立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

『紫式部と清少納言が語る平安女子のくらし』

 

久しぶりに読書感想文の回です。

今回ご紹介するのは以下の本です。

創作である紫式部の『源氏物語』や、随筆である清少納言の『枕草子』の内容を、実際の平安時代の生活や文化などと照らし合わせ、類似点を見ていくような内容になっています。

面白かった点を簡単にまとめてみたので気になる方はぜひ読んでください。

 

乳母の存在の大きさ

現代では乳母に育てられたという人はほとんどいないと思います。

しかしながら平安時代の子育てにおいて「乳母」の存在は、貴族や上流階級・中流階級の人々にとっては当たり前の存在だったようです。

今年の大河ドラマ『光る君へ』でもそうでしたが、乳母という存在は、一人の人の人生の長きに渡って付き従う存在であり、決して赤子や幼い頃だけの存在ではなかったことが記載されていました。

 

美人の象徴である黒髪

これは現代でも言われていることでもありますね。

当時は髪色の黒さだけでなく、長さ、豊かさも美人の条件だったということですが、現代ではもっさりといわれるような髪の量でも、整っていれば美しいと言われていたとすると、なんだか不思議な気持ちになります。

今は真っ直ぐであることが美の条件のように考えられている節があると思います。

 

藤原行成の書の価値の高さ

彼が達筆だったことは有名ですが、当時は彼の達筆加減は本当に神様レベルにとらえられていたようです。

美しい字を習う際の手本にもされていたようです。

 

とにかく物見が大人気

物見というと何だか馴染みがないように思えるのですが、今でいう観覧・鑑賞のことです。

当時の物見といえば、賀茂祭か天皇の行幸などだったようで、一冊の本を通してそれらに関する記述が多かったです。

以前から、なぜそこまで物見が人気だったのかと不思議に思っていたのですが、女性が気軽に外出できない時代だからこそ、外出の理由になる物見は人気だったようです。

 

女性の幸せとは何か

この項目における記述は非常に興味深かったです。

私は、当時は結婚することが女の幸せと一般的に考えられていたと思っていたので、2択があったことが少し驚きでした。

その2択とは、

  • 宮仕えをしてキャリアウーマンになる
  • 結婚して安定した生活を得る

です。

現代と同じだったことに驚きました。

 

さいご

「平安女子のくらし」というタイトルの本だったので、主に日常が描かれている本なのかと思ったのですが、平安女子の人生についても知ることができる内容になっていました。

平安時代と現代とではもちろん異なる部分が多いかとは思いますが、今も昔も変わらない点もあります。

女性はいつの時代も、「子育て」「美」「教養」「娯楽」「キャリア」とさまざまなことに関わりながら、忙しい人生を送ってきたことを知ることができました。

 

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