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At the harbor

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 このブログ、新年は、大抵海から始めている。第十管区海上保安本部 巡視船こしき。この近くには、海保の「いなさ」がギリギリの判断で交戦して、結局自爆して沈んだ北朝鮮の工作船なんてものが、暫く、置かれていたというのは、あまり知られていない。推進90mの深海からその工作船を引き上げるときの海流シミュレーションなんぞを当時、友人がやっていたので、ラボを訪ねたときに解析画面をチラ見したことがあるが、彼の解析結果が使われたかどうかは知らない。すでに、1/4世紀近く前の話だ。

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「こしき」の後ろは、鹿児島~種子島屋久島ファリーの「はいびすかす」。貨物船「ぶーげんびりあ」も鹿児島谷山港~種子島航路を運行する貨物船であったようだが、今は屋久島まで運行しているようだ。代理運行ではなく、時刻表も全く違うので注意が必要だ。
 客船でもある種子屋久フェリー2が、現在、エンジン修理に時間がかかっていて、唯一の選択肢になっている。エンジンの設計、製造を担っていた会社が311のときに図面を流出し、更にその数年後会社も廃業してしまったらしく、修理の目処が立っていないというのをかなり前に聞いた。
 続報として、3月下旬にも運航を再開する見込みであるとのこと。先の修理の目処が立たなくなったというのは、どうやら誤報だったようだ。

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 ここは近海漁業用漁船が多く停まっていて、近くに漁協の魚屋さんもできた。魚群が押し寄せると、カツオドリと移動販売の魚屋さんまでサビキを持ってやってきたりする場所だが、最近はその手の豊漁の良い話はとんと聞かない。場所にもよるけれど、乱獲とともに河川の餌生物落下&栄養塩供給システムを殺しすぎたからだろう。それでも沿岸漁業が生き残っていくために、色々始まっていて、高くなりすぎて魚が食えない状況が進んで、地元スーパーの中の鮮魚部がすごい勢いで消えていった状況にあっては、少しありがたい流れだと思っている。

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 1月の青空に黄色のコンテナがいくつも並んでいた。とてもフォトジェニックなので、撮影してしまった。
 こちらの海に来て、海風が臭くないのをつくづくありがたいと思った。離島や薩摩、大隅半島の奥に行ったら、決して綺麗とは言えない海だが、それでも、本州の大都市から人が押し寄せるような位置にある海水浴場よりは綺麗だし臭わない。人口密集地帯で、下手に半開放型の簡易下水道から汚水が港湾に流れ込みが生じたりして、大都市の港周辺は臭いものだが、この付近は下水道完備を頑張ったこともあり、それがないのがありがたい。南に下ると、簡易下水道になり、集落規模は小さいものの、生活雑排水が流れ込むことで、降り立った瞬間に臭い立つ地雷のような海岸がところどころにある。かつて、小さな息子たちを連れてゴムボートで湾内のいくつかの場所からエントリーして、その事に気がついた。そういえばこの間、訪ねた福岡の方、ゲンジボタルが飛び交う高水面の良好な水郷的集落でも、そういう汚水が流れ込む場所が何箇所かあって、臭いに閉口したものだった。合併処理浄化槽援助ぐらいやればと思ったりすることもあったのはバブル期だった。今の日本の地方自治体には間違ってもそういう余力はないだろう。
 幼い日に母方の祖母の家に遊びに行ったときの家の匂いや、連れて行かれた神社の林の中。父方の祖母の親戚筋には寺関係が多かったので幼児期、線香の臭いから逃れられる場所というのがとても重要だった。掘りごたつの中の連単の臭いで中和していた。叔父のヨットに乗せられて汐を被りまくった生みはやはり都市型の港湾の臭いがした。磯の香りというのを経験するには、私は生まれ育った政令指定都市から、結果的に遠く1,000km以上離れる必要があった。そこは私が少年期、図鑑でしか見たことがない昆虫や様々な生物を普通に目にできる場所だったわけだが、そこもやがて私がかつて住んでいた地域のようになっていくのだろうか。

 昔、関東の有名な花火大会に行ったときに、港湾から漂ってくる悪臭によって花火に集中できなかった。類似の問題は、東京オリンピックの年になって、トライアスロンのスイム会場でも生じていたが、高度経済成長時代~バブル期においても、置き去りにされてしまった問題だと認識している。市によるこの周辺の上下水道インフラ整備はかなり頑張ったなと思っている。
 ネットやSNSに、今はきれいな海岸の写真や動画でも何でも貼り付けられるけれど、匂い/臭いだけは貼り付けることができない。特定の匂いを発生させるデバイスは作れそうだけれど、需要はなさそうだ。私達は匂いのないネット社会が、何でも揃っていると思って、それが当たり前みたいになっている。でもラーメンの画像が出れば、ある程度脳みそが補完しているのだなって思う。
 ということで、相変わらず、思いつきのとりとめのない記録を続ける。とりあえず、深呼吸ができる臭くない海のウオーターフロントに感謝。
 私の様々な記憶や事象理解においては、嗅覚的記憶はかなり重要な位置を占めているのかもしれない。永遠に失った父母やチコたちの匂いも、私は思い出すことができる。有機酸、ゲオスミンの匂いに無意識に嗅ぎ寄せられて、フィールドに入るのかもしれない。


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追記ーこの港近くの漁協の魚屋さんで、ギンガメアジとカゴカキダイを買って帰った。新鮮で、間違っても嫌な魚臭さなどない。

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 ギンガメアジは、この大きさになると、焼き物も、たっぷり食べられる。むしろ刺し身にしてしまうと無駄が出るし、味わえる部分があら炊きぐらいしか無いので減ってしまう。

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 カゴカキダイはかつてはチョウチョウウオ科とされていたが、独立したFamiltyカゴカキダイ科となっている。最近は大都市の料亭などでも注目度が上がっていて、20cmを超える個体は刺身などにしたら最高である。新鮮な魚が手に入ると、刺身ではなく、火を入れた調理で食べたくなる。刺身がそれなりに美味いのは当たり前で、それよりも火を入れて食べたくなるのは、魚どころの住人や漁師さんの感覚だが、それがわかるようになった。

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by complex_cat | 2025-01-05 23:08 | My Shot Life | Trackback | Comments(0)

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