2020/01/02
エスカルゴは家の庭にも姿を見せるし、ブルゴーニュの郷土料理なので、こだわりがあります。このブログのタイトルを「エスカルゴの国から」にしているのも、それが理由。

食用にされるエスカルゴには何種類かありますが、本物は「ブルゴーニュのエスカルゴ(Escargot de Bourgogne)」と呼ばれる種類です。
学名はHelix pomatia(エリックス・ポマティア)」と短い名前なので覚えやすい。
◆ スーパーで見つけた「ブルゴーニュのエスカルゴ」の缶詰
先日の記事「レストランでエスカルゴを注文する気にならなくなった...」で書いたように、本場ブルゴーニュの最も大きい町にあるレストランで、「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼んでいる料理が、違う品種のエスカルゴを使っていたのでショックをうけました。
この品種のカタツムリはフランスで採れなくなっているとはいえ、東欧などから輸入しているはずなのです。売っているはずだと探してみたら、スーパーで見つかりました。
「ブルゴーニュのエスカルゴ」となっているし、学名も記載されているので本物そう。ただし、高級食料品で扱っていたわけではないので、多少の不安はある...。
Larzulという名のメーカーなので、インターネットの情報を探してみました。
フランスのアマゾンでも扱っていました。
コメントが1つだけ入っていて、最低ランクの☆1つのマーク。何のエスカルゴか分からないじゃないかと文句を言って、不誠実だとまで言っている。
あれ、あれ~...。
アマゾンのサイトでは写真を幾つも入れていて、画像を拡大して眺められるようになっているのが普通です。ところが、この商品では缶詰の表の部分しか写真を入れていなくて、「ブルゴーニュのエスカルゴ」とだけ分かるのでした。
コメントを入れた人は、「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼んでいても偽物があるのを知っていたのか? あるいは「ブルゴーニュのエスカルゴ」が品種名だと知らないのか?...
私が入手した缶詰を眺めてみました。

裏側には、ちゃんと学名のHelix pomatiaの文字も入っていました。だとすると、偽りを言っているはずがない。写真を1つしか入れなかったアマゾンの手落ちですね。
缶詰の裏側には食品添加物は入れていないと書いてある。使っているのは、ニンジン、玉ねぎ、ゲランドの塩、ニンニク、白ワイン、胡椒、タイム、月桂樹、パセリとあるので、定番になっているエスカルゴの下ごしらえをする材料を使っているようです。
いちおう信頼できそう。それで、調理して食べることにしました。
◆ 缶詰のエスカルゴを調理してみた
ブルゴーニュ風にガーリック・バターでエスカルゴを調理するときには、バターの質によって大きく左右されます。
高級なボルディエ社のバターが冷蔵庫にあったので、それで料理することにしました。残っていたのは有塩バターなのでちょうど良い。
カタツムリの貝殻に入れて調理するのは面倒なので(再利用するために洗わなければならないから)、エスカルゴ用の皿に入れてオーブンで焼きました。1人前12個でサービスできる便利なグラタン皿。


写真の上中央に入っているのは、余っていたトリュフを練り込んだバターの残りの容器です。上に乗せて食べたらおいしくなるかと思ったのですが、意味はなかった。
先日レストランで食べたエスカルゴより遥かに美味しかったです。エスカルゴの品種によるというよりは、ボルディエのバターが引き立てたのだろうとは思いましたが。
ボルディエも、このエスカルゴの販売会社Larzulも、北フランスのブルターニュ地方にある会社なので相性が良かったかな?...
スーパーで買える缶詰なので、エスカルゴを探し回る必要はないと結論しました。
◆ エスカルゴの下ごしらえ
日本のネットショップでも、Helix pomatiaのエスカルゴだと品種を明記している商品がありました。
「フランス産」となっていますが、販売するほどフランスでエスカルゴをとることはできないはずなので、最終加工地がフランスだということだろうと思います。
気になったのは「水煮」という表記。水で茹でただけなのかと思ってしまうではないですか?
生きているエスカルゴをとって食べる時には、最終的な調理をする前の下ごしらえにかなり手間がかかります。私が買った缶詰のように白ワインや野菜を入れて煮るものなので、この缶詰がフランスで加工して販売しているなら、水で煮ただけということはないと思うのですけど...。
近所に別荘を持っているパリの夫妻がいて、エスカルゴの料理をするからエスカルゴを捕まえて持って来るように言ったたことがあったのを思い出しました。田舎の人たちは、パリに住んでいる女性が初めてエスカルゴ料理に挑戦するのには不安。作り方を教えるからと言っても、彼女は「インターネットでレシピを調べるから大丈夫♪」と答えていました。
別荘になっている城のオーナーに広大な庭に入ってエスカルゴを捕まえる許可をもらったりして、見事なエスカルゴをたくさん届けたのでした。
ところが、いくら待ってもエスカルゴを食べる会には招待されない。何かの機会にパリの夫妻に会った人が、エスカルゴはどうなったのか聞いたら、下ごしらえでエスカルゴを煮ていた時にうたたねしてしまって、エスカルゴは焦げてしまい、すべて捨てた、と旦那さんの方が白状したのでした。
食べ物の恨みは恐ろしい!
エスカルゴを届けた友人たちはプンプン。料理の仕方を知らないなら「できる」なんて言うな、パリジャンはほら吹きで生意気なんだ、とか悪口を言っていました。
あれ以来、彼らの近所に住んでいる人たちとは、誰とも付き合ってもらえていないのではないかな...。私も、エスカルゴ焦し事件の後にはパリの夫妻には一度も出会っていません。
前の記事:
★ レストランでエスカルゴを注文する気にならなくなった...


食用にされるエスカルゴには何種類かありますが、本物は「ブルゴーニュのエスカルゴ(Escargot de Bourgogne)」と呼ばれる種類です。
学名はHelix pomatia(エリックス・ポマティア)」と短い名前なので覚えやすい。
◆ スーパーで見つけた「ブルゴーニュのエスカルゴ」の缶詰
先日の記事「レストランでエスカルゴを注文する気にならなくなった...」で書いたように、本場ブルゴーニュの最も大きい町にあるレストランで、「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼んでいる料理が、違う品種のエスカルゴを使っていたのでショックをうけました。
この品種のカタツムリはフランスで採れなくなっているとはいえ、東欧などから輸入しているはずなのです。売っているはずだと探してみたら、スーパーで見つかりました。
「ブルゴーニュのエスカルゴ」となっているし、学名も記載されているので本物そう。ただし、高級食料品で扱っていたわけではないので、多少の不安はある...。
Larzulという名のメーカーなので、インターネットの情報を探してみました。
フランスのアマゾンでも扱っていました。
コメントが1つだけ入っていて、最低ランクの☆1つのマーク。何のエスカルゴか分からないじゃないかと文句を言って、不誠実だとまで言っている。
あれ、あれ~...。
アマゾンのサイトでは写真を幾つも入れていて、画像を拡大して眺められるようになっているのが普通です。ところが、この商品では缶詰の表の部分しか写真を入れていなくて、「ブルゴーニュのエスカルゴ」とだけ分かるのでした。
コメントを入れた人は、「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼んでいても偽物があるのを知っていたのか? あるいは「ブルゴーニュのエスカルゴ」が品種名だと知らないのか?...
私が入手した缶詰を眺めてみました。

裏側には、ちゃんと学名のHelix pomatiaの文字も入っていました。だとすると、偽りを言っているはずがない。写真を1つしか入れなかったアマゾンの手落ちですね。
缶詰の裏側には食品添加物は入れていないと書いてある。使っているのは、ニンジン、玉ねぎ、ゲランドの塩、ニンニク、白ワイン、胡椒、タイム、月桂樹、パセリとあるので、定番になっているエスカルゴの下ごしらえをする材料を使っているようです。
いちおう信頼できそう。それで、調理して食べることにしました。
◆ 缶詰のエスカルゴを調理してみた
ブルゴーニュ風にガーリック・バターでエスカルゴを調理するときには、バターの質によって大きく左右されます。
高級なボルディエ社のバターが冷蔵庫にあったので、それで料理することにしました。残っていたのは有塩バターなのでちょうど良い。
カタツムリの貝殻に入れて調理するのは面倒なので(再利用するために洗わなければならないから)、エスカルゴ用の皿に入れてオーブンで焼きました。1人前12個でサービスできる便利なグラタン皿。


写真の上中央に入っているのは、余っていたトリュフを練り込んだバターの残りの容器です。上に乗せて食べたらおいしくなるかと思ったのですが、意味はなかった。
先日レストランで食べたエスカルゴより遥かに美味しかったです。エスカルゴの品種によるというよりは、ボルディエのバターが引き立てたのだろうとは思いましたが。
ボルディエも、このエスカルゴの販売会社Larzulも、北フランスのブルターニュ地方にある会社なので相性が良かったかな?...
スーパーで買える缶詰なので、エスカルゴを探し回る必要はないと結論しました。
◆ エスカルゴの下ごしらえ
日本のネットショップでも、Helix pomatiaのエスカルゴだと品種を明記している商品がありました。
「フランス産」となっていますが、販売するほどフランスでエスカルゴをとることはできないはずなので、最終加工地がフランスだということだろうと思います。
気になったのは「水煮」という表記。水で茹でただけなのかと思ってしまうではないですか?
生きているエスカルゴをとって食べる時には、最終的な調理をする前の下ごしらえにかなり手間がかかります。私が買った缶詰のように白ワインや野菜を入れて煮るものなので、この缶詰がフランスで加工して販売しているなら、水で煮ただけということはないと思うのですけど...。
近所に別荘を持っているパリの夫妻がいて、エスカルゴの料理をするからエスカルゴを捕まえて持って来るように言ったたことがあったのを思い出しました。田舎の人たちは、パリに住んでいる女性が初めてエスカルゴ料理に挑戦するのには不安。作り方を教えるからと言っても、彼女は「インターネットでレシピを調べるから大丈夫♪」と答えていました。
別荘になっている城のオーナーに広大な庭に入ってエスカルゴを捕まえる許可をもらったりして、見事なエスカルゴをたくさん届けたのでした。
ところが、いくら待ってもエスカルゴを食べる会には招待されない。何かの機会にパリの夫妻に会った人が、エスカルゴはどうなったのか聞いたら、下ごしらえでエスカルゴを煮ていた時にうたたねしてしまって、エスカルゴは焦げてしまい、すべて捨てた、と旦那さんの方が白状したのでした。
食べ物の恨みは恐ろしい!
エスカルゴを届けた友人たちはプンプン。料理の仕方を知らないなら「できる」なんて言うな、パリジャンはほら吹きで生意気なんだ、とか悪口を言っていました。
あれ以来、彼らの近所に住んでいる人たちとは、誰とも付き合ってもらえていないのではないかな...。私も、エスカルゴ焦し事件の後にはパリの夫妻には一度も出会っていません。
前の記事:★ レストランでエスカルゴを注文する気にならなくなった...
ブログ内リンク:
★ ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた 2017/01/26
← シリーズ記事目次: バターの見分け方 2017年
★ 目次: エスカルゴについて書いた記事
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ シリーズ記事目次: なぜパリっ子は嫌われるのか? 2010年
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
外部リンク:
☆ Maison Larzul
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この記事へのコメント
昨年のクリスマスをSaumurで過ごし、Saumurでは有名な高級食材のデリカテッセンで売られていたエスカルゴが、縞々柄のトルコエスカルゴでした。
こちらのブログでエスカルゴの品種を教えていただいていたので、2度、お店に行き、さりげなく(実際はまじまじと)観察してしまいました。
でも「ブルゴーニュのエスカルゴ」とは表示されていなかったと思います。
Larzulという名は他の缶詰でも見たことがあります。今度エスカルゴを探してみます。
こちらのブログでエスカルゴの品種を教えていただいていたので、2度、お店に行き、さりげなく(実際はまじまじと)観察してしまいました。
でも「ブルゴーニュのエスカルゴ」とは表示されていなかったと思います。
Larzulという名は他の缶詰でも見たことがあります。今度エスカルゴを探してみます。
2020/01/02 | URL | 恵子 [ 編集 ]
恵子さんへ
ロワール地方らしい城をいただくSaumurの町は気に入った思い出が残っています。
>「ブルゴーニュのエスカルゴ」とは表示されていなかったと思います。
良心的なお店なのでしょうね。トルコ・エスカルゴなのにブルゴーニュ・エスカルゴとして売っているのは許せない気がします。普通の人は品種は気にしないでしょうから、わざわざエスカルゴ・ド・ブルゴーニュと表記して欲しくないです。
ブルゴーニュ風に調理するエスカルゴは捕まえて上手に下ごしらえしたものでない限り、仕上げの調理に使うバターで左右されるものだと思います。いつか調理して召し上がってくださいね。
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