑誌を裁断してScanSnap S1500Mで取り込み、Dropboxで共有してGoodReaderでiPhoneに入れてみた!! [Mac] [net] [iPhone] [今日の楽天] [Shopping]
とゆー記事がはてなブックマークでホッテントリしていた。
みんなこれをやりたくてあこがれの対象としているらしく、定期的にこのネタがあがってくるよなー。いつかは裁断機。
iPhoneに入れて持ち歩けるすげー、というのはiPadへの期待もあっての事なんじゃないかと思って見ている。私の方はKindle DXに持って行くという形でレビューしたけれども、まだガジェットは持っているわけですよ。そう、なぜかみんな期待していないAndroid端末ならどうなの?といったところを、補足で説明しちゃいましょう。
ちょうど、色々PDFに落としているのでそのデータを使える場面を増やす意味で。私の場合同人誌のスキャンと保存が目的だったので、本当は漫画が読みやすい環境が一番なのだけれどもね。

ちょい余談。
ラノベではすっかり平坂読先生のファンになってしまっている。(まだねくろま以降しか読んでいないけれども)個人的に「エア友達になりたいラノベ作家No.1」と憧れている次第。
なもんで「僕は友達が少ない」シリーズもスマッシュヒットのお気に入り。これは捨てたりバラしたりしたくないので手元に置いておきたいのだけれども、でもデジタル化していつも持ち歩くといったこともやってみたい。で、悩んだあげく、
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もう一冊買うことにした。
先生すいません!読者が一人増えたと思わせて実は一人で二冊買っていました。
そんな感じで個人的にはおすすめ(万人に勧めるわけではない)の「僕は友達が少ない」、メディアファクトリーの公式紹介では冒頭の数ページが立ち読みできます。正直、ここを読んでもしょうがないんだけれどもな :-P
なんでこんな媚びているかというと、出だしの1ページ目をサンプルに使わせてもらうのでせめてもの宣伝。

裁断~スキャン~PDF化はこれまでと同じなので略。
iPhoneはDropboxアプリがあって「Dropboxで共有、閲覧」がやりやすいんだけれども、Andoroidにはアプリが提供されていません。どうしたもんかと考えてみましたが、単純にブラウザでWEB版を利用すれば良いのでした。
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Androidは標準でPDFビューアが入っていないため、WEB版のDropboxでファイルクリックすると全てローカルへのダウンロード扱いとなるのです。アップロードは一切できないのだけれども、まあ、これはこれで使える。ページのデザインがモバイル機向きでないから崩れるけれども、quonpからもダウンロードできるのでファイル置き場としては有効。ただし、Google Documentはモバイル版においてダウンロードが考慮されていないので使えません。せっかくこの間GDrive宣言してファイル置けるようになったというのにねえ。

Androidは標準でPDFの閲覧ができません。なので、なんらかのPDFビューアアプリを使う必要がある。
今回みたい対象が10MB~50MBくらいあるので無料アプリではちょいいまいちな感じで、有料アプリを使うことになる。
そういった場面での定番はBeamReader と RepliGo Reader の二つ。
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試したところ、RepliGo Reader の方が早くて軽快だった。使い勝手は BeamReader の方が良かったりするのが悩ましいところなのだけれども。
RepliGo Reader が 2月末まで 1.99ドル(通常は7.99ドル)というサービスをやっていたので、この機に購入。
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PDFファイルの転送はDropboxからのダウンロードでも別に問題ないけれども、EStrongs File Explorer を使うとSAMBAファイル共有にアクセスできるのでWindowsやNASにアクセスしてファイルを持ってくることができるよ。こちらは無料アプリ。

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で、300dpi画像オンリーのPDFを RepliGo Reader で閲覧しているところ。
文字も読めるじゃんと思っているならば、ちと甘い。
小説の類は1行ごとに上下スクロールしていたのでは画面をがっくんがっくん動かさないといけないので読むのに疲れてしまうのだな。なので、文章はできるだけ1ページ全部を表示して一目で閲覧できるようでないと快適には読めない。
そういった場合、モバイル端末の何が障害になるかというと解像度なのだ。次いで画面の小ささ。
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画面に1ページを全部含めると、文庫本ではこんな感じになる。
文字がかなりつぶれてきついのだけれども、まだなんとか判別できて読めるレベル。読めるのならば、このフォーマットにてページ単位で読んでいくのが一番読みやすくて早い。

ちょっと私もよりベターなスキャン手順を模索していて「はがない」はグレースケールでとってみた。それ故に見にくいところもあるので、比較で白黒2値でスキャンした「でこつん 3巻」も提示しておく。
「でこつん」はかわいい表紙とエロっちい口絵で内容がさっぱりわからない物語ですが、退魔師として学業に励む妹をお兄ちゃんが見守る物語です。読んでいてなんとなくだまされた気分になるのはなんでだろう。と宣伝も挟んでおく。
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で、その1ページがぱっと見渡せる閲覧というのを条件に据えるとiPhoneは私の中で電子ブックにはなれないのですよ。でっかいKindle DXを買って喜んでいるのはそんな理由から。反面iPadはちょー期待してますよ、ていうか買う。
解像度のかわらないAndroidというかHT-03Aも同じく電子ブックビューアとしては期待してはいないところ。しかも、なんだか RepliGo Reader より iPhone 標準のPDFビューアの方がレンダリング綺麗っぽいし。
でもね、Android2.0以降というか1.6のXperia以降は 480x800pixel の画面が推奨されているようなのですな。現状の 320x480pixel はきつくても 480x800pixel なら、文庫の1ページをまかなえそうな気がする。
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てなわけで 480x800pixel だとどうなるかを合成でねつ造してみました。
これなら読める気がしませんこと?

おまけ。
スキャンしたデータがKindleで「案外読めるもんだね」という声が多いので、Kindleで表示しているところを700万画素程度の解像度で撮影してみた。これなら画の評価ができるかな?
というかKindle DX評価されるべき。だてにでかくて高くはない。
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最初はフラットベッドスキャナ(というか複合機)でKindleをスキャンするという間抜けなことをやったのだけれども、eInk面がスキャン面からちょっと離れてしまうのでぼけた画しか撮れなかった。



koruri Wiki

先日アナウンスした「@るりぺこ。」の技術的情報を記録しておくWikiを作っておきました。

https://www.fumi2kick.com/koruri/

まだ全部のページを書き切れていませんが、まあ追々。
Wikiは永遠の工事中という話もある。



指のかわりになるもの

WiredVisionの記事に「寒い日のiPhoneの友」は魚肉ソーセージなるものがあった。
iPhone等の静電タッチパネルは指先で操作できるのはいいけれども、手袋越しでは操作ができないため若干の残念さを伴う。ところがお隣韓国では誰が見つけたのかケーシングの魚肉ソーセージで操作できることがわかり静かなブームなのだという。
というか、どれだけ魚肉ソーセージの売り上げ少なかったんだ。

なるほどー、ある程度の間接静電容量があればOKだもんね。
早速試してみるかと、冷蔵庫のストックをあさってみることにした。

■ ニッスイ NOWハンバーガー
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細い魚肉ソーセージの買い置きが無かったので重量級のNOWハンバーガーにご登場願う。
まあ、魚肉ソーセージであることにはかわらんのでいいでしょ。
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おお、まじで操作できるよ。太くて制御が難しい以外は安定した書き心地。
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@るりぺこ。

概要: Twitterでbotつくってみた
http://twitter.com/ruripeco

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昔からランダム作文ゲームの類は大好きだった。誰が、どこで、どのように、何をした、の文節が書かれたカードをシャッフルして適当に拾って読むと可笑しい感じのあれである。「坊主が・野原で・鯖を・蒸す」

そういった文章生成っぽいものをふいに考え始めた。
人工無脳とか文章ジェネレーターの類を研究するにはどうしたもんだべ、人工無脳のソースでも読むか?と考えを巡らせてみたところ、やっぱりデータの収集が一番最初でしょという事になった。
今はWEBのおかげでいくらでも文章と出会える様になったのでこういうとき便利なものである。さて何をクロールして文章や単語を集めようか、WEBページかBlogかRSSか。色々考えてみたら、今回の目的にはTwitterのTLを収集して回るのが一番なんじゃないかという結論に達した。公開されているものだし、文章のみだし、長くても140文字だし、生きた今の文字が飛び交っているしで。
てなわけでTLを収集するスクリプトを作ってここ1ヶ月ほど回していた次第。
50万センテンスに35万ワードくらい貯まってきた。このデータが使えるか使えないか、どう利用するかはひとまず置いておいて、これくらい貯まると文字データの塊として扱うことができるようになるものだ。そこで、そろそろ解析&アウトプット側もなんとかしようかと軽くランダム作文レベルのものをさえずるbotを作ってみたというのが「るりぺこ。」
今は純粋なランダム出力なので使えない娘だけれども、まあ長い目で見てやってくだされ。

人工無脳はあこがれるけれども、目指しているところは人工無脳の様でちょいと違うかも。どっちかというと文章ジェネレータというか、コメンテーターとかそんな方面。

内部プロジェクト名は「koruri(小瑠璃)」だったんだけれども、Twitterにはすでに「こるり!(@koluri)」という人工無脳さんがおられるので「るりぺこ。」になった。koruriはバックグラウンドでデータの収集解析をするプロジェクトで、そのデータを使ってさえずるペルソナジェネレーターがるりぺこ。といった風に分かれる事となった次第。まあ、るりぺこ。は機能次第で代替わりするかもしらんからこれでよかったのかも。
botスクリプトは大したものじゃないんだけれども、そっちのほうに興味がある人もいるだろうからそのうちkoruriプロジェクトの解説やコードを提供する予定。汎用性はないので参考用に。


By rerofumi in Programing,network   .::. (Add your comment)

明日から沢庵で白米を食べる日々が始まるお

それはそれでかまわないんじゃね?
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実は俺、ムギ派なんだ。むぎゅううううう
てなわけでたくあんGet! まあ、たくあんはキュウリの浅漬けと並んで好きなお漬け物なので全然問題なし。

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つか、まあ、普通にスーパーで買えるたくあんと同じですが。なので普通においしい。ぽりぽり。
信頼の東海漬物株式会社。
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たくさんあるので半月切りでなく、乱切りにしてぼりぼり食べるのもありだよね。
なんのかんので食べまくり。

おまけ。
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すのこタン。クッキー



次のダウンサイジングは大きな変革となるか

2010年の年始にあたり、当Blogの過去記事を見返してみたりしていた。
その中で、2005年1月に『ソフトウェアと大量消費の時代』という記事を書いているのを見つけた。これは「00年代後半はこうなる!」といった予測記事で、実際その様になったのかを比較しながら読み返すとなかなかに楽しい。記事中ではソフトウェアと書いているけれども、これはコンピュータープログラムのことだけではなくてコンテンツや情報といったデータもひっくるめての表現ですな。
じゃあ2010年から5年はどのようなコンピューティングワールドになるのかといったことを考えてみることにした。また5年後に読んで笑えるように。

90年代はパーソナルコンピューティングの時代で、00年代はネットワークコンピューティングの時代だったのではないかと思う。インターネットが発展しネットワーク上で様々なものが提供されるようになって、私たちの生活は驚いても良いくらい変化した。冷静に振り返ると「さすが21世紀」と言えるようなことが多々あったりもする。
じゃあ10年代は変化するのかと聞かれたら、やっぱり劇的な変化が起こるような気がしている。ただ、その際個人におけるコンピューティングというものが大きく変化して何か別なものになりうるくらいの所にいるんじゃないかというのが今のところの私の見解である。
そのパラダイムシフトといっても良いくらい大きな変化がコンピューティングに訪れたとして、それが良いことか悪いことかはわからない。エンジニアとしてその変革にがんばってついて行くか、別物でおもしろくないからと割り切って旧来のコンピューティングで楽しんでいくのか、見極めをしなくてはいけない時が近づいている。
これからのコンピューティングに何が起こるのかというと「ダウンサイジングの波」ではないかと考えている。
「ダウンサイジング」というとこれまでもあった事だし耳慣れた、あるいは使い古された言葉だと思われるかもしれない。だが過去のダウンサイジングでどれだけコンピューティングが変化したかを振り返ると、次の波に対しても身を固くして構えざるをえないのではないだろうか。

平たくいうと「PCが主役の時代は終わりPD(ポータブルデバイス)の時代になる」といったところ。

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印税70%の世界、ほか

もちょっと頭の中で固めることができてから書こうかと思っていたのだけれども、電子出版について今あれこれと語るのが熱いみたいなので時期を逃さぬようメモレベルで書いておく。

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2010年1月21日に Amazon が Kindle Digital Text Platform の印税を70%まで引き上げるとの発表を行った(cnetの記事)。つまり Amazon が販売店として手数料30%をいただいて、あとは著者(掲載者)の取り分になりますよ、というお話。
この「印税70%」という数字が衝撃的だったらしく、各所で電子書籍と日本の有り様について語られ始めている。
問題はその70%という数字がどれくらい衝撃的なのかなのだけれども、私は何の感慨もなく聞いていた。なんでか。その世界は既に存在しているからである。
なにかというと、同人誌のダウンロード販売代行のこと。DLSiteとらのあなダウンロードストアメロンブックス.comやその他数十ある同人コンテンツのオンライン販売店。
これら同人コンテンツダウンロード販売サイトでの相場は手数料30%~40%が相場であり、その数字でかれこれ10年は運営されている。
当然ではあるが、紙の本を手にした方が嬉しいし、やはりイベント会場で作家から直に買えればもっとうれしい。けれども、なかなか手にする機会に会えない場合ダウンロード販売は強力な味方となりうる。それに、作家側から見ても印刷して紙の本をつくのには結構なお金がかかる。実際に本を売っても差額での利益は少ないものだったりもする。けど、ダウンロード販売なら手数料以外はほとんどかからないので率は良いし在庫切れもない。
なので、この同人コンテンツダウンロード販売は次世代オンライン商法のテストモデルとなりうるとして長らく注目し、利用してきた。(単に好きなだけだろというツッコミは置いておく)
もちろん、同人コンテンツの世界では作者が編集、装丁、デザインまですべてひとりで行うことが条件である。逆にそれができるのならば、印税70%の世界は既に存在しているのである。
また、逆に編集やデザインを他に委譲するこれまでの出版形態も残るだろうし、残ってもらわないとデザインワークができない人は困ることになるだろうね。DTPワークをすべて作者が行うことで、電子書籍の多くがへっぽこな装丁になってしまうという指摘はある意味正しいと思う。

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漫画雑誌は連載という形式で掲載し、ある程度まとまったら単行本を出すというモデルを続けてきた。
それにより雑誌掲載時は安めの原稿料しかもらえないけれども、単行本がでるとまとまったお金が入ってくることで作家はなんとかやっていけるとかいう微妙なモデルを作り出している。
それを逆手にとってというか、雑誌を持たないモデルも確立し始めてきた。つまり、無料のWEBコミックとして連載し人気があった漫画は単行本をだしそちらでしっかり儲けるというビジネスである。
FlexComixWEBコミックハイガンガンONLINEなどがそれらにあたる。
ガンガンONLINEはガンガンノベルズというラノベレーベルのカタパルトにもなっているから、もう少しいろいろなものを巻き込んでいる感があるかな。
私もWEBコミックハイで連載している「つぐもも」とか大好きで読んでいるんだけれども、単行本でたらやっぱり買っちゃうしね。この「つぐもも」の作者である浜田よしかづ氏は自分の執筆しているところ、つまり仕事風景をスティッカムでライブ配信していることでも話題になっている。
また、TVアニメという大きな広告をぶちあげて単行本の売上を伸ばしそこで稼ぐといったモデルもあるようだ。そのものじゃなくて、もう一つ大きな枠で全体的に稼ぐというか、これまでとはちがったマネーフローで稼ぐといった感じになりつつあるのかもしれない。

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同人誌即売会というと、昔はサークルのところに漫画出版者が名刺を持って訪れて周り新規の契約作家を探し回っていたという。でもここ最近は出版社各位そんな余裕はなくなり、編集もフリーの漫画編集会社が代理で受け持つことが多くなったとかでさっぱり数が減っていたとか。
その代わり昨年末名刺を持って絨毯爆撃をかましてたのが、携帯電話向け漫画配信を行っている出版社だったそうな。
携帯電話向け漫画配信というと大多数が女性向けのアダルトな方面だったのだけれども、ソッチ系が飽和かつ縮小を始めたのか一斉に「男性向け創作のブランドを新規に立ち上げそちらにも力を入れていきます」と言い始めたとか。
どうにも景気のよい話ではなく、原稿料がどんどん値下げされており1ページ3000円というのも本当の話らしい。既にある同人原稿を流すだけならともかく、そのために新規で書いていたのでは生活ができないレベル。おまけに、会社都合で締めは半年毎の年2回支払いで、大量に売れた時のインセンティブは数十万ダウンロード以上とかいう話も聞く。
まあすべての出版社がそうというわけでもなく、逆に出版社によっててんでバラバラというから携帯電話というメディアにおける相場というものが確立しないうちに進行していったのだろう。
ぜーんぶ伝聞なので間違った情報もあるかもしれないけれども、一応携帯電話サイトにてエロ漫画を今売っている友人から聞いたというか質問して裏をとった範囲。

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その昔、MP3を利用しているだけで泥棒扱いされた時代があった。だいたい1997~1999年ごろ。
MP3はファイルサイズが小さく、ダウンロード可能なサイズ故不正アップロードやダウンロードに用いられたのである。なので、MP3で音楽を聞いている人=違法コピー利用者というレッテル張りがされていたのだな。ちゃんとCDを買って自分の所有物を私的利用のためにMP3に変換していても、そしてそれを配布せず厳重に手元で管理していても泥棒と同等に扱われていたのである。今でいうとiTunesでCDをリッピングしただけで犯罪者予備軍とされる感じ。
確かそんな頃に書いた記事があったなあと掘り返してみたら、1999年6月の記事であった。

今は、まだ混沌としていても音楽のネットワーク配信や MP3 といったフォーマットは確実に定着していくと思う。 (キリッ

などとカッコつけてるなー、当時の自分。
MP3はともかくとして、この時に本をスキャンして上げるのはなんで問題にならないんだろうということを疑問として書いている。きっと当時は問題にしていなかったのではなくて、問題だと認識すらできていなかったのだろうな。
音楽の方は先に問題視することができて、DRM化、DRMの敗北、オンラインショップ化とこの10年で歩んでくる事ができたのだと思う。それもこれも 2001年にiPodとiTunesが出てきて、2003年にiTunes Music Store が始まったからであろう。これらが成功しこれまでを反省することでようやく芽吹くことができた。
じゃあ電子書籍の方は?DRM化とDRMの敗北は既に味わっているか現在進行中なところで、携帯電話というゆりかごの中もそろそろ終焉だ。ちょいとスタートは遅かったけれどもようやく始まりだすのかもしれないね。



立体出力サービスふたたび

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3Dプリンターを試したいという好奇心で前回立体出力サービスを利用したものの、運送中に破損するという憂き目にあい若干の残念さを伴う結果になってしまった。
その結果をアイジェットさんに報告したところ「申し訳なかった、梱包を見直して再出力したものをお届けしたい」との申し出を受ける。えーべつにいーよー、とも思ったけれどもここで検討を重ねれば今後利用されるお客様が同様の破損被害に出会わなくなるよねということでご好意を受け再出力してもらうことにした次第。

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その再出力版が届いたよー、ということでドキドキの開封。
写真のような感じで梱包材が詰められているので、アイジェットさんを利用する際はご参考に。

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今回のキモは出力品を保護枠でくるんで固定する形での梱包。前回はフィギュアの自重によるたわみで折損してしまったので、それが起こらないための工夫。
面白いのが、この保護枠が3Dプリンターによる立体出力で作られていること。もちろん、元のモデルデータを利用してフィギュアの形にそった型になっている。
つまり彼らは問題を克服するために、自分たちが提供しているサービスを駆使する形で解決したのである。すばらしい。
この保護枠出力の手間と経費がどれくらいかかるかは見当つかないけれども、作戦としては有効だ。確かに一点物を作る機械だからそれを使うというのは理にかなっている気はする。

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事の発端が「3Dプリンターを試してみたい」というものだから、むしろこの保護枠の方が興味津々だったりする。
いや、面白いわ。楽しませてもらいました。




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