今週は「ハリー・ポッター」ウィーク。第5巻の「不死鳥の騎士団」の映画が公開されたので、子供を連れて観に行く。毎回、長い原作のエッセンスを2時間強にまとめる作り手の苦労を感じるが、今回はなかなかよく仕上がっていたのではないかと思う。原作が少々冗長だったためでもあるだろう。ハリーの内面の葛藤と、ハリーを支える仲間の存在。これらを中心に据えテーマ設定を明確にしていること。そして随所に次の作品につながるシーンを織り交ぜるあたりは、なかなかだと感じた。
ただ原作を読んでいると、結末を知りつつ映画を見ていることになる。しかも映画で足りない内容を無意識のうちに補ってしまう。だから原作を読まずに観た人が、本作を一本の映画として面白く感じるのか、僕にはよくわからない。一つ一つの逸話が断片的に感じられ全体として統合感を欠いているかもしれないし、本作を初めて見た人には何がなんだかチンプンカンプンだったかもしれない。
原作と映画の差異以外に、日本語訳が原書の持つ雰囲気を忠実に表していないという 指摘も一部にある。したがって日本語版で本を読んだ人が、英国人の手になる映画を見てどう思うのかというのも興味深いところである。うちの子供たちも小さい頃から日本語版を何度も読み込み、自分の頭の中でイメージを作り上げて来た。映画として視覚化されたものを見たときに、どこがイメージ通りでどこが違っていたのか。特に古城ホグワーツの世界と、現代の都会ロンドンとでそのイメージの違いが際立っていたか。こういうことを確認してみるのも一興である。
何だかんだと言いながら、僕もポッター・マニア(あるいは "Potterian")の一人なのだろう。