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食前酒も兼ねて、まず白ワインを注文。
この日は、昼食の後にまだまだ予定があったので、ずっしりくるワインは飲みたくありませんでした。それで、ワインリストにあった地元マコネの白ワインを飲むことにしました。マコネというのは、ブルゴーニュ南部にあるマコン市周辺の地域を指します。
マコン・ミリー・ラマルティーヌ(Mâcon Milly-Lamartine)というアペラシオンの白ワインを選びました。

ブルゴーニュ南部で生産されているAOC/AOPマコネの白ワインは、軽くて飲みやすいために私は水代わりに飲んでいます。毎日飲んでいるワインなので、家では飲まないアペラシオンを選んだのでした。
マコネ地域で買い付けに行くワイン農家は何軒もあるのですが、マコン・ミリー・ラマルティーヌを作っているところはないので、飲むのはレストランでとなっています。
マコン市とミリー・ラマルティーヌ村の周辺地域で作られるワイン。
このワインは、名前に惹かれるのです。
ラマルティーヌというのは、政治家の活動もしていたロマン派の詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌ(Alphonse de Lamartine 1790~1869年)の名前です。
ラマルティーヌが生まれたのはマコン市。この町に行くと、町の中心には彼の彫像もあるし、公立高校の名前もラマルティーヌだし、商店などの名前にも使われていて、ラマルティーヌだらけ。
日本では余り知られていない詩人ではないかと思うのですが、Wikipediaでは日本語の項目で「アルフォンス・ド・ラマルティーヌ」ができていました。
詩人のラマルティーヌは、マコン市から近いところにあるミリー・ラマルティーヌ村にある小さな城で幼少期を過ごしていました。
Milly-Lamartine | Château de Milly |
ミリー・ラマルティーヌという村の名前に、村にゆかりがあるラマルティーヌが入っているのが気になりました。この村の名前はミリーだったのですが、20世紀初頭に「ラマルティーヌ」も加えたとのことなので、ラマルティーヌが住んでいた頃にはミリー村だったわけです。
このアペラシオンは久しぶりに飲みました。前回に飲んだ時にとても気に入った記憶があったので選んだのですが、やはりとても美味しかった。
どんなワインなのか、私はうまく説明できないので、詳しく紹介しているショップをご覧ください。
このワインは、誠実に作っているドメーヌらしいと感じたのですが、お手頃価格ですね。日本で買うときのために覚えておこうと思ってリンクを入れておきました。
ブルゴーニュにいるとき、フランスの硬水を受け付けない体の私が、水代わりに飲むのはマコネの白ワインです。でも、日本にいるときには、そのランクのブルゴーニュワインが3,000円を超える値段で売っていたりするので、好きではないボルドーを飲むことが多くなってしまっているのです。
☆ マコン・ミリー・ラマルティーヌを楽天市場で検索

ブログ内リンク:
★ フランスの詩人ラマルティーヌの墓地 2009/04/16
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・ドキュメンタリー
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ Lamartine (Alphonse de) poète et vigneron à Mâcon (Bourgogne)
☆ Wikipédia: Milly-Lamartine ⇒ Château de Milly
☆ Alphonse de LAMARTINE à Mâcon et Milly
☆ Vin Mâcon Milly-Lamartine blanc
フランスのお酒 (ワインなど) |
その日は、友人とレストランでランチをすることにしていました。

こういう日にはレストランのテラス席で食事したい、しかもイタリア料理、ということで意見が一致しました。
皆も外で食事をしたいと思うでしょうから、席が空いていない恐れもあるので心配したのですが、行くことにしたイタリアンレストランではテラスには1人も座っていないのでした。店の中には客がちらほら...。
久しぶりに行った店なのですが、ご主人は私たちの好みまで覚えていて、「トリュフづくしのメニューがありますよ」と言う。でも、簡単に平日ランチをとるつもりだったので、高価なトリュフは断りました。
◆ 非常に美味しいイタリアワインだったのだけれど...
ワインはお給仕をしている経営者のご主人に任せ、白のイタリアワインとだけリクエストしました。お勧めで持ってきてくれたワインが非常に美味しい。料理が出てくる前から食前酒として飲み始めました。
写真を撮ったので名前を確認すると「Feudi di San Gregorio Fiano di Avellino 2015」
ワイナリーの片仮名表記が分かったので、情報を探してみる。
☆ フェウディ ディ サングレゴリオで検索
同じボトルが見つかりました。
【6本〜送料無料】フィアーノ ディ アヴェッリーノ 2015 フェウディ ディ サングレゴリオ 750ml [白]Fiano di Avellino Feudi di San Gregorio |
ショップの説明によると、かなり評判の良いワイナリーのようでした。このワインのブドウの品種はfiano(フィアーノ種)なのだそう。でも、イタリアワインはイタリアに旅行したときに飲むくらいなので、ワイナリーの名前やブドウの品種を思えるために調べてみたわけではありません。このワインを探してみたのは、幾らくらいで売っているのか知りたかっただけなのです。
◆ フランスの不況は深刻なんだな...
お給仕をしていたオーナーのイタリア人夫妻は、お客が少ないので暇だったのか、頻繁に店の外に出てきてきました。つまり、私たちのそばでウロチョロしているわけなので、余り感じが良くない...。
私がレストランに入ったときには、人の動きがある場所が嫌い。トイレのそばとか、調理場からの通り道にある席は避けるのですが、店の入り口にあるテラス席も同じように避けるべきなのだ、と気がついた次第です。
そばに来られて不快に感じたのは、特にオーナーの奥様らしいイタリア人女性でした。通りかかる人たちに挨拶して、つまりは呼び込みをしているつもりらしい。フランスでそういうことをやったら嫌われるだけだと思うのだけれど...。
手持無沙汰なら調理場で手伝えば良いのに、と友人に言ったら、レストランのオーナーの奥さんは皿洗いなんかしないよ、と返事されました。それなら、家に残って、ソファーに寝っ転がってテレビでも見ていたら良いのに...。
閑古鳥が鳴いているのを感じたレストランだったのですが、ここだけではないようなのでした。
私たちが食事したレストランは、車が立ち入り禁止の細い道路に張り出したテラス席だったのですが、向かい側にはクレープ屋さんがあります。

こちらで食事をしたことはないのですが、安さが人気なのか、テラス席で食事をしている人たちがかなりいたのを記憶しています。でも、この日は誰もいない。店では客が来ないことが分かっているのか、テーブル席は2つ3つ作っていただけで、後は折りたたんだまま。店には人影が見えたのですが、私たちが食事をしている間中、人の出入りは全くありませんでした。
不況だからかな?... この店の前に出している看板には、9.90ユーロ(約1,200円)とフランスのレストランにしては非常に安いランチメニューもあったのですけど...。
あたりを見回していると、この歩行者天国の細い道にある数軒のレストランでは、どこでもお客がいない様子...。
◆ ぼられたのかと疑ってしまった...
私たちが食事をしたイタリアンレストランでは、ご主人もよく出てきて話しかけてきました。
美味しいかと聞いてくるので、友人は料理もワインも美味しいと繰り返していました。
私は、以前はもう少し洗練された料理を出してきたなと思ったのですけれど...。その証拠に、この日の私は料理の写真を1枚も撮っていませんでした。
シェフが変わったらしい。それでも、久しぶりに青空が広がった日にテラス席での食事が嬉しいのは確か。楽しい気分になれば、料理も格別に美味しく感じます。
店のご主人は、お客が減っていることを嘆いていました。大統領選挙の前だったので、現政権が悪いのだ! という議論をふっかけてくるのではないかと心配したのですが、さすがにお客に政治の話しはしないというブレーキはあった様子。
TripAdvisorのサイトが気に入らん、とおっしゃる。悪意で書いている人たちがいるとか、なんとか...。ああいうサイトに書いてあるコメントは信用できないとか返事をしました。私たちがワインも料理も美味しいと言っているので、コメントを入れて欲しいと言ってきました。
イタリア系の人たちは、そういう発想をするものなのかな...。以前にも、同じ町の別のイタリアンで食事したとき、お勘定をするカウンターで「美味しかった」とお礼を言ったら、食後酒を振る舞ってくれて、TripAdvisorに良いコメントを書き込んでくれと頼まれたことがあったのを思い出しました。
お勘定をするとき、少なからず驚きました。私たちがとった平日ランチメニューは1人18ユーロだったのですが、ワインが38ユーロとなっていたのです。
飲んだワインは美味しかったのですけど、イタリアワインがそんなにするとは思っていなかった。日本円にして5,000円くらい。ブルゴーニュワインだって、そう悪くないのが選べるお値段ですよ...。
私たちが「美味しい」と連発したので、値段をふっかけたのではないかと疑ってしまいました。友達はTripAdvisorに何か書き込んであげると言っていたのですが、やめたみたい。遠からぬ将来、このレストランは閉店になっているのではないか、と私たちは思いました。
食事をした後、腹ごなしをするために街を少し散歩しました。
街の中にあるショッピングストリートを通ると、閉店になっている店ばかりなので驚きました。少し前に『フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか』という本の題名を見ていたので、余計に気になったのです。フランスには「シャッター通り」と呼べるものがたくさん目につくけどな...。あるいは、フランスの商店が閉まるときにはシャッターを下ろさないものだったっけ?...、と思って眺めました。
そのことついて、続きで書きます。
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★ 「本物」と呼べるシャトーをボルドーで見つけた
シャトー・ディケムは貴腐ワインで、AOCソーテルヌ(Sauternes)の中でも別格の品質の甘口ワインとして知られています。
満足できる品質でない年は、ワインを市場に出さないほどのこだわりがあるドメーヌ。20世紀の百年間に、不合格としてイケムのミレジムが生まれなかったのは9回もありました。
お値段が高いことでも有名。でも、そういうワインが買えるお金持ちの食卓にのぼるより、オークションにかけられる方が多いワインではないか、などと言っている人もいます。
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シャトー・ディケムの建物が私好みの古城であることに興味を持って調べていたら、『Les Quatre saisons d'Yquem(イケムの四季)』と題されたドキュメンタリー映画が見つかりました。DVDも販売されていますが、YouTubeで1時間半の映像を見れてしまうので、それを挿入します。
2000年の冬から、ブドウの収穫が終わるまでの時期を追っています。四季によって移り変わる風景は美しいし、この特殊なブドウを栽培しているシャトーでの仕事ぶりとポリシーが伝わってくるので感動的な記録映画でした。
◆ ドキュメンタリー映画『イケムの四季』の背景
シャトー・ディケムのブドウ畑は100ヘクタールほど。平均すると、年間9万本くらいを生産。
シャトー・ディケムの歴史は400年前に遡ると言われます。アキテーヌ公、それからフランス国王に属していたドメーヌがリュル・サリュース家の所有になったのは、Françoise-Joséphine de Sauvage d’YquemとLouis-Amédée de Lur-Salucesの結婚によるもので、それは1785年。
その後200年余り、シャトー・ディケムはリュル・サリュース家のドメーヌでした。ところが、数々の高級ブランドを傘下に持つLVMH - Moët Hennessy Louis VuittonグループのCEOベルナール・アルノー氏がドメーヌの株の買い占めを狙い、1996年に38%の株を持ち、1999年には持ち株の過半数獲得に成功(64%)。シャトー・ディケムの経営権は、リュル・サリュース家からLVMHの手に移りました。
『イケムの四季(Les Quatre saisons d'Yquem)』は2000年に録画されているので、このドキュメンタリーに登場しているのはアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵。彼は、急死した叔父が残していた遺言に従って1968年にシャトー・ディケムの管理人となり、その任務を2003年まで果たしていました。
2004年からは、アルノー氏の全面的信頼を得ているピエール・リュルトン氏がド・リュル・サリュース伯爵に代わってシャトー・イケムの経営を担っています。リュルトン氏は、アルノー氏からシャトー・シュヴァル・ブランの経営も任されている人で、ここのところ度々私のブログにも登場しています。
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この映画を作ったのは、Jean-Paul Jaud。
彼が2008年に発表した『Nos enfants nous accuseront』は、日本でも話題になったようです。農薬の危険性を訴えるドキュメンタリーで、「私たちの子どもは、私たちに罪があるとして責めるだろう」という意味の題名なのですが、邦題は『未来の食卓』と、なぜか和らげています。
彼は黒澤明監督が大好きだそうなのですが、何か主張のある映画を作ることに情熱を傾けているのではないかという気がします。この『イケムの四季』も、また1つ、フランスの伝統が消える前のレクイエムとしてドキュメンタリーを作っておきたかったのだろうという気がしました。
ポール・コフマン(Jean-Paul Kauffmann)。
彼はアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵と共著で『La Morale d'Yquem
コフマン氏がジャーナリストとしてド・リュル・サリュース伯爵から話しを聞くという形で、シャトー・ディケムのこだわりのワインづくり、自然を相手にする仕事であることの哲学などが語られているようです。
シャトー・ディケムを乗っ取ったLVMHのCEOベルナール・アルノー氏との2年間の戦いと、なぜ彼が経営から身を引くことになったかなども書かれているそうです。
この著書がドキュメンタリー制作のきっかけになったのではないかと思います。
ベルナール・アルノー | アレクサンドル・ド・リュル・サリュース |
ド・リュル・サリュース伯爵は、シャトー・ディケムが投資家の手に移ることに抵抗したのですが、ついに負けてしまったわけです。
フランスの由緒ある貴族は決して偉ぶったり気取ったりしていなくて、ブルジョワ階級の成金とはひと目見ただけで分かる違いがあります。アレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、私がイメージしている貴族の典型に見えました。
伯爵の力では、金銭的な問題では対抗できなかったようです。彼はシャトーの経営を担う栄誉を与えられたものの、シャトー・ディケムの株は、息子と合わせても10%しか持っていなかったのだそう。経営には携わっていなかったけれど、財産として株を持っていた親族が、いま持ち株を手放した方が得だと考えたのに対して、彼は抵抗する力はなかったようです。
2005年の裁判では、親族が分け持った株を分割する権利はなかったという判決が下りたけれど、LVMHが株を獲得してしまったことについてはそのままにされた、という報道もありました。
◆ ド・リュル・サリュース伯爵時代のシャトー・ディケム
1時間半のドキュメンタリー『イケムの四季』です:
Les 4 saisons d'Yquem
録画されたのは2000年。冬景色から、ブドウブドウの収穫が済んだところまで追っていました。
ブドウを収穫し始めたら、雨ばかりの天気になってしまいます。これではワインを作れないと判断されて、ついに木になっている実をバサバサと切り落として捨ててしまうというショッキングな画面が入っています。
シャトーにはお天気を見る専門家もいるのですから、雨が降るのは予め分かっていたはず。でも、ブドウの熟成を待って、収穫は何度にも分けて行うのが伝統のようです。普通のワインなら、雨が降る前にブドウを収穫してしまえば良いのですけれど、最高の貴腐ワインで作るイケムのソーテルヌは特殊...。
シャトー・ディケムでは、実ったブドウの8割が使えれば良い方なのだそう。ブドウの木が1本がワイングラスに1杯できる、と言われます。
収穫が終わって、働いてくれた人たちをねぎらう食事会が映し出されました。以前に収穫に来ていた高齢者たちも招待されています。
1991年のミレジムが出されているのが見えましたが、イケム・ヌーヴォーとも呼べる発酵途中のワインもたくさん出ています。そんなのは市販されないでしょうから、味わえるのはここで働いた人たちの特権でしょうね。
ド・リュル・サリュース伯爵は、フランスでは消えていっているのが私にも見える、昔ながらの経営者タイプのようです。従業員にはイケムのボトルを年に1回プレゼントしたり、ブドウ収穫が続く間には従業員の子どもたちのために近所のケーキ屋さんで焼かせたシュークリームを週末に配達させたり、などというエピソードを書いているニュースもありました。
収穫者たちをねぎらうド・リュル・サリュース伯爵は、「皆さんが愛情をこめて収穫してくださったブドウから作ったワインが世界中の人たちを喜ばせている」と言っています。
こういう昔ながらの気質を持った経営者がいるドメーヌだったら、皆しっかり働くでしょうね。映像に移っていた畑で働く人たちも、口笛を吹いたりして、明るく仕事をしているのが印象的でした。
優れたワインはチームワークが作り出す、と言っていた伯爵。それを築き上げたのにシャトーを退くのはつらかっただろうな... などと身につまされました。しかも、先祖代々400年も続いていたドメーヌを乗っ取られた相手は、お金儲けしか考えない実業家なのですから...。
◆ 2000年のシャトー・ディケムを飲んでみたい
2000年のミレジムができる1年を追ったドキュメンタリーだったので、そのときに作られたワインを探してみました。
こだわりのワインづくりについて記述しているショップがあったのでリンクしておきます:
シャトー ディケム [2000] 【正規品】 Château d'Yquem |
ここにリンクした2000年のイケムは、他のショップでは倍額くらいで売っているので間違いではないかと思ってしまう。フランスでも6万円くらいでも売っていますから。
それでも、私には手が出ないお値段です。どなたかお飲みになる方があったら、このドキュメンタリーをご覧になって欲しいな...。
☆ シャトー・ディケム 2000年を楽天市場で検索
シャトー・ディケムのワインは、1度だけ飲んだような気がしたので、思い出してみました。
飲んだわけではなかった! ワインセラーの掃除をした友達が、こんなのがあると言って見せてくれたのです。そのボトルを庭に出して記念撮影したのが写真アルバムに入っていました。

「いつか一緒に飲もうね」と言われていたのだけれど、私はすっかり忘れていました。友達夫妻も忘れていてくれると良いのだけど...。
ミレジムは1998年でした。当たり年ではないような...。
この次に会ったら、「シャトー・ディケムのとても良いドキュメンタリーがYouTubeで見れるよ」と言って話しをしてみよう。そうしたら、一緒に飲もうということになったりして...。
でも、この写真を撮っていたのは12年も前のことだったので、もう飲んでしまったかな?... 飲んでしまったと言われても、がっかりしないことにしようと思います。この友達はファッションでもブランド物が好きな人で、ワインも有名なアペラシオンが好きで色々買っているのですが、なぜか名前負けしているワインばかり飲まされたような気がするのです。
◆ シャトー・ド・ファルグのソーテルヌ
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シャトー・ディケムを去った伯爵は、同じくソーテルヌを作っているChâteau de Fargues(シャトー・ド・ファルグ)の経営に携わっているとのこと。
こちらは今も一族が所有している城で、伯爵はイケムで経営者になったのと同じ1968年からお仕事していらっしゃいました。
こちらの城は、ほとんど廃墟。ドキュメンタリーの中でもちらりと映っていました。
ドキュメンタリーの中では、こんな状態になってしまった城を修復する資金がないと伯爵はおっしゃっていましたが、修復工事が進んでいるという最近の動画もでてきました。
日本の旧家も同じでしょうが、ご先祖様が残したものを守り続けるのが跡継ぎの任務なのですよね...。
私はブルゴーニュワインばかり飲んでいます。個人的には全く興味を持っていないボルドーワインについて書くのは、これで終わりにしようと思っていました。それなのに、考え方が180度違う人が経営者になったシャトー・ディケムがどうなったのか気になって、調べてしまったので続きを書きます。
とりあえず、2002年のシャトー・ディケムのブドウ収穫を見せるニュース番組の映像があったので入れます。
Les vendanges au Château d'Yquem
ブドウは、ドキュメンタリーの映像で見たように、粉が舞い上がるほどの貴腐状態にはなっていません。乗っ取られてしまったド・リュル・サリュース伯爵も、シャトーを去る前年のニュースなので登場していますが、そっくりさんではないかと疑ってしまうほど私には別人に見えるので奇妙...。
このニュースだけ見れば、違和感は全くなかったでしょうけれど...。
シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
目次へ その28
シャトー・ディケムと貴腐ワインに関して:
前の記事:
★「本物」と呼べるシャトーをボルドーで見つけた 2016/05/10
続きの記事:
★ シャトー・ディケムのワインで、新しい経営者は何を変えたのか 2016/03/19
★ 甘口ワインのソーテルヌは、どのくらいの貴腐状態のブドウで作るの? 2016/03/20

ブログ内リンク:
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組
★ フランス貴族の見分け方 2007/09/25
★ フランス貴族は気取らない 2005/07/13
外部リンク:
☆ Amazon: Collection Quatre saisons en France : Les Quatre saisons d'Yquem
☆ Lur-Saluces (château d’Yquem) BordeauxLibération: Le coeur a ses raisins. 05/11/1999
☆ Libération: Guerre des frères au château YquemLe comte Alexandre de Lur Saluces porte plainte contre le rachat par LVMH. 24/12/1996
☆ Même chez Yquem, les minoritaires arrivent à faire la loi 19/12/1996
☆ Un fleuron du bordelais passe sous le contrôle de LVMH 21/04/1999
☆ Château d'Yquem : disparition d'Eugène de Lur Saluces 07/12/2011
☆ Alexandre de Lur Saluces et Aubert de Villaine: un entêtement de civilisation(2012年): 1/3 2/3 3/3
☆ Le comte Alexandre dans son village (UZA - 40)
☆ オフィシャルサイト: Château d'Yquem
☆ Dico du vin: Yquem (château d'Yquem)
☆ Figaro vin: Château d'Yquem
☆ Wikipédia: Château d'Yquem
☆ iDealwine: Informations sur Château d'Yquem
フランスのお酒 (ワインなど) |

多目的ホール? 体育館? 田舎に造られた広いディスコ? 博物館?..
近代建築物が並んでいますが、それは全くキーワードには入っていません。
キーワードは、「ボルドー」と「新しいワイン醸造所」でした。
並んだ写真を見ただけでは、ワインと関係した建物だとは思いませんよね。でも、ちゃんと、ボルドーに新しくできたワイナリーについて書いている記事にリンクしているのです。
検索画面にリンクするとキーワードが分かってしまうのでキャプチャを入れたのですが、検索結果の画面はこちらです:
☆ 「Bordeaux "nouveau chai"」をキーワードにして画像検索
「新しい(nouveau)」という文字をなくして検索しても大して変わりません。ワイン樽が並んでいるのが見えますが、殺風景な場所にワイン樽をストックしているみたいに見えるので、私にはとても奇妙です。
私が見慣れているブルゴーニュのワイン醸造所は、こんな感じなのです:

「cave Bourgogne」をキーワードにした画像検索
前回の日記「ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行」で、ボルドーには私は見たこともなかったようなワイナリーがあることに驚いたと書きました。
ひょっとして、ボルドーは昔からワインを作っているのに、ワインを寝かせておくのに適した石づくりのセラーがないだろうか?... 気になってしまったので、本当にワインセラーらしきものがボルドーに存在しないのかを調べてみました。
ボルドーにも、ブルゴーニュにあるカーヴと比較して何ら違和感のないワイナリーもあるのでした。
出てきたのは、サンテ三リヨンにあるシャトー・オーゾンヌ。
つまり、超近代的なワイナリーを私が初めて見たシャトー・シュヴァル・ブランがあるのと同じ町なのです:
★ 白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01
オーゾンヌとシュヴァル・ブランは、サンテミリオンのワインの中で最高ランク「特級A」を最初に獲得したシャトーでした。それなのに、ワイナリーの雰囲気は両極端なのが面白い。
◆ シャトー・オーゾンヌ(Château Ausone)が気に入った
ミシュランガイドがYouTubeで提供している動画の中に、「偉大なワインの神秘」と題してシャトー・オーゾンヌ(Château Ausone)のブドウ畑とワインセラーを見せていました。
Château Ausone, les mystères d'un grand vin
オーナーのAlain Vauthierさんが案内しています。こういう人は美味しいワインを作るだろうなと思わせる経営者ではないですか? ここ2回で超近代的なワイナリーの経営者が登場する動画を幾つも入れてきたのですが、ここまでで出てきた経営者たちとは全然違う雰囲気です。
こういうワイナリーなら、ブルゴーニュにそのまま持ってきても全く違和感がないだろうと思いました。ロマネ・コンティのド・ヴィレーヌさんも、こんな風に物静かな人なので連想させます。
こういう映像を見ていると、このワインを飲みたくなります。美味しそうに感じるではないですか?
私はボルドーのことを全く知らないのですが、「あなた知らなかったの?!」と言われる有名なドメーヌのようです。動画を入れているミシュランの説明では、専門家たちは、このシャトー・オーゾンヌをボルドーで最も優れたワインを生産していると評価している、と書いていました。
日本のネットショップでも絶賛していますね:

CH.AUSONE(シャトー・オーゾンヌ) | ワイン通販エノテカ・オンライン ENOTECA
動画で見せているのは「シャベル」という区画のブドウ畑だと言っています。ひいお爺さんが1906年にブドウを植えた畑で、カベルネ・フラン種が多く植わっているのだそう。
シャペルとはチャペルのことなのですが、ブドウ畑の中に13世紀に建てられたというチャペルがありましたね。
シャトー・オーゾンヌのワインを検索したら、シャペル・ドーゾンヌ(Chapelle d'Ausone)という名のワインがありました:
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私はこのワインを買う予定はないので、もう少しこのシャトーの様子が見れる動画を探してみました。
Cap Sud-Ouest - Château Ausone
中には14世紀に描かれた壁画などもあるのですね。ロマネスク教会の所にあったブドウ畑は墓地があった場所なので、大量の土を運びこんだのだと言っています。そう言われてしまうとね...。でも、墓地の後の土地は、なぜか植物がよく育つ気がする。
シャペル・ドーゾンヌのワインは、ブドウの異なる品種をセパージュしているという違いがあるだけで、作り方は、ずっと高価なシャトー・オーゾンヌのワインと全く同じ手間をかけているのだそう。やっぱり、美味しいのだろうな...。
☆ シャトー・オーゾンヌを楽天市場で検索
◆ サンテミリオン市の地下には、地下道が100キロ?!
ボルドーを旅行したときには。サンテミリオン(Saint-Émilion)の村がとびぬけて気に入りました。世界遺産に登録される少し前だったので、余り観光地化はされていないように思います。美しい所らしいと言われて軽い気持ちで行ったので、余りのすばらしさに驚いてしまったのが強烈な印象として残っています。
Église monolithe de Saint-Émilion |
サンテミリオンは建物にするのに優れた石が掘り出せるところだったので、村の中から少し外まで、地下は採掘跡の洞窟になっているのだそうです。
地下の文化もある村なのでした。
カタコンベもある。
地下に掘って造った一枚岩(モノリス)の教会はヨーロッパで最大規模の大きさなのだそう。
家々の下も、ブドウ畑の地下も、洞窟になっており、全部で100キロくらい続いているようです。村に住んでいる人は、ご近所に行くにも地下道を通って行けてしまうのだ、などと言っています。
そんなわけで、地下の洞窟をセラーに使っているワイナリーもあるのでした。
それを見せている動画です ↓
Cap Sud-Ouest - Carriere du sous sol de Saint Emilion
登場しているワイナリーは、Château Guadet(シャトー・ゴーデ)というドメーヌだそうです。
Château Villemaurineというシャトーでは、ブドウ畑の下に4層ある地下(7ヘクタール)を見学できるとありました。でも、ライトアップしたりして洞窟探検が観光目的のような感じを受けました。
もう1つ、地下の洞窟をセラーにしているサンテミリオンのワイナリーの動画:
☆ Les vins de Clos Fourtet - Bordeaux - Millésima
こちらはシャトーという名は付けずに、「Clos Fourtet 」という名のドメーヌ。
2001年にワイナリーを買った人なのですが、ワインへの情熱はなかなかあるように見えました。動画の半分くらいのところからワインセラーが見えるのですが、湿度があって風通しもあって理想的なのだ、と惚れぼれしながら語っていることに好感を持ちます。
このドメーヌでは、ホームページを作っていない感じがします。
http://chateau-ausone.fr/というドメーヌがあるのですが、表紙のページしかありません。
今どきホームページを作っていないのだとしたら、ますます気に入ります。
ひょっとしたら、ボルドーに吹きまくっている建築美を自慢にするワイナリーのブームにも乗っていないのではないかな?...
1959年にサンテミリオン第1特別級A(Premier Grand Cru classé A)ができたときは、このシャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランだけだったそうです。
2012年の評価見直しにより、現在では、シャトー・アンジェリュスとシャトー・パヴィが加わって、サンテミリオンの特級Aは4つになっています。
前回の記事「ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行」の中に、シャトー・パヴィだけ入れていなかったので、ここもデザイナーの醸造所を建設しているのだろうかと探していました。
もしもシャトー・オーゾンヌが昔ながらの醸造所しか持っていなかったら、ここだけ異端児?
ところが、シャトー・パヴィで検索して出てきた動画に仰天しました...。
◆ ボルドーの近代美を誇るワイナリーは、こういう人たちのためにあるの?
再び画像は見たくないので、YouTubeへのリンクだけ入れておきます。
シャトー・パヴィのセラーを見せる動画です:
☆ Best Wines Online: A Day at St. Emilion's Chateau Pavie Part 2
ついでに、もう1つ、見たくなかった動画も入れてしまいます。
香港からブドウの収穫に来た人たちのよう。最後に誰かが来て、挨拶をしたところでプッツリと映像が切れていますが、この後、そんなにふざながら働くな、と追い出してくれていたら良いけれど...。あるいは、合成で作った映像かな...。大切なブドウの収穫の時期に、こんなことを畑でやるのを許すというのは信じられません。
☆ Chateau Ausone during Harvest
ボルゴーは生産量も多いために商売っぽくワインづくりをしているので、大量に買ってくれるお得意さんに占領されてしまっても泣き寝入りしないといけないのかな?...
なお、ボルドーの超近代的なワイナリーの観光を勧める情報で、ワインの醸造の方に興味がある人は次のところに行くようにとリストアップしていたのでメモしておきます。
- Château Pichon-Longueville (Pauillac,)
- Château La Conseillante (Pomerol)
- Château Faugères (Saint-Emilion)
- Château Fieuzal と Château Smith Haut-Lafitte (Pessac-Léognan)
- Château Palmer (Margaux)
1つ2つ画像を探したのですけれど、やはりボルドーらしく近代的、つまり私には味気なく見える醸造所だったので、情報を探すのはやめました。
ここでボルドーのお話しは終わりにしようと思ったのですが、もう1つだけ、ボルドーで検索していて見つけたドメーヌについて続きで書きます。
シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
目次へ その26

ブログ内リンク:
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ Château Ausone - Producteur » Chapelle d'Ausone rouge
☆ France 3 Aquitaine: Saint-Émilion, un mystère de pierres
☆ OT: SAINT-EMILION SOUTERRAIN
☆ サンテミリオンの格付け、2012年の最新リストが発表
フランスのお酒 (ワインなど) |
というわけで、少し前に知ったブルゴーニュワインの「コトー・ブルギニョン」を選ぼうとすると、どんな情報が出てくるのか実験してみることにしました。
◆ コトー・ブルギニョンというワイン
2011年に誕生したブルゴーニュのAOC/AOPアペラシオンなのですが、他のブルゴーニュAOC/AOPワインに比べて規制がずっと緩やかになっています。従って、個々の差が大きいはず。
このワインについて紹介したのは、こちら:
★ ブルゴーニュワインらしからぬ「コトー・ブルギニョン」 2016/01/11
シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
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その12
昨年、ブルゴーニュのブドウ畑が世界遺産に登録されましたが、それを獲得するためのセールスポイントは「クリマ」でした。「Climat(クリマ)」や「lieux-dit(リュー・ディ)」と呼ばれる小さな区画を重視して、それぞれから個性的なワインができることにブルゴーニュワインの素晴らしさがある、というわけです。
コトー・ブルギニョンはそれを完全に無視しています。もっとも、従来から、安いワインはそんなブドウ畑の区画にはこだわらずに生産していましたから、どうということはないでしょう。
でも、コトー・ブルギニョンがワインの生産地だけではなく、ブドウの品種もブレンドしてしまって良いことになっているのは、ブルゴーニュワインに慣れている者にとっては少なからぬショックです。ブルゴーニュワインは、単一のセパージュ(ブドウの品種)を使うのが原則なのです。
下のランクの赤ワイン「パストゥーグラン」では、ピノ・ノワール種とガメ種のワインをブレンドして良いということになっていました。でも、ブルゴーニュ赤ワインの特徴ともいえるピノ・ノワール種は最低でも3分の1は入れなければならないことになっていました。でも、コトー・ブルギニョンでは、そのブレンドの割合に対しての規制がありません。
コトー・ブルギニョンは、ブルゴーニュワインの原則を見事に無視したアペラシオンなわけです。下手したら、ブルゴーニュワインのイメージを悪くする。うまくいったら、こういう安いワインから入ってブルゴーニュワインが好きになる人を増やす。つまり、いちかばちかのワインなので、興味を持ってしまいました。
ピノ・ノワール種とガメ種のブドウは、私のような素人でもはっきり分かる味の違いがあります。見た目も違うし...。
どんなブドウの品種から作ったかも表記しなくて良いわけなので、自分好みのワインかどうかが分からない。
コトー・ブルギニョンは、開けてびっくりの福袋と言うべきかな?...
コトー・ブルギニョンはガメ種のワインを生産しているボージョレー地域のワインでも作ることができます。最近売り上げが落ち続けているボージョレーワインは、このアペラシオンでイメージチェンジして売ることができるのではないかという期待も担っているそうです。
こういうあだ名を付けるとぴったりするのではないかと思いついたのは、「まかないワイン」♪
自分の畑で作ったブドウではなくて、農家からブドウやワインを買ってブレンドする会社では、仕入れや在庫の具合によってブレンドすることができるワインなのですから。
でも、「まかない」という言葉を付けた商品名もあったのです。
賄い料理も、優れた食材を使って、優れた料理人が作れば素晴らしく美味しくなる。
その点でコトー・ブルギニョンとは共通点があるのではないでしょうか?
それにしても「 コトー・ブルギニョン(Coteaux Bourguignons)」というのは、最低ランクのワインにはもったいないほど良い命名だったと思います。
少なくとも、フランス人には受けるでしょうね。
「ブルギニョン」というのは、「ブルゴーニュの」という意味なのですが、ブルゴーニュに住む人たちもブルギニョンと呼びます。
ブルゴーニュは農業が盛んな地方なので、優れた食材があり、なにしろ上質のワインの産地。そういうものを口にしているブルギニョンたちは陽気で、食道楽で、人が良いというイメージがあります。
フランスのどこの地方でもお国自慢がありますが、自分たちで賛美する以外に、他の地域の人たちからも好感を持ってもらえる地方としては、ブルゴーニュくらいではないかと思います。
「ブルゴーニュ」というアペラシオンもありますが、それよりも「ブルギニョン」の方が親しみ安くて、安くて気楽に飲めるワインというイメージを出せるのではないでしょうか?
ブルゴーニュの民謡は全国的に知られていますが、大酒呑みの歌ばかり...。
◆ コトー・ブルギニョン、いろいろ
さて、どんなブルギニョンがあるのか見てみます。日本のネットショップは親切で、生産者の写真を入れたりして、かなり詳しい情報を出しているところがあるので、フランスのネットショップで探すより情報が集まると思う。
☆ コトー・ブルギニョンを楽天市場で検索
色々ありすぎるので、赤ワインだけを拾って眺めてみることにしました。おもに、ブドウの品種と、誰が作っているのかに注目しています。
ピノ 100% |
| コート・ド・ボーヌの ネゴシアン Maison Kerlann ドメーヌのサイトにあるワインリストには、まだ「Bourgogne Grand Ordinaire」しか見えない。 ☆ Maison Kerlann, french Négociant Viticulteur in MEURSANGES ☆ オフィシャルサイト | ||
ピノ 100% |
| コート・ド・ニュイの ブドウ栽培・醸造農家 Domaine Nicolas Faure 2011年に独立してワインを作るようになった様子。情熱が感じられて惹かれるのですが、この格付けのブドウ畑から作ったワインにしては高すぎると思った。 でも、もう少し安く売っているショップもありますね: ☆ 赤:[2013] コトー・ブルギニョン ピノ・ノワール(ニコラ・フォール) 紹介記事: ☆ Nicolas Faure, la valeur n’attend pas le nombre des hectares | ||
ピノ 100% |
| コート・ド・ニュイの ブドウ栽培・醸造農家 Domaine Joseph Roty 以前はブルゴーニュ・オーディネールだったものをコトー・ブルギニョンにしていますね。 先代は非常に評判が良いワインを作っていたらしい。息子さんたちがノウハウを受け継いでいるのかの情報までは探しませんでした。若い人が継ぐと、3通りがあります。お父さんと同じように良いワインを作る跡継ぎ、だめにしてしまう子ども、お父さんよりスゴイのを作る子ども。 いまどきサイトを持っていないのは珍しい。宣伝しないでも売れてしまうドメーヌなのだろうか?... | ||
ピノ 95% ガメ 5% |
| 最高値(在庫あり) コート・ド・ボーヌの ブドウ栽培・醸造農家(ビオ) Domaine Chevrot 検索で出てきた「コトー・ブルギニョン」の赤ワインの中で、在庫があって、最も高い価格で売っていたのがこちら。 ☆ ドメーヌのサイト | ||
ピノ 75% ガメ 25% |
| コート・ド・ニュイの ブドウ栽培・醸造農家 Domaine Marchand Frères マルシャン(商人)というワイン農家らしからぬお名前が気に入らないのですけど...。でも7世代続くワイン農家で、減農薬、ブドウの手摘みを実施。フランスでは高い評価を得ているドメーヌのようです。 ☆ ドメーヌの紹介記事: フランス情報 日本語情報 ☆ ドメーヌのサイト ドメーヌのサイト情報によると、2011年のコトー・ブルギニョン赤のセパージュは、ピノ・ノワール60%、ガメ40%となっていました。保存できるのは1~2年。 | ||
ビノ 90% ガメ 10% |
| ボージョレーの ブドウ栽培・醸造農家(ビオ) Domaine de Buis-Rond ガメの「ボージョレー」もサイトに入っているが、ピノ・ノワールを植えて新しいワインを作ってボージョレーの危機を乗り越えようとしているのではないかと推察。ワインでは難しいというBIOにも挑戦しているくらいなので、チャレンジ精神があるのだと思います。 ドメーヌのサイトで、こちらの「ボージョレー・ヴィラージュ」とラベルが同じ。サイト情報では、ピノ・ノワール80%、ガメ20%と書いてあります。 ボージョレー地区でピノ・ノワールを育てたらどうなるのか気になります。ボージョレーのシャルドネは不味いと経験していますが、ボージョレーの危機を救うために、良いワインができるピノ・ノワールで良いワインができると良いなと祈ってあげたい気になります。 | ||
ピノ 50% ガメ 50% |
| コート・ド・ニュイの ブドウ栽培・醸造農家 Domaine Felettig Henri それについて書いた記事: ★ ワインフェアーで出会って気に入ったドメーヌに行く ブルゴーニュの伝統的な家庭経営のワイン農家のように見えて好感を持ちました。この格付けしかもらっていないブドウ畑があるということで、奇をてらってワインを作っているようには見えません。 お値段もリーズナブル。ここに入れたワインの中で日本滞在中に飲むワインとして選ぶなら、これをまず試してみたくなります。 ☆ ドメーヌのサイト ☆ 観光ガイドブック情報 | ||
ピノ ?% ガメ ?% |
| ボーヌの ネゴシアン Maison Louis Jadot 年商は6,300万ユーロ。82億円?! 自社の畑も持っていますが、ネゴシアンのビジネスがメインの会社だと思います。 日本にかなり入ってきているのが目立ちます。コトー・ブルギニョンに最も力を入れているのは、この会社ではないでしょうか? ワイン雑誌の情報では、2013年コトー・ブルギニョンの生産量は84,000本とありました。 この会社のサイト情報でも、ブドウの品種はピノ・ノワールとガメとだけあって、割合は記載されていませんでした。 2011年のミレジムも売られています。この手のワインが収穫されてから4年を超えていたらリスクが大きいと思ってしまうけれど、売れ残ってしまったのかな?... 会社のサイトでは、若いうちに飲んだ方が良いけれど、収穫年から楽に3年保存することができるのではないか、と言っていますね。 2013年のボトルではラベルのデザインを変えていました。 ラベルがやたらに美しい。会社のサイトも、相当にお金をかけて作っている印象を受けます。ビジネスがお上手なのでしょうね。。 しっかりした大手の会社が作っているワインだから安心ということで、日本では評価されているのではないでしょうか? 売れないボージョレーワインが残ってしまっているというニュースでは、この会社の話しが出てきたので、ボージョレーの下のランクのを多く使っているのではないかなという気がするのですけれど、これは私の憶測に過ぎません。 私がフランスにいるときは、ネゴシアンのワインは全く買わないし、レストランでも避けるのですが、大手の会社では上手にブレンドして飲みやすいワインを作るのではないかとは思います。 フランスのワイン雑誌でお手軽価格のブルゴーニュワインにも良いものがあるという記事で選んでいたコトー・ブルギニョンの目隠しテストでは、2013年のものが上位の評価を得ていました。 | ||
ピノ ?% ガメ ?% |
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ピノ ?% ガメ ?% |
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ピノ ?% ガメ ?% |
| 最安値 マコネのネゴシアン Les Vins Aujoux 検索して出てきた「コトー・ブルギニョン」の赤ワインの中で、最も安い価格で売っていたのがこちら。 ブルゴーニュ南部とボージョレーのワインを主に扱っている会社(サイト)。セパージュは分かりませんが、地域からいってガメ種がメインなのだろうと想像します。 フランスで信頼度の高いワインガイドブック『ギッド・アシェット』の2016年版が、2014年のミレジムをセレクトされていました: ☆ Vin rouge belle grâce 2014 - coteaux-bourguignons - hachette vins sélection 2016 どんな評価をもらったのかは分かりませんが、このガイドブックに出るのはかなり注目度が高いのです。少なくとも、安いから悪いということにはならないはず。 | ||
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| コート・ド・ボーヌの ブドウ栽培・醸造 & ネゴシアン Domaine Leroy 左にリンクしたショップでは、ブドウ品種はガメとピノ・ノワールと書いています。 ところが、同じミレジムでも、品種はガメ100%と表記しているショップもあります: ☆ [2014] コトー ブルギニョン 【赤】【正規品】 1本 メゾン・ルロワ ドメーヌのサイトで確認したのですが、このアペラシオンをスペルミスで書いてあるのは意図的なのかどうかが気になっただけで、セパージュなどについての情報は全く得られませんでした。 優れたワインを作っていることで有名なドメーヌなので、日本では売れるでしょうね。 | ||
ガメ 100% |
| コート・ド・ボーヌの ブドウ栽培・醸造農家(ビオディナミ) Domaine Didier Montchovet 日本の販売サイトでは情報が少ないのですが、BIOワイン農家だし、ドメーヌはポマールに近いところにあるので悪くないワインではないかいう気もします。 ☆ ドメーヌのサイト ☆ 英語の商品情報 ☆ ドメーヌのワイン一覧(販売サイト) フランスでの価格は、ボージョレーのクリュと同じくらいの感じと安いのですけど...。 | ||
ガメ |
| 最高値(在庫なし) ●コート・ド・ニュイのブドウ栽培・醸造農家(ビオディナミ) Domaine Prieuré-Roch ロマネ・コンティの共同経営者、こだわりのドメーヌとして有名なドメーヌですが、コトー・ブルギニョンを作っていました。 ☆ 日本語のドメーヌ情報 ドメーヌの名前となっている「Prieuré(小修道院)」の発音を片仮名で表記するのは難しいのですが、「プリューレ」としてしまうのが一般化しているらしい。 フランスのワイン雑誌の昨年の夏号に2013年のコトー・ブルギニョンの採点をした記事があったのですが、このドメーヌのが最高得点を獲得していました(ただしピノ・ノワールのワインの評価だと思いますが)。香りが素晴らしくて、口あたりがとても良いようです。 フランスで買ったらずっと安いかと思ったのですが、余り変わりがありませんでした。出てきたのは27~39ユーロで(一番安く売っていたのは地元のワインショップ)、他のドメーヌのよりずっと高額です! 飲んだ人の報告では、フィルターでろ過していないようなので、昔には普通だったワインのように、ランクが低くても長年寝かせておくと驚くほど美味しくなってしまったりもするワインだろうと想像しました。 同じドメーヌで、「コトー・ブルギニョン」に置き換えられる前のアペラシオン「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール(BGO)」もありました:
このBGOはピノ・ノワール66%、ガメ33%だそうです。このドメーヌのワインが、この程度で手に入るなら買ってみたところですが、こちらも品切れ。 ☆ ドメーヌのサイト » 入っている動画を検索 | ||
色々あるので、眺めてみるのは面白かったです。
やはり、ネゴシアンがかなり力を入れて大量に輸出していると感じました。売れなくて困っているボージョレーのワインをこれで消化しようとしていることも多いのではないでしょうか?
セパージュを公表しないのは気に入りませんでした。ピノ・ノワールとガメは味が全く違います。気にしなければ飲んでびっくりのお楽しみになりますが、ブルゴーニュワインにピノ・ノワールを期待している人がガメに当たったらがっかりするはずです。ガメだって美味しいのがあるし、ピノ・ノワールより好きな人もいるのですから、何も隠すことはないと思う。
ブルゴーニュワインはこういう味がするという観念を持っている人には向かなくて、コトー・ブルギニョンがターゲットとして狙うのは、ワインに詳しくない人なのだろうなと思えてきました。
フランスでは、コトー・ブルギニョンの最大の魅力は安さにあると言っていました。アメリカでも10ドルで売れるワインというわけ。でも日本で市販されているものは、「安い」というのがアトラクティブなポイントにはなっていないのですよね...。1本千円程度で買えるワインなら、煩いことは言わずに、「今日はブルゴーニュを飲んじゃった♪」という楽しさがあるはずですが。
ワイン農家の場合は、ブルゴーニュ・グラン・オーディネールの格付けしかもらっていなかった畑のブドウから、普通に新アペラシオンの名称で売るようになったのだろうと思います。でもネゴシアンの方は、これによって今までにはなかったブルゴーニュワインとしてPRして売り出そうという意図もあるのではないでしょうか?
◆ 面白かった試飲報告
コトー・ブルギニョンがどんなワインかを知るために買ってみた、というフランス人がブログを書いていました。普通の人かと思って読んでいたのですが、名前を公表しているので調べてみたら、ワインに関する講演などもするようなプロのようでした。
彼は、飲んでみたコトー・ブルギニョンが気に入らなかったです。口に入れてみたら「なんににも似ていない」とこき下ろして、グラン・オーディネールには良いワインもあったのに... と不満をもらしています。
ボトルには、セパージュは何も書いていないのだそう。ブルゴーニュ南部のネゴシアンのワインだったそうなので、おそらくガメが100%か主流のものだっただろうと思います。
このワインがなんであるかを示すのは、ラベルに「ヴィエイユ・ヴィーニュ(古株)」という文字だけ。可哀想に、かなりくたびてているブドウの木なんだろう、などと茶化しています。
笑わせてくれたのは、ボトルの裏に書いてある宣伝文句。「伝統がいっぱい詰まった」とか「ブルゴーニュのただ中を旅行する気分にさせる」とか「本物のブルゴーニュワインはテロワールを誇りにしている」とか歌っているのです。ダメ押しで、コルクには「ブドウ栽培者には才能がある」なんて書いてある。
ブログを書いていた人は、「これは美味しくない。つまり、これはブルギニョンじゃないってことだ」なんて言って怒っている。
同じワインを飲んだ感想が日本のサイトに入っていました。みなさん悪くないと言っていました。800円で買ったとか。日本でそのくらいで買えるワインなら文句は抱かないですよね?
そうやって宣伝だけで売るワインもあるだろうし、良心的に作っているのもあるはず。コトー・ブルギニョンであっても、ブルゴーニュワインで定められている地域とセパージュと生産方法が規定されているだけで、様々なタイプが存在してしまうワインなわけですから、好きだとか嫌いだとかの判断もできないアペラシオンだろうと思います。
こういう風に自由に色々な味に仕上げることができるワインは、ソムリエ試験などで試飲させることはないのでしょうね。もし、目隠しテストで銘柄を当てたら、たまたま知っているワインか、まぐれ当たりでしかないだろうと思いますので。
先日の「ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?」を書いていたとき、ボージョレーでワインが売れないからと農家がブドウ畑を売ろうとしても、安い買値を付けられるのだという話しが出てきていました。
次回はブルゴーニュのブドウ畑の相場のデータをもとにして書きます。価格の差がものすごいのです!
脱線ばかりして長くなっておりますが、このシリーズの目次:
★ フランスのワイン産地
ブログ内リンク:
★ ブルゴーニュワインはシンプルな構造とは言えない? 2016/01/08
★ ブルゴーニュワインらしからぬ「コトー・ブルギニョン」 2016/01/11
★ ブルゴーニュの高級ワイン生産地が世界遺産に登録された 2015/07/05
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ クリマ/Climatsとリュー・ディ/lieux-dits:ブルゴーニュ/Bourgogneワインの根源
☆ Si c’est ça les Coteaux Bourguignons, ce n’est pas bon messieurs les négociants bourguignons…
☆ Jean Couzelon Coteaux Bourguignons Vieilles Vignes
☆ La Revue du Vin de France - juillet-août 2015
☆ Quelle est l’importance du négoce de vins, en France ?
フランスのお酒 (ワインなど) |
シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
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その2
ワインのテースティングでは、決まった表現があるのですよね。ワインに詳しい方はお勉強するのでしょうね。
香りを表現するには、道具があると知って欲しいと思ったのですが、高いので止めました。
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変な例えもあるのです。「濡れた犬(chien mouillé)の匂い」や「猫のおしっこ(Pipi de chat)」というのはテースティングの定番の用語に入っているのだそう。そう言われたら飲む気がなくなると思うのだけれど...。
でも、自分で感じることを言葉で表現するのだから、何と言っても良いはずではないですか? この夏、「このワインは、どう?」と聞かれた答えた私の表現は、これ:
pénible (ペニ~ブル!)
辛いとか、耐え難いとか言いたいときに使う形容詞です。
でも、これもワインのテースティングでは使わない表現らしいのでした。
「agréable(心地よい)」というのはテースティング用語で使えって良いのではないかと思うのです。それとは逆に、飲み込むのが辛いワインに対しては、こう言うのが一番ではないかと私は思うのですけど、誰も言わないらしいのでした。
でも、言ってみたら大受け♪ だって、そう言いたくなるワインは実際にあるのですから! 日本にいるときは贅沢は言えないので、どんなワインでも飲んでしまうのですけど。
私が「ペニーブル」と言ってしまったのは、ロワールの白ワインを飲んだときのことでした。それから間もなく行ったパリのレストランでのことを前回の日記「お年寄りに優しいワイン?」で書いたのです。そこで飲んだロワールの赤ワインが美味しく感じたときの話しだったのですが、ロワールワインにも心地良いのがあると驚いたからなのでした。
◆ ロワールワインの地域は広い
美味しいのもあるのだと思わせたのは、ソミュール・シャンピニーというアペラシオンで品質保証のAOC/AOPを持っているワインでした。どこら辺で作られているのかと思ってロワールワインの産地の地図を眺めたら、この産地はやたらに広いことに気がついたのでした。
ロワールワイン産地の地図です:
Vignoble de la vallée de la Loire ↑ クリックすると拡大写真が開きます
ソミュール・シャンピニーは、左の方にある薄緑色になっている地域で、17番として示されています。
◆ 絶品だと思ったロワールワインはサヴニエール
ロワールワインの地図を眺めていたら、ここには私が強烈に美味しいと驚いたワインがあったのを思い出しました。
サヴニエール(AOC Savennières)という名の白ワインです。
上の地図では、ソミュール・シャンピニーと同じ地域区分「アンジュー・ソミュール」(薄緑色の部分)に入っており、9番になっています。
旅行したときには、その土地のワインを飲むことにしているのですが、飲み慣れているのがブルゴーニュワインなので、めったに美味しい♪と感動することがありません。でも、サヴニエールを初めて飲んだときには衝撃だったのです。
サヴニエールのブドウ畑はこんな風なのだそう ↓

Vignes et terroir de Savennières
根本にある石が奇妙ですね。このブドウ畑の土地の説明に出てくる流紋岩なのだろうか?...
これはすごいワインだと驚いたのは、お城巡りで有名なロワール地方を旅行していたときでした。レストランで食事したときに、ソムリエさんが薦めた地元のワインがサヴニエールだったのです。
余りに衝撃的においしいので、産地まで行ったのですが、とりあえず店でその生産者のワインを探して値段を確認。すると、法外と言いたくなるくらいの高い値段がついている! ブルゴーニュには同じくらいに美味しくて、もっと安いワインがあると思って、買うのは止めました。
ロワール地方での旅行を続けていたので、レストランで食事するときにはサヴニエールがあると注文していました。美味しいのですが、初めに飲んだときのような感動はない。ソムリエの人が、サヴニエールと言ったらここのが一番美味しいのだとは言っていたのですけど。
ロワール地方を旅行していたときには、そのドメーヌの名前を頭に入れていたのですが、もう忘れてしまいました。どこだったのかと思って探してみました。
☆ サヴニエールを楽天市場で検索
やたらに褒められていて、お値段も特別にお高いドメーヌがあったので、ここではないかと思いました。ドメーヌを詳しく紹介しているネットショップをリンクしておきます。
ニコラ・ジョリー・クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン 2012【ロワール】【白ワイン】 |
☆ エノテカ: サヴニエール・クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン (1997 年) 12,960円
☆ うきうきワインの玉手箱: ニコラ・ジョリー・サヴニエール・クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン[2011] 6,739円
フランス情報では、このワインの2012年ものが58.80ユーロとなっていました。日本円にして8,000円くらい。日本にいるときにフランスワインを買うことがよくあるのですが、安いワインだとやたらに高くて、フランスで高いワインだと日本と同じか、かえって安くなっているので不思議...。
生産者の名前はNicolas Joly(ニコラ・ジョリー)。7ヘクタールのブドウ畑でビオダイナミック農法をしているのだそう。ただ者ではないようですね。
The Wine Magician
日本語で本も出していました。
発行は2004年ですね。本は売っていたのですが、ドメーヌのサイトでも紹介されていました。こちらのページから、ダウンロードできてしまいます。120ページもあるので全文ではないでしょうか。
☆ PDF版ダウンロードはこちら:
ところで、サヴニエールのワインは、ブドウの品種はChenin(シェナン)を使うことになっていました。貴腐化する事でも知られるとのこと。
南アフリカでもよく使われるブドウの品種だと書いてあるので、本当なのか確認してみました:
☆ シュナンをキーワードにして楽天市場で検索
確かに、フランスの次には南アフリカのワインが多いですね。
◆ ブルゴーニュ地方で生産されてもロワールワインになる地域がある
レストランでは日常は家で飲まないワインを飲みたいので、ロワールワインを選ぶことがあります。安心して選ぶのは、ドゥ・ラ・ドゥセットというドメーヌのプイィ・フュメ。当たりはずれはなくて、いつも美味しいと感じます。とても飲み心地が良いのです。
ドゥ・ラドゥセット プイィ・フュメ”ドゥ・ラドセット”【2013】【白ワイン】750ml de Ladoucette |
☆ ラドゥセットのプイィ・フュメを楽天市場で検索
ロワールのワインと思って飲むのですけれど、行政区分ではブルゴーニュ地方のニエーヴル県にあるので、ひょっとしたらブルゴーニュワインの仲間に入っていたかも知れない土地。それで好きなのかな?... でも、ブドウの品種はソービニヨン・ブランで、ブルゴーニュワインではお目にかからない味です。
このドメーヌは何処にあるのか調べてみたら、プイィ・シュル・ロワール (Pouilly-sur-Loire) という村にありました。ドメーヌは立派そうなお城。見学ができるようなので、いつか行ってみたいな...。
◆ オーヴェルニュ地方のワインも、ロワールワインに分類されていた
ブルゴーニュ地方の一部もロワールワインに入っているというのは知っていたのですが、今回ロワールワインの地図を眺めて驚いたのは、オーヴェルニュ地方も入っていたことでした。
下の地図で、右下の肌色の部分です。
Côtes-d'auvergne
オーヴェルニュ地方まで入れてしまうのはワイン産地として広げ過ぎだと思うけれどな...。ここのワインこそ、ペニーブルと言いたくなるのがよくあるのです。
ブドウの品種は何なのかと調べてみたら、ガメー、ピノ・ノワール、シャルドネーが多く使われているのだそう。そうしたら、ブルゴーニュと同じではないですか?! ワインの産地分けがいつ頃行われたのか知りませんが、ブルゴーニュではお隣のボージョレーまでは入れたけれど、オーヴェルニュが入りたいと言ってウイとは言わなかったのではないかな?...
オーヴェルニュ地方のワインがロワールワインに区分されてしまったのが腑に落ちなかったのですが、地図を眺めたら、ここはロワール川の流域と言える場所にあったのでした。

ロワール川(Loire)はフランスで最も長い河川で、全長は1,006キロ。
ロワール河流域と呼べる地域は11.7万km2の広さがあり、それはフランスの総面積の5分の1に相当するのだそうです。それをワイン産地の区分にしてしまったら、ずいぶん広くなってしまうではないですか?...
続き:
★ フランスで一番長いロワール川の不思議
★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地
ブログ内リンク:
★ アロマ・カーヴとワインの試飲 2012/10/02
★ プイィ・フュメはブルゴーニュのワインだけれど、ロワールのワイン 2012/10/03
★ おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ ソムリエ 講座【008 ワインテイスティングの面白い表現用語】
☆ Le Figaro Vin: Chenin | Coulée de Serrant Savennières
☆ シュナン・ブランの特徴
☆ Vignoble de La Coulée de Serrant
☆ Vins Val de Loire - Savennières
☆ Domaine de Ladoucette
☆ Vin-Vigne.com: Vignoble de la Loire / Vins de la Loire
フランスのお酒 (ワインなど) |
その人の奥さんと私はとても親しかったのですが、彼女は亡くなってしまっていたのですが、彼は再婚したと聞いたのです。そのことを私は悪く思っているわけではないと表示しておきたかったのが再会の第一目的。だって、いつまでも悲しんでいたら、天国にいる奥さんだって辛いと思う。
それと、彼はもう80代半ばのなので、遅すぎる前に会っておくべきだと思ったのでした。
その15
目次パリに行くので会いたいと連絡すると、都合の良い日を知らせてきました。
フランス人が人と会うというときは、食事を一緒にするというのが普通のパターン。それで、彼の家に近いところにあるレストランで一緒に夕食をとることになりました。
アルザス料理と韓国料理とどちらが良いか聞くので、どちらでも良いと答えました。私となら和食レストランに行くことを提案される確率が高いだろうと思っていたのに意外な提案。たぶん、パリの日本料理店には奥さんとよく一緒に行っていたので、それを思い出してしまうような和食は食べないことにしたのではないかな?...
奥さんの話しが出たらどうしようかと少し不安だったのですが、共通の友人も一緒だったので安心。
結局、アルザス料理の店で待ち合わせをしました。パリでアルザス料理を食べるというのも奇妙ですが、気にしない。彼は行きつけのレストランのようで、店のマダムは親戚みたいに親しげな挨拶をしていました。
全員がシュークルートを注文。日本ではドイツ式に「ザワークラウト」と言うべきかもしれません。
◆ アルザス料理にロワールの赤ワインという組み合わせ?
アルザスの郷土料理であるシュークルーとは、かなりボリュームのある料理です。そんなのを高齢の友達が食べるのかと思ったのですが、さすがにワインは軽いのにすると言って選んでいました。
昔から美食家だった友達なのですが、ブルゴーニュワインは避けるようになったのだそう。いつも飲んでいるロワールの赤ワインを選んでいました。
私はシュークルートいったら白ワインでないと気持ち悪いし、いきなり赤ワインを飲むというのにも抵抗がある。それで、とりあえず白のグラスワインを注文しました。
グラス1杯なので、すぐになくなってしまう。それで、みんなが飲んでいる赤ワインを注いでもらいました。まずいのではないかと疑っていたのですが、かなり美味しいのでした。シュークルートと合わせても意外に合う。
いつもブルゴーニュワインばかり飲んでいるので、ロワールのワインは私には珍しいのです。日本にいるときに飲むには良いかなと思ってマークしておくことにしました。
銘柄を忘れるだろうと思って写真を撮っておいて良かった。やっぱり忘れているのでした!

日本にいるときに買ってみようかなと思ったのは、おそらくブルゴーニュワインより安いだろうと思ったから。裏側もちゃんと撮影していました。

フランスでこのワインを売っている情報がありました。これみたいです。
私が飲んだのは、こういうワインだったことになる:
Saumur Champigny Beauregard 2011年
Baron Briare
AOC Saumur Champigny
cépages: Cabernet franc
ブドウを栽培して作っているというのではなくて、ネゴシアンのワインのようでした。
◆ Saumur Champigny (ソミュール・シャンピニー)
ロワールのAOCワインで、ソミュール・シャンピニーでした。聞いたことがなかった名前。
日本でも売られていますね:
☆ 「ソミュール・シャンピニー」を楽天市場で検索
下のワイナリーのものが日本には最も入っていると感じました:
アリアンス・ロワール トゥフォー・ソミュール・シャンピニー 750ml×1本
日本には多くは入っていないらしくて、「こういうワインだそうです」とリンクすれば済むような詳しい情報は出て来ませんでした。
それでフランス語サイトで探してみる。
ソミュール・シャンピニーに関する情報では、あちこちのサイトで下の絵が入っていました。

15世紀に作られた『ベリー公のいとも豪華なる時祷書(Les Très Riches Heures du duc de Berry)』に入っている絵です。これに入っているカレンダーの1月の絵をブログのプロフィールの写真に使っているのですが、これは9月の絵。城の前でブドウを収穫している風景が描かれています。
とても好きな絵なので、このワインに親しみを持ってしまいました。
この9月の絵に描かれているのはスミュール城(Château de Saumur)なのでした。それでAOCソミュール・シャンピニーのイメージに使っていたらしい。この銘柄のワインになるブドウ畑は、SaumurとMontsoreauの間にあるのだそう。
私が気にすることもないのですが、ソミュール・シャンピニーが作られるブドウ畑とソミュール城の位置を確認してみました(この地域のブドウ畑地図)。
絵に描かれているブドウ畑の場所は、このワインになる位置のように見えましたが、分かりません。
AOCソミュール・シャンピニーの規制では、アルコール度は最低10.5 %で、最高12.5 %となっていました。
高齢の友達が、ブルゴーニュワインより飲みやすいからと言って選んでいたので、このワインはアルコール度が低いのだろうと思ったのですが、特に低いというわけでもないような...。
でも、アルコール度などは余り気にしたことがないので、ブルゴーニュの赤ワインの場合はどのくらいなのか見てみました。
私が軽い赤ワインを飲むといったらガメ種のブドウで作るボージョレーのクリュなのですが、ボージョレーの規制は9.5度~12.5度なのだそう。
本格的なブルゴーニュの赤ワインで軽いのといったら、ピノ・ノワール種のジュヴレ・シャンベルタンを思い浮かべます。こちらは、ヴィラージュで10.5度~13.5度で、プルミエ・クリュのランクで11度~14度となっていました。
結局のところ、ワインのアルコール度というのは大して差がないものなのかな...。でも、ジュヴレ・シャンベルタンも寝かせておくと15度から16度になると書いてありました。
友達がブルゴーニュワインより飲みやすいと言っていたのは、品種によるのだろうか?
◆ Cabernet franc(カベルネ・フラン)という品種
ソミュール・シャンピニーは、カベルネ・フランというブドウの品種で、これも聞いたことがない名前でした。
カベルネ(cabernet)というブドウの品種は私でも知っていますが、それについている名前が奇妙。
片仮名で「フラン」の文字を見ると、白を意味する「ブラン」の間違いじゃないかと思ってしまう。でも、赤ワインの品種なのだからブランだったら変ですよね...。
フランス語で「franc」の文字を見ると、ひと昔前のフランスの通貨はフランで、綴りも同じだ... などと考えてしまう。
カベルネ・フランという品種は、こういうブドウなのだそうです。
ブドウの写真を見ても、どんなものなのか想像できないので、もう少し調べてみました。
この品種はfamille des Carmenetsだと書いてある。carmenet(カムネ)のファミリー? これまたcabernet(カベルネ)と紛らわしい名前...。
そのファミリーに入っている品種は次のものが並んでいました:
- Arrouya
- Cabernet franc
- Cabernet sauvignon
- Carménère
- Castets
- Fer servadou
- Merlot
- Merlot blanc
- Petit verdot
- Saint Macaire
そもそも、このブドウ品種のファミリー(属)という分類がよく分からない。
私に馴染みがあるブルゴーニュワインの品種はどのファミリーに入っているのかと調べたら、なんと、赤ワイン用のピノ・ノワールも、白ワイン用のシャルドネも、Noiriensという同じファミリーに分類されていたのです。
ブドウの品種って、普通は赤ワイン用と白ワイン用で分けるではないですか?!
これはVitis vinifera(ヨーロッパブドウ)の分類らしい。
ブドウの品種は、大きく分類するとアメリカ種とヨーロッパ種に分けられる。アメリカ種としてはデラウェア、キャンベルなどがあって、おもに果物として食べるブドウとして栽培される。
ワインに使われているのは、ヨーロッパ種が主になっているのだそう。私がいるブルゴーニュ地方ではワインにするためのブドウの木しか見たことがないのですが、ブドウの実をそのまま食べても結構おいしいのです。ただし、実が小さいので果物として食べるのには余り向きませんが。
Carmenet属(Famille des Carmenets)は、スペインのバスク地方にあった品種で、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼者たちによってフランス南西部に渡ってきたという学説があるのだそう。そういう話しを聞くと、なんとなく興味を感じてきます。
ちなみにソミュール・シャンピニーの生産者組合のサイトでは、17世紀にGuyenne(ギュイエンヌ)からカベルネ・ブランを持ち込んで植えたと書いてありました。
カベルネ・フランは、よく知られているカベルネ・ソーヴィニョンに比べて、香りがよくて、寝かせておくこともできるというので優れている、という記述がありました。髙く評価する人たちもいるようです。確かに、ロワールの赤ワインにしては美味しいと思ったのです。
カベルネ・フランのブドウ畑は、世界で45,000ヘクタールあるけれど、その8割はフランスで栽培されている。その半分くらいはボルドーワインの産地にあって、その次に多いのがロワールワインの産地。
ところが日本でも栽培されているのだというので驚きました。Wikipediaには、カベルネ・ソーヴィニョンに比べて高温多湿に比較的強いために、山梨県を中心に、この品種を導入しているブドウ園がいくつかある、と書いてある。
本当なのかと探してみたら、山梨でカベルネ・フランのブドウから作っているワインが見つかりました。
【リムーザン大樽熟成の魅力!ミディアム赤】シャトーシャルマン 尾白カベルネフラン無濾過 |
◆ ソミュール・シャンピニーのブドウ畑はどんなところ?
ブルゴーニュにいるときにワインを買うのは、生産者のところに行って試飲してから買っています。どんな畑なのか、どんな人が作っているのか分からないワインはつまらないのですよね。
それで、このソミュール・シャンピニーができるブドウ畑の様子くらいは見たいと思って動画を探してみました。
生産者連盟が作ったらしいものが出てきました。
Présentation de l'appellation Saumur Champigny
ワインのPRをするなら、どうしてもうちょっと楽しくなるような話し方ができなかったのかな?... これを聞いて、飲んでみたい~♪ という感じにはならないですよ。色々と良いワインなのだと並べているのですけど...。
プロのナレーターを雇ってPRビデオを作れなかったの? ソミュール・シャンピニーというワインは生産量が少なくて、宣伝費はかけられないからなのかな?...
再び情報に戻って生産量を見ると、年間83,000ヘクトリットルと書いてありました。さっき比べたジュブレ・シャンベルタンは17,730ヘクトリットルなので、その5倍近い生産量。そうしたら小規模すぎる生産組合ということにはならないはずではないですか?...
この地域の人たちは楽しくないと感じたときのことを思い出しました。
仕事で3週間滞在したことがあるのです。ブルゴーニュと同じようにワイン産地でもあるのに陽気さがないな... と思ったのでした。この城巡りで有名なロワール河流域地方は、フランスで最も美しいフランス語が話される地方だと言われるのですけど、私は聞き惚れるほど美しくはないと思いました。
何がどうなっているのか分かりませんが、みんなやたらにマジメ。冗談などを言って笑わせてくれることもない。それで、ブルゴーニュに帰りたくてホームシックになってしまったほどだったのです。フランスなのに、私が知っているフランスと違うのでフラストレーションがたまったのだと思いした。
動画のナレーションを聞いたら、あのときのことを思い出してしまった...。
久しぶりにパリで会った友達との夕食は、冗談もたくさん飛び交って楽しかったです。でも、奥さんの話しはひと言もでなかった。たぶん、まだ彼女を失った痛手は癒されていないのだろうと思います。本当に仲の良い二人だったのです...。
高齢になって飲みたいワインというのを知ったのでアペラシオンだけメモしておこうと思って書きだしたのに、長くなってしまいました。
☆ 「ソミュール・シャンピニー」を楽天市場で検索
ロワールワインに興味を持ったので、続きを書きました:
★ ロワールワインの産地が広いので驚いた
そこから話しが発展して、シリーズ記事になっています:
★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地
ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ Wikipedia: Saumur-champigny
☆ Syndicat des Producteurs de Saumur Champigny
☆ Musée des Boissons et de la Sommellerie: AOC Saumur Champigny
☆ Appellation d'Origine Contrôlée SAUMUR-CHAMPIGNY
☆ Saumur-Champigny Wine
☆ Wikipedia: Cabernet franc » カベルネ・フラン
☆ Cabernet Franc Wine Grape Variety Information
☆ 辻調グループ校 コンピトゥム: カベルネ・フラン
☆ カベルネ・フラン(Cabernet Franc)とは?
☆ Wikipédia: Familles de cépages (proles et sorto-types)
☆ Très riches Heures - Septembre
フランスのお酒 (ワインなど) |
暖房を入れたくなるほど寒かったり、猛烈に暑かったりするので、風邪をひかない方が不思議なくらいの天気が続いています、
前回の日記「お花がいっぱいのレストラン」で書いた日は、飛びぬけて暑い日でした。その前に寒かったので、毛穴が全部しまっているという状態なのではないかな。普段は寒がりな私なのに、こういう風に突然やってきた暑さは耐え難い。
◆ ブルギニョンにぶたれると、どうなる?
ブルゴーニュ地方は内陸性気候の典型。冬の寒さはきびしいのだけれど、夏の暑さも凄まじい。
気に入っている表現に、こんなのがあります。
ー Le Bourguignon tape dur.
ブルギニョンは激しく叩く。
ブルギニョンというのは、形容詞なら「ブルゴーニュの」という意味で、ブルゴーニュの郷土料理の名前にも入っていますね。ブッフ・ブルギニョンとか、フォンデュー・ブルギニョンとか。
でも、ここでは名詞なので、普通ならブルゴーニュ人。でも、このフレーズにあるブルギニョンは、ブルゴーニュ地方の太陽のことを言っているのです。
つまり、ブルゴーニュの太陽は猛烈に照りつけてくる、という感じになります。
少し気取った文章を書くときに出てくることがある程度で、そんなに一般化しているフレーズではないのですが、暑いときには正にその感じの太陽なので私は気に入っています。
誰かこのフレーズを初めに使った作家がいたのかなと思って検索したら、19世紀の小説『La Filleule De Lagardère』に、下の文章が入っていました。
N'empêche que le Bourguignon (le soleil) tape dur et que j'ai crânement envie de rincer le bec..
ここで初めて使われたとも思えないのですが、面白い文章。ブルゴーニュの太陽だから、やはり喉が渇くとワインを飲みたくなるのに結びつくというわけかな?...
この日の私たちも、まさにその感じでした。レストランに入ったら、まず白ワインを注文して、すぐに持ってきてくれるように頼みました。実は、その前から脱水症状に近かったので、カフェに入って食前酒代わりにシャブリを飲んでいたのですけど。
◆ 興味を持ったばかりのドメーヌのワインがあった
ワインリストを見ると、1週間前に行ったレストランで飲んで気に入ったブルゴーニュの白ワイン「ブーズロン」のドメーヌの名前がありました。
その時の日記:
★ やたらに美味しいブーズロンに出会う 2015/06/07
迷わず、それを注文することにしました。
お給仕の若い女性に、このジャクソンという苗字のドメーヌのブーズロンが美味しかったので... と話すと、???の反応。「ワインのことはよく知らないので...」と言います。ソムリエさんでもないのだから当然だし、そう言うのは素直で良いですよ。知ったかぶりをするのが一番悪いですから。
このお給仕の女性は、お料理の説明はみごとでした。全部味見をしているのだろうと思ったのでした。
今回選んだのは、ジャクソンのリュリ・プルミエ・クリュの白ワイン。畑の名前はグレジニーで、ミレジムは2012年。

Rully 1er Cru "Grésigny" 2012年
暑い日だったので、濃厚な白ワインは欲しくなかったのでした。さっぱりしているけれど、しっかりとした風味があって、こういうワインが飲みたかった、とずばりと思うワインでした。
やはりこの新しく発見したドメーヌはマークしたくなる。
友人たちとワインの買い付けに行くとき行きたいと言い出そうと思うので、お値段を気にしています。ブルゴーニュの友人たちは、安くて美味しいワインを買おうとするのです。
先日行ったレストランで飲んだブーズロン2012年は、34ユーロでした。今回のリュリ・プルミエ・クリュ2012年は、それよりずっとランクが上なのに、29ユーロ。
このドメーヌは日本にも輸出されているので、日本での販売価格をチェックしてみました。まさかブーズロンよりリュリ・プルミエ・クリュの方が安いということはないだろうと思たのでけれど確かめてみる。
☆ 「ポール ジャクソン」を楽天市場で検索
ジャクソンのリュリ・プルミエ・クリュも日本で売られていました。
やはり、ブーズロンより高いですね。当然だと思います。今回は入ったレストランは、ワインで儲けようというのがないのかな?...
ドメーヌのサイトでも、このワインをチェック。
アロームは桃とアプリコットと書いてある。なるほど。そういう表現が私はできないのですよね...。
この銘柄のワインを作るブドウ畑も、ドメーヌでは古株がある畑になっていました。ブーズロンは1937年に植えられたと書いてありましたが、こちらは1950年。
フランスワインで「ヴィエイユ・ヴィーニュ(古株)」という表記には法律的な規制がなくて、植えてからたった10年でも「ヴィエイユ・ヴィーニュ」として売っていたりするのです。ここはその単語を使っていない。このくらいの古株になると、何年に植えたと書く方が信頼を得られますよね。
フランスのネットショップでもお値段を調べてみました。例えば、こちらでは、こうなっていました。
先日のレストランで飲んだブーズロン2013年は13ユーロ。リュリ・プルミエクリュは、2012年は23ユーロで、2014年のだと17ユーロ。
とりあえず、ワイン買い付け仲間の友達1人に話してみました。すると、「リュリ・プルミエクリュで17ユーロは、ちっと高いな」と言われてしまった...。
ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ ABC de la langue française: bourguignon
☆ BIVB: Rullyリュリィ
☆ Wikipedia: 至点
フランスのお酒 (ワインなど) |
料理の注文はまだなの? とせかされているプレッシャーを感じたのですが、喉が渇いていたのでまずワインを持ってきて欲しい。それからでないと、料理選びなんかする気になりませんでした。手っ取り早くワインリストからブルゴーニュの白ワインを選んで、とりあえずそれを持って来てくださるようにお願いしました。
前回に書いた「ホームメイドであることを強調していたレストラン」の続きです。不満もあった食事なのですが、選んだワインがとても気に入ったので、レストランに対する悪い印象はかなり薄れました。
こういう暑いときには、軽いワインを飲むのが一番。そうでないと、酔いがまわってしまいますから。というわけで選んだのは、これでした。
◆ アリゴテ種のブドウから作ったブーズロン

Bouzeron "Les Cordères"
ブルゴーニュの白ワインでは、アリゴテ種(Aligoté)はシャルドネ―種よりランクが下がると見做されています。食前酒のキールではアリゴテでないといけないのですが、そのきつさがカシスのリキュールの強い甘味を消すからです。でも、AOC/AOPブーズロン (Bouzeron )は、アリゴテ種のブドウから作ったとは思えないほどまろやかなのです。
飲んでみたら、期待を遥かに上回って美味しいのでした♪ まろやかなので食前酒代わりにも飲みやすい。コクがあるので、メイン料理に食べることにしたビーフステーキとも合ってしまいました。
ボトルの裏側には長々と説明が書いてありました。

写真にとっておいたのですが、ピンボケで読みにくいので、ドメーヌのサイト「Domaine Jacqueson」の説明を読みます。
ブーズロン村の近くにあるリュリィ村(Rully)に畑があるようですね。AOC/AOPリュリィも、素晴らしく美味しい白ワインだと思うものに出会っているので好きなアペラシオンにしています。
良いワインができる丘陵地で、1937年に植えられた畑のブドウから作ったワインなのだそう。ここのブドウは「Aligoté doré(金色のアリゴテ」という品種なのだそう。 他のアリゴテ種は「 verts (グリーン)」と呼ぶ。アリゴテ種に2種類あるとは知らなかった。グリーンの品種に比べると収穫量は少ないけれど、甘味が強くて香りもあるとのこと。しかも80年近くも前に植えられたブドウだったとしたら、コクがあるのも当然ですね。
5~8年のオーク材の樽で10カ月寝かせている。他のアリゴテよりバニラの風味が強いとのこと。説明されると、何が違っていたかが見えてきますね。やたらに美味しいブーズロンだと思ったのは、そこら辺の違いかな?...
真面目に、でも気取らずにワインを作っているのが感じられました。いつかドメーヌに行ってみたいと思ったので、インターネットで検索しました。
ラベルに書いてあるドメーヌの名前は「Paul et Marie Jacqueson」。ポールさんが2006年に娘さんのマリーさんに仕事を任せるようになったとのこと。最近、なんだか女性がワイン造りをするのが流行っているな...。
ドメーヌの畑は13ヘクタール。Rullyがほとんどで、他にMercureyと Bouzeronにも畑がある。6割は白ワインで、残りの4割が赤ワイン。ブドウは手摘み。伝統的な醸造方法で、すでてオーク材の樽に寝かせ醸造している(20~25%は新しい樽)。
◆ 輸出が多いドメーヌなのかな?...
この手の高級そうなブルゴーニュワインは、日本にも輸出されているのではないかと思って調べてみました。まず、ドメーヌの名前は片仮名表記で「ポール ジャクソン」らしいので、それで検索。
☆ 「ポール ジャクソン」を楽天市場で検索
やはり出てきました。ドメーヌについて紹介しているネットショップにリンクしておきます。ほめちぎっていますね。
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| タイユヴァンやトゥールダルジャンといった超有名3つ星レストラン御用達 | リュリに所有する 11ha ほどの畑から生まれるワインは、赤・白共に大変人気が高く、英国のワイン誌「デカンター」においてブルゴーニュのトップ 10 の生産者に選出された実力派ドメーヌ |
日本でも手に入ると分かると、ちょっとがっかりする...。第一に、輸出できるワインだと、ドメーヌがワインの価格を高くしていることが多いので楽しくない。ドメーヌのサイトに入っている雑誌掲載のページを見てみると、日本の雑誌にも紹介されていました。
それでも、やはり行ってみる価値はあると思って、お値段を調べてみる。レストランのお値段は34ユーロでした。普通は生産者直売価格の3倍程度のはず。
フランスのサイトでワインの売値を知ろうとするとなかなか出てこないのですが、私が飲んだのと同じミレジムのを12ユーロで売っているサイトがありました。やはり、ブーズロンにしては少し高めかな...。
☆ ブーズロンを楽天市場で検索(安い順に表示)
ところで、私は軽い白ワインを飲むときにはブルゴーニュ南部のマコネ地域で作られるワインと決めています。でも、少しバリエーションを持たせるために、アリゴテ種のブドウから作られるブーズロン (Bouzeron )も開拓したいと思っているアペラシオンです。
ブーズロンがAOCを獲得したのは1997年。私が出会ったのも最近のことでした:
★ 安くておいしいブルゴーニュ白ワイン: ブーズロン 2009/03/05
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ブーズロンというのは「今日は美味しいワインを飲むぞ~」というときに出すようなワインではないので、日常的に飲むには、もっと安い価格でブーズロンを売っているドメーヌで仕入れることにしていました。
レストランで飲むにはお手頃な価格のブルゴーニュワインなので、ド・ヴィレーヌのブーズロンを飲むことが時々ある。
でも、今回出会ったジャクソンのブーズロンの方がド・ヴィレーヌより上かな...、とするとお値段もひょっとしたらド・ヴィレーヌ より高いのではないか...、と思いながら飲んでいたのでした。
日本での売値を比較しても、そうなっていますね...。
どうするかな?... でも、ワインセラーには色々なワインを置いておきたいので、いつかコート・シャロネーズに行く機会があったときにドメーヌに行ってみるか...。リュリィも試飲してみたいし。
ブログ内リンク:
★ 目次: 珍しいアルコール飲料
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ Vins de Bourgogne: Bouzeron ⇒ Bouzeron ブーズロン
フランスのお酒 (ワインなど) |
そこで食事をしたことを書いた前回の日記「貸し切り状態のレストランでランチ」の続きです。
夫婦なのかどうかは知りませんが、男女2人がレストランを経営しています。
こういう小さなレストラン、つまりパティシエというデザート専門の人がいない店だと、デザートがつまらないことが往々にしてあります。でも、ここは凝ったデザートを出します。
この日に私が選んだのは、少し変わったティラミスでした。

これを選んだのは、レモンチェッロという、レモンのリキュール酒を使っていると書いてあったのに惹かれたからでした。
◆ 幻のレモンチェッロ!
「Limoncello」と綴るのですが、レモンチェッロなのか、レモンチェロなのか、はたまたリモンチェッロなのか? カタカナ表記を確認しようと、検索にかけてみました。
☆ Limoncelloを楽天市場で検索
|
右に入れるメーカーのものです。
忘れもしないラベルを変えないでくれていて、ありがとう!
イタリアの美しいアマルフィ海岸にあるRavello(ラヴェッロ)に滞在したとき、ホテルの近くに醸造所があるので、立ち寄ってみたのでした。
レモンチェッロに出会ったのは、この時が初め。
ホテルから坂を下りて行くとき、小さな醸造所があるのが目に止まったのですが、どうせ美味しくないだろうと思って無視して観光していました。
それでも、滞在の最後の日の朝、やはり行ってみておこうかと思って立ち寄ったのでした。
忘れもしない、午前11時ころ。ワインの試飲に行くには良い時間ですが、そんな時間に食後の酒を試飲するなんて~! とは思ったのを思い出します。
甘いリキュール酒はお菓子に使う程度で、そのまま飲むのは好きではない私です。ところが、これはメチャメチャに美味しい!
以来、フランスでも、イタリアでも、イタリア料理を食べるときには、よく食後にレモンチェッロ注文するようにまりました。お腹がいっぱいのときには、デザートの代わりにこれを飲むということもやっています。
イタリアに行ったときはもちろん、フランスのイタリア食品店でもレモンチェッロを探します。ところが、ラヴェッロで試飲して買ったのと同じように気に入るのには出会っていません。あの癖のないレモンの風味がない...。
それでも買って、冷凍庫にはレモンチェッロのボトルと、それを飲むときに使う小さなグラスも入れています。気に入らなくて飲まないボトルが何本もたまってしまったので、最近はレモンのシャーベットを作るときに入れて消化し始めました。ストレートで飲まないのなら、違う~! と憤ることもないので。
あぁ、あのラヴェッロのレモンチェッロ!(ため息) ずっと出会えないでいたのに、日本では売っているのでしたか...。
フランスはイタリアのお隣なのですから、どこかでは売っているはずではないですか? ところが、メーカーの名前で検索しても、イタリア情報しか出てこない...。
この次に帰国したときに買うことにしようと思って、リンクを入れておきました。もしも、日本で買ってフランスに持ってきたら長旅をすることになりますね。イタリア⇒日本⇒フランス。
◆ フィンガービスケットの代わりに、なんと白ナス!
ティラミスにレモンチェッロを入れるのは、考えつくアイディアかもしれない。この日に食べたティラミスで変わっていたのは、中に入っている歯ごたえが少しある食材なのでした。
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私は家でティラミスを作るときには、Biscuits roses de Reims(ビスキュイ・ローズ・ド・ランス)を使うのが好きです。
これが何であるかはブログに書いていました:
★ ランスのピンク色 2010/04/14
ともかく、ティラミスには、水分を吸ったビスケットが入っていますよね。
ところが、この時のティラミスには、歯ごたえが少しあるものが入っていたのでした。
何なのだろうかと取り出してみると、白い物体。
最近は食べた料理の写真を撮るときには、まずお品書きも撮影しておきます。後でどんな料理だったのか忘れたときに便利なので。
料理の名前をデジカメに記録しておくのって、こんな時も役に立つ。お給仕の人を呼んで、ここに入っているのは何ですかと聞かなくても、写真を拾い出して読めば良いのですから。
だいぶ前、白いナスを初めて見たとき、こんな食慾が減退するような姿の野菜なんか、間違っても食べたくないと思ったのでした。
でも、ここに入っていた甘い白ナスは、かなり美味しいので驚きました。
それにしても、ナスをデザートに使うのは珍しいのではないでしょうか?
日本人は野菜が好きだからと、まず日本語で白ナスのレシピを探してみたら、誰もデザートなんか作っていないみたい。
それで、フランス語で検索してみたら、出てきました(こちら)。
薄くスライスした白ナスに粉砂糖をまぶして、100度のオーブンで1時間焼いています。冷めるとカリカリになる。生クリームにトウシキミで香りを付けてホイップし、それに白ナスのお煎餅(?)を添える。バルサミコ酢で皿に模様を描き、バジルのシャーベットを添えています。
なかなか変わっていますね。おいしそう...。
でも、やはり白ナスを買うことはないだろうと思います。なぜだか分からないのですが、私は白い食べ物には嫌悪感をもよおしてしまうのです。白いご飯、豆腐、うどん...。本当に美味しいものでないと、食べる気がしません。
このレストランを発端にしたお話しは続きます:
★ 花椒の若葉も「木の芽」として食べられるのでしょうか?
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★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
★ 総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ
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ブルゴーニュにいると、白ワインはシャルドネ種、赤ワインはピノ・ノワール種に慣れてしまっていて、他の品種のブドウで作ったワインを飲むとワインではないように感じてしまうのに、なぜか気に入りました。
シリーズ記事目次 【フランシュ・コンテへの小旅行(2015年4月)】
目次へ
その9

Trousseau(トゥルソー)という名前がついていました。
この単語は、嫁入り支度一式という意味があります。日本語で「嫁入り道具」というと私はタンスなどを思い浮かべますが、フランスの場合は衣類やランジェリーやリネン、つまり布製品を指すようです。
◆ 「トゥルソー」というセパージュ
ブドウの品種のTrousseau(トゥルソー)は、フランスの中では、ここフランシュ・コンテ地方のジュラ・ワインでしか使われていないようです。ところが、土壌を選ぶし、太陽がないとだめなので、ジュラ・ワインが作られるブドウ畑の中では全体の5%しか占めていないという珍しいワインなのだそう。
Trousseau N (N pour noir)
☆ 「トゥルソー」を楽天市場で検索
フルーティーで心地よい赤ワイン。夏にはロゼワインを飲むことが多いのですが、こういう軽い赤ワインだと、ロゼの代わりに適していると思いました。というか、ロゼを飲むより口当たりが良い。今回の旅行中に、夏のために買って帰りたいと思いました。
◆ 気に入ったワインがあった教会
翌日の昼食で入ったレストランの料理は最悪。パリを旅行しているときは、こういうレストランに出会う確立が高いですが、田舎でやられると不快感は高まります。
そのときのことを書いたのは、こちら:
★ 久しぶりに不味い料理をレストランで食べてしまった 2015/04/22
食事がおいしくないと、不機嫌になる。本当は、もう1泊するつもりだったのですが、夕方になると家に帰りたくなりました。旅行をしていた仲間も同じ気分になっていたので、帰ろうということに意見は一致。
上に書いたトゥルソーのワインを買いかったのにな... と思った私...。
最後の見学として、立ち寄った町にある変わったワインセラーに入ってみることにしたのですが、そこにはないだろうな... とは思いました。
18世紀に建てられた教会をワイナリーが所有していて、そこが試飲所になっていました。

Caveau des Jacobins, Poligny
教会がワインの試飲所になっているところには以前にも何カ所か行っていますが、ここの教会は大きい。
ここはポリニーにあるジャコバン修道院の教会だった建物なのでした。ワインセラーの名前もジャコバン。フランス革命のときに、ここでも修道僧は追い出され、教会も没収されて、1812年まで火薬庫として使われたそうです。その後は穀物倉庫。
修道院の方はジュラ県の副県庁の建物として使われていましたが、1934年に取り壊されて、その跡地には高校が建っているのだそうです。
Coopérative Viticole de Poligny et lycée hôtelier
左にある入り口からワイナリーに入ります。その隣の立派な建物が高校でしたか。気がつかなかった。
ワインを売っている人がいましたが、そんな歴史は語ってくれなかったので、これを書きながら調べてみた歴史です。
野蛮な革命がなかったら、フランスにはイタリアのようにたくさんの郷土資産が残されたのに...。フランス革命は貴族と聖職者から富を奪おうとしたブルジョワ革命でしたが、トマ・ピケティも講義の中で、富の集中度はフランス革命前と後では全く同じだと言っていたのが興味深かったです。昔に富を持っていた階層は少なくとも素晴らしい芸術を残しましたが、今の富裕層は何を残してくれるのだろう?...
それにしても、この教会の老朽化している状態には心が傷んでしまって(写真は、こちらでご覧ください)、歩き回って見学する気にもなりませんでした。
こんな大きな教会を修復するには膨大な費用がかかるでしょうから、ワイナリーを責める気にはなりませんが...。この教会を修復しようというボランティア団体もあるようですが、この状態になっていると難しいでしょうね...。
ともかく、ワインセラーに入ったからにはワインのことを話さなければいけない。レストランで飲んだ赤ワインがおいしかったので、それを置いているか聞いてみました。
欲しいのは、レストランで飲んだトゥルソー。でも、そのときはコート・デュ・ジュラのトゥルソーだったか、アルボワのトゥルソーだっかか記憶が曖昧になっていました。デジカメに入っているレストランで撮った写真を探し出して、これが欲しいのだと告げました。
ラベルを見た女性は、「これはウチのです!」と嬉しそうにおっしゃる。
しかも、6本買うと1本おまけというプロモーションをしているワインなのでした。オマケの分を入れると、1本7.5ユーロになります。つまり1本1,000円くらい。そのくらいの値段だろうなと思っていたので、少し購入しました。
気に入ったからと言って、たくさん仕入れたくなるほどではなかったのです。やっぱり、フランスにいるときはブルゴーニュを飲みたいのだな...。
ブログ内リンク:
★ フランスには、ワインの試飲ができる教会がある?! 2006/06/14
★ 目次: 珍しいアルコール飲料
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
外部リンク:
☆ Vins du Jura: Cépages
☆ Wikipédia: Trousseau
☆ Eglise du couvent des Jacobins à Poligny (Jura)
☆ Wikipédia: Couvent des Jacobins de Poligny
フランスのお酒 (ワインなど) |
最近のブルゴーニュでは、昔のような陽気な雰囲気はなくなったと言われるし、労働者の保護でトラクターに人を乗せて運搬できないために農家が手配したレンタカーのミニバスがブドウ畑に並んでいるので、少し風情がありません。それでも、やはりブドウ収穫は陽気な雰囲気があります。
この日、もう大半の畑ではブドウ収穫が終わっていたようなのですが、ちらほらと収穫の人たちが入っている畑が見えました。もう午後5時近くなっています。今のうちに1つくらい見ておかないと...。この時期にブルゴーニュにはいない年もあるのだから、今年は見ておきたい!
◆ ブドウの収穫を見学
ボーヌ市の近くで、働いている人たちがいる畑が見えました。道路から少し坂をあがったところなのですが、歩いていく。
たいてい、監督みたいに立っているだけなのでおしゃべりをしてくれる人がいます。近づいていって、ブドウの収穫を見るのが好きでたまらないという顔をして、写真をとりたいのだと挨拶。
ブルゴーニュの伝統には、ブドウ収穫は楽しくやらなければならないというのがあるので、働いている人たちに「楽しそうにやれよ~。笑顔を見せて~」なんて声をかけてくれます。
でも、自然に働いている姿で良いのですけど...。
ブドウ畑は、朝日が昇る方向に勾配があるのが良い畑の条件です。この日、ブドウの収穫は勾配の下から登っていきながらブドウを摘んでいくのだと教えてもらいました。
へぇ、坂を上るのは大変じゃない?!
でも、屈んでブドウを摘むとき、頭が勾配の下に向いていたら疲れてたまらないのだと言われました。なるほど...。
それに、ブドウの収穫では一番の重労働が、みんなが収穫したブドウを集めて運ぶ係りの人。この人は坂の下に向けて歩いていくのだそう。重いものを運ぶには坂を下る方が楽。なるほど...。
このときのチームには、ラグビー選手のような体格の良い男性がいました。重い背負子もなんのその。坂の下の集積所までは、ほとんど駆け足。重いものに押されて、知らずと走って坂をくだってしまうからなのかもしれませんが。
◆ ブドウの古木が美しすぎる!
この日、ここに来るまでに、まだ収穫が終わていない畑になっているブドウを見ていました。もともとピノ・ノワールは小さな実なのですけれど、ここの畑のブドウは元気いっぱいに育っていました。もっと、超高級ワインができる畑のブドウより生き生きして見えました。
見事な古木です。
年数のたったブドウの木を「vieille vigne」と呼んで、ワインのラベルにも表記しているのですが、何年たったらそう呼べるのかははっきりしていないようです。ヴィエイユ・ヴィーニュと言われると50年くらいたっているのかと思ってしまうのですが、20年くらいでもそう呼ぶドメーヌがあるのだそう。
8月が寒かった今年なのに、9月の始めにブドウの収穫をしてしまったら早すぎるのではないかと思っていたのですが、もう紅葉も始まっていました。
絵に描いたようなブドウの木たち。作業する人たちの写真をとるのはそっちのけにして、ブドウの木の写真を撮るのに夢中になりました。
◆ オート・コート・ド・ボーヌになる畑?
どのアペラシオンになるのか聞くのを忘れていたので、ブドウを摘んでいた男性に聞いてみました。
ワインについては意識していなかったらしい。そばで働いている人に聞いてくれたら、オート・コート・ド・ボーヌだとのこと。
ブルゴーニュワインで、「オート・コート」と付く名前のアペラシオンになるブドウの畑は、かなり高い場所にあります。「オート」とは「高い」という意味ですので。まっ平らな畑では良いワインはできなくて、ある程度の勾配がある畑が最も良い。でも、そこからさらに上に上ってしまうと、これまたランクの下がる。
私は方向音痴なので、何度行っても覚えないのですが、「オート・コート」というアペラシオンは、もっと高地にあるように感じていました。ブドウ畑が続くところから登っていって、ブドウ畑がなくなって森に入り、そこから開けたところにブドウ畑がある、というのが私の「オート・コート」というワイン生産地のイメージだったのですけど。
高級ワインを作るところでは、ブドウを積み重ねてつぶさないように箱に入れて重ねるのですが、ここではしていない。なので、そんなに高級ワインになるブドウだとは思ってはいませんでした。
でも、ブドウは見事なので、もっと上のランクのワインを作れる畑に見えたのですけど...。
挨拶をしてブドウ畑を離れると、遥か向こうに見えるようになったブドウ畑の中央にみんなが集まってワインを飲んでいました。1日のお仕事の終わりでしょうかね。明日には作業を終えたいと話していました。
健康そうに育っていたブドウ。美味しいワインを作っているはずだと思ったのに、ドメーヌの名前を聞くのを忘れてしまっていました!...
どこの畑だったのかを地図で探してみることにしました。
最近は、旅行したときに、新しい場所に入るたびにiPhoneで1枚か2枚写真をとることにしています。そうすると、GPS情報が入った写真になるので、後で場所を忘れたときに確認できます。間違った情報が入ってしまうこともあるので、複数写真をとった方が良い。
このときも写真を撮っていたのですが、そのGPS情報によると、ここはCorgoloin村となっていました。とすると、オート・コート・ド・ニュイのブドウ畑のはずなのです(地図はこちら)。オート・コート・ド・ボーヌとはほとんど境界線にある場所なので、はっきり分からない。
どっちが正しいのかな?... 季節労働者はドメーヌが持っている色々な畑で収穫するでしょうから、今いる畑がどんなアペラシオンになるのかなんて気にしていない可能性もある。でも、言われたことを信じましょう!
収穫チームの中にはドメーヌの人もいたはずですから、そういう人に聞けば良かった。でも、「オート・コート」の「ボーヌ」か「ニュイ」かはどうでも良い。どこのドメーヌかを聞くべきだった。美しいブドウ畑を見て、すっかり気に入ってしまったので、この畑のブドウで作るワインを飲んでみたかったのです...。
◆ 日本でフランスワインを買うとき
日本にいるときにワインを買うときには、「オート・コート」ものにすることがよくあります。やはりブルゴーニュワインを飲みたいけれど、こちらで飲んでいるようなワインは高くて手が出ない。ご馳走を食べるときに出す特別なワインなんていうのは、全く問題外。
1年間も日本に滞在するとなったら、無理をしてブルゴーニュの高いワインを買うでしょうけれど、少しの我慢とあきらめる。それで、ボーヌ市に近いオート・コート・ド・ボーヌか、ニュイ・サンジョルジュ市に近いオート・コート・ド・ボーヌになるわけです。
安いブルゴーニュワインというと「ブルゴーニュ」や「パストゥグラン」があるのですが、そこまでは落としたくないのだな...。フランスにいるときに買うということは皆無ですから。
☆ オート・コート・ド・ボーヌを楽天市場で検索
☆ オート・コート・ド・ニュイを楽天市場で検索
信頼できるような生産者がブドウ栽培からワイン醸造までしているドメーヌのものを選びます。たまに、かなり安くて、それなのにブルゴーニュで飲むのと同じだと喜ぶものに出会えたりします。
これを書きながら、このくらいのお値段だったら良いな、というワインを発見。
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ・ルージュ[2011]年・オーク樽熟成・ドメーヌ・ベルジェレ元詰 |
つい最近、日本の友達に注文する6本のワインをどれにしたら良いかとアドバイスを求められ、安いのが良いのではないかと思い、どうせ私が飲むわけではないのだからと、ボルドーのワインセットを選んであげたのですが、こんなのを推薦してあげれば良かったな... 。
ブルゴーニュにいるときには、試飲しないでワインを買うなんてことはまずないのですが、日本でワインを買うときには、イチかバチかになります!
ブログ内リンク:
★ オート・コート・ド・ニュイのブドウ畑を眺める 2013/04/22
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ Hautes Côtes AOC Bourgogne /Hautes Cotes de Nuits et Hautes Cotes de Beaune
フランスのお酒 (ワインなど) |
Champagne ! : Histoire inattendue |
暴動から百年ということでオーブ県の各地でイベントが行われたのですが、そのときに講演をした人の中に歴史家がいたので調べてみたら、『シャンパーニュ! 意外な歴史』と題された本を出版していました。
地理的な問題や歴史に関する著作があるブルゴーニュ大学教授なので、シャンパン/シャンパーニュの問題は大きな研究テーマになるくらい奥深いものがあるのだろうと思います。
私の浅い探究は、いいかげんに終わりにしなければならないので、先を急ぎます。
◆ ガメ種のブドウがいけなかった
害虫フィロキセラがフランスのブドウ畑に壊滅的な被害を与えたあと、シャンパンの産地でもブドウを植えかえました。マルヌ県ではピノ種とシャルドネ種のブドウを植えていましたが、オーブ県で植えられたのは育てやすいガメ種(Gamay)でした。
オーブ県では誰か、ワイン産業を立ち直らせるにガメを植えることを思いついた人がいたのかもしれません。それで県内のワイン産業が成功をおさめていたら、その人はオーブのブドウ栽培者たちを救った英雄になれるところでした。でも、そのアイディアは、結局はブドウ栽培者たちをを苦しめることになってしまった...。
1911年にブドウ栽培者たちは暴動をおこしてから16年後、ようやくオーブ県は正式にシャンパン産地として認めてもうことができました。 現在では、この地域の畑はコート・デ・バール地区となっています。
晴れて収穫したブドウからシャンパンを作って売ることもできるようになったのですが、厳しい条件を言い渡されます。
シャンパン用のワインにするなら、ガメ種のブドウは徐々にやめて、マルヌ県と同じようにピノを植えること!
害虫フィロキセラにやられたブドウを植え直して(シャンパーニュ地方に害が出たのは1890年頃)、ようやく新しい株からブドウが収穫できるようになったのに、また植え替えをしなければならないことになったのです。
15年の期限でガメ種がすっかりなくなるようにとのことでしたが、それは1960年まで、とことに延期されています。
前回の日記「シャンパンにできるブドウの品種は7種類」に、シャンパンを作れると認可されているブドウの品種を書きました。現在のオーブ県は、ランス周辺地域と同じように、ピノ・ノワール種が圧倒的に多く植えられています。忠実に言われたことを守ったのですね...。
ただし、植え替えには苦難を伴ったようです。フィノキセラから立ち直りそうになったときの不作が続いた時代、もう失うものは何もないという覚悟で貧しさの中から暴動をおこしたのですから、ブドウの苗を買う資金にも困っただろうと想像します。
1960年頃まで、次々とブドウ栽培をやめる人が出たのだそうです。それはそうですよ。めげますよ...。ようやくブドウの実がつき、生活を支えられるという希望が見えてきたとき、株を引き抜けと言われたわけですから。余りにも辛かっただろうと思う...。
1970年代になって、ようやくブドウ畑が増えてきました。でも、 暴動がおきた当時のオーブ県内のブドウ畑は2万ヘクタールもあったのに、現在では8,000ヘクタールに減っています。
それでも、今のオーブ県にとって、ワイン産業は大きな位置を占めています。頑張った甲斐があったというわけです。
◆ ガメは高貴なブドウの品種ではない?
ガメ種という、私にはなじみのあるブドウの品種が出てきました。 それがシャンパンになっていた時期があったとは想像もしていなかった...。
ガメ種はのブドウは、ボージョレーワインになる品種として知られています。 ブルゴーニュ南部でも多く栽培されているし、安いブルゴーニュワインにはピノ・ノワールとガメをブレンドしたものがあります。
つまり、ガメ種は高貴なワインになる品種のイメージはないのです。
ボージョレーが売上を測るために「ボージョレー・ヌーボー」を売り出したのは、素晴らしいアイディアだったと思います。ワインを余り知らない日本人から、「フランスワイン、知っている」と言われるとき、たいていシャブリとボージョレー・ヌーヴォーをあげてきます。
ボージョレーが偉大なワインだと思っているような言い方をされると、キョトンとしてしまいます。でも、それほど成功できているのだ、とも感心しますが。
ガメ種のワインと、気取ったシャンパンの組み合わせというのは、私は違和感を感じました。ガメでは許可できないと言われたのは無理なかった、と思いました。
でも、そうなんだろうか? ガメでシャンパンを作るとおいしくないのかどうか、私には分りません。従って、ガメ種を栽培しているからシャンパンの産地に入れないと言うのが、あてつけなのか、本当にシャンパンの味を下げてしまうから言っていたのかも判断しかねます。
YouTubeに入っていたオーブ県の人がブドウ栽培者の暴動について語りながら、こう言っている場面がありました。
「もしも、あの時、ガメでも良いことになっていたら、ガメで、こんなにおいしいシャンパンができますよ、と言えたのに...」
◆ 高貴なブドウの品種でなくても、美味しいワインはつくれる
ガメがダメと聞いて、ガメで驚くほど美味しいワインをつくっている農家があったのを思いだしました。もう何年も買いに行っていなかった...。
ブルゴーニュ南部、マコネ―と呼ばれるワイン産地の農家です。 もちろん無農薬。小さな区画も、別々の樽に入れて醸造するという、すごいこだわり。
右に入れた美しいラベルの白ワインです。
ラベルを変えないでくれたのですね。懐かしいな...。
ここのワインは買いたいと思ってドメーヌに行ったのですが、色々と試飲した中で、ガメの赤ワインが美味しいのには特に驚きました。
次に行ったときには、3つ星レストランで評価して入れてくれるようになったと聞きました。
そういうところで入れたがるワインですね。「これが本当にガメ?!」と驚かせるのには、もってこいの興味深いワインですから。
遠くから来た招待客に飲ませて、この辺りでも凄いワインができるのですよと言える絶好のワインですから、幾ら高くても注文する人がいると思う。
それからお値段がどんどん高くなっていると感じたので、しばらく買いに行っていませんでした。
初めてドメーヌを訪問したときの写真が出てきました。何年前だったかな。デジカメ前なので、撮影した年が分かりません。
兄弟で小さなドメールを経営していますが、お相手をしてくれたのは、まだ結婚していない若者時代の彼。今では、自分でボトル詰めするなんてことはしていないでしょうね。
ワインの味を上手に表現できない私なので、このドメーヌのガメの赤ワインの素晴らしさを書いていらっしゃるブログをリンクさせていただきます:
☆ Macon-Cruzille "Beaumont"2005 Guillot-Broux
ギヨ・ブルーというドメーヌなのですが、今みたら日本にずい分入っているみたいです。ずっと前に探したときは2種類くらいしかなかったと思うのですが。
どんなドメーヌなのかを紹介していたショップのリンクを入れます。しばらく行っていないけれど、相変わらず頑張っているらしいのが嬉しいので。
☆ ドメーヌ設立以前から有機栽培の歴史をもつ生産者ドメーヌ ギヨ・ブルー ブルゴーニュ・ルージュ [2011]
☆ マコン・クリュジーユ・“レ・ジュヌヴリエール”[2008]年・ドメーヌ・ギヨ・ブルー元詰・オーク樽・限定品
どうしちゃったの? 安すぎるくらいの値段で売っています。 ブルゴーニュの高級ワイン産地と同じくらい高い、と記憶しているのだけれど...。1年前から予約して、やっと1ケースわけてもらえるようなワインが高いだけだったのかな...。あるいは、3つ星レストランなどに売れるようになったので、おごり高ぶって値上げするだろう、と私が勝手に想像しただけだったかもしれない。
ビオのマークを付けるようになったのですね。私が行っていたころは、有機栽培だけれどABマークをレッテルにはつけないのだと言っていたのだけれど。
去年、ギヨ・ブルーをお気に入りにしている友達が買い付けに行くからと誘われたのに行かなかったのは残念。この次誘われたら行こうっと。
リンクを入れておきます。日本で買うときは試飲して飲めるわけではないので、飲んだことがあるワインを探したくなる私なので、見つけたときにはメモすることにしたのでした。
☆ ギヨ・ブルーのワインを楽天市場で検索
このドメーヌを思い出したのは、ガメの赤ワインのことだけではなくて、ロゼが今まで飲んだロゼの中で最高だと思うほど素晴らしくて、そのくせ驚異的に安かったからでもありました。ロゼは日本に入っていないみたいなので残念。もう作っていないのかとドメーヌのサイトを見たら、ロゼはセニエ方式で作っていると説明して売っていました。
ガメ種のワインはピノ・ノワールより下がるというのは偏見だ、と思った出会いでした。
オーブ県のブドウ栽培者たちが作っているガメ種のブドウではシャンパンの仲間に入れないというのは、その真偽は別にしても、彼らを排斥する効果はあったでしょうね。 オーブ県はシャンパーニュ地方ではなくてブルゴーニュ地方だ、などというのより、説得力がありますから。
でも、私はブルゴーニュにいるからピノ・ノワールとシャルドネを上にランクするだけのこと。シャンパンできると認められているブドウの品種は、この2つのほかに5種類あります。私は知らない品種ばかりですが、別に高貴なワインになるというイメージは全くないありません。だから、なぜガメだけ落とされたのか分からない...。というか、やっぱりマルヌの嫌がらせではないかと思ってしまう。
それに、ここまで書きながら思い出しました。この夏、シャンパンを作っている農家に行ったとき、シャンパンの規制はそんなに大らかなのかと驚くことを聞いて仰天していた私なのです。
つづく...
内部リンク:
★ シリーズ記事目次: プレ・フィロキセラのブドウ畑 2011/07/31
★ おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18
【ボージョレーワインについて】
★ ボージョレー・ヌーヴォーのアイディアはすごい! 2005/06/07
★ ワインの醸造法は進歩したと言えるのだろうか?... 2013/07/24
★ 葡萄ジャムからワインを作るなどという醸造法があったの?! 2011/07/28 ガメは暑さに弱いことについて
外部リンク:
☆ A.O.C. Champagne : Définition et loi
フランスのお酒 (ワインなど) |
でも、私も帰国したとき、持って行ったワインがなくなってしまうと買うことがあります。だから、一覧表でも作っておくと便利だろうとは思うのですが、ワインショップは仕入れによって在庫が動くので、わざわざ作っても余り意味がない。
数日前、日本からのメールで赤ワインを3本くらい買いたいのだけれど、ネットショップでお勧めを探してくれないかと言われました。そういうの、困るんだよな... と思ったけれど、探してみました。
以前にブルゴーニュワインが美味しいと言っていたし、私もブルゴーニュが1番だと思うので、勝手にブルゴーニュワインに限定してしまう。
ブログでも辞書代わりにもして使い慣れている楽天市場で探すことにしました。それだと、最も安く売っているショップを探し出せるので。
依頼してきたのは、ワイン通の人ではないのです。だから、ブルゴーニュの高級ワインを買うことはない、と勝手に決める。
私が日本に帰ったときに買うフランスワインは、1本3,000円前後と決めています。フランスの浮浪者はこういうワインを飲んでいるのだろうな... と涙ぐむようなワインは飲みたくないし(でも、日本では飲まざるを得ないことが多々ある!)、なにも日本で高級ワインを飲む必要はないので。
というわけで、1本3,000円くらいのワインを探すことにしました。高級ワインを探す方が難しいだろうな。「3本で、予算は10万円です」なんて言われたら、責任を感じて緊張してしまいますから。
そもそも、ブルゴーニュワインは日本ではかなりお高いのですよね。こちらで直接ワイン農家に行って買う値段に比べたら、3倍くらいしている感じがします。中には、こんなのプレゼントされたって飲みたくないと思うようなのを、有名なネゴシアンのだからなせいか、やたらに高く売っている。
なので、いちおう、これとこれを比べたら、こちらを買うべきというのは判断できます。でも、チョイスがありすぎて、全部を眺めて決めていたら時間がかかりすぎてしまう。
◆ お買い得のワインを見つけた
安かったら、文句を言われる確率が低いのではないかな?
安く売っているワインを探そうとしたら、「激安」という言葉に目がいきました:
☆ 【楽天市場】翌日配送あす楽:激安お酒スピード便
関東エリアで検索してみると…
☆ ブルゴーニュの赤ワインを安い順に並べた結果
真っ先に目に飛び込んできたのは、これ↓
フランソワ・ラマルシュといえば、ロマネ・コンティと細い道を挟んだところにあるラ・グランド・リュという畑を持っている、すごいドメーヌなのです。こんな安いワインも作っていたとは知らなかった。
ロマネ・コンティの畑はよく見に行くので、そのお隣さんもよく眺めているので、しばしばブログに書いています。例えば、こちら:
★ コート・ド・ニュイのブドウ収穫を見学 2007/09/07
フランソワ・ラマルシュのドメーヌのフランソワさんは、もう亡くなっているのですが、ドメーヌの名前として残っているのですね。友人たちがワインのイベントでフランソワ・ラマルシュさんと会って、気さくな人柄に惹かれて話しがはずみ、翌日にはドメーヌに来るように誘われて行ったときの話しをしていました。このドメーヌに私はまだ行ったことがないので惹かれました。
コート・ド・ニュイは、ブルゴーニュにいるとデイリーワインなのですが、有名ドメーヌだったら、かなり高く売っているはず。みつけたショップでは2,280円で売っていたのですが、フランスで買う値段と同じか、むしろ安いのでは?
いちおう、ドメーヌのサイトで調べてみる:
☆ Domaine François Lamarche: Bourgogne Hautes Côtes de Nuits - Information sheet
ランクが低いワインなのに、さすが一流のドメーヌ。ブドウは機械を使わずに手摘みだし、オークの樽で熟成しているし、昔ながらに濾過もしない、とある。 このドメーヌでは無農薬を進めていて(2006年から?)、今では全ての畑がBIOワインになっていると聞いています(2010年から?)。
最近のミレジムの中では、2009年が当たり年だと私は思っているのです。濾過していないなら、4年たっていても大丈夫なはず。
いちおう、他のショップではいくらで売っているのか調べてみました:
☆ フランソワ・ラマルシュのオート・コート・ド・ニュイの売値を比較してみる
出てきたなかでは最も安いのではありましたが、ほんの少し高いだけの価格で売っている店が他にもありました。何か問題があって安売りしているのではないか、と少し心配になる。でも、ミレジムも同じなのに、4割くらい高い値段で売っている店もあるので安心。
試してみる価値があると思いました。私が日本で自分のために買うのだったら、これを半ダース注文したと思う。もしも美味しくなかったとしても、赤ワインなら料理で使えるし。
でも、今回のは、他人が飲むワインなのです。複数のボトルを買うのなら、色々あった方が楽しいのではないかな?...
同じところで買えば送料が節約できるので、他に何があるか探してみました。
すると、送料無料で、通常価格から48%オフというブルゴーニュ赤ワインの3本セットが見つかりました。ほかに9本を注文しても梱包が一緒なので送料無料なのだそう。
48%OFF!造り手とテロワールの個性を飲み比べ!【送料無料!】ブルゴーニュ赤3本のワインセット... |
サヴィニ・レ・ボーヌ・プルミエ・クリュが入っているのが気に入りました。ブルゴーニュにいても、食事に呼んだ人に、少しはもったいぶって出せるワインです。日本で飲むなら喜べるはず。
他に色々探すのも面倒。友人には、この送料無料のブルゴーニュ赤ワイン3本セットに、フランソワ・ラマルシュのコート・ド・ニュイを1本を加えて注文するように伝えました。
後で考えたら、激安3本セットの他の2本は、グラン・オルディネールとブルゴーニュ・ピノ・ノワールなのだというのが気になりました。こういう、どこの畑のブドウなのか分らないランクのブルゴーニュワインって、私がブルゴーニュにいるときには買うことはないのです。3本セットにしても、高いじゃないの? でも、フランスから日本に輸送すると、そうなってしまう?...
でも、友人はワインには詳しくないのだから、ブルゴーニュワインのランク付けなんてきにしないはず。 ブドウ畑の面積からいったら、ブルゴーニュの10倍くらいあるボルドーでは信じられないほど酷いワインがあるのですから、そう悪いのには当たらないだけ安心なのではないか?...
日本のサービスって、すごいのですね。注文したら、翌日には届いたそうで、お礼のメールが届きました。
「さっそく1本あけて飲みました。とても美味しかったです」
4本の違いを説明したのに、どれを飲んだのかの報告はなし。どういう風に美味しかったのかの説明も、全くなし。
口に入れるものに深いこだわりがない日本人が「美味しい」と言うのは、フランス人が「そう悪くはない」というのと同レベルだろうと受け取っています。だから、フランスから壊れないように苦労して持っていった極上のワインを、ワインの味が分からない人たちに飲ませるときには、どうにも言いようがない気分になってしまう...。
ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
フランスのお酒 (ワインなど) |
このレストランではワインも質の良いものを選んで置いています。シャンパンも、安くて美味しいドメーヌを教えてもらったことがあり、それ以来は買うシャンパンはこれと決めていたのでした。
◆ 美味しかったリュリーの白ワイン
この日に気に入ったのは、Rully(リュリー)の白ワイン。
ブルゴーニュのコート・シャロネーズで生産されているワインです。リュリーは好きなのに、なぜか家にストックしておくことが少ない銘柄だし、お手軽価格だったので選びました。
出てきたら、余りにも味気ないラベルなので不安になったのですが、試飲してみたら、びっくりするほど美味しい。コクがあるのですが、それは程よくて、良いワインを選んだと満足できる風味。
ソムリエを兼ねている給仕長に、「リュリーはどのドメーヌのをを飲んでも美味しい」と言うと、「ここのは特別に良いワインなのですよ」と返事されました。
飲み始めると、本当。リュリーにしては重厚さがあって、高級ワインの雰囲気。コート・ドールの高級白ワインだと、昼間から飲んでいると酔いが回ってしまうのだけれど、これは軽さもあるので最適。
良いチョイスをしたと嬉しくなる♪
◆ どこのドメーヌ?
写真を見ながらドメーヌはどこかを探してみました。近くに行ったときには買う価値があると思ったので。
ラベルには、Céline et Vincent Dureuilと書いてある。デュルイユという家のヴァンサンさんと、その奥さんのセリーヌさんでやっているドメーヌなのだろうと思います。
画像検索をしてみると、フランスでも日本でも、私が見たデザインのラベルを付けたワインが売られていました。
でも、ドメーヌのサイトが見つからない。今どき、サイトを持っていないドメーヌなんてないはずなのに...。
リュリーのワインを作っているところを探すと、似たような名前のドメーヌのサイトが出てきました。
☆ 「ヴァンサン デュルイユ」のワインを楽天市場で検索
似ているようで違うワインを並べてみます。
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左は、私がレストランで見たラベルで、「セリーヌ&ヴァンサン デュルイユ」という名のドメーヌ。 ただし、これは赤ワイン。
右は、「ヴァンサン・デュルイユ・ジャンティアル」というドメーヌという名で、違うラベルが付いています。
右側に入れた紋章のようなものが入っているボトル。つまり、デュルイユという苗字にジャンティアルというのが付いているワインの方が売られている数は多かったです。この名前「Vincent Dureuil-Janthial」ならドメーヌのサイトが見つかったのですが、私が飲んだワインとは同じラベルのワインは入れていません。
同じドメーヌだとは思えない。というのも、ブルゴーニュのワイン産地では親戚一同がワインを作っているケースが多いので、微妙に名前が違うところは別物ということが多いのです。
この村で、この名前だから、と買いに行ったときには、違うところに行ってしまったことがありました。後で知ったら、喧嘩して別々のドメーヌにしていた兄弟。 安くておいしい、というので買いに行ったのに、高く売っている方に行ってしまった...。
そんなこともあったので、間違えないように調べる気になりました。 そもそも、Vincent(ヴァンサン)というのはよくあるファーストネームなのですが、ワイン醸造者の守護聖人の名前なのです。ワイン醸造農家の息子に付けることが多そうな名前ではないですか?
それでも、ドメーヌの名前は違うのだけれど、この2つは同じところのようにも見える...。
ヴァンサン・デュルイユ・ジャンティアルという名のドメーヌのワインを扱っている日本のショップの紹介文を読んだら、ヴァンサンとセリーヌ夫妻が作っていると書いてありました。
このドメーヌのサイトをじっくり眺めると、ワイン推薦本の掲載文章に同じ夫婦の名前が出てきました。 夫婦の名前が2人とも同じなら、違うドメーヌということはないのでしょうね。つまり、レベルは違っているけれど、同じドメーヌのはず。
いつかこのドメーヌに行く機会があったら、なんで紛らわしいことをしているのか聞いてみようっと。ともかく、ドメーヌの住所は突き止めたので、メモしておきます。
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★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
外部リンク:
☆ BIVB: Rully, appellation Bourgogne
☆ ドメーヌのサイト: Domaine Vincent Dureuil-Janthial
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