ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

先行者としての中島梓/栗本薫

asahi.Com http://www.asahi.com/obituaries/update/0527/TKY200905270111.html
訃報を知り、驚いている。
第9回本格ミステリ大賞の受賞者記者会見で、私は話した。江戸川乱歩のような過去の作品は子どもの頃から読んでいたが、同時代に生み出されたミステリを読んだのは栗本薫『ぼくらの時代』が初めてだった、と。同じく、同時代の文芸評論で読んだ最初の一冊は、中島梓『文学の輪郭』だった、と。今思えば、文芸・音楽評論家と称する円堂都司昭のジャンル横断体質は、初期の中島梓/栗本薫から受けた影響が大きい。
しかし、結局、本人にお会いすることのないままだった。
ご冥福をお祈りします。
新装版 ぼくらの時代 (講談社文庫)


『「謎」の解像度』のコンセプトからはズレていたため収録しなかったが、自分は過去に約60枚の中島梓/栗本薫論を書いたことがある。
http://noririn414.g.hatena.ne.jp/ending/000001


実は最近、あらためて初期の中島梓/栗本薫について考えていた。70年代後半の彼女の活動に着目することを出発点にして、70〜00年代の小説・批評論を語れるのではないか――という構想を温めているところなのだ(このことについては、私の上記評論を批判的にとり上げた石田美紀『密やかな教育 〈やおい・ボーイズラブ〉前史』asin:4903127087の力作ぶりに刺激された面もある)。
で、本格的に書き出したら150枚以上にはなるだろう、構想中の小説・批評論の脇筋的な“試し書き”、“サンプル”めいたものを、つい先日、30枚ほど書いてみたばかりだった。それは、「東浩紀のゼロアカ道場」で行われていることは、70年代後半の中島梓/栗本薫および「幻影城」周辺にあった状況の延長線上にあるのではないか――といった内容である。
追悼の意味もこめて、以下にそれを掲示しておく。