■ALTキーワード:ホワイトゴールド
記事のポイント
- EV用電池の原料リチウムには、「ホワイトゴールド」という異名がある
- リチウムの色と需要期待からこの名が付けられたという
- リチウムの需要は高まっているが、安定供給には課題も
EV(電気自動車)用電池の原料でもあるリチウムには、「ホワイトゴールド」という異名がある。宝飾品用の合金や白金(プラチナ)のことではない。リチウムの色と需要期待からこの異名があるのだ。(新語ウォッチャー=もり ひろし)
近年リチウムの需要は高まる一方だ。チリ銅委員会の予測では2030年の世界需要が約179万トン(炭酸リチウム換算)に及ぶ。
これは2019年の5.6倍で、その79%をEV向けが占める(2019年は32%)。この需要期待を指してホワイトゴールドラッシュと称するメディアもあった。
もっとも2022年から2023年初頭にかけては、リチウム価格の高騰と暴落という出来事もあった。
それゆえ直近の需給予測は難しいが、長期的な需要圧力はなお高いと見られる。
そんなリチウムの安定供給には2つの懸念材料もある。ひとつは精製国の偏在。
精製済みリチウムの輸出はチリ・中国で8割弱のシェアを占めており、経済安全保障の観点でその分散化が課題となる。
もうひとつは環境破壊の問題だ。リチウムの生産・精製には大量の水を必要とするほか、汚染物質を排出する懸念もある。増産にあたってはその対策も課題となる。