記事のポイント
- サーキュラ―エコノミーの「国際規格化」へ向けた動きが起きている
- フランス主導で専門委員会を立ち上げ、日本を含む76カ国が参加
- サーキュラ―エコノミーの定義や評価、測定方法などを決める予定だ
循環型経済(サーキュラーエコノミー、CE)という概念がある。資源の投入・廃棄を最小限に抑えつつ、「製造」「消費・利用」「長寿命化・再利用・再資源化」という閉じたループを繰り返す経済を指す。これは製品の設計段階から3R(減量・再利用・再資源化)を意識した仕組みともいえる。(新語ウォッチャー=もり ひろし)
しかしCEの概念には課題も多い。第一に国際的に合意された定義がないことだ。第二に測定・評価の手法が未成熟である点だ(例:資源再投入の割合を目標にすると長寿命化の誘引を損なうなど)。
そして第三に、そもそもCEが持続可能な開発に資するかどうかについての意見が分かれていることだ。
そんな中、国際標準化機構(ISO)は2018年に、フランス主導でCEに関する専門委員会「ISO/TC323」を設立した。日本を含む76カ国(執筆時現在)が議決権を持つメンバーとして参加する。
同会が目標とするのはCEの国際規格化だ。執筆時現在、ISO 59004(用語などの定義)、同59010(組織向けガイドライン)、同59020(測定・評価)が国際規格原案の登録段階にある(進捗の40%)。
ISOでは2024年の発行を目指すとしている。