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土星で未新たな星が62個発見され合計145個に。太陽系で一番衛星の多い惑星に

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 天文学の分野でも技術の進歩により次々と新たな発見が報告されており、目が離せない状態だ。太陽系で一番衛星の多い惑星も、コロコロと入れ替わっている。

 2019年、土星で20個の衛星が発見されたことで合計83個となり、土星が衛星数トップとなった。ところがその後、木星でも続々と衛星が発見され95個となり、木星がトップとなった。

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 だが2023年5月11日、土星で新たな衛星が62個発見され合計145個となったと、国際天文学者チームらが発表。土星が再びトップに返り咲いたのである。

 そんな惑星同士の衛星の数を競うデッドヒートも面白いが、今回の発見は、巨大ガス惑星を周る小さな衛星を見つける技術の有効性が実証された点でも重要なのだそうだ。

巨大ガス惑星の衛星を発見する方法

 木星と土星の周りをめぐる小さな衛星を見つけるのは、かなり難しい。

 太陽系でも最大級のこの2つ惑星は、この地球から見ると常に太陽の光を浴びている状態で、とても明るい。いつも周囲を明るく照らしているために、小さくて暗い天体を見えにくくしてしまうのだ。

 そこで使われるのが、「シフトスタック法」と呼ばれる、何枚もの画像を組み合わせる観察方法だ。このやり方だと、1枚の画像では見えないような暗い衛星であっても、その光を増幅させて観察することができる。

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新たに確認された衛星4つが描く軌道 / image credit:ブリティッシュコロンビア大学

新たに発見された土星の62の衛星

 そうは言っても、惑星の近くに天体を見つけるだけでは、それを衛星と認定することはできない。

 その衛星候補をしばらく観察し、それが安定した軌道で惑星(なお惑星でなくても衛星を持つことはできる)を公転しているかどうかを見極める必要がある。

 ブリティッシュコロンビア大学で国際研究プロジェクトを率いる、エドワード・アシュトン氏ら国際研究グループは、2019年から2021年にかけてハワイのマウナケア山頂にあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡が観測した土星の画像データをシフトスタック法で分析した。

 その結果、土星を周回する62個が衛星が新たに確認されたのだ。その中には直径わずか2.5キロの非常に小さなものも含まれている。

 アシュトン氏によると、その作業は小さな子供向けパズル「点つなぎ」を彷彿とさせるものだという。

 本来の点つなぎは、点と点を正しい順番でむすぶだけのシンプルなものだ。

 しかしアシュトン氏らが取り組んだのは、1ページに100問のパズルが一斉に出され、しかもどの点がどの問題のものかもわからない難解な点つなぎだったそう。

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カッシーニが撮影した土星の衛星。左からヤヌス、パンドラ、エンケラドゥス、レア、ミマス
/ image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

かつて土星の周りには、粉々に砕けた衛星があった●

 新たに発見された衛星はどれも「不規則衛星」と呼ばれるタイプで、大きくて傾きのある楕円軌道で土星を周回しているという。

 また、土星の外部衛星は「イヌイット群」「ガリア群」「北欧群」の3グループに分けられるが、新衛星のほとんどは北欧群に属しているとのこと。

 このグループは、3グループで一番数が多く、また最大の公転軌道をもつ。公転の向きが土星の自転と反対方向であるところも特徴だ。

 ちなみに、これらのグループは、それぞれ単一の天体だったが、どこかの時点で衝突して粉々になったものが起源だと考えられている。

 北欧群の場合、その起源となった衛星は、1億年前に砕け散った中サイズの不規則衛星で、今回発見された衛星もこのことを裏付けているそうだ。

 今後も新たな衛星が発見される可能性も高いので、この数もすぐに更新されることだろう。

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photo by Pixabay

土星の環は考えられている以上に若い

 ちなみに前回、土星の環には寿命があり消えつつあることをお伝えした。

 ではいったい土星の環はいつできたのか?土星が誕生したのは、約45億年前だが環ができたのは、それよりももっと新しいことが示唆されていた。

 その後、米カリフォルニア大学ホルダー校の最新研究が発表され、どうやらだ土星の環は、4億年以下である可能性が高いとのことだ。

 これは、土星探査機カッシーニが収集したデータから、土星の環の塵(チリ)の層と、塵が沈殿するスピードを算出し、土星の環がどれくらい前から塵を蓄積し始めたのかを特定することで割り出したそうだ。

References:Saturn now leads moon race with 62 newly discovered moons | UBC Science – Faculty of Science at the University of British Columbia / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント、11件

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  1. 土星の輪だけど多分消えないよ
    いまの輪は若いとあるけど
    昔から輪があったと思う
    何故なら輪の材料になる
    衛星が多いから
    衛星が絶えず輪を補充してきたと
    考えるのが自然だよ

  2. 自分が小学生だった頃の教科書には
    衛星の数は土星が18個、木星が16個となってた覚えがある。
    時代を感じるな。

    1. >>4
      専門家でないので肯定も否定もできないけど、そうじゃないかなとは思う。大きいから重力が比較的大きくて石を引き寄せるって感じじゃないかと。
      地球は天然衛星は一個だけデカいのがあるけど、人口のはそれこそゴマンとあるから土星や木製などの輪の粒粒を衛星としないなら「衛星の数」だけなら地球がダントツに多いはずw でも観測技術が上がると >>1 さんの予感は現実のものとなると思うな。

  3. 土星探査機の観測によるものかと思いきや地上の望遠鏡からとは、技術の進歩を感じるね

  4. さながら衛星のバーゲンセールですね
    しかし新たに発見された大量の衛星の名付けが大変そう

  5. >カ望遠鏡
    カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡ですね
    カセグレン式でもあるけど

  6. どっかの衛生が、昔は輪があったけどそれが重量に引かれて落ちてしまって、星の形が変わるほどの高い山脈が、星をふたつに分けるようにそびえ立ってる
    ってのを見てから、惑星より小さい衛生の方がロマンがあるなと思っている

  7. 一見して惑星の衛星っぽい天体であっても、その惑星とほぼ同じ軌道で太陽を公転しているだけで、衛星ではない場合がある。

    宇宙スケールではほんのわずかな軌道のズレで土星を周回しているかのように見えたりするので、土星のまわりにいるから土星の衛星と決めつけずに、よく観察する必要がある。

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