ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2006-01-01から1年間の記事一覧

安井俊夫『犯行現場の作り方』

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ミステリに登場する奇妙な“館”の数々について、一級建築士が作中の記述から具体的な寸法を割り出し、建築図面に起こした本。 “○○館”は建築基準法違反だという、よくある笑い話をめぐり、プロの目から愛のあるツッコミを入れている。綾辻行人『十角館の殺人』…

「能舞エヴァンゲリオン」

ガイナックスのサイトにおいて、期間限定(明日まで)で配信されている「能舞エヴァンゲリオン」の動画を見た。 http://www.gainax.co.jp/eaw/ 『新世紀エヴァンゲリオン』を能にアレンジしたものだが、新たに曲を作るのではなく、伝統的な曲の抜粋で構成さ…

ジェイムス・ブラウン死去

エアロスミスが《ライヴ・ブートレッグ》でカヴァーしていた〈マザー・ポップコーン〉から遡る形で聞いたのが、JB体験の始まりだっただろうか。 すごい人でした。 24日夜の献立 ローストチキン(しょうゆ、ブランデー、オリーブオイル、バルサミコ、はちみ…

大竹伸朗『全景1955−2006』

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昨日、会期終了間際の『全景』展を、東京都現代美術館で見てきた。 まず、順路の最初のほうに展示されたスクラップブック全64冊に圧倒される。あれやこれやが切り貼りされたこれらスクラップブックが冒頭に置かれることで、『全景』展全体がスクラップブッ…

YUJI OHNO & LUPINTIC FIVE live

昨夜、舞浜のクラブイクスピアリにて、大野雄二のグループのライヴを見た。 親に買ってもらうというのではなく、僕自身のお小遣いで初めて買ったLPレコード。――それが、大野雄二の出世作ともなった、映画『犬神家の一族』(1976年版)のサントラだった…

サントラ《マリー・アントワネット》

学生だった頃、ミニコミのサークルに所属していた。坪内祐三が『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』ASIN:4104281026「マイルストーン」である。僕はそこで幽霊部員だったのだけど、メンバーの一部が別に演劇サークルを立ち上げた時、公演の録音を頼まれた。…

カキ支援

ノロウィルス関連の風評被害により、カキが値下がりしているとのニュースを見る。我が家の会議において、今晩はカキフライだ! と即座に決定される。 近くのスーパーに行くと、これまで399円で売っていたのが、いきなり299円に↓。消費期限が1日早いも…

烏賀陽弘道VSオリコン

『Jポップとは何か』という名著のある烏賀陽弘道個人が、オリコンから高額訴訟を起こされたという件。 http://xtc.bz/index.php?ID=396(音楽配信メモ) http://ugaya.com/column/061219oricon.html(19日追記:烏賀陽本人の説明)http://www.oricon.co.jp/…

VARIOUS《THE WORLD IS GONE》

トリップホップの流れにある好盤。 「ヴァリアス」とは彼らのひねくれたユニット名だけれど、さっき、AMAZONのポピュラー音楽で「Various」を検索してみたら、134,998件もひっかかった。これは、事前にアルバム・タイトルを知っていない…

マリナーゼは給食費滞納?

遅ればせながら、今夕に届いた「浦安新聞」で、浦安市が給食費滞納の千葉県内ワースト1であることを知った。 http://www.urayasu-news.jp/(← こっちは「うらやすニュース」) いろいろ経緯や背景はあるみたいだけど……俺も、ただメシ食いてぇ。通うぞ、小学…

ポー「大鴉」

(2006ミステリ回想) 偶然だろうが、有栖川有栖『乱鴉の島』ASIN:4104308021『カオスコープ』ASIN:4488012132、いずれもエドガー・アラン・ポー「大鴉」ASIN:4003230620れた。大鴉が「Nevermore」と繰り返すあの詩に、死生観、身体性、記憶な…

田中啓文〈永見緋太郎の事件簿〉

(2006ミステリ回想) 落下する緑 永見緋太郎の事件簿 (創元クライム・クラブ)作者: 田中啓文出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/11/29メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (45件) を見る サックス奏者・永見緋太郎が探偵役となる…

大倉崇裕『福家警部補の挨拶』

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(2006ミステリ回想) 倒叙ものの良作。 特に、ヘヴィスモーカーが煙草を切らしたらどんな行動をとるか、それを予想したうえで犯行計画を立てる「オッカムの剃刀」には、ゾッとした。僕は数年前に煙草が値上げされた際、もう小づかいが追いつかなくなっ…

39年組

石原真理子が、大爆発している。 彼女のデビューは、薬師丸ひろ子主演の映画『翔んだカップル』。で、後に石原、薬師丸とも玉置浩二と関係を持つことになったのであった。 一方、薬師丸がアイドル女優として全盛だった頃、角川書店の「バラエティ」という雑…

芦辺拓『千一夜の館の殺人』

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(2006ミステリ回想) ビルの上部に並んだ無数の白熱電球。その電飾の明滅によるベリーダンサーの影絵芝居に、人が激しく争うシルエットが唐突にかぶさり……という導入部が魅力的だった。 最近の自分の仕事 「《プレゼンス》とロバート・プラント」 → 「…

テープス・エン・テープス LIVE

昨夜、代官山UNITにてテープス・エン・テープスを見た。このライヴで特筆されるのは、客はヴィデオカメラの持ち込みを許され、バンドが指定した曲では1曲フルに撮影してもOKだったこと。そして、ネットにその動画をアップすることが奨励されている。…

石持浅海『顔のない敵』

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(2006ミステリ回想) 対人地雷をめぐる連作ミステリ。 地雷反対運動の宣伝のために、NGOが地雷爆発ごっこのイベントを行うこと。土に戻る生分解性プラスチックを用いて、後腐れのないスマートな地雷を開発すること。被害を受ける側の地元民が、地雷の活…

ポーキュパイン・ツリー(+ロバート・フリップ)公演

昨夜、昭和女子大学人見記念講堂にて。 (前座)ロバート・フリップ これまで、キング・クリムゾンをはじめ、フリップが参加したバンドやプロジェクトのライヴの一場面としては、何度も彼のソロ・パフォーマンスを見てきた。けれど、それらはどれもせいぜい…

「日本文学ふいんき語り」番外編

(小説系雑誌つまみ食い 11――「小説推理」1月号) http://www.futabasha.co.jp/?magazine=suiri 特集「笑える新感覚文藝座談会」と銘打って、『日本文学ふいんき語り』ASIN:4575298611されている。お題は、夏目漱石『坊っちゃん』。これは10月に書店で行…

魔界デス都市ノート

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(小説系雑誌つまみ食い 10――「小説NON」12月号) 小説NON (ノン) 2006年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2006/11/22メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 10月号から、菊地秀行が『魔界都市ブルース』の新シリーズを連載して…

「金田一さんの音源です!」

レコード・コレクターズ 2006年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: ミュージックマガジン発売日: 2006/11/14メディア: 雑誌この商品を含むブログ (4件) を見る ビートルズ《LOVE》を特集した「レコード・コレクターズ」最新号に、「金田一さんの音源です!…

THE BEATLES《LOVE》

予想された通り、懐かしの音源を勝手にいじりやがってと怒っているオールド・ファンがいる。だが、ビートルズの曲同士を重ね合わせたり、連結したりしているわけだから、破壊度/面白さは予想の範囲内。《リボルバー》や《サージェント・ペパー》のサウンド…

『フレディ・マーキュリー・ファイル』、WWRY

アーティストファイル(17) フレディーマーキュリーファイル (Artist File (17))作者: ロックジェット編出版社/メーカー: シンコーミュージック発売日: 2006/11/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る 最近のお仕事 「フレディ…

「BET」vol.0 創刊準備号

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(文学フリマで買った同人誌 2) 発行人は、ばるぼら。「X−MAGAZINE」、「Jam」、「HEAVEN」の全冊レビューを行った自販機本特集のほか、羽良多平吉のインタビュー、吉祥寺マイナー特集が掲載されている。とんでもなくディープな内容だ。…

「Re:Re:Re:」Vol.4

(文学フリマで買った同人誌) ライター、近藤正高の個人誌で、東京オリンピックの特集。 http://d.hatena.ne.jp/d-sakamata/20061112/p1 これまでにも近藤は、成田空港、新幹線などをモチーフに都市論、昭和論を書いていて、僕はこの路線のファンなのだ。 …

『黒蜥蜴』上演

殊能将之が、真矢みきに江戸川乱歩の『黒蜥蜴』を演じさせたいと書いているのを見かけた。あの役を今演じられるのは、篠井英介とタカラジェンヌだ――とも。 http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/index.html (篠井は、橋本治脚色『黒蜥蜴』を…

モグワイ《ジダン 神が愛した男》

ジダンの映画のサントラだというのに、まるでサッカーっぽくないサウンドなのが素晴らしい。ここにはドリブルのごとく弾むリズムも、シュートみたいな一撃もない。そもそも、ボールを連想させる音が見当たらない。あるのは、ノイジーなギターを軸にじわじわ…

千葉県のロゴ

http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/b_kouhou/logo/logo061102.html やはり、県民の一人として意見を表明しておこうか。 とにかく、たてがきにされた際の「ち」の字の垢抜けなさ、かっこ悪さがいたたまれない。 昔、学校の英語の授業で、 「たとえ、“チバ”…

『白菊』と《SENSUOUS》

藤岡真のこのミステリ小説には、『白菊』という謎の絵が登場する。それが魅力的。最初は折れ釘と球がたくさん散らばっているだけとしか見えない画面に、ある角度から光が当たると、白菊が浮き上がる。一種の騙し絵だ。 一方、コーネリアスの《SENSUOU…

TAPES ‘N TAPES《THE LOON》

好きだよ、これ。 “PAVEMENT meets BECK”なんていわれている通り、ローファイでつぎはぎな音楽性。でも、曲ごとにコロコロ傾向が変わりつつ、どれもこれもポップなあたりはピクシーズを連想した。ヴォーカルもちょっと、声質がフランク・ブ…