個人の資産運用代行はルール違反です
2015/08/18 (Tue)
「ラップ口座」は個人が金融機関に資産運用を丸投げする仕組みになっていますが、昔は最低必要金額も高く完全に富裕層向けのサービスでした。ところが最近は小口資金でも「ラップ口座」の利用が可能になり、その認知度も一気に高まってきました。しかしもし個人が「ラップ口座」のように他人から金融取引の一任を受けてしまうと借名取引と呼ばれるルール違反行為になりますのでくれぐれもご注意ください。他人の資産運用を代行できるのは投資顧問業の免許を取得した専門業者だけなのですから。ちなみこの件については以前にも下記のエントリーでご紹介しております。仮名・借名取引(2014/08/16)
セゾン投信定期積立経過報告(2013/06/22)
上記エントリーにも書いたとおり借名取引は一任を受ける相手が例え親族(親・兄弟・配偶者など)であっても適用されますので、老婆心ながら知らず知らずの内にルール違反を犯してしまうリスクに十分にご注意されますようご忠告申し上げます。
それでは具体的にどのような事例が借名取引に該当するのでしょうか?架空の事例を挙げてご紹介しましょう。
事例1・投資の知識が乏しい妻に代わって夫が妻名義のNISA口座の投資判断を行っている。
事例2・海外旅行に出かける父親から「旅行中に持ち株が上がったら売ってくれ」と頼まれてその通り実行した。
事例3・資産運用が得意な息子に老後資金の運用を一任した。
これらはすべて借名取引に該当し、ルール違反になります。私たち個人投資家が運用できるのはあくまでも自分自身の資金のみであり、例え親族(親・兄弟・配偶者など)から資産運用を頼まれたとしても他人の資金を運用することはできません。また上記事例2のように、投資判断自体は父親が行ったとしても息子が父親名義の口座を使って株式の売却注文を出すことはルール違反になるのです。ご参考までに私が口座を開設しているSBI証券とセゾン投信のサイトから該当する記述を引用してご紹介しておきましょう。
仮名・借名取引と判断されるケース
【1】 架空の名義で口座を開設し、取引を行っている場合
【2】 他人の名義を利用して口座を開設し、取引を行っている場合
【3】 家族や友人・知人などから取引の全てを一任されているような場合(口座の名義人の方が投資判断を行っていない、あるいは名義人の資金ではない場合)
【4】 複数人が一つの口座を利用して取引を行っているような場合
※親権者登録をされている未成年口座に関しては、親権者が代行して取引を行うことが可能ですが、当社の審査において、未成年口座としての取引の適合性から逸脱した取引や他口座を併用した不公正売買への関与が疑われる取引についても仮名・借名取引と判断される可能性がございます。
※未成年口座において、満20歳になられた場合や、ご住所・ご連絡先および取引主体等の変更ございました場合には、速やかに変更手続きをお願いいたします。
「仮名・借名取引とは」より引用。
上記の注釈にもあるとおり未成年口座(来年から始まるジュニアNISAも含む)の運用指図は借名取引の例外となりますが、それでも不自然な取引(特定銘柄の短期売買を行うなど)があれば借名取引を疑われる可能性があるということですね。
質問
「仮名・借名取引」とはなんですか?
回答
仮名・借名取引とは架空の名義または他人の名義を借りて本人名義以外の名義で行う取引のことをいいます。 知人の口座や家族の口座を使用した取引なども該当します。
仮名・借名取引は法令諸規則により禁止されておりますので、当社でお取引いただく場合には「ご本人の資産、ご本人の判断、ご本人のパソコン操作またはご本人からのお電話」により行っていただく必要があります。
当社では、口座名義人以外の方が取引を行っている疑いがある場合には、電話によるお客様への確認の実施等、各種の調査を随時行っております。
調査の結果「当社がご本人のお取引ではないと判断した場合」にはお取引の停止、口座解約等の措置を取らせていただきますのでご了承ください。
「仮名・借名取引」とはなんですか?より引用。
上記事例2に挙げた「海外旅行に出かける父親から「旅行中に持ち株が上がったら売ってくれ」と頼まれてその通り実行した」などはありがちなパターンであり、正直「そんなに目くじらを立てなくても・・・」と思わないでもありませんがルール違反であることは間違いないのですから安易に公共の場で話したりブログやSNSに書き込むことは控えるべきだと私は考えます(ルール違反行為を助長する恐れがありますので)。(1年前のエントリーと同じ締め括りになりますが)資産運用はまず正しい知識を身に付け、ルールを守って実践するように心がけたいものですね。
(Sponsored Link)
- 関連記事
-
- SBIカードのボーナスポイントは実現しない? (2015/08/23)
- 今年のNISA投資 第一弾発動 (2015/08/21)
- 個人の資産運用代行はルール違反です (2015/08/18)
- リクルートカードプラス1ヵ月使用後の感想 (2015/08/10)
- さわかみファンド 最終損益報告 (2015/08/06)
今年のNISA投資 第一弾発動≪ | HOME | ≫ドリームインキュベータ
この記事へのコメント
ありがとう
恥ずかしながら、知りませんでした。
私自身は、祖母の運用を成年後見人で、運用も行う申請もしており、問題なかったのではありますが。
勉強になりました。こういう素晴らしい記事があり、目から鱗って感じです。
どうもありがとうございます^^
Posted at 21:34:40 2015/08/18 by 煙々
この記事へのコメント
煙々さん
コメントありがとうございます。
最近は実店舗の窓口で説明を受けなくても口座の開設ができてしまうので基本ルールを知らないまま運用を始めるケースが多いのかも知れませんね。今回の事例以外でも金融機関の販売担当者(証券外務員)やFP(ファイナンシャルプランナー)が個別の投資助言を禁じられていることなども案外知られていないように感じています。基本ルールを知らないままだと思わぬ不利益を被ることもありますので十分に注意したいものですね。
Posted at 23:49:57 2015/08/18 by おやじダンサー
コメントフォーム
この記事へのトラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
【重要:お詫びと追記】お父さん、その資産運用は三井住友信託銀行ではなく、息子の僕に一任してくれませんか【は法令違反にご注意】
(お父さん、僕の話を聞いてくれませんか。馬の耳に念仏ではありません。) 【2015/8/19追記】 個人が(親族を含めた)他人名義の金融関連の取引を代行することは法令違反である旨が他の投資ブログ記事にて紹介されておりました。 参照記事 おやじダンサーのひとりごと 個人の資産運用代行はルール違反です 公のブログで記事執筆する立場のWATANKOとしては、上記記事の内容に異はありません。本記事ではラッ
2015.08.19 (Wed) | 資産運用でスーパーカーを手に入れよう!
【重要:お詫びと追記】(続)お父さん、その資産運用は三井住友信託銀行ではなく、息子の僕に一任してくれませんか【は法令違反にご注意】
(お父さんは金融機関のカモになっているカモしれません。) 【2015/8/19追記】 個人が(親族を含めた)他人名義の金融関連の取引を代行することは法令違反である旨が他の投資ブログ記事にて紹介されておりました。 参照記事 おやじダンサーのひとりごと 個人の資産運用代行はルール違反です 公のブログで記事執筆する立場のWATANKOとしては、上記記事の内容に異はありません。本記事ではラップ口座を揶揄す
2015.08.19 (Wed) | 資産運用でスーパーカーを手に入れよう!