mamekoが出会った 世界の食べもの

世界の料理やお菓子など、おいしいものを綴っていきます
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ボルシュ・ク・ファソーレ@市ヶ谷

「ボルシュ(ボルシゥ)」は、ルーマニアやモルドバで食されているスープ。

ウクライナ発祥のボルシチが、旧ソ連時代に伝わった料理だと言われています。

ボルシチは「ビーツを使った赤いスープ」というイメージが強いですが、
ボルシュはビーツを使わないものも多く、単に「酸味のあるスープ」を指すそうです。

酸味の素は、料理と同名の「ボルシュ」と呼ばれる調味料。
小麦のふすま(麦の糠)と水を混ぜて発酵させたもので、これをスープに加えます。

私も、スープに酸味を足すためにお酢を入れることがありますが、量はほんの少し。
ところがボルシュスープには、水の量に対して2割ものボルシュ調味料を加えるのだとか。

お酢だったら酸っぱすぎて口にできなそう!
ボルシュ調味料は、穏やかな酸味なのでしょうね。

国際協力機構・JICA(ジャイカ)の施設内にある「J's Cafe」で、白インゲン豆入りの「ボルシュ・ク・ファソーレ」をいただきました。
モルドバ大使館のお墨付きメニューです。

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トマトベースのスープの中に、白インゲン豆、豚肉、じゃがいも、キャベツ、玉ねぎ。
サワークリームとディルがトッピングされています。

具材の味が生きた、シンプルでやさしい味わい。
スープそのものには、ほとんど酸味を感じません。
ボルシュ調味料は使ってないのかも?

サワークリームを溶かすと、一気に味変。
コクと酸味がプラスされ、美味しさが倍増しました。

J's Cafeには何度もうかがい、さまざまな国の「大使館お墨付きメニュー」をいただいていますが、主食がパンだったのは初めて。
素朴なライ麦パンが、ボルシュスープによく合いました。


ママリガ&トカナ@亀有

「ママリガ(ママリーガ)」は、トウモロコシの粉に水と塩を加えて粘りが出るまで煮た、お粥のようなもの。

ルーマニアやモルドバ、ウクライナ西部などでは、パンと並んで主食として親しまれています。

ヨーロッパでは、古代ローマ時代からキビや麦のお粥が食されていたそう。
新大陸を発見したコロンブスが持ち帰ったトウモロコシが、ヨーロッパで栽培されるようになると、トウモロコシ粉でお粥をつくるようになったと言われています。

モルドバではママリガを、「トカナ」と呼ばれる豚肉の煮込み料理や、チーズ、スメタナ(サワークリーム)などと一緒に食べるのが定番だとか。

亀有の「ノーロック」で、「ママリガ」と「トカナ」をいただきました。

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右奥の黄色いものがママリガ、
手前がトカナです。

「ママリガ=お粥→とろみのある液体」をイメージしていたのですが、予想外の姿。
カタチのある固体でした。

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トウモロコシ粉の粒感があり、クスクスをふやかしてから固めた感じ。
ずっしり重量感があり、目の詰まった蒸しパンのようでもあります。

トウモロコシとバターの風味はあるものの、ママリガ自体にはあまり味がないので、トカナと一緒にいただきます。

トカナは、角切りの豚肉と玉ねぎ、ニンニクなどを長時間煮込んだもの。
肉はほろっとやわらかく、玉ねぎの甘味とニンニクの香りが染み込んでいます。
ルーマニアの「トキトゥラ」と近しい感じ。

ずっと食べてみたかったママリガを味わえて、大満足でした!


チェブレク@亀有

「チェブレク(複数形チェブレキ)」は、小麦粉を練った生地でひき肉などのフィリングを包み、手のひらサイズに成形して揚げたもの。

ロシアをはじめモルドバやウクライナなど旧ソビエト連邦の構成国や、トルコなどで食されています。

フィリングは羊のひき肉が定番ですが、牛や豚、鶏を使うことも。
また、肉以外にも、チーズやきのこ、キャベツ、ジャガイモを入れたものなど、さまざまなタイプがあるそうです。

発祥については、モンゴル、ウズベキスタン、トルコなど諸説紛々ですが、
名称は、クリミア半島に起源をもつテュルク系民族の言語「クリミア・タタール語」に由来。
「チェブレク=生のパイ」という意味で、生のひき肉を包んで揚げることからこの名がついたと言われています。

亀有の「ノーロック」でいただきました。

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手のひらを上回る大きさ!!
巨大なエンパナーダ、または、カルツォーネを揚げたような見た目です。


中には、鶏肉、チーズ、青ネギが入っています。

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皮は薄めで、表面はパリッと、内側はサックリした歯ごたえ。
揚げているのに油っぽさは全くありません。

フィリングのチーズはクセがなくやさしい味。
とろけたチーズと、塩味の鶏肉がよく合います。

ロシアのピロシキにも似ていると思いました。





「コルトゥナシ(コルツナシ)」は、モルドバやルーマニアで食されている、水餃子のような料理。

小麦粉などを練った生地で、
チーズやマッシュポテト、ひき肉、
あるいは、
ジャムや果物のコンポートなど「甘いもの」を包んで茹で、
仕上げにスメタナ(サワークリーム)やバターをトッピングしたものです。

同様の料理は中東欧で多く見られ、

ポーランドでは「ピエロギ
スロバキアでは「プローギ」
ウクライナやロシアでは「ヴァレーニキ」

と呼ばれています。


亀有の「ノーロック」で、チーズ入りの水餃子「コルトゥナシ・ク・ブルンザ」をいただきました。

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見た目はまさに水餃子。
スメタナとディル、ブラックペッパーがトッピングされています。

こちらのお店は、皮もチーズも自家製とのこと。
少し厚めの皮の中に、白チーズが入っています。

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皮は表面がツルツルで、噛むとモッチモチ。
チーズはカッテージチーズに似たあっさり味。
ほどよい塩気で、ディルの風味が効いています。

コルトゥナシ同様、水餃子に例えられる「ペリメニ」との違いを調べたところ、

ペリメニの具は、肉や魚、ジャガイモなど「甘くないもの」に限られるのに対して、
コルトゥナシの具には甘いものもある。

とか

ペリメニは帽子型に包み、
コルトゥナシは半円や三角形に包む。

など諸説ありました。

またひとつ、世界に広がる餃子ファミリーと出会えて、うれしかったです。


シュバ@亀有

先週、ウクライナとともにEU加盟候補国に認められたモルドバは、バルカン半島北東部に位置する内陸国。

ルーマニアとウクライナに囲まれた、九州よりやや小さな国土に、京都府の人口と同じくらいの人々が暮らしています。

ルーマニアやオスマン帝国、ロシア帝国など周辺諸国からの占領と独立を繰り返し、1940年から1991年までは旧ソビエト連邦の構成国だったモルドバ。

全くなじみがありませんでしたが、
2000年代初頭にヒットした「恋のマイアヒ」を歌っていた音楽グループがモルドバ出身とのことで、これまではそれだけが唯一私と彼の国との接点でした(笑)。

豊かな自然と肥沃な土地に恵まれ、野菜や果物、穀物の生産や畜産が盛ん。
紀元前3000年頃からワインが造りが行われていたとされ、世界最古のワイン産地とも言われています。

モルドバの料理は、宗主国だったルーマニアやロシア、トルコと似た料理が多いよう。

ロシアで「毛皮のコートを着たニシン」という名で知られるサラダ「シュバ」は、モルドバでもポピュラーだそうです。

亀有の「ノーロック」でいただきました。

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ガラスの器に、ゆでてシュレッドしたジャガイモ、マヨネーズ、ニシンのマリネ、ビーツを重ね、上にもマヨネーズを絞った後、ニンジンとイタリアンパセリをトッピングしています。


これをお皿の上にひっくり返して

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よくよく混ぜます。

ジャガイモもニシンも、ビーツ色に染まりました。

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味の主役は、ジャガイモとマヨネーズ。
つまりポテトサラダですね。
マヨネーズはスメタナ(サワークリーム)をブレンドしているようで、クリーミーで濃厚な味わいです。

ビーツはよく火が通っており、水分が多くてやわらか。
ニシンは量が少なめですが、魚の風味は感じます。

ロシアを旅行した際、何度も食べたシュバ。
なつかしい気持ちになりました。