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2018/06/09
親しい友人の家で昼食することになっていると話していた人に、翌日、料理はどうだったかと聞いてみました。

「いゃ~、酷かった! あんな不味い食事は滅多にない!」なんて言う。奥さんはダイエット中だからと食べなかったので、「あなたは食べなくてラッキーだった」などとまで言ったのですって!

そこまで言ってしまったら、料理をした奥さんが気の毒でしょう?!

でも、招待していた家の夫妻には急用ができたために、料理をする時間がなかったので、近所にあるパン屋さんで買って食事にしたのだそうなのです。


パン屋さんで買ったのは、キッシュと、デザートのケーキ。
それが非常にまずかったとのこと。

それに、奥さんが作ったサラダ、チーズだけの簡単なメニューだったので、全体として不味い食事だという印象ができてしまったようです。

フランス人の食べ物に対する恨みは強い。それほど親しくはない人には遠慮して気を遣います。でも、親しい人を相手にしたら、かなりはっきりと「不味い」と言います。お金を取るレストランだったら、もっとシビアだろうな...。


フランス人は、世界一美味しいのはフランス料理だと思っている?

美味しくないと思われている国の料理を出すレストランを、私はフランスで見かけたことがありません。中華料理店やケバブの店はたくさんありますが、あれは安いことを売り物にしているから客が来るのだろうと思っています。

中華料理は世界に誇れるレベルがあると思う。でも、高級な中華料理屋はフランスにはほぼ存在しないので、フランス人たちは驚くほど美味しい中華料理が存在するとは知らないようです。

そもそも、フランス人たちは自国の料理が世界で最も優れていると思っているので、他国の料理を出す飲食店が発達できないのではないかという気もします。例えば、イタリアはお隣の国で、移民も多いために馴染みもあるので、ピザ屋やイタリアン・レストランはフランスに数多く存在するのですが、イタリアで食べるときのように感激するイタリア料理店は非常に少ないです。

フランス人に、どこの国の料理が美味しいと思うかと聞くより、どこの国の料理は不味いと思うかと聞いた方が、返事は簡単に出てくると思います。食べたこともないくせに、あの国の料理はひどいと思っているのも面白い。

いつだったか、フランス人の友人たちとキャンプしながら移動する旅行をしていたとき、オランダ人が経営しているキャンプ場で泊まることにした時がありました。レストランもあるので好都合。ところが、夕食をとろうとして行ったら、出す料理がないと断られたのでした。

周りはオランダ人ばかりでしたが、みんな食べているのだから、何も出せないはずはない。近くにはレストランがなかったし、疲れていたので、何でも良いから食べさせて欲しいと頼みこみました。

すると、オランダ人のご主人は、「ここの料理は不味いですけれど、それでも良いのですか?」とおっしゃる! 仰天しました。そんなこと、普通は言わないではないですか?!

彼は、フランス人に何度も「不味い」と言われたので、もうフランス人客には食べさせないことにしたのだろうと思いました。

このとき出てきたのは、オランダの旧植民地関係で以前に住んでいたらしいベトナムの料理でした。エキゾチックで珍しい料理だったし、不味くはないので、誰も文句は言いませんでした。

フランス人の皆さん、不味くても黙っていないと、相手が料理しくなくなる、ということも考えないといけないですよ~!

日本人は、料理を出した人には「おいしい」としか言わないように感じています。その場の雰囲気が楽しめたり、作った人に好感を持っていたら、不味いとは感じないのではないかな...。

ところが、なぜか、日本人からも「不味い」という定評を与えられている国があるのですよね。フランス人が書いているブログでも、この国の料理は世界で最も不味いとしている人が多くありました。

シリーズ記事 【嫌いな国の人を何に喩えるか目次へ
その4


イギリス料理

Wikipediaの「イギリス料理」の記事には、ご丁寧に「「不味い」というイメージ」という項目まで設けられていました。

日本人が口をそろえて「イギリス料理は不味い」と言うのは、なぜなのか気になります。「イギリス料理 まずい」をキーワードにして検索すると、たくさんの記事がヒットします。



不味いのは確かだけれど、なぜ日本人がそんなにイギリス料理だけを取り上げて貶すのかが不思議。オランダ、北欧、ドイツ、ロシアなども料理は美味しくない、と私は感じているのですけど...。

そういえば、日本でイギリス料理のレストランには行ったことがありません。フランスでは見かけたことがないドイツ料理店やロシア料理店は、東京などにはたくさんあるのに。でも、調べてみたら、やはり日本にはイギリス料理店もありますね。

フランスでよく行く町に「ビック・ベン」と名付けたレストランができたとき、一緒にいた友人が「そんな名前をつけたら誰も来ないのに」と言っていました。予測は当たって、その店は1年もたたないうちに店じまいしていました。

何でも「おいしい」と言う日本人なのに、なぜイギリス料理だけ貶すの? 日本で誰か権威のある人が「イギリス料理は不味い」と言ったので、他の人たちが平気で同じことを言うようになったのかな?... イギリス料理が不味いと日本人に思いこませたって、儲かる人はいないでしょうから、何かの策略だったとは思えません。


私がイギリス料理と言って思い浮かべるのは、フィッシュ・アンド・チップス(Fish and chips)でしょうか。



見るからに美味しそうではないので、何度もイギリスに行きましたが、食べたことはなかったかもしれない。

日本では余り言わないかもしれないけれど、ベルギーの代表的な料理はイギリスと少し似ていて、ムール貝とフライドポテトです。日本人の私にはムール貝は珍しいので、こちらは大好き。でも、フランス人に食べたいと言うと、なんとなく軽蔑されているのを感じます。


ロンドンで食べたローストビーフ

むかし、ロンドンに駐在していた兄に初めて会いに行ったとき、有名なレストランに連れていってあげるからと言って、シンプソンズ(Simpson's in the Strand)というレストランに行ってくれました。ローストビーフが有名な店なのだそう。

食べ終わってから、兄はサインを入れたメニューを私のために調達してくれました。日本から来るVIPの接待のために、兄はよくこのレストランを利用していたのだろうと思います。


Simpson's in the Strand

せっかくご馳走してくれたけれど、ほとんど喜びませんでした。フランスでもっと美味しいローストビーフを食べていたし、高級料理という感じはしない盛り付けだったし、なにしろ気取った雰囲気なのが鼻についてしまったし...。


◆ ローストビーフも、ビーフステーキも、イギリス生まれの料理

日本でもローストビーフと英語で言うし、フランスでもroast beefをフランス語風にしたrosbifが料理の名前なので、英語圏の料理だろうとは想像つきます。

でも、ローストビーフはイギリス料理だというのは、ほとんど意識されないのではないでしょうか?

ロンドンにいた兄がレストランに連れていってくれたとき、なぜイギリスでローストビーフ? と私が思ったのを覚えています。

でも、ローストビーフはイギリスで生まれた料理なのでした。この時の兄は、ローストビーフはイギリス発祥の料理で、それを誇りにするから、こういう高級料理店があるのだ、と私に説明しただろうと思います。

でも、その後もずっと、私は意識していませんでした。フランス人がイギリス人のことを「ローストビーフ」と呼ぶのを不思議に思ったほどでしたから。

昔のイギリスでは、日曜日に食べるご馳走として「サンデーロースト(Sunday Roast)」と呼ばれる料理があり、ローストとしては牛肉が多い。それでローストビーフということのようでした。



ビーフステーキも、イギリス発祥の料理なのだそうです。フランス語ではbifteckなので、英語のbeef steakから来たのだろうと想像はできますけれど、これもイギリスから入った料理だとは思ってもいませんでした。


ビーフステーキに関する情報を探しながら分かったのですが、不味いと定評のあるイギリス料理も、昔は優れた料理だったらしいので驚きました。それを次回から書いていきます:

イギリス料理を不味くしたのはヴィクトリア女王だった

シリーズ記事: 嫌いな国の人を何に喩えるか 目次へ




ブログ内リンク:
日本のテレビ番組で気になっていることに関するアンケートのお願い 2014/01/04
イギリス人がフランスで売っていたフライドポテト 2008/07/15
ベルギー料理といったら「ムール・フリット」! 2009/05/21
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
Wikipedia: イングランド料理 / English cuisine / Cuisine anglaise
Pourquoi la cuisine anglaise a-t-elle mauvaise réputation ?
La cuisine britannique est-elle si mauvaise
D'où vient la mauvaise réputation de la cuisine anglaise
☆ Wikipedia: Simpson's-in-the-Strand



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2018/06/18 | | -  [ 編集 ]
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