ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

鯨統一郎『MORNING GIRL』

M

作者お得意の“トンデモ仮説”ものの長編。ただし、ロジックを積み上げて一つの図式に絞り込むよりも、トータルでは発想を広げる面白さにウエイトがある。なので、本格ミステリ色は薄く、SFとしてのテイストが勝っている。 地球でも、スペースアイランド「飛…

『〔冲方式〕ストーリー創作塾』

マンガの世界と同じく、作家にアシスタント制度を導入しよう――てなことは、昔からギャグとしては語られてきた。それを実際に推進している冲方丁による小説入門書。 他人の作品を引用し一般論で語るのではなく、冲方本人が自作をどのように書いたか紹介する形…

「手賀沼サマーランド」と〈埼玉ゴズニーランド〉

読まずに書く文芸時評(田中康夫のパクリ)第2弾、というわけでもないが……。 上記のごとく読了したので、『半島を出よ』をめぐる村上龍のインタヴューに目を通そうかと、地元の図書館で「群像」のバックナンバーを探していた。すると、6月号に群像新人文学賞…

村上龍『半島を出よ』

上巻は4月に目を通したのに、下巻に手をつけ読み終えたのはつい最近。ほかに読まねばならぬものが出てきたり、外的要因で中断した面もあるが、なんだか一気に読めなかったのである。というか、一気に読まなくてもいいと思ったのだ。 この小説は、(侵略者に…

「ディズニー・ロック・アラウンド・ザ・マウス」

24日、東京ディズニーランドへ出かけた。千葉県民割引期間の最終日だったんである。最近入園したのは東京ディズニーシーばかりだったから、ランドのほうは久しぶり。 お目当ては、ショー「ディズニー・ロック・アラウンド・ザ・マウス」。アメリカの本家ディ…

INTERNET BATON

この雑記用にと思い、さっきまである小説についてコメントを書いてたんだけど、意外に長くなりそうなので、別のスペース用に回すことにした(どっかから「またかよ」のツッコミの声が聞こえる)。なので、今日はアップする文章がなくなっちゃったなぁ……。 ――…

「クレヤボヤンス マイミクシィ」

創刊10周年記念の「小説トリッパー」2005年夏季号をめくってみると、朝日新人文学賞が発表になっていた。受賞作は楽月慎『陽だまりのブラジリアン』だが、落選した候補作のなかに、ちょびっと目立つタイトルがあった。 クレヤボヤンス マイミクシィ 佐東歩美…

Musical Baton

バトンを回していただいたので(from id:yomoyomo)書いてみる。 Total volume of music files on my computer(今コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) 1.4GBくらいか。未だにCDから聞くことが多い。 Song playing right now(今聞いている曲) シ…

小路幸也『HEARTBEAT』

M YA

メフィスト賞受賞作家による青春ミステリ。 ニューヨークの「暗闇」から帰ってきた青年は、約束の場所におもむく。委員長は10年後、恋した不良少女にあるものを渡すはずだったのだ。しかし、夫と名乗る男が現れ、彼女は失踪したと告げる。青年は旧友の力を借…

倉橋由美子死去

10日に亡くなっていたのだという。黙祷。 高校から大学にかけて、大江健三郎、安部公房、倉橋由美子の文庫を、古本屋の100円均一などで買い集めていた。そしたら、誰かのエッセイで読んだのだ。この3人は、60年代の文学青年にとって三種の神器だった、と。あ…

エアロスミス〈ANGEL〉と《JOE PERRY》

『プライド』の〈ボーン・トゥ・ラヴ・ユー〉に続き、ドラマ『エンジン』ではエアロの〈エンジェル〉が使われている。で、シングルが再発されASIN:B0009OAWCS、エアロの既発ベスト盤も再プロモーションされたりしている。「えいんじぇぇえ〜」の歌いまわしが…

ミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』

一昨日、新宿コマ劇場にて観劇。会場に入ると、ステージに向かって右側と左側にバンドの入るスペースが設けてあった。ちょうど、歌舞伎における浄瑠璃と鳴り物の位置にあたる。実際に芝居が始まると、バンドの演奏ぶりもよく見える。なので役者だけでなく、…

朝日の朝刊「文学賞異変」

朝日新聞の今日の朝刊に、1面トップにするほどの内容じゃないと思うが、「文学賞異変」という記事が載っている(署名は「野波健祐」)。その見出しを並べると―― 文学賞異変 創設ラッシュ 審査員から作家外し テーマは「恋愛」「青春」「感動」 権威より販促 …

KRAFTWERK《MINIMUM−MAXIMUM》(LIVE)

《ツール・ド・フランス》リリース後のツアーから、各地の音源を編集したライヴ盤。とはいえ、クラフトワークみたいな打ち込み音楽だと、ステージで実際に“演奏する”部分は少ないし、あらかじめ作っておいた最新ヴァージョンをメンバー立ち会いのうえ会場で“…

烏賀陽弘道『Jポップとは何か−巨大化する音楽産業−』

けっこう評判がいいので読んでみた。いい新書だった。 テレビとの関係やオーディオの進化など、音楽の送り手・受け手双方のインフラの変化をたどり、“Jポップ”の誕生と盛衰を分析している。それも、いわゆる“シーンの先端”より、カラオケや着メロといった、…

鳥飼否宇『痙攣的』とジャーマン・ロック

虫世界で展開する珍品ミステリ『昆虫探偵』ISBN:433473877X、またもや変な小説。 この連作短編集『痙攣的 モンド氏の逆説』の各章&エピローグのタイトルは、ジャーマン・ロックの(旧)邦題である。どう対応しているかというと―― 「廃墟と青空」 → FAUS…