発達凸凹と向き合う
発達障害のある子の「宿題」をどうサポート? 苦手なことは省力化、本来の「学び」につなげて
2024.11.21
今年5月、EduA読者の皆様に「発達凸凹のモヤモヤ」について体験談や悩み事を募集したところ「学校の宿題」についての意見が複数寄せられました。中でも「宿題を先生の指示通り、みんなと同じようにやる」ためのサポートに苦慮している保護者の声が多くありました。発達障害のある子どもたちにとって宿題とは? 埼玉県公立中学校の通級指導教室教諭で、「[中学校]通級指導教室担当の仕事スキル」(明治図書)の著者である三富貴子先生に聞きました。
(みとみ・たかこ)特別支援教育士・公認心理師。2007年度から埼玉県公立中学校で初めて設置された通級指導教室の担当者となる。通級開設以来、「自分らしい学び方を追求する通級」を目指し、学ぶことを諦めさせない指導を続けている。
義務教育期間の「宿題」とは?
――教員である三富先生に、まずお聞きしたいのは「宿題」とは何なのだろう?ということです。
宿題は「毒」にもなりえます。特に発達障害の子どもにとっては、言葉が強いですが毒になっています。
宿題の本来の目的は、「家庭での学習習慣を身につける」「授業では不十分な学習を補う」等とされています。
「家庭学習」なら、子どもの興味や関心を深める時間に使う方がいい。授業への理解を深めるのも、個人個人違ったやり方でもいいはずです。しかし実際は、内容、方法、分量、ノートの種類や使い方まで、細かく指定されている宿題が多いのが現状です。しかも「書く」以外に提出する方法もない。
「やらなくてはいけない」という強制力や圧力ばかり強くて、本来の目的であるそれぞれの子どもの「学び」につながっているのか、保護者も先生も見失いがちです。手段と目的が逆転して、「宿題をやること」が目的になってしまっています。
中学生は、「一定期間にワークを〇ページから〇ページまでやる」という宿題になりますが、発達障害の子どもたちは、ギリギリだったり間に合わなかったりする子も多い。「それなら答えを写してきて」と先生から言われたという話も聞きます。それは学習として意味があるのかを考えると、なんとも言えない気持ちになります。
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