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例えば、誇張した表現の例えにされる「白髪三千丈」。
フランス・バージョンは、港をふさいでしまったという大きなイワシのお話しです。
フランス人は、一般的にはイワシやサンマのように強い味を持つ魚は好かないのだろうと感じています。サンマはフランスでは売っていませんけれど。
ただし、ポルトガル系の人たちは異常にイワシが好きらしい。ポルトガル系の家がお隣さんの友人は、夏になるとバーベキューでイワシを焼かれるので堪らないのだと話していました。ある夏に彼らの家に招待されたとき、庭で食事していたらイワシの匂いが漂ってきました。これのことだったか、と感心。こちらが何を食べているのか分からないくらい強烈な匂い!
港をふさいだイワシの話しの舞台は、地中海に面するマルセイユ市の美しい旧港(Vieux-Port)。よく知られている表現として「マルセイユ港をふさいだのはイワシだ」というのがあるのです。
イワシはフランスでも小さくて安価な魚です。髪の毛が三千丈(9.33キロメートル)も伸びているはずはないのと同様に、港の入り江を塞いでしまうほど大きなイワシがいるはずはない!
イワシと言われれば、小さな缶詰にぎっしり詰まったオイルサーディンも連想します。
イワシが大量にやって来て、マルセイユの小さな港の入り口を埋め尽くしてしまった、というのはイメージできますよね。
でも、そういうことではなかったような...。この表現を覚えたのはずいぶん前のことなので、どういうフレーズだったか確認してみました。
フランス語の慣用句では、イワシは単数なのでした。
C'est la sardine qui a bouché le port de Marseille
となると、この表現を聞いて思い浮かべるべきは、下のような光景なのでした。

マルセイユに行った人が便りを出す時に使うために市販されていた昔の絵葉書のようです。
今でも、マルセイユ土産にするのに適したオイルサーディンの缶詰も売られています。
| LES BELLES DE MARSEILLE Sardine a l'Huile d'Olive Millésimées |
◆ マルセイユの港を塞いだのは、
sardine(イワシ)ではなくて、sartineという名前の船だった
白髪が3千丈(約9キロメートル)も伸びたというのは、単に誇張したわけではなくて、仏教の世界観における宇宙の単位「三千大千世界」から来ているのだそう。
マルセイユ港をふさいでしまった一匹のイワシがいた、というのにも理由がありました。
この表現が生まれたのは18世紀、ルイ16世の時代。
インドのポンディシェリ包囲戦(1778年)に、海兵隊の指揮官として赴任していたバラス子爵(ポール・バラス 1755~1829年)は、イギリス軍に捕らえられてしまいました。その後、イギリスとフランスで行った捕虜の交換で、バラス子爵たちは帰国できることになりました。
フランスに戻るために乗った船の名はSartine(サルティンヌ)。ルイ16世のもとで海軍大臣だったAntoine de Sartine(1729~1801年)から付けられた呼び名です。
バラス子爵の一行は半年ほどかけてポルトガルのサン・ヴィセンテ岬に到着し、それからマルセイユに向かいます。
ところが1780年5月19日、マルセイユ港に入ったところで、船は操縦ミスから座礁して沈没してしまったのでした。
船を引き上げるにはしばらくかかり、その間マルセイユ港には船の出入りできなくなってしまいました。
こういうことだったのでしょうね。

そこで生まれたのが「イワシがマルセイユ港をふさいだ」という表現。
実際は「サルティンヌ(sartine)」という名の船が港をふさいだのですが、マルセイユの人たちにはイワシの意味を持つ「サルディンヌ(sardine)」に置き換えた方が面白かったからでしょう。地中海ではイワシが捕れるのです。
フランス語の綴りでは「t」を「d」にしたわけですが、カタカナ表記にしても「テ」に濁点を打つかどうかの違いだけですね。
「かの有名なマルセイユのイワシの霊柩車」と題された絵もありました。

ちなみに、丘の上にそびえているのは、マルセイユのシンボル的な存在の大聖堂 Basilique Notre-Dame-de-la-Garde(通称 la Bonne Mère)です。
イワシがマルセイユ港をふさいだという表現は、ほら吹き、大袈裟だという例えとしても使われます。
それに関連してマルセイユの人たちが嫌われる理由を分析している興味深い記事があったので、メモしておくことにします。私もマルセイユの悪口を聞いていましたけれど、実際に行ってみると、地中海に臨む町は心地良いし、出会った住民たちも大いに気に入ったのですけれど。
続き:
★ フランスで良いイメージを持つ、あるいは悪いイメージを持つ地方や町
外部リンク:
☆ 故事ことわざ辞典: 白髪三千丈
☆ Wikipedia: 白髪三千丈 | 三千大千世界
☆ La légende de la Sardine qui a bouché le port de Marseille
☆ Wikipedia: C'est la sardine qui a bouché le port de Marseille
☆ La Sardine a bouché le port de Marseille
☆ Wikipedia: Sartine (frégate)
☆ Wikipedia: Vieux-Port de Marseille
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寿司よりは刺身の方を好まれると分かってからは、下手に寿司を握ることはないと結論したので気が楽です。ちらし寿司などは、何でも良いからお腹をいっぱいにしたい若者の集まりならともかく、作る必要もない!
日本料理を出す食事会では、刺身の盛り合わせをメインにした献立にするのですが、生で食べられる魚介類は高価なので、人を招待するとお金がかかりすぎるのが難点。何しろ食べる量がすごいので、切るだけで良いマグロなどは1キロくらい買うことになるからです。
少量の2人前か、簡単な前菜として刺身を作ると、こんな感じ。

フランスの友人から、和食レストランを開くと良いのにとよく言われます。でも、招待されているから彼らは来てくれるけれど、値段を付けたら絶対に来てくれないのは明らかです。私が料理する労働は無視して、食材の原価だけで値段を付けても、ミシュランの星を持っているレストラン並みの料金にしないと採算がとれませんから。
それで、お腹にたまる日本料理の作り方を研究しようと思いました。
でも、食べることに対する執着がフランスの中でも例外的なブルゴーニュだと問題なのです...。
上手くできれば褒めちぎってくれて、何年も後になっても「あのときの料理は忘れられない」などと言ってくれますが、出来が悪いと遠慮なく貶すか、絶対に食べないという拒否反応があるのです。
礼儀正しい人は「お腹がいっぱいだから食べられない。ごめんね」などと言いますが、チーズを出すともりもり食べるのですから、お腹がいっぱいだったはずはないと分かる!
私が作る料理は、量が少なすぎるのが難点だ、などとも言ってきます。私としては、どう評価されるか分からない実験料理は、たくさんは作りたくないのです。量が少なければ、多少まずくても食べてくれますが、たくさん残ってしまったら非常にめげるではないですか?
料理のレパートリーを増やさねば、とは思うのですが、喜んでもらえる料理を作る実験を重ねなければなりません。
◆ 豚の角煮は嫌われた
少し前、豚肉のバラ肉で角煮を作ってみました。
作ってみようと思い立ったのは、この記事を書いたとき:

★ 角煮の味を思い出させた豚バラ肉のコンフィ 2017/03/15
肉の脂身が多いのはフランス人に嫌われるのが分かっています。それで、脂っぽくない角煮だと強調している日本のレシピを探しだし、かなり時間をかけて角煮が出来上がりました。
日本人に食べてもらったら、「おいしい」と言われそうに出来上がりました。でも、フランス人たちには全く受けなかった。実験なので、ほんの少しの量にして、1人2口程度にしておいたので、いちおうは平らげてくれましたけれど。
食べ終わったら言われてしまった。
「これは二度と作る必要はないね」
自分でもそう思いながら食べていましたから、そんなことを言ってくれる必要はなかったのに! 私はフランスにいるときに醤油味を食べるのは好きではないので、日本料理が嬉しいなどとは思わないのだし。
やはり、フランス人たちとっての日本は魚を食べる国なので、海産物を使った日本料理が喜ばれるかな?... でも、もともと私は日本でも魚料理はめったに作らないし、海産物についての知識は全くないのです...。
◆ Bar(ヨーロピアンシーバス)
朝市に新しく入った魚屋さんに行ったら、bar(バー)という魚を特売していました。3匹買えば10ユーロという張り紙がある。養殖ものではなくて、釣り竿で釣った天然ものだということを示す「bar de ligne」というアトラクティブな文字が見えました。
生で食べる海産物を買う気にはならない魚屋でしたが、スーパーに入っている魚屋よりはマシそうに見える。特に、この特売のバーという魚の目は新鮮そうに見えました。
1人か2人で1匹という感じの小さな魚でしたが、1匹あたり400円くらいというのは安い。それで、この魚で調理の実験をすることにしました。
Bar commun
改めてbarを仏和辞典で調べてみたら、ニシウミスズキと訳されていたのですけど...。
Wikipediaでは、仏語ページのbarから、ヨーロピアンシーバスにリンクされていました。この呼び名を覚えておいた方が良いですね。何だか分からない名前で言った方が無難です!
この魚は、フランス国内でも統一されているわけではない。南仏ではloupと呼ばれます。loup(ルー)というのは、オオカミの意味で普通は使う言葉。何でも食べる魚だからの命名なのかな?...
プロヴァンスの貸別荘に滞在したとき、大きなヨーロピアンシーバスを買って、ただ普通にバーベキューにしたら非常に美味しかったのが忘れられません。
特売で買った3匹は、まず1匹で刺身を作って、酢醤油で食べてみました。食べられるけれど、美味しいわけではない。
それで、フランスのレシピを探してオーブンで焼く料理を作ってみたのですが、これが非常に美味しかったのでした。
この時、オーブンに入れる前の状態だけ写真に撮っていました。
あり合わせの野菜やハーブを入れて、オリーブオイルで焼けば良いので、簡単に出来てしまいした。
かなり美味しい♪
フランス人は余り作らない料理やエキゾチックな料理を作ると喜ばれるので、これを私のレパートリーにしようかと思いました。
後日、また練習しておくためにヨーロピアンシーバスを買って、同じように作ってみたのですが、これは大失敗!
調理する前に少し魚を塩でしめたのですが、それを洗い落とすのを忘れてしまったので、しょっぱくて食べられるものではない。しかも、野菜の入れ方を同じにしなかったせいで、味もよくない。
余りにも簡単な調理法だったので、再びレシピを確認することもなく、適当にやってしまったのがいけなかったのでした。
魚は少しだけ食べて、残りは捨てることにしました。家猫も食べてくれないので庭に皿を出しておいたら、野良猫が来たらしくて、きれいに頭の皮と骨が残っていました。フランスの猫でも、魚の食べ方を知っている子がいるのだな、と感心...。
また失敗しないように、1回目に参考にしたのだろうと思われるレシピをメモしておきます。
ヨーロピアンシーバスのオーブン焼き 材料:
作り方:
|
失敗したときには、エシャロットやバターを入れ忘れていたようです。
レシピには忠実でない私なので、1回目に作って成功したときには、このレシピにないものも入れていました。庭にあるローズマリーとタイムを少しのせました。それから、白ワインも少々振りかけた。さらに、茹でたブロッコリーが残っていたので入れていました。
◆ Couteau(マテ貝)
築地の魚市場に行くと、どうやって食べるのか想像もできない奇妙な海産物が色々売られています。魚屋さんがパリの魚市場に仕入れに行くときにトラックに乗せてもらって行ったことがあるのです、ランジスと言えば有名な市場なのに、いつも見かけている海産物しかないので驚きました。
フランスでも、たまには珍しい海産物を見かけます。
私はゲテモノが好きなのかな。気になっていた貝があります。
先日、スーパーの魚屋さんの前を通ったら売っていたので買ってみました。これで1,000円くらいだったので、実験しても良いかと思ったのです。

フランス語でCouteau(クートー)と呼ぶ貝です。どこかで見たときに名前を覚えていましたが、食べたことはなかったと思います。
名前をしっかり覚えたのは、クートーというのは「ナイフ」の意味があるからです。
棒みたいな変な貝です。
日本では見た記憶がないのですが、存在していて、マテガイと呼べば良いようです。
マテというのは「真手」で、両手のこと。殻の両側から足と水管を出しているのが、左右の手のように見えるから、とのことでした。カミソリガイ(剃刀貝)とも呼ぶようです。
売っていた魚屋の店員さんに、どうやって食べるのか聞いてみました。自分では食べたことがないけれど、お客さんが言っていたというレシピを教えてくれました。
よく洗ってから、フライパンにのせて、さっと加熱し、貝を開かせる。
それから、バターにニンニクとパセリのみじん切りを混ぜたものを貝に乗せて、オーブンで焼く。
つまり、エスカルゴの食べ方ではないですか?
刺身の具になるかと期待して買ったのですが、フランスでも生で食べるようではないし、日本でも生では食べないようでした。
マテガイは幾つかのレシピで試してみることにして、3分の1くらいの量を使い、貝の中身を取り出して、オリーブオイルで炒めて調味料を振りかけるというのをまずやってみました。
食べられるけれど、ゴムみたいで、ちっとも美味しくない!
残っている貝は、エスカルゴ風にしたり、日本のレシピを探してみようと思いました。ところが、その後の2日は、友人の家に招待されたり、レストランに行ったりしたので、貝は冷蔵庫に入ったままになってしまいました。
貝は日持ちしないでしょうから、つくだ煮にでもしておこうかと思ったのですが、美味しくなかったので、手間をかける気がしませんでした。
ようやく家で食べることになったので貝を取り出してみると、全部が開いている。つまり、死んでしまった? 臭い匂いはないので、まだ食べられたのかもしれない。
でも、フランスで生牡蠣の中毒で猛烈に苦しんだ人の話しを聞いているので、このマテガイを食べる気にはなりませんでした。まして、スーパーに入っている魚屋は全く信用していないので、始めから貝が生きていたのかどうかも怪しげですので。
貝が腐ると強烈に臭いでしょうから、ビニール袋に入れてしっかりと袋の口を閉じてからゴミ箱に捨てました。
捨てる前に眺めたら、この貝にはぎっしりと身がつまっていたので、かなりお安い食材なのだと分かりました。でも、美味しいわけではない! この貝は2度と買わないと決めたことを忘れないように、ブログにメモしておきます。
それでも気になったので、日本のサイトにあるマテガイのレシピを調べてみたら、色々ありました。加熱は短時間にすべきらしい。私の実験でゴムのような仕上がりだったのは、加熱し過ぎたからかもしれない。でも、さっと炒めただけだったと思うのだけれどな...。
マテガイは、日本の季語・歳時記では春なのだそう。春に食べるべきなのかな? ちなみに、私が買って実験したのは7月でした...。
ヨーロピアンシーバスの続き:
★ 美味しそうに見える魚の姿は?
ブログ内リンク:
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ ブルゴーニュで刺身の材料を仕入れるのは難しい 2015/07/09
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ シリーズ日記目次: フランス人にとっての米 2012/11/03
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
外部リンク:
☆ Recette de Bar au four
☆ 市場魚貝類図鑑: ヨーロッパスズキ 魚類
☆ Wikipedia: Bar (poisson) | Bar commun » ヨーロピアンシーバス
☆ 市場魚貝類図鑑: マテガイ 軟体
☆ 寿司図鑑: マテガイの握り
☆ Wikipedia: Solen ⇒ マテガイ科
☆ マテ貝の調理法~美味しい食べ方~
にほんブログ村 | にほんブログ村 |
美味しかった...。久しぶりに、食べたものの写真を入れてみようと思います。
お通し 1: 川魚の唐揚げ「フリチュール」 まず出てきたのは、ちょっとびっくりさせられた1品。新聞紙の上にのせられた小魚のフライです。
◆ 新聞紙を敷き紙にする
田舎料理だからしたと思える、こういう演出、面白いな...。
真似してみたくなる。
よく見ると、さすがに、新聞紙の上には白い紙が置いてありましたけれど。
でも、私の貴重な天ぷら用敷き紙を2枚消費する代わりに、新聞紙を敷いても良いわけなのだ、とアイディアを頂戴しました...。
でも、こういう風にレストランが新聞紙を再利用する場合には、書いてあることをチェックして使う部分を選んでいるのでしょうか? 殺人現場の写真などが入っている部分だったら、食欲を減退させるからマズイではないですか?!
何にでも興味を持つ私。新聞紙を引き出して、どんなことが書いてある部分なのか検証してみたくなったのですが、友人たちと一緒に食事しているときだったので、さすがに遠慮しました!
◆ 小さな川魚のフライ
このレストランはブルゴーニュ南部にあるマコネと呼ばれる地域にあり、ここではカエル料理とともに、この小さな川魚のフライが郷土料理になっています。
お通しで出てきたのは、ソーヌ川でとれる小さな魚をフライにした「friture(フリチュール)」と呼ばれる料理です。
最近は環境破壊で川魚が少なくなったし、ソーヌ川で魚を釣る漁師がいなくなっているせいもあって、地元でも海の小魚をフライにしたりして出してきます。 地元の人たちは、川魚でないと味がなくて美味しくないと言います。
出されたお通しには説明書きがついていました。
レストランと契約しているらしいセバスチャンという名の漁師が、Seille川(ソーヌ川の支流)でとったablette(ギンヒラウオ) のフライなのですって。
これが本物の、伝統的に存在していた、河川に住む小魚のフライ「フリチュール」と呼ばれる郷土料理でしたか...。
あらためて、この日のフリチュールをアップにして眺めてみます。
Wikipediaに、ablette(ギンヒラウオ)なる魚の写真がフリー素材として入っていました:
成魚は20センチ近くになるそうなので、フリチュールにするのは小さなのを捕ったということなのでしょうね。
◆ どこが違って、こんなに美味しいの?
フリチュールはレストランで時々食べるのですが、こんな美味しいのは食べたことがないというフライでした。この後に出てくる料理は皆に食べてもらうことにして、これを私が1人で全部食べたくなったくらい。
次に行ったときにはこれをメイン料理として食べたいと思ったのですが、1つ星をとっているレストランなので、こんな庶民的な料理はアラカルトに入っていないようです。
ソーヌ川に沿った地域の郷土料理なので、このフライを出すレストランは幾つもあるのですが、こんなに美味しくはないのです。今まで出た料理はどんなだったかと写真アルバムを見たら、こういうのが出てきました。
普通に出るときは、こんな感じが定番です。
もっと大盛りで、この写真の3倍や4倍あるのが一人前として出てくると、食べているうちに飽きてきます。
淡水魚のフライという料理なので、ブルゴーニュ南部以外の地方でも、その魚が獲れる地域では郷土料理になっている感じがします。下は、アルプス山脈に近い湖の畔にあったレストランで食べたフリチュール。
ただレモンが添えられているだけなのが普通かな...。
それよりも、ここで2枚入れたフリチュールとして出された魚が、川でとれた魚だったのか、海の魚だったのかは分からない...。
今回食べたフリチュールが美味しかったのは、何か違うはず。
非常に薄く切ったラディッシュがあったのはマーク。でも、何だかわからないハーブの粉がかかっていました。それだけで食べても美味しいのですが、フランス料理で魚のスープに欠かせないルイユ(rouille)というソースでも味わえるように添えられている。
フランス人に食べさせるときに日本風にしたイカやイワシの唐揚げを作ることがあるのですが、こういう風に演出できますか...。でも、どんな香辛料が振りかけられていたのかは分からない...。赤いパウダーは Piment d'Espeletteではないかと思ったのですが。
◆ farine de gaude とは、どんな粉?
それにしても、このカラっとして、香ばしい揚げ方は、どうやってできるのだろう?...
料理と一緒に出された説明書きを見ると、唐揚げにするためにまぶした粉としては farine de gaudeを使ったと分かりました。
この地域で「ゴード」と呼ばれる トウモロコシ粉。このレストランがある地域に流れるソーヌ川の向こう側はブレスと呼ばれる地域で、そこではトウモロコシがたくさん栽培されていて、トウモロコシ粉でパンを作ったりもしています。
地元の特産品だからゴードを使ったの? あるいは、片栗粉や小麦粉をまぶすより、トウモロコシのパウダーの方がカラリとあがるのだろうか?
トウモロコシの粉といえばコーンスターチを思い浮かべますが、「ゴード」はコーヒーのように炒ったトウモロコシをを粉にしたもののようです。コーンスターチのように真っ白ではなくて、 黄色っぽく、炒ってあるから香りもでているようです。
ゴードのメーカーとしては、次のところが有名らしく、サイトのトップページにゴード・パウダーの写真が入っていました:
☆ Moulin Taron - Les Gaudes de Chaussin- farine de maïs torréfiée
高いものではないので、使い方が分からないで無駄にしても惜しげがないので、一度買ってみようっと...。
私は日本料理を作るとき、から揚げをすることがあるのですが、なぜかフランスで作るとベタっとあがってしまうので、毎回つくるたびに、もう二度と作らないぞ~! と思っているのです。 そう思いながら、時々作っているのですが...。
このゴード・パウダーはフォアグラのソテーを作るときにまぶして焼くと良いだろうなと思ったら、やはりレシピになったものが出てきました。
ゴードはトウモロコシ粉としては特殊で、日本では市販されていないように見えましたが、コーンスターチでも唐揚げに使えるようです。でも、コーンスターチでは、あの香ばしさはないでしょうね...。
◆ ゴードというスープ
発音は同じでも複数形にしたGaudesというのは、ブレス地方の伝統料理。
ゴードの粉とミルクで作るスープです。貧しい時代の生活のシンボルのように言われるので食べてみたいとは思っていなかったのですが、私はコーンスープが好きなので、気に入るかもしれない...。
... と思って、ゴードと呼ぶスープの画像を探してみました。やっぱり、ゴードを出してくれるレストランを探して食べたいとは思えませんでした。これだけ食べればお腹がいっぱいになる、というようなスープのようです...。
でも、炒ったトウモロコシの粉の方は、使い道を研究してみたいと思いました。
◆ 後日、コーンスターチでミートボールを唐揚げにしてみた
この日記を書きだしていたら、友人たちが昼食を食べにやって来て(行きがかり上、食事に招待することになった、という頻繁にあるパターン!)、それが長引いて夜も更けてきたので(おしゃべりが続いて、腰をあげてくれない)、こういう場合に私がよくやる日本式スープを出すことにしました。飲みすぎ、食べずぎのときには、液体のスープが嬉しいものなので。
「日本式」と呼ぶ私のスープは、昆布で出汁をとって、冷蔵庫に入っているものを選んで鍋に入れて煮てしまい、醤油か味噌で仕上げるという、あり合わせ料理です。こんな短時間で、こんなにコクのあるスープができてしまうの?! と驚かれるので、自信を持って作れるレパートリーになっています。
たいてい野菜だけでスープにするのですが、この日はトマトに詰めて料理にする豚肉のひき肉があったので、それでミートボールを作って入れることにしました。前日にフレッシュチーズを食べるために刻んだ3種類のハーブが残っていたので、それをひき肉に混ぜ込む。
ミートボールは日本から持ってきた片栗粉をまぶして油であげようかと思ったのですが、コーンスターチで唐揚げにすると良いと学んだことを書いていたところなので、ここのところバニラアイスを作るときに活躍してもらっているマイゼナ(Maïzena)という商品名のコーンスターチをまぶして油であげてみました。
そもそも、片栗粉はカタクリという特別な植物から作られるのだ! と誇りに思って日本から持ってきていたのですが、現代に「片栗粉」こして売られている商品はジャガイモから作られているのだと知ってギャフンとしていたのです。
唐揚げのための粉として使うのなら、フランスでごく簡単に買えるマイゼナの方が良いのではないかと思いました。 香ばしそうに思えるゴードを使ったらどうなるのかを実験してみようと思います。
この日のレストランで出された他の料理は次回に書きます:
★ 1つ星レストランのお得なランチメニューで出された料理
追記 (2014年8月):
ゴードに興味を持ったと話した友達が、イタリア料理で使う「ポレンタ」というトウモロコシの粉を見つけたからと言ってプレゼントしてくれてしまいました。私はトウモロコシを炒ってから粉にしたゴードに興味を持ったのであって、それとは違うのが500グラムも入った袋をもらってしまったら、どうするの~! と、かなり不満。
でも、私の得意にしているイカのから揚げを作る機会があったので(得意料理というより、何かしら日本料風にした料理を出さなければという意図で作るだけですが)、プレンタの粉をまぶして揚げてみました。
驚きました。今までは日本から持ってきた片栗粉をまぶして揚げていたのですが、ポレンタ粉でやってみたら、小麦色で食欲をそそる色に仕上がり、衣はカリカリの食感で、美味しい! 今後は片栗粉でから揚げはしないと決めました。
ブログ内リンク:
★ フランス人に受ける生姜醤油味 イカのから揚げ 2006/08/04
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
外部リンク:
☆ Farine de gaude: Histoire du maïs et des gaudes
☆ 究極の食感を探せ!唐揚げに使われる衣の一覧
☆ Wikipédia: Gaudes
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シリーズ記事目次 【ディジョンからニュイのブドウ畑に行った1日】
目次へ
最近すっかり気に入っているレストランで昼食をとりました。
お手軽プライスのランチメニューは、マルシェで安くて良い素材を仕入れて料理を考えているのだろうと感じます。安くて美味しそうな素材を朝市で買ったあとに食事したら、それをうまく使っていたりしましたので。
小さなレストランなので、予約しないと席を確保できません。朝市に行く前に立ち寄って予約を入れたとき、「これから朝市に行くのだけれど、何か必要なものがあったら買ってきますよ」と冗談を言ったら、「シェフは朝市から帰ってきたところなので大丈夫」などと返事を返してきました。
この日のランチ・メニュー。
◆ 前菜: 大エビのスフレ
今日のランチの黒板に「Soufflé(スフレ)」と書いてあったので、オーブンで焼いた普通のスフレかと思ったのですが、全く違っていました。
想像したのはこういう料理。私が知らないだけかと思って、「Soufflé」で画像検索したのですが、やはりカップの中で膨らんでいる料理ばかりが出てきました(Google画像検索結果)。
レストランでは、こういう風に、どうやって作ったのだろうと思うような創作料理を味わうのが好き♪
料理を食べる前にメニューの写真を撮るのが習慣になりました。お給仕の人を捕まえて「このソースは何ですか?」などと聞く必要はなくなりました。
デジカメで撮った写真を出して、料理の名前を再び見る。
壺には入れていない海老のスフレに添えているのは、甲殻類のソース、カリフラワー、ブロッコリー、生クリーム、それにライムを少し、という感じで作ったらしい。
海老は庶民的なgambasという種類だったのですが(タイガー海老のような種類)、これだけ風味を出せるのは、さすがシェフ。
◆ メイン料理: レマン湖のフェラ
軽く食事をしたかったので魚料理を選びました。
最近のフランスは魚料理が上手になったと感じます。昔は、海から遠い地域ではやたらに加熱してしまっているので、魚料理の味はソースだけにかかっているというのが多かったのです。
ソースのある魚料理の付け合せは、フランスでは米が多いので、料理が運ばれてきたときにはそれだと思いました。あまりお米は好きではないので、ちょっとがっかり。
でも、大粒のスムールで、これがとても美味しかった。モルトーという高級食材のソーセージとマッシュルームが入っていました。
ソースはヴァン・ジョーヌというワインで味付け。
このレストランはブルゴーニュにあるのですが、シェフはお隣のフランシュ・コンテ出身なのではないかな?.. この日もモルト―とヴァン・ジョーヌを使っていましたが、毎回のようにフランシュ・コンテの産物が使われているのです。
◆ 「レマン湖のフェラ」という魚
この魚の名前は「レマン湖のフェラ(Féra du lac Léman)」となっていました。レマン湖って、スイスの、あの湖のことでしょう?
気になったので調べてみました。
仏和辞典で「Féra 」をひくと、「(近年までレマン湖に生息していた)ワカソ科ワカソ属の魚)」と出てきました。
そういわれても、私には淡水魚なのだろうと分かる程度。
「ワカソ」って、何?...
日本にいても、フランスにいても、魚の名前はちっともわからない私...。
Wikipediaには「Féra du Léman」があって、サケ族の魚らしい。
ともかく、「レマン湖のフェラ」と聞いて、レマン湖で釣った魚なのかと思ったのですが、単なる魚の名前なのでした。しかも、レマン湖ではもう釣れなくなっている(Wikipediaの記載が正しいとすれば、1920年代から)。
この魚は、アルプスやジュラ山脈の大きな湖に住む魚なのだそう。スイスに近いフランスのLac du Bourget(ブルジェ湖)では、この魚はlavaretと呼ばれ、そのほか、corégone、palée、bondelleなどとも呼ばれるらしい。
omble chevalierという淡水魚(この魚は知っていた)と同様に、レマン湖のフェラは高級な魚なのだそう。
ブルジェ湖には行ったことがあるので、この魚を食べていたかもしれない。
ブルゴーニュ出身の詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌ(Alphonse de Lamartine: 1790~1869)の有名な作品に「Le Lac(湖)」というポエムがあるのですが、その舞台になったのがブルジェ湖だと聞いて立ち寄ったのです。
湖のほとりのレストランで食事をしていたので、そのとき撮った写真を探して眺めてみました。
やっぱり食べていました。
その写真は、これです。
レマン湖のフェラと同じ魚といわれれば、そう見える...。
メニューを撮った写真を見ると、「Filet de lavaret」と書いてありました。Wikipediaの記述で合っていますね。
アルフォンス・ド・ラマルティーヌが滞在したのはブルジェ湖のほとりにあるAix-les-Bains(エクス・レ・バン) 。ひっそりとした山間の湖を想像していたら、やたらに大きな湖。わざわざ行ってみる甲斐もなかったと思っていたのですが、名物の魚を食べていたことには意味があった...。
それにしても、魚の名前って、ややっこしい。「レマン湖のフェラ」というのは、この日記を書きながら覚えたと思うけれど、「ラヴァレ(lavaret)」というのはすぐに忘れると思う...。
同じくフランスで地方によって呼び名が違う魚には、bar(日本語ではバス)があります。南仏ではloupと呼ぶのですが、loupはオオカミと同じ単語だから覚えました。
◆ デザート: イチゴのグラタン
グラタンと聞いて、グラタン皿に入った料理を想像していたのですが、これも変わった趣向でした。
バラの香りがついていたのも良かった。
簡単に食事するために入ったので、ワインはブルゴーニュワインの中から一番安いのにしました。 選んだのは、オート・コート・ド・ニュイの白ワイン、2009年もの。
料理が美味しいレストランというのは、ワインも良いものを選んでいます。
かなり深みがあって、なかなかのワイン。
どんなドメーヌかなと興味を持ちました。
ワイン産地にいるメリット。
よくやることですが、食事の後にはこのドメーヌにワインを買いに行くことにしました。
この日のランチ・メニューは、前菜、メイン、デザートで21ユーロ。
ワインやコーヒーを入れても安くておいしい食事ができたので満足!
ブログ内リンク:
★ フランスで最高の淡水魚 Omble chevalier 2007/08/23
★ 黄色いワイン Vin jaune 2005/07/27
★ 今の時期にしか食べられないチーズで簡単フォンデュー 2006/02/09 モルトーについて
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
外部リンク:
☆ フェラ(サケ目サケ科)
☆ Wikipédia : Féra du Léman
☆ Les poissons du Léman
☆ Wikipedia: エクス・レ・バン
にほんブログ村
この夏にフジツボが素晴らしい美味なので感激していた私。これはフジツボではないかと思いました。
そのときの日記:
★ フジツボが美味しいのに驚きました 2012/08/05
日本ではフジツボは非常に高価なのですが、これはとても安い。1キロ7ユーロなので、アサリの半額か3分の1くらいのお値段です。貝に蓋の部分がないのですから、アサリより食べでがありそう。
美味しいのかどうかわからないのですが、残っていたものを全部買いました。色々に調理して試してみようと思ったわけです。
少し前にも、どうやって食べるのか分かりもしないで八百屋さんで見なれない野菜を買って、色々に調理して苦労した私でした。どうも、得体のしれないものに興味を持つ性分らしい...。
そのことを書いた日記:
★ 直売農家が売っていた奇妙なブロッコリーの葉 2012/10/28
◆ カサガイだった
買った貝は、残念ながらフジツボではありませんでした。
Pâtelleと書いて売っていたのですが、仏仏辞典にも書いてあるPatelleが正しい語のようです。でも、インターネットでレシピを検索したら、aにアクセント記号をつけた「â」の綴りもたくさん出てくるので、普通には使われているようす。
仏和辞典をひいたら「セイヨウカサガイ」と書いてありました。
フランスも地域によって異なる呼び名があり、地中海地方ではarapède、ブルターニュ地方ではberniqueやbrenique、オレロン島ではjambeと呼ばれるのだそう。
アップで貝の写真を取らなかったのですが、このブログの一番下によく見える写真が入っています。
どうやって食べるのかを魚屋さんで聞いたら、フライパンにバターをしいて、貝の実の部分を下にして焼くと教えてもらいました。
エスカルゴみたいにして食べるということだろうなと思ったので、まず、それで実験。
さっとバター焼きにして、パセリのみじん切りを振りかけました。
「よ~く洗って砂を取り除いてから」と言われていたので、よく洗ったつもりなのですが、やはり砂が少し残ってしまったのが難点。でも、かなり美味しい味でした。
◆ アワビのように刺身で食べるのが一番
貝に挟まっている砂が、洗ったくらいでは落ちないので、実を取りだしてから料理することにしました。
解体してみると、身の部分はアワビにそっくり! もちろん、非常に小さいのですけど。
薄くスライスして、朝市で買ったセロリのスライスの上におき、ワサビ醤油で食べたら、まさにアワビの味。すばらしく美味しい♪
次には、オリーブオイルとレモン汁でカルパッチョ風にしてみました。
ワサビ醤油の方が格段に美味しかった。残りはすべてワサビ醤油にして、人が来たときに出して食べきってしまいました。それで、他の調理法は研究せずに終わり。
ところで、身を取りだすとき、臓物のような部分は生で食べないことにしたので、この臓物部分でスープを作ってみたら、これがまた、とても美味しい。
この日記を書きながら調べていたら、味噌汁にすると美味しいとあったのですが、頷けますね。
アワビは身がしまりすぎていて生で食べるには固すぎるのですが、こちらは身が柔らかくて、小さいという欠点を抜きにすれば、アワビより美味しいかもしれない。
店の人がバターで焼くレシピを教えてくれたのですが、これはエスカルゴの料理ではなく、フランスでアワビを食べるときの調理法と言った方が正確でした。だとすると、フランスでアワビを食べるために買ったゴムの金づちのようなものでたたけばよかったかもしれない。でも、小さいのだし、身は柔らかいので、それは必要なかったと思う。
フランスでもアワビは高級食材で、収穫の制限もあるので、めったに買えません。第一、このセイヨウカサガイはアワビよりずっと安いのも嬉しい。
フランスでも日本でも、アワビに似ていると表現しています。カサガイの種類には色々あるので、私が買った貝が日本で何と呼ばれるのか分からないのですが、日本ではベッコウガサと呼ぶ貝に似ていると感じました。
小さな貝なので、刺身にするのは手間がかかりましたが、その甲斐がある貝だと思いました。
この貝のことを調べていたら、貝おこしという道具があると知りましたが、私は小さなナイフで十分まにあいました。
また見つけて買う機会があるかどうか分からない貝だけれど、気に入った調理法をメモしておきました。
ブログ内リンク:
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
★ フランスのセロリ 2011/05/21
★ 目次: 珍しい植物の食材 (野菜、穀物、ハーブ、山菜など)
情報リンク:
☆ Wikipédia: Patelle
☆ Patelles à la braise
☆ ツタノハガイ科
☆ Wikipedia: カサガイ
☆ Patellidae / ツタノハガイ科
☆ カサガイの身のはずし方。
☆ 市場魚貝類図鑑: ベッコウガサ
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シリーズ記事 【フランス人にとっての米】
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その2
前回の日記で、フランスにある米について書いたのですが、それはイントロ。
米について書きだしたのは、フランス人にとっての米に関する考え方が気になるからです。
◆ ライスサラダを作っても、誰も喜ばない?
もう10年以上前だったと思いますが、誕生パーティーを開くことにした友人がありました。
招待客は100人くらいになったので、庭にテントを張って、公民館から借りたテーブルとイスを設置。参加する友人たちは、前菜かデザート持ち寄ることになっていると告げられました。
オーガナイズがしっかりしていて、前菜を用意する組と、デザートを用意する組に分かれていました。私は前菜を持っていく方のグループ。
私も、何か日本的な料理を持っていきたい♪!
でも、その当時のフランスには、まだ日本料理ブームが到来していませんでした。海苔なんかを出したら吐き気を催される時代。
それで、フランス料理だけれど日本を思わせる料理を考え、ライスサラダにしようと思いつきました。大勢で食べる量を作るのにも便利そうだし。
ところが、それを一緒に行く友人に話したら、「ライスサラダ?! やめなさい!」と言われてしまいました。
代わりに作ってあげるから、と言われたのは、すり身サラダでした。
当時は日本料理を作って欲しいという要望は全くなかったので、私は、フランスでは、ひたすら食べる人に徹していました。なので、料理をしなくて良いのは大歓迎!
実を言って、ライスサラダなどというものは、日本でも、フランスでも、一度も作ったことがなかったのです。当時の私は炊飯器を持っていなかったので、ライスサラダを私が作れたはずがない!
友人は私がライスサラダを作るのなら手伝わなければならなくて、つまりは自分もライスサラダを作って1人としてパーティーに参加するのを避けたいと思っての反応だったようでした。
ふ~ん、ライスサラダを持ち寄りパーティーに持っていくのって、恥ずかしいことなのですか?...
友人は料理の達人なので、とても美味しいスリミサラダができて、みんなにも好評でした。
このとき食べたものの中で印象に残ったのは、自家製のパテを2種類持ってきた人。
ハンターなのでジビエの肉を使って、それに森の茸のトロンペット・ド・ラ・モールやトリュフを入れて、素晴らしく美味しかったのでした。
こういう席では、ご自慢の料理を持っていくと、みんなから褒められて良い気分になる。ライスサラダでは誰も喜んでくれないですか...。
◆ 気になっていた食材: surimi
このことが記憶に残っているのは、ライスサラダはだめと言われたこと。
それから、スリミなるものがフランスに出回りだしたのを奇妙に思った時期だったからでした。
そのあと、数年したらフランスに和食ブームが訪れたのですから、今思えば、すり身は、その幕開けを告げるものだったのかもしれない...。
surimiと聞いたら、日本語だろうと想像しますよね。 フランス人たちは「シュリミ」と発音しますけれど。
でも、日本でいう「すり身」とは全然違うのですから、とても奇妙に思ったのです。
右に入れたのは、Wikipediaの仏語ページに入っていたSurimiの画像です。
こういうのを、フランスではシュリミという名で売っています。
検索エンジンで画像検索をしても、歴然と違いが出てきます:
☆ 仏語Googleで「surimi」の画像を検索
☆ 日本語Googleで「すり身」の画像を検索
そもそも、スリミというのが何を指すのか、私はよく分かっていません。魚や海老やイカなどをすり潰して作ったペーストだと想像しますけれど。
フランスでSurimiと聞いたときには、ツミレを思い浮かべました。 だから、こんな蟹の足まがいのものをスリミと呼んで欲しくないと思ったのです。
日本で「すり身」と呼ぶ食材は、何かに加工する前、つまり、すりつぶした状態のものを指すのではないかという気もします。すり身から何かを作ったら、別の名前の商品になる方が多い。
違うかな?...
| すり身 | つみれ | |||
フランスで売られているsurimiは、安いのが最大の長所の食品に見えます。蟹の足のような形にできているけれど、蟹の味はしない!
フランスは魚介類が非常に高価なので、こんな魚介類まがいの食品も必要なのだろうと思いました。
はっきり言って、全くおいしくない!
でも、友人がパーティーのために作ったスリミのサラダは、不味いものではありませんでした。夏で暑かったので、さっぱりしたサラダは美味しかった。
surimiが気になってから、しばらくたったときのこと。
イタリア旅行のときに入ったレストランで魚介類のスパゲッティーを注文したら、同じものが出てきたことがあったときには憤慨してしまいました。
限りなく不味い。
フランスと違って、イタリアでは海産物が豊富なので、魚介類を食べるためにも行きたいと思う私なのに。surimiなんかをイタリアで出して欲しくない! でも、イタリアで出されたのは、これが1回限りでした。
◆ フランスのsurimiは、実はカニカマだった
この際、気になっていたsurimiが何なのかを調べてみました。
Wikipediaの仏語ページにあるSurimiの説明によると、surimiがフランスに入ったのは1985年とのこと。突然あちこちに登場したのを記憶しているのですが、そんな時期だったようにも思いますね。
そう言われると納得します。
だって、あれは日本人にとっての「すり身」ではないのだもの!
「bâtonnets de crabe(蟹スティック)」という言い方もされるようですが、広まっている呼び名はsurimi。
フランスでは、蟹が入っているわけでもないものに「蟹」という名前をつけた商品を販売することはできなかったからではないかな?
フランスでスリミなるものに出会った当初、私はカニカマを知りませんでした。
今でも日本で買ったことがないし、どこかで見かけたことがあるかな... という程度。
回転寿司のネタなどにされるのだそう。そうか...。回転寿司は数えるほどしか行ったことがないものな...。
ライスサラダをパーティーに持っていくのは止めろと言われた私でしたが、それがどういう理由からだったのかを理解したのは、それから何年もたってからのことでした。
ブログ内リンク:
★ ライスサラダをパーティーで出すのはケチの象徴?
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: フランスで食べるキノコ
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
★ スリミ・ダイエットをしている友達 2013/07/08
★ フランスの友人が作ったお寿司 2008/03/11
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シリーズ記事 【月島の寿司屋で教えてもらったこと】
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その7 軟水・硬水 (2)
前回の日記「フランスで美味しく生魚を食べられるはずはない?!」で、お寿司屋さんからフランスは硬水だから、おいしい刺身ができるはずはないと言われてしまいました。
水くらいで魚の味が変わるのだろうか?...
でも、何年も前から不思議に思っていたことがあったので、それも水に関係しているのかと思いつき、質問をぶつけてみました。
◆ フランスで貝の砂抜きに失敗していた
イタリアではボンゴレのスパゲッティーがあるので採れやすい貝なのかもしれませんが、フランスではちょっと珍しい貝。
おまけに、やたらに高い!
売っているのを見て「これはアサリだ」と買うわけなのですが、札にはpalourdeと書いてあったかな? 辞書をひくと、palourdeはハマグリだと出てくるのだけれど。
めったにお目にかからないとなると、見たときには買いたくなる。
フランスの魚屋さんは、アサリの砂抜きをしてから売ってはいないだろうと思っています。洗うと、砂がたくさん落ちてくるので。
初めて買ったころには、薄い塩水にひたしました。フランスの友達に、「貝を買ったときには、砂抜きをするのよ」と 、知ったかぶりで言ったりして。
ところが、塩水につけたアサリは、みんな、あっさりと死んでしまったのでした!
貝の砂抜きなんて、潮干狩りをした子どものときに覚えたことなので、覚えているのは、水は海水より薄い塩分の水につける、ということくらいでした。それで、2度目には注意してやってみたのですが、また死んでしまった...。
書きながら調べてみたら、私は少し長くつけすぎたかもしれません。1時間~3時間くらいで良いらしいです。3時間でも死んでしまったような気もするけれど...。
フランスの魚屋さんで聞いてみると、塩抜きという方法があるのは知っていましたが、普通のフランス人はそんなことはしないようでした。魚屋さんは、買ったら冷蔵庫に入れておくのが一番良いのだ、と教えてくれました。
それでも、私は塩抜きをしたい。方法が間違っているのではないかと思いました。
帰国して海沿いの地方に行ったとき、地元の人にどうやっているのか聞いてみました。
そうしたら、海水をとって、それで砂抜きしているとの返事。私は、東京でアサリを買っても、海水を汲み行けるような環境にはありません。まして、フランスでは...。
それで、2回か3回砂抜きに失敗したあとは、洗っただけで食べることにしました。だって、死なせてしまったら、もったいなくて仕方ないので。
◆ 貝を硬水につけたら死んでしまう?!
それにしても、私が塩抜きしたアサリの死に方は、かなり異常でした...。
子どものころ、潮干狩りでたくさん貝をとりすぎて、食べきれないので何日もバケツに入れておいたら腐ったのと同じ感じだったのです。
フランスでは貴重なアサリ。朝市で買って、夕方に食べるつもりだったのですから、死んだばかりのわけです。なので、食べてしまおうかと思いました。
ところが、臭くて、とても食べる気にはなりませんでした。
それで、今回行ったお寿司屋さんに話してみたのでした。
「硬水に貝をつけておいたら死んじゃいますよ~!」
笑われてしまいました。
しかも、ただの死に方ではなくて、臭くなるのも当然だ、とまでおっしゃる。 実験したことがあるのかな?...
ともかく、フランスの水道水で洗った魚を刺身にすると味がどの程度落ちるのかは分からないのですが、貝の方は硬水がいけなかったのだろうと思いました。だって、あんなにあっさり貝が死んでしまうのは尋常ではありません!
硬水がいけないか...。
フランス人があっと驚くお刺身をつくれるようになりたいと思っているのですが、包丁さばきではなくて、水の問題をなんとかしなければいけないんだ...。
◆ フランス人の貝の扱い方
書きながら思い当たることがありました。
前回書いた日記「フランスでは生ウニをどう剥くのか?」の最後に入れた動画で、フランスの魚屋さんがウニを剥いていたのですが、開いたウニを洗ったりしないで、そのまま食べろと言っていたのでした。
もしかしたら、洗ったりしたら風味が落ちるのが、魚屋さんには分かっていたからなのではないか?...
さらに、ウニの話しで、コルシカ島の漁師が、とったウニを剥いて、海水で洗って食べていた動画もありました。それが美味しそうだった...。
ところで、フランスで食べるシーフードの盛り合わせには、貝も入っています。Amande de merという貝が好きなのですが、これを食べるときも、貝を開いてそのまま食べてしまいますね。
さらに、殻つきのカキも同じ!
去年書いた日記「牡蠣の殻のむき方: 日仏比較」にシェフがカキを剥いている動画を入れていたので、もう一度見てみました。
剥き終わったら、汁を流しておくと、貝から汁が出てきて、それが美味しいのだと言っています。つまり、洗ったりしていない。思い出せば、フランス北部の牡蠣の産地出身の友人が、開けてから水で洗ったら味が落ちるから、殻の中の汁を捨てて、2番汁が出るのを待て、と言っていたっけ。
つまり、フランス人たちも、貝などが硬水に弱いのを知っているのではないかな?...
実は、日本で過ごしているこの夏、水が気になる出来事がありました。軟水と硬水の話しを続けます。
情報リンク:
☆ あさり貝の砂抜き方法&保存方法
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シリーズ記事 【月島の寿司屋で教えてもらったこと】
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その5 うに (3)
保存食にしたものもあるようですが、食べたことがないので味が良いのかどうかは分かりません。
魚屋さんで売られているの生のウニを、たまには買ってみることがあります。
でも、日本で殻付きのウニなど買ったことがないので、どうやってあけるのか分かりません。
それでも、なんとかウニをさばくことができます。意外にもウニの殻はまったく固くないので、料理用ハサミの先で穴を入れるとチョキチョキと切れてしまうのです。
ここのところウニのことを調べてきたので、この際、正式なあけ方を知りたくなり、調べてみました。
たくさんウニを食べる日本なのので、日本人がどうやっているのかを一番初めに見るべきでしょうね。
オヘソみたいなところから手をつけるというのは、どこかで聞いていました。
まずサイバシを突っ込む、というのが気に入りました。
サイバシって便利なのですよね。これがなかったら、どうやって料理するの? と思ってしまう!
フランスのテレビで、3つ星ホテルで修業している日本人が調理場で働いている姿が映し出されたとき、やっぱり、さいばしで盛り付けをしていました。
フランスに持っていって使っているサイバシが少し汚くなっていたので、買っておかなっければならない。
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左のような伝統的なサイバシが私は好きなのですが、最近はシリコン製なんかが出ているのですね。
木でできていないと、揚げ油の温度加減なんかは見れないのではないかという気がしますが、シリコンだと汚れないので良いかもしれない。耐熱温度は230度までなのですって。スプーンが付いているのが良いアイディア。
ウニの話しに戻ります。
他でも調べてみたのですが、洗うときには塩水を使わないと味が落ちるのだそう。覚えておこうっと。
動画でデモンストレーションしているのは板前さんでしょうか? きれいに剥いていますね。それに、ウニが2つに割られてしまっても動いているのが凄い...。
でも、この動画では、殻からウニを取り出してしまっています。前回の日記「フランスのウニは、中身が貧弱」に書いたように、フランスのウニは中身が少ないので、殻に入れたまま出したいのです。
フランスでは殻つきで使うのが普通だと思うので、フランス人はどうやっているのか、動画を探してみました。
◆ フランス流(?)のウニのむき方、食べ方
やはりフランス人はハサミを使っていますね。
ニースで行われた食べ物関係の見本市で行っていたデモンストレーションのようです。
きれいに殻をあけているのですが、最後にそのまま皿にのせています。黒い幕のようなものを取り除いていません。
もうひとつ、フランス人がウニをあけているのを見てみましょう。
こちらは、パリ首都圏にある朝市の魚屋さんのようです。
ウニの口の反対側を開けるのだと言っていますね。調べてみたら、日本でも同じらしい。
剥き終わったとき、そばにいる人が「洗わなくてよいの?」と聞いています。魚屋さんは、そのままで良いのだ、生で食べる場合には、このまま食べるのだ、と答えています。
こちらも、ウニの中の苦そうな膜はつけたままですよ~。
実は、ウニについて、黒い部分を取り除くのかどうかも気になっていたのです。黄色かオレンジ色の部分だけを食べるのがおいしいとは思うのですが、膜の部分を取り除くと食べるところが少なくなってしまう。捨てなくて良いのではないか?... とも思っていたのでした。
前回の日記(フランスのウニは、中身が貧弱)に入れた料理を作っているフランスの動画では、ちゃんと膜の部分を除いていました。
気になるので、もう少し調べてみる。
コルシカ島でウニを出しているレストランを見せるニュースの動画がありました。
☆ Dégustation d'oursins sur l'Ile de beauté
ウニが食べられるシーズンは、もうすぐ終わりというニュース(2010年4月19日)です。
やはり、膜の部分はほとんど取り除いて出しているようですね。
そうだろうな...。でも、こんなにどっさり出してくれるような地元でなかったら、もったいないからと、膜の部分も食べてしまうフランス人もいるのではないか、という気がしないでもありません...。
それにしても、私がフランスで見たこともない立派なウニを食べていらっしゃいます! それでも、殻は大きくても、日本の食べでがあるウニにはかなわないのでは?...
もうひとつ、ウニのニュースの動画が見つかりました。こちらは、コルシカ島のアジャクシオ湾でウニの収穫が始まったというニュース(2010年12月3日)です。
☆ La pêche de l'oursin a démarré à Ajaccio
月島のお寿司屋さんが言っていたように、海藻がたくさん生えている場所でウニをとっていますね。こんなにたくさん拾えたら楽しいだろうな...。
それにしてもコルシカ島の海は美しい。また行きたくなります...。
ところで、コルシカ島では、12月1日から4カ月間だけウニの収穫が許されているのだそうです。漁獲量も制限されていて、船1隻がとって良いのは、1週間に500ダースまで。
でも、観光客たちにはウニが人気なので、密漁も多いらしい。それでウニがどんどん減ってきている、というニュースもありました。
月島のお寿司屋さんから聞いた話しから始まったウニのお話しは、謎も色々と解けたので、このくらいにしておきます。
お寿司屋さんから教えてもらったことの中で、もっとも驚いたのは水の話しでした。それを次回に書きます。
過去に書いた記事:
★ 牡蠣の殻のむき方: 日仏比較 2010/02/06
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
情報リンク:
日本で市販されているウニを検索
☆ Poissons - Fiche 14 - L'Oursin - ou châtaigne de mer
☆ Comment ouvrir un oursin, that is the question !
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シリーズ記事 【月島の寿司屋で教えてもらったこと】
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その4 うに (2)
前回の日記でシケのときには小さなウニしか取れないという話しを書いたのですが、殻つきのウニを買ったとき、身が小さいと、本当にがっかりします。
◆ フランスでは、殻つきのウニしか売っていない
|
牡蠣も、日本のように殻から出した形では売っていません。
フランス人がカキを食べるといえば、生で食べるのが普通なので、見栄えが良いように殻つきで売っているというのが大きな理由だと思います。
ウニの方は、加熱して食べるレシピが色々あるようなのですが、取り出したものは売っていません。
そもそも、フランスのウニを取り出したら、見た目が悪くて売り物にならないのではないかと思うのです。
日本のウニはふっくらしていますが、身が小さいのです!
酷いのにあたると、1個の中身が、ティースプーン半分くらいしかないような気がします
ウニを調理するのは、フランス人にはウニがきつすぎるので薄めた方が好まれるというのもあるでしょう。でも、せっかく殻があるからといって、そのまま出すと、ウニがどこにあるの? という感じで見栄えがしないからなようにも思えます。
私がウニを買ったときの盛り付け↓
柚子の葉で飾ってみました。そうでもしないと、食べでがないウニだと思うので。
1人2ダースか3ダースくらいウニを出せば、軽い前菜になるでしょうが、そうしたら破産してしまう!
アップで映っている写真の方で、下にある黄色いウニは、大当たり! という量の身が入っていました。
料理にするウニとしては、殻の中にウズラの卵を入れるものが有名らしいので、動画を探してみました。
下に入れておきますが、やたらに手がこんでいて、私などは、どう転んでも作りたいとは思わないレシピ! ウニは生クリームとはよく合うので、おいしそうですけどね...。
犬も歩けば棒にあたる。この動画で1つ学びました。
ウニを選ぶときには、イガイガがピンと立っているのが新鮮で良いのだそうです。それが寝てしまっているのは脱水してしまっているとのこと。
つまり、身がふっくらしていないということでしょう? 殻を割ると、まわりに膜みたいなものしかついていないウニもあったのですが、そういうのがくたびれてしまっている、という意味ではないかな?
外観で判断できるなら、魚屋さんで買おうかどうしようかと迷うときの判断になりますね。
◆ 日本のウニは、どのくらい身が入っているのだろう?
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右に入れたウニは、「100グラム3個入り」 として売られています。
1枚が100グラムということもないと思うので、1個のウニからとれるのが100グラムで、それが3個分という意味かな?...
それにしても、ウニを1個かって100グラムもあったら嬉しいです。フランスのなんか、目方を測る気にもならないくらい小さいです。
日本では折詰にして売るくらいなのだから、1個のウニからかなりの量が出てくるのでしょうね...。
お寿司屋さんでウニについて聞いたとき、どのくらい身が取り出せるものなのか聞いてみればよかった。
しかたないので調べてみました。ウニについて書いてあるサイトでは、中身がどのくらいなどとは書いてありませんでした。
そういうのを気にするのは買う人でしょうね。というわけで、殻つきで売られているウニの説明をざっと眺めてみました。
☆ 市販されている殻つきのウニを探す
日本のウニは、1個あたり、50~140グラムという感じでした。 やっぱり、かなり身が入っているのだ...。
◆ ウニの種類
ウニの種類が、日本とフランスでは違うのだろうと思うのですが、フランスで食べるウニが何なのかが分かりませんでした。
そもそも、そんなに食べないのではないかな?... 食用ウニの良い情報が見つかりません。
日本のウニの方は、はっきり分かりました。
広く食べられているウニは5種類で、漁獲量の半分以上を占めるのは次の2種類なのだそうです。
| 蝦夷馬糞海胆(えぞばふんうに) |
| |
| 北紫海胆(きたむらさきうに) |
|
その他は、次の3種類:
・馬糞海胆(ばふんうに)
・赤海胆(あかうに)
・紫海胆(むらさきうに)
食べ物なのに、バフンなんて名前がついているのがあるのですね。確かに馬糞みたいな形だけど...。
◆ ウニを漢字で書くと...
ところで、ウニのことを調べていたら、また学んだことがありました。
ウニを漢字で書くときには、生きたウニは「海胆」あるいは「海栗」で、加工食品になると「雲丹」と表記するのだそう。
そういわれると、瓶詰のウニには、いつも「雲丹」と書いてあったような...。
と思ったのですが、一概にそうとは言えないですね。 というか、むしろ漢字で表記するのを避けているようにさえ感じました。
ウニのことを書いていたら、もう1つ知りたいことがあったのを思い出しました。
フランスでウニを買ったら殻つきなのですが、それをどうやってあけるのか(剥く、と言うべき?)知りたいと思っていたのです。
動画があったので眺めてみたら、やはり、やり方は日本とフランスでは違うのでした。しかも、日本ではおそらく想像しないようなことを、フランス人たちはしている!
フランスで買うウニの中身は貧弱だと書いてしまったのですが、産地では立派なのが食べられるようなので動画を入れました。
ブログ内の過去の記事:
★ シリーズ日記: 殻付きの牡蠣 2010/04/02
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
情報リンク:
☆ 市場魚貝類図鑑: ウニ
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海の幸 |
シリーズ記事 【月島の寿司屋で教えてもらったこと】
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その3 うに (1)
「フジツボが美味しいのに驚きました!」で書いたように、お寿司屋さんには海産物について色々と教えてもらいました。
その1つはウニの謎。
フランスのレストランでウニについて言われたことで、気になっていたことがありました。お寿司屋さんに聞いてみたら、みごとに答えてくれたのです。
◆ ウニといえば地中海
ブルゴーニュでもウニは売っているのですが、めったに見かけないし、かなり高いお値段になっています。
フランスでウニがとれるのは地中海のようです。
ウニの漁獲はフランスでは制限されていて、9月1日から4月30日が解禁の時期だと書いてありました(県によって多少ずれているかもしれないけれど)。そう言われると、朝市の魚屋さんにウニが出るのはその時期ですね。
南仏に行くのは太陽を求めて冬に行くことが多いので、地中海沿岸でウニに出合うことにあたるということにもなるわけだ...。
私がウニをフランスで初めて食べたのは、マルセイユの港でした。
マルセイユは大都会なのですけれど、なかなか魅力的です。街のど真ん中にある旧港には、漁船がやって来て朝市が開かれます。
ビルの後ろに霞んで見えるのは、丘の上にたつ漁師たちを守ってくれるノートルダム・ド・ラ・ガルド大聖堂(Basilique Notre-Dame de la Garde)。地元の人たちは「La Bonne Mère」と呼ぶのですが、これをマルセイユ訛りで発音しないと、彼らのランドマークに対する愛情が伝わらない!
マルセイユに初めて行ったとき、忘れられない思い出があります。
港にできた市場を覗いていたら、ウニを売っているのにひかれました。
「買って食べたいけれど、旅行中だから残念...」と、私。
すると、売っていたおじさんは、その場で食べられると言うのです。
「パンとバターを買っておいで」
どこに行けば美味しいパンがあるか、一口サイズに包んだバターはどの店で売っているかまで教えてくれました。
港の近くにある店で言われたとおりの買い物をして戻ると、ウニを開けてくれました。
フランスパンは皮が固いので、それがスプーン代わりになって食べられるのでした♪
日本のウニと見た目は余り変わらないのですが、かなり味は違います。
とれたてのウニと、焼き立てのパンと、バター。
これほど美味しいろ思いながらウニをフランスで食べたことは、後にも先にもありません!
◆ コルシカ島でウニを注文したら...
その後、コルシカ島に行ったとき、ここではウニが食べられることを思い出しました。
レストランの前に、こんなものを見つけたからです。
「ウニがやって来ました!!」と書いてあります。
ボージョレー・ヌーヴォー解禁の時期にもレストランでは同じ表現を使っているので、そのパロディーなのかな?
それで、旅行中はできる限りウニを食べようと思ったのですが、扱っているレストランはかなり限られるようでした。
ある日、レストランのメニューにウニ(oursins)の文字があったので、喜んで注文。
すると、ご主人から「今日は仕入れなかった」と返事されてしまいました。
海が荒れていたので、そんなときに漁獲したウニは小さいに決まっている。食べるところがほとんどないようなウニをお客さんに出して、お金をとるわけにはいかない、と言うのです。観光客はウニを食べたがるから、そんなのも出してしまう悪いレストランもあるけれど、オレは違う、というわけ。
|
なぜだろう?...
海流が激しいと、ウニは緊張して、身が縮んでしまうのだろうと考えました。ウニの身がフワフワですが、伸びたり縮んだりするのかな?...
ずっと気になっていました。
それで、先日行ったお寿司屋さんがフジツボのことを話してくれた後、ついでにウニのことも聞いてみたのです。
さすが、お寿司を握るだけではなくて、食材のお勉強もなさっているのですね...。みごとに疑問を解決してくださいました。
◆ ウニは、昆布がある岩のところで暮らしている
シケのときはウニが小さいというのは、本当なのだそう。
ウニは、昆布が生える岩場で暮らしていて、昆布を食べている。 海が荒れると、ウニは安定する場所に移動してしまうのだけれど、小さなウニは岩に挟まって動けない。それで、シケのときにウニをとると、岩の隙間に入り込んでいたような小さなウニしかとれないのだそうです。
お話しを聞いて想像してみたとおりの海底のウニと岩を描いた絵が入っているサイトがありました。なるほど、コルシカ島で聞いたことは本当だったんだ。私が勝手に、ウニの身が縮まって食べるところがない、ということなのだろう思ったのが間違いだった。
コルシカ島に行ったのは、もう10年近く前のことですから、その時からずっと疑問に思っていたのです。やっと謎が解けて嬉しくなりました。
この先はお寿司屋さんには聞かなかったのですが、フランスのウニについてはまだ疑問が残っているので、次の日記で触れたいと思います。
ブログ内の関連記事:
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その1 珍味 フジツボ
先日、お寿司屋さんに連れていってもらいました。カウンター席でお勧めを食べていたとき、正面の壁に貼ってあった紙に書かれた文字のなかで、「ふじつぼ」というのが目に飛び込んできました。
むかし潮干狩りに行ったとき、フジツボが岩にたくさんついていたのを見ていたのを思い出しました。あんなものを食べるの?!
でも、築地の魚河岸で、こんなもの、どうやって食べるのだろう? と思ったものの中にフジツボがあったような気がします。
レストランで何を食べようかと迷ったときには、食べたことがないものを注文する傾向にある私。迷わずフジツボを注文しました。
お寿司を握る人は、フジツボは今が旬で美味なのだと返事します。それが食べたくて来るお客さんもいるくらいの珍味なのだそう。
そうは言われても、こんなに美味しいとは全く想像していませんでした。
出てきたのは、お寿司ではなくて、小鉢に入った料理でした。
フジツボが3つ入ったスープです。1つ食べ終わってから、記念撮影しました。
◆ 珍味フジツボ
他の食べ物とは区別される、独特の風味があるのでした。これなら、これを食べたいという理由でやって来る人たちがいるのも納得できます。
フジツボは貝に見えるけれど、実は甲殻類なのだそうです。それで、エビかワタリガニでつくったような濃厚なスープになっていました。
中身は柔らかくて、ウニかエビかカニのようでもあり、でも、やはり違って、これまた、ものすごく美味しい!
貝のように見えるものからクチバシが出ていて、それを引っ張れば出てくるので、とても食べやすい。
「どこかで食べるなら、値段を確認してから注文した方が良いですよ」、とお寿司屋さん。
この店の4倍の値段で出しているところがあった、と言います。
この店でも、値段は表記されていませんでした。友人がご馳走してくれたので、この小さなフジツボ・スープが幾らだったのかは分かりません。
夏の時期でないと、身が小さくて美味しくないらしい。時期に限られて、何処ででも採れるものでないとしたら、いくら高くても食べてしまう人がいるので、料理屋さんでは足元を見て高くしてしまうこともありえますね...。
◆ 調理法は簡単
どういう風に調理したのか聞いてみると、ただ薄い塩水で10分くらい煮ただけなのでした。
としたら、材料を手に入れて、自分で作れるではないですか?!
でも、食べるのは特別な種類のフジツボであって、海で普通に見るフジツボをとったって美味しくは食べられないのだそう。
お寿司屋さんにあるということは、市販されているということ。でも、
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ちゃんと、売っているのでした。
☆ 「ふじつぼ」を楽天市場で検索
実は、この日記を書き始めたときは品切れだったのですが、今は売りにでています。
フジツボは甲殻類だそうですが、食材は「貝」の中に分類されていました。
でも、やっぱり高い!
1個いくら、と言う感じで高いのは良いにしても、1キロはいらないものな...。お寿司屋さんでは3個食べただけなのですが、風味が強いので、それだけでも十分に満足できたのです。
それなら、フジツボをどっさり食べられる料理屋さんを探した方が良いかもしれない。それで、お勧め飲食店をリストアップしているサイトを検索してみると、ぞろ~っと出てきました。
しめしめ。そう思ったのもつかの間。並んでいた店は、全部、青森の店なのでした!
また食べる機会があるかどうか分からないけど、ともかく、ふじつぼは美味しかった...。
長生きしていて良かったな... なんて、帰り道で思ってしまいました。
【追記】
フランスで、ひょっとしてこれはフジツボ? という貝を見つけたので日記に書きました。フジツボではなかったのですが、美味しかった!
★ フジツボみたいな貝は、アワビの味だった 2012/11/25
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☆ All about: 陸奥湾の夏の美味 ふじつぼ
☆ Wikipedia: フジツボ
☆ 月島もんじゃ振興会協同組合
でも、風味が落ちるフランスで売っている蟹の場合は、下味をつけるクール・ブイヨンで煮るのが最善なのではないかと思っています。
それに目覚めたのは、北部フランスで蟹を食べたときです。蟹といっても美味しくないと思っていたトゥルトーが、こんなに美味しいのかと驚いた出会いでした。
そのときに書いた日記:
★ フランスの蟹をおいしくしたのはクール・ブイヨン? 2009/11/08
その後、海藻入りクール・ブイヨンとして市販されているものを手に入れたので、それを使って蟹を茹でるようになりました。
◆ トゥルトーを茹でたときの写真
トゥルトー(tourteau)と呼ぶ、フランスでは最も普通の蟹を茹でたときの記録です。
右手に置いてあるのは、ハーブで作るブーケ・ガルニの材料。どんな風に作るのかは、「フランスの蟹をおいしくしたのはクール・ブイヨン?」で書きました。
鍋に水を入れ、海藻入りクール・ブイヨンを入れて煮たててから、蟹を入れます。
蟹の甲羅を下にして茹でるべきなのに忘れていた...。
ゆであがった蟹 ↓
これを冷蔵庫に入れてはいけないそうなので、そのまま冷まします。
◆ 海藻入りクール・ブイヨンの中身は?
ブルターニュ産の海藻入りクール・ブイヨンを使いました。これが蟹の味を良くすると思っています。
Court-bouillon aux Algues
実は、前回の日記(「海の蜘蛛」と呼ばれる蟹、アレニエを買ってみた)に書いた蟹を茹でるときには、これを切らしていました。
昆布がなどの材料はあるので、インスタントのクール・ブイヨンを使うより美味しくできるのではないかと思って茹でたのですが、いつもの蟹の風味が出ませんでした。
いつもはトゥルトーを使うのに、このときはアレニエという蟹だったので、味の違いはカニの種類からきたのかもしれません。
でも、市販の海藻入りクール・ブイヨンを使わなかったせいかもしれない。この中には何が入っているのかチェックしてみました。
まず、食用の海藻が10%含まれているとして、wakamé, dulse, laitue de mer, noriが挙げられています。
wakaméとnoriは日本語でしょうね。
昆布がないのが不思議。ワカメや海苔で出汁をとる日本人がいるのでしょうか?... ともかく、フランス人が海藻を選んでいるのだから無視。
その他の海藻が何なのかを見てみましょう。
Dulse:
これは英語で、きめの粗い食用紅海藻Palmaria palmataらしい。
Laitue de mer:
「海のレタス」の意味なのですが、ulva lactucaのこと。
両方とも日本語で何と言うのかは見つけることができませんでした。
海のレタスは、以前に日本の海で見たものに似ていると思ったのですが(下の写真)、海藻は色々あるのでわからない...。
★ 日本の海で教えてもらったこと 2009/07/21
日記を読み直してみたら、この日本の浜辺で見た若草色のきれいな海藻は、地元の人が食べない海藻だと言っていた、と書いてありました。クール・ブイヨンに入っているのは食用になる海藻と書いているのだから別ものの可能性が大きいですね。
「海のレタス」と呼ばれるのはUlvaceae科の海藻らしい。アオサ藻綱アオサ目の科の1つで、アオノリやアオサなどが含まれるのだそうです。
乾燥したら青海苔になる海藻だと言われると、何となくイメージが描けます。
その他、このクールブイヨンには、ハーブとして、次のものが入っていると表示されていました。
タイム、ローズマリー、コリアンダー、パセリ、ウイキョウ(フェンネル)、エストラゴン
それから、乾燥した野菜として、玉ねぎ、人参。それから、大西洋の塩、とあります。
今回、カニを茹でたときには、同じものをだいたいは入れたし、それ以外にも手元にあったものを入れていました。インスタントの方が美味しくできてしまうというのはつまらない。
海藻入りクール・ブイヨンは便利でもあるので、また買おうと思います。フランスのネットショップでは、150グラム入りの袋で6ユーロ弱(600円くらい)で売っていました。でも、送料が同じくらいかかる。となると、バカらしいなと思って注文する気にはなりませんでした。
どこか店で売っているのに出会いたいものです。パリに住んでいたら、ボーマルシェというデパートに行ったら確実に売っていると思いますが、田舎だとそういう店はありません。
ところで、前回の日記にリンクを入れたフランスの動画では蟹の茹で方も入っているのですが、茹でるときにビネガーを少し入れると言っています。他のフランスのレシピを見ても、ビネガーを入れる人がありました。
日本の情報では、蟹を茹でるときにビネガーを入れるというのは見たことがないように思うのですが、入れると美味しくなるのかな?...
ブログ内の関連記事:
★ 低温蒸しというテクニック 2009/08/03
★ 目次: 蟹について書いた日記
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ところが、フランスの友人たちは、私は日本人だから魚介類に詳しいと思っています。大きな魚料理を切り分けなければならないときには、私にやれと言ってくるので困ります。たとえ日本で魚を分け合って食べるということをやっていたとしても、ナイフとフォークなんかでうまく身をそぐなんてことが上手なはずはないですよ!
私が食事に招待するときには、彼らは魚介類の料理が出てくることを期待している。仕方なしに、かなり下手なながらも魚を料理しています。
最近、レパートリーにしようと試みているのはカニの料理。
たまにではありますが、生きたカニが手に入るのです。北フランスを旅行したときにレストランで食べた蟹が美味しかったので、フランスの蟹も調理しだいでは美味しくなると知ったのがきっかけでした。
ロブスターがご馳走というのは、海から遠いフランスの地方にもある観念のように感じますが、蟹が大好物という人はそれほどいないのではないかな?... 苦労して蟹の料理を作っても、感激してくれる人は少ないと感じます。
でも、自分が蟹を好きなので、生きたカニを売っているのに出会うと買っています。
◆ トゥルトーと呼ばれる蟹
フランスで食べるカニをお見せするために、北フランスで食べたものの写真を入れてみますね。
★ フランスの蟹をおいしくしたのはクール・ブイヨン? 2009/11/08
フランスで最も一般的な蟹はトゥルトー(tourteau)。下の写真で、頂上にのっているカニです。
トゥルトーは、甲羅が非常に硬く、イボイボもなくてツルンしているので、本当に蟹の仲間なのだろうかと疑ってしまいたくなるカニです。
辞書をひいたら、トゥルトーの訳は「イチョウガニ」となっていました。
Wikipediaにイチョウガニ属というのがあったので見ると、ヨーロッパイチョウガニというのが確かにフランスで見るトゥルトーですね。
◆ アレニエという珍しいカニが手に入った♪
先日、朝市で珍しいカニを見つけました。
Araignée de mer(アレニエ・ド・メール)。直訳すれば、海の蜘蛛(くも)。
上に入れた写真の下に写っている小さな方の蟹です。
北フランスに行ったときには、漁港の朝市で売っているのを見かけたし、レストランで何回か食べているのですが、ブルゴーニュで姿を見たのは初めてのように思いました。
高いのだろうな...。恐る恐る魚屋さんに聞いてみると、トゥルトーと同じ値段だという。それなら、買おうではありませんか?♪
茹でた後の写真です↓
大きさを記録するために、割り箸を置いてみました。
アレニエは、私がイメージする蟹らしい形をしています。
なんとなくズワイガニに似ているように見えませんか?
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◆ 結論: アレニエよりトゥルトーの方が美味しいのでは?
喜んで買ったアレニエ。
足の部分は、割って引っ張ると、するりと身が出てくるので食べやすい。殻もトゥルトーのように割るのに苦労するほどには硬くないのが良い。
長所はあるのですが、そんなに美味しくはなかったです。うまく茹でたトゥルトーの方がおいしい。
甲羅の部分にはほとんど身がありませんでした。カニ味噌もあまりない。
この冬、日本で毛ガニを買って料理したとき、カニ味噌を茶碗蒸しのやり方で調理すると、フランス人ならスフレと呼ぶような美味しいものができるので、これを私のレパートリーにしようと悦に入っていたのに...。
1.3キロくらいある蟹だったのに、食べるところはとても少なかったです。大食漢ではない私でさえ、こんなのは一人で全部平らげてしまいますよ...。
身がつまっていなかったのは、私が買ったアレニエの質が悪かったせいかもしれません。こちらの方が高級な蟹のはずなのに、トゥルトーと同じ値段で売っていたのだから、そうなのかもしれない...。
でも、思い出してみれば、北フランスのレストランでアレニエがあるので喜んで食べたときも、感激するほど美味しいとは感じなかった。
この次カニを買うなら、トゥルトーにしようと思いました。 でも、今回の茹で方が良くなかったかな、という疑問も残ります。
日本に比べて美味しくはない蟹に良い下味をつける材料を見つけたのですが、それを使い切ってしまっていたので、自分なりのクール・ブイヨンで茹でたからです。
あの材料、どこかで見つけて買いたいな。
それがどんなものなのかを次の日記で書きます。
アレニエの悪口を書いてしまったのですが、フランスではやはり珍味になっているらしいです。
アレニエについてのニュースのビデオをご覧ください(初めの部分はコマーシャルです)。
★ L'araignée de mer, un goût exquis
海に潜ってアレニエを捕るのは、一人6匹まで収獲が許可されているのだそう。これは、5月のニュースなのですが、シーズンは秋までと言っています。私が朝市で買ったのは1月。輸入品だったのかな?...
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シリーズ記事 【イタリア経由 クロアチアへの旅】
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その25
イタリア: (13-1) イタリアで気になったもの
― ロンバルディア州
イタリア北部にある湖水地方が好きなので、旅の中継地点としてDesenzano del Garda(デゼンツァーノ・デル・ガルダ)という町に1泊することにした日のことです。
ホテルに荷物を入れた後、まずは夕食をするレストラン探し。賑やかな界隈を外れたところに、迷わず入りたくなる店構えのレストランを見つけました。
パティオと呼ぶのでしょうか? 中庭がレストランになっています。
ブドウ収穫の季節だったので、井戸にはブドウの葉が飾りにつけられています。
扇風機が置いてあったりしてゴチャゴチャなのですが、その気取らない雰囲気が気に入りました。四方を囲んでいる建物は古いらしくて、彫刻のある石の窓枠などを見るのも楽しい。
◆ こんな道具が欲しい
エビが入ったスパゲッティは、こんな風に出てきました。
エビやカニの殻を割る道具が気に入りました♪

それまで見たことがあったのは、こんな道具でした。
| (1) 普通の形 | (2) ハサミ | ||
(1)は普通のタイプ。こういうのを私も持っています。
(2)は殻を切るハサミ。なかなか便利ですが、これを食卓で出したら味気ないのが欠点。
湖畔の町にあったレストランで出てきたのは、殻をわる部分の上に小さなピンセットのような部分がついていました。海老の細い脚につまった部分を取り出すのに便利。
さすが、イタリア人って賢いな~! フランスでは見たことがなかった... と感心。
でも、この道具を手にとってよく眺めてみたら、ドイツ製だったのでギャフン... でも、簡単に意見を変えてしまう単純な私...。
ドイツ人って、賢いんだもんな~!
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★ このシリーズ記事の目次: イタリア経由 クロアチアへの旅
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8月中旬に行った朝市で、魚屋さんの店先にあるムール貝を見たら食べたくなって買いました。
◆ ブショーのムール貝を選ぶ
貝が大きいのと小さいのがありました。大きいのはスペイン産。小さいのはフランス産の最高品で、「ブショ-のムール貝(Moule de Bouchot)」でした。
北西部で養殖されているムール貝だそうです。
ブショーは小さい粒で大丈夫なのかなと思いながらも、こちらの方がおいしいのだと言われたので買いました。
フランス定番のムール・フリットを作りました。ムール貝の白ワイン蒸しとフレンチ・フライドポテトの組み合わせです。
白ワインを一人当たりボトル3分の1くらいを入れてムール貝を調理しました。
確かに、このムール貝は絶品です! 小粒なのですが、身がしっかりと詰まっている。味は感激するくらい素晴らしい♪
思い出せば、ムール貝が好きといっても、すばらしく美味しいときと、大したことがないときがありました。おいしいと感じたのはブショーのムール貝だったのだろうと思います。
今回は写真をとらなかったので、以前の写真を入れておきます。たぶん、これもブショーのムール貝だったと思うので。
多めに買ったために余ってしまったので、翌日はスパゲッティーにしました。
余り物をそのまま使うのはつまらないので、シイタケの細切りを入れたのが良かったのか、フライドポテトと一緒に食べるより遥かにおいしかったです!
◆ ブショーのムール貝はどこで生産されているのか?
今まで気にしていなかったブショーのムール貝とはなんなのか調べてみました。
下に入れる地図で、ÅとBがブショーのムール貝の産地なのだそうです。
大きな地図で見る | A : モン・サン・ミッシェル湾 (ブルターニュ地方) B: シャロン湾 (ポワトゥー・シャラント地方) | |||||||||||||||
◆ ブショーで生産されているムール貝は存在しない
「ブショーのムール貝(Moule de Bouchot)」と呼ばれるムール貝。普通、食品に「○○の」とついているときには「○○」は地名。でも、「ブショー(Bouchot)」という町で作られているのではないそうです。
そもそも、ブショーという地名を持つ町村はなく、あるのは関係ないところにある河川の名前だそう。
なぜブショーと呼ばれるのか?
ムール貝を養殖するときに使う杭を「ブショー(bouchot)」と呼ぶからだそうです。
それを説明してくれたフランス人の友人は、ブショーのムール貝は有名だけれど、AOC(原産地統制呼称)を持っていないけれど質が良いことで有名なのだと言われました。
でも、調べてみたら、世界遺産のモン・サン・ミッシェルがある湾で養殖されるブショーのムール貝はAOCを獲得したそうです(2006年)。
モン・サン・ミッシェルのAOCブショームール貝は、7月中旬から2月中旬まで生産されるとのこと。ということは、私が買ったブショーのムール貝ははしりの時期だったわけらしい。
ちなみに、この地域で生産される貝は、ブショーのムール貝の4分の1ほどを占めているとのこと。つまり、AOCを持っていないブショーのムール貝があるということのようです。
ブショーのムール貝はおいしいのだと知ってから、少ししたらスーパーでブショーのムール貝を売っていたので買いました。
そのときの写真↓
朝市で買ったブショーのムール貝より少し味が落ちる感じがしました。写真に残しているので、1キロ2.20ユーロ(約230円)。
そのあと、私が感激した朝市の魚屋さんに行ったときに価格をみてみたら、1キロ3.90ユーロ(約400円)でした。やはり、おいしいものは高いのだ...。
◆ ブショーのムール貝は日本でも知られているのかな?
ブショーのムール貝が美味しいというのは、食通のフランス人には常識のムール貝なのだと思います。私が知らなかっただけ!
日本でも知られているのかちょっと検索してみました。
フランス産のムール貝を遥々と日本に輸入するならブショーというわけでしょうか? 入っているのは全てブショーという感じがしました。
☆ フランス産のムール貝を楽天市場で検索
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ただし、あまり「ブショー」とは歌っていないですね。世界遺産で日本でも知られているモン・サン・ミッシェルのところでとれたムール貝というのを強調しているのが多いです。
さらに、私が「ブショー」と表記した名前「bouchot」を「ブッシュ」と表記しているのもありました。「ブショ」と書いた方が良いかなとは思ったのですが、「ブッシュ」にはならないと思うのだけれどな...。
さらに凄いのは、「ブルターニュ産」と書くべきだったと思うのですが、「ブルゴーニュ産」と表記しているショップもありました。
内陸部にあるブルゴーニュ地方には、悲しいことに海はありません! でも、ワインが好きな方がサイトの記事を書いていて、つい「ブルゴーニュ」とタイプしてしまったのだろうなと嬉しく思いました♪
ブログ内の関連記事:
★ 目次: ムール貝
★ ほたて貝に似たペトンクルって、なに? 2010/11/20
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記
ブショーのムール貝についての情報:
☆ Comité de la Moule de Bouchots AOC ⇒ 生産の様子を見せるビデオ
☆ la moule AOC
☆ Bouchot
☆ Moules de bouchot AOC: la saison s’ouvre
☆ La Moule de Bouchot
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