コカ・コーラ BJIの障がい選手「仕事と競技」両立のワケ

記事のポイント


  1. コカ・コーラ ボトラーズジャパンは障がいを持つアスリートを社員雇用する
  2. 聴覚障がいを持つ髙居千紘選手は働きながらデフリンピック出場を目指す
  3. 仕事・競技両面からの評価制度や長期的なキャリアサポートが両立を可能に

コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、障がいを持つアスリートを社員として雇用している。その一人、髙居千紘選手は働きながら陸上選手として、聴覚障がい者の国際大会である2025 年東京デフリンピック出場をめざす。24年 4 月にカナダ・バンクーバーで行われる、ダイバーシティがテーマのファッションショーにも参加する。「仕事と競技」を両立させる評価制度やキャリアサポートについて、荷堂真紀・執行役員と髙居選手に聞く。(オルタナ副編集長・長濱慎・撮影=川畑嘉文)

髙居千紘選手(左)と荷堂真紀・執行役員

荷堂真紀(かどう・まき)
コカ・コーラ ボトラーズジャパン執行役員・フードサービスカンパニープレジデント・最高経営戦略責任者 兼 経営戦略本部長。1992年日本電気(NEC)入社。その後マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムなどを経て2014年コカ・コーライーストジャパン入社。コカ・コーラビジネスサービス社長などを経て、17年コカ・コーラボトラーズジャパン執行役員。2024年1月から現職。

髙居千紘(たかい・かずひろ)
1997年生まれ。先天性感音性難聴。高校時代に陸上競技を始め、全国聾学校陸上競技大会の走り高跳び3連覇。「日本財団パラアスリート奨学生」として日本体育大学へ進学。2020年コカ・コーラボトラーズジャパン入社。業務と両立しながら走り高跳びと十種競技のデフアスリートとして活動。

デフリンピックとは
音によるコミュニケーションが難しい聴覚障がい選手の国際大会。オリンピックやパラリンピック同様に、夏季・冬季大会をおおむね4 年ごとに開催する。夏季大会は1924年のパリに始まり、2025年の第25回東京大会は初の日本開催となる。

■DE&Iなしに飲料ビジネスは成り立たない

――コカ・コーラ ボトラーズジャパンのDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に対する、基本的な考えを教えてください。

荷堂:当社は、DE&Iを経営戦略の中核に位置付けています。飲料ビジネスの裾野は広く、さまざまなバックグラウンドを持った顧客がいます。こうした顧客の多種多様なニーズに応える製品やサービスを提供するには、私たち自身が多種多様である必要があります。

お子さまがいたり、介護をしていたり、闘病中であったり、障がいを持っていたり、あらゆる立場にある顧客のニーズを幅広く理解できる多様性が当社になければ、ビジネスが成り立たないのです。

当社は国内各地の17ボトラーを経営統合して誕生した経緯があり、中途採用も積極的に進めてきました。こうしてさまざまなバックグラウンドを持った社員が結束するためにも、DE&Iに取り組むのは必然的な流れでした。

ビジネスとは、壮大な目的に向かって社員が力を合わせることです。これは「皆が一つの『的(まと)』に向かって矢を射る」と言い換えられます。そして同じ「的」を射るにも、狙い方は一人ひとり異なります。

背の低い方には台が、車椅子の方には補助が、赤ん坊を抱いている方にはベビーシッターが必要ですし、皆が「的」に当てられるよう意見や提案を出しやすい環境も大切です。そのためには、D(ダイバーシティ)、E(エクイティ)、I(インクルージョン)の3つ全てを重視しなければなりません。

■セカンドキャリア支援のため社員雇用
■障がい者雇用が進めばアンコンシャスバイアス解消も
■デフリンピックとファッションショーに出る理由

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S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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キーワード: #ビジネスと人権

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