粘土をこねることの大切さ
「創るセンス 工作の思考」 森博嗣
(Amazonだとこのへん)
森博嗣の工作本という事で読んでみた。
いや、工作本なのかな?啓蒙本?エッセイ?なんだか説明が難しい本。
もの作りが好きだと言える人は迷わず読んで欲しい一冊。そうでない人は下手すると書いてあることは理解できるけれども納得できないかもしんない。
この本の難しい所は、読んで何かが得られるわけではないあたり。なんせ内容を要約すると
「技術のセンスは言葉で説明できないから自分で作って理解して!」
という投げっぱなしで終わっているのだから。もっとも、本を読むことで教えてもらおうという種類の人間はあまり相手をしていなくて、そんな暇あったら手を動かしてなんか作れと諭してもいる。
人間は古来より物を創ってきた。その、もの作りという活動を「工学」により経験の記述とシェアをし、「組織化」で作業分担化して誰でも行えるようにすることで大量生産化を果たしてきた。しかして結局の所、技術は末端の技術者一人一人に宿るものであり個人が身につけるしかない。そういった技術は「センス」であり、自身の経験と勘という形で体得するしかないものである。
だから手を動かし、物を壊し、物を創り、失敗をして工作を積み重ねて行きましょう、というそういったお話。
それだけじゃわかりにくいから「若者の技術離れ」とか「技術力はトラブル発生時に発揮される」とか所々わかりやすいお話でかみ砕いて伝えてくれている。その、たとえ話がわかりやすすぎるのでそこに目を奪われがちだけれども、本当に言いたいことはもうちょっと深いところにあるように思える。
技術屋として普段考えている事をときたまこのBlogに書いていたりするけれども、本当に考えている所とかこれからどうあるべきかとかは全部この本に書かれちゃった感じ。なので、個人的にはおすすめの一冊。
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