注目校に聞く
大宮開成(上)松﨑校長に聞く 中高一貫部開設から20年 グローバル教育は英語重視から国際理解へ
2024.11.28
大宮開成中学・高校(埼玉県さいたま市)は2005年に中高一貫部を開設以来、学力伸長と確かな進学実績で支持を得てきました。創立者の孫に当たる松﨑慶喜校長のもと、来年の開設20周年を機に改革が進んでいます。そのプラン、狙いを松﨑校長に聞きました。
(まつざき・よしのぶ)1972年埼玉県大宮市(現さいたま市)出身、県立大宮高校、明治大学文学部史学地理学科考古学専攻を卒業。96年白岡町役場(現白岡市役所)に入庁し埋蔵文化財保護を担当、先輩職員に学問以上の人・モノ・金のマネジメントを叩き込まれる。2011年大宮開成中学・高校入職、社会科教員、中高一貫部教頭を経て22年から現職。趣味は剣道(錬士六段)、ロードバイク、鉄道旅行。妻と三女の5人家族。
「NEXT20」の三本柱とは
――まもなく2025年埼玉入試の本番です。ここ数年、どのような変化がありましたか。
本校は、偏差値的に受験生のボリューム層に合致しており、受験者数も入学者数も増えてきました。受験塾の偏差値も上向きです。それとともに、都内の進学校と言われるような、ネームバリューのある私学と比較されるようになり、受験者増が、必ずしも歩留まり(合格者の入学率)につながらない状況が生まれています。そこが悩みどころです。大宮開成の魅力は何か、大宮開成は他校と何が違うか。これまで以上に、そこを打ち出していかないといけないと思っています。
――具体的には、どのようなことを考えていますか。
「NEXT20」というプロジェクトを進めています。2005年に中高一貫部を開設、来春20周年を迎えるので、今まで蓄積した教育のノウハウを生かして、次の20年、どこに向かうのか、何に取り組むのかを形にしたものです。
ベースの上に作る新しい教育を含めて、トップダウンではなく、担任から学年主任までの現場の声で練り上げました。授業、行事、校外行事も含めて、こういうことをやっていくといいね、これは教員も生徒も負担だったから発展解消しよう、というように、取捨選択して整理しました。
――具体的に聞かせてください。
「NEXT20」には、三本柱があります。
その一つが「類型」です。5年前に特別進学クラスと英数特科クラスを英数特科コースに一本化し、習熟度別のTクラス、Sクラスという体制でやってきましたが、来年度入学者から中3時に、最上位のTXクラスを設けます。大学受験で東京大学をはじめ旧帝大や医学部の現役合格を目指すクラスです。英語や数学の時間を多くするということではなく、好奇心や論理的な思考力を刺激するカリキュラムにします。例えば、現在は都内の病院や大学の研究室の見学に生徒有志をスポットで連れて行っていますが、TXクラスでは年間スケジュールに組み込んで、学校行事という位置付けにします。医療現場や研究室と連携した見学や講義をとおして、最先端科学に触れてもらおうと考えており、提携先のめどもつきました。