どうなる中学・高校入試
25年度の中学入試 時事ニュース、新紙幣発行など五つの重要キーワード 周年問題では「戦後80年」に注意! 時事問題の専門家・早川明夫さんがズバリ予想
2024.12.03
2025年度の中学入試で時事ニュースではどんな問題が出されるでしょうか。長年、中学入試での時事問題を分析している文教大地域連携センター講師の早川明夫さんにズバリ予想してもらい、特に重要なキーワードを五つ挙げてもらいました。
(はやかわ・あきお)大学の付属中高で教頭を務めた後、大学で社会科の教員養成にあたった。月刊誌「ジュニアエラ」の監修を務めている。著書に「地図っておもしろい」(国土社)など多数。)
ニュースをどう展開して問題を作成しているかを考えよう
――最近の時事問題の傾向を教えてください。
日本や世界で起こった出来事でも、特に大きな問題は注目しておいた方がいいですね。例えば日本で言いますと能登半島地震が1月1日にありました。これのインパクトは大きかったと思います。世界ではアメリカの大統領選がありましたが、入試問題は入試の前年の夏休みに作ります。大統領選のあった11月はすでに問題ができていますので、結果まで出されるとするならば、複数の入試日を設けている学校の2回目、3回目の試験に出題される可能性があります。
近年は細かな問題が出されています。2024年度入試で首都圏を中心とした国立・私立中学100校の入試問題を調べたところ、1校だけが取り上げた出来事が40近くありました。例えば「半導体問題と台湾企業の熊本進出」とか、半導体そのものは重要ですけどね。このように細かなところまで勉強すると時間を取ってしまうので、大きなニュースの時事問題をしっかり学習していくことが先決だと思いますが、傾向としては国内外の細かな出来事も取り上げられるようになってきたと言えます。
――重大ニュースとして2024年度入試では、ウクライナ戦争は多くの学校で取り上げていますね。
私が調べたところ10校が取り上げていました。ただ、ウクライナ戦争は先が見えない状況ですので、2025年度入試では今年ほどは出ないのではないかと予想しています。9校が出題した「インド、世界一の人口大国」も今年度ほどは出ないでしょう。
――統一地方選に関する問題も多かったようですが。
2023年は統一地方選の年でしたから、2024年入試では7校が取り上げていました。今年は衆議院選がありました。来年は参議院選があります。ですから選挙関係は例年より多くの学校で取り上げるのではないかと思います。
――2024年度入試で一番多かったのは「広島サミット」だったんですね。
はい。23校で取り上げられていました。今年のサミットはイタリアでありましたが、あまり取り上げられないのではないでしょうか。時事問題の場合、入試の前年のニュース、2025年度入試の場合、2024年の重大なニュースに注目することに尽きると思います。
――入試では、大きな出来事を題材に展開して複数の問題を作っていますよね。また、社会だけでなく理科で時事問題が問われるケースもあります。
そう。展開が大事です。能登半島地震で言いますと、能登半島の位置を地図で押さえておく。能登半島のある石川県や輪島市についても調べておきましょう。歴史の観点で見ると、過去の大きな地震、例えば関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災などに展開して問われることもあります。能登半島地震では4メートルくらい隆起した場所もありました。隆起で港が使えず、海からの支援の妨げになってしまいました。こうした際立った特徴も押さえておきましょう。理科では、震度とマグニチュードの違い、どのようなタイプの地震であったか、地震の起こる仕組み。P波とS波の相違など理科で勉強する地震の基礎的な知識の見直しをしてくことが大事です。社会科的な視点と理科的な視点の両方を持つことが大切です。
――地震だと理科の時事問題はイメージしやすいのですが、他にどういうものがありますか?
理科の時事問題に関しては4校に1校程度、出題されています。出される分野はほぼ決まっています。一つが地震、火山、台風など自然災害。二つ目はロケットの打ち上げとか、月探査機のスリムなど宇宙天体関係。今年は太陽のフレアがクローズアップされ、普段は見られないオーロラが北海道などでも見られたというニュースがありました。三つ目は生物関係です。例えば特定外来生物ですね。今年は奄美大島でマングースの根絶宣言がありました。2023年からアカミミガメとアメリカザリガニが条件付特定外来生物に指定されたのですが、2024年度入試で9校出題されました。このように「自然災害」「宇宙天体関係」「生物関係」にほぼ限定されます。
社会と理科の両方でよく取り上げられたのが「線状降水帯」「ヒートアイランド現象」「ハザードマップ」でした。
2024年度入試では前年が関東大震災100年だったことから地震関係が多く出題され、例年よく出される台風関係は少なくなりました。今年は台風が話題となり、アメリカではハリケーンがありましたので、2025年度入試では台風関係も注意した方がいいでしょう。
天体については「土星食」と「海王星食」です。2024年12月には、太陽系で木星に次ぐ大きさの土星が月に隠される「土星食」と、海王星が隠される「海王星食」を見ることができます。このような現象は「星食」と呼ばれ、その仕組みは日食と同じです。
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