他にも書きたいことは、あるのだけれど、そちらのエントリのテキストがなかなか進まないので、カセットデッキの話と生成AI猫画でまた一つ。
手持ちのカセットデッキについて、片っ端からワフ・フラッターをざっくり測定してみた。時間軸方向の変調ノイズで、ずっと昔は回転ムラと言ったりする。カセットデッキのモーターや回転系の性能が顕著に出るところで、 ワウフラッターは、カセットデッキで性能が劣ると、一番分かりやすい形で音質に影響する。この性能が低いと、聴覚や音楽視聴センスが一般レベルでも、聴くに耐えない音になる。
ソフトはwfguiと呼ばれるもので、こちら(
A.N.T. Audio: Library )のトップからダウンロードが可能だ。動かそうとするとまともなWindowsマシンなら明確な警告が来るので、あくまで自己責任で願いたい。変なのが仕込まれていても、対応できないと思ったら避けるのが無難だ。こんなので測定しなくても、聴きゃあ分かるし、数値など知ってもしょうがないと思う人は健全かも。カセットデッキは中古ばかり手に入れてなんとかするしか無いので、本来のスペックが出ているのか、どう聴いても気になる方は一度測ったらと考えたりする人は、お好みで。このソフトを立ち上げたPCの音声入力とテスト用の3000Hzの信号を入れたテープを再生するカセットデッキのLine outを繋げば、だいたいなんとかなる。
本格的なワウフラッターの測定用ハードウェアが無くてもPCがあれば測定できる便利な状況だが、フリーウェアであるので、いきなりWindowsのバージョンアップについていけなくなってそのままだったり、まあ、街角の美味しい定食屋さんと同じで、オーナーが倒れたり引退したら、都合で消滅したりするから、そういうものである。ただ、一つ致命的な問題がある。ワウフラッター0.07%以下のカセットデッキで3,000/3,150Hzの基本トーン信号を-10dBで録音したものを用意する必要がある。本来なら理想としても限りなくワウフラッターが小さいリファレンス機みたいなカセットデッキを持っていないと自作できない。オークションを見れば割と強気の値段でテスト用のカセット・テープも売られているが、まあみんな自作なので、録音環境など確認できればいいけどそれも博打みたいなものだ。メーカーが作っているリファレンスは、当然かなり高額になる。そして、当然テスト用テープの変調ノイズが入るわけで、本来であれば数値は+αって話ではある。
クオーツ制御のDD方式のカセットデッキか、それなりの数値性能のカセットデッキで基本信号を録音できれば御の字だが、そうも行かない場合が多いだろう。トーン信号はAudacityがあれば30分でも1時間でも発生させられるので、その再生出力を録音すればいいだけだが、ワウフラッター性能が高い製品と個体がないとどうにもならないところがある。
ワウフラッターの検知限界は0.14%と言われている。1970年代前半の本格的オーディオブームが来る直前のカセットデッキのワウフラッターが0.1~0.15くらいの値だった。1970年代後半から、ワウフラッター性能は改善されて、値は半分ぐらいになっていた。SONYその他、その年代のカセットデッキのスペックを見てもらえれば、分かると思う。
だいたい、視聴している印象と同じだった。TEACの3ヘッド機(V-3000 1990年発売)だったが、この個体は、アジマス調整などやることは全部やっているが、高域の伸びやこのワウフラッターなどの回転安定性など、カタログスペックが維持されていなかった。操作感覚としてはかなりかっちり動いているのだが、内部のメンテができれば、もう少し追い込めるのかもしれない。海外のTEACフリークにもあまり評判が良くない年代のモデルで、さらに当たり個体とは言い難いが、音質自体は普通。3ヘッドなので今のカセット・テープのバイアス設定や性能確認などにも都合がよく、ソースと厳密比較しない限りはそこそこの音では鳴っている。現状のパフォーマンスはぎりぎり、普段の視聴には使えるし、数千円で入れているので、潰れるまで回すので良いと思っている。速度は1.3%ほど遅めということになるが、これもリファレンステープを一番ワウフラッター性能がまともだった、二番目の機体で製作しているので、それと比べての相対的な、速度の数値だ。この時期の安い3ヘッド機だと走行は、やっぱり安定していないなという印象。それでも、今作られている、ラジカセ並みのスペックのカセットデッキに比べると、マシと言えるかもしれない。いやそちらの方が、新品で購入できるだけ走行性能は少しマシかも知れない。 現行品は、「今、新鮮なものとして出せる料理はこれだけです」と言われて、かつての高性能カセットデッキを知っている人達だと、一瞬悩むぐらいの性能の、CPからみても性能に不利になるダブルデッキで、それでも新品で買える唯一の選択肢として、諦めて購入する方がおられる機種だ。TEAC W-1200; 0.25 W.RMSとある。周波数特性は30~15k Hz(±4dB)は、下手すると最新のオペアンプを載せたプレーヤーよりも低いがこれは録音機能までを持たせているからしょうがない。 ちなみに、今の標準的なワウフラッターの数値性能は3,150Hzの信号を使って行うのだが、私が最初に参照したサイトの方が3,000Hzでやっておられたので、そのまま何も考えずに3,000Hzで測定してしまった。別に素人が公式カタログ値、記載するわけでもないし、あんまり気にするところではないと思う。
購入時安く落とせたゆえに、性能を期待していなかったTEACの不人気のオートリバース機(TEAC R-616X 1987年発売)だが、こちらの個体の方の性能のほうがずっと安定していた。dbx搭載で、それなりに手を抜こうとしたモデルではないことと、オートリバース機は同じセットの録音再生ヘッドを往路と復路でくるくる回転させて対応する形式のものは、アジマスのズレ対策を相当やってる製品なので、落下事故など起きてない限り、信用しても良いと思って手に入れて使っている。今のところまともな性能で動いている。オートリバース機は、高額機は別にして、オークションでは、皆割と避けがちなので、その分、中級機は入札する人が少ないという印象。本機は音質もまあまあ良いというか、おそらく製品が売られていた頃のスペックは出ている個体と思われるので、そのまま使えている。周波数特性やワウフラッター性能を見るとそのことは裏付けられる。 中古のカセットデッキは、技術があればパーツを交換、メンテして、本来の性能を引き出せるが、そのための技術習得を含めたコストは半端ではなかったりする。素人は、そこそこの機種の値段と状態を見ながら手に入れて、性能のまともなものを選定して入替えて残していくのが一番楽かなと思う。あまりお金をかけるのは、自分の場合、音楽を楽しむ方向から離れていく気もするので、程々にしてというのはいつも頭にある。 ちなみに、この個体のノーマルテープでの周波数特性はこんな感じで、まあまあのスペックが出ている。決して高音域が持ち上がって綺麗に伸びているような高性能ではないが、普段の小音量の音楽視聴としては、トーンコントロールでの調整の範囲内で、十分だ。オートリバースは音質期にしなければ、150分テープにクラシックのシンフォニーなども機に説、長時間分の曲をぶち込んで気楽にエンドレスで流すには十分だ。 手に入れた中古カセットデッキを視聴するとともに、周波数特性とワウフラッターをチェックして、スペック的に期待通りでなければ、処分するかして次を探すというのをやっていれば、選別は進みそう。この2つのスペックのパラメータを私ごときでも適当に測れるのは、とてもありがたい。
ミニコンポ用カセットデッキ(DENON DDR-M10 1999年発売)だが、メタルテープ、dolby Cが使えても周波数特性は35Hz~17,000Hzだから、カセットテレコよりだいぶんマシぐらいの性能だと思う。ローコストでたくさん売らないといけないわけだが、そういうCPの落とし所を考えたノウハウで作られている。音質は確かに気にしなければBGMが流れてるなというレベルで聴けるレベルだが、年代が新しい分、ワウフラッター性能はそんなにボロボロではなかったし、先の二機種より走行が意外と言えるほど安定していて、これも新しい分、マシということだと思う。 リファレンステープも原器となるデッキもないので、面倒くさいが、速度は家にある個体では-1.3~+2.4%の幅があるということだ。まあそれくらいで良いのじゃないかな。
再び猫とカセットデッキを懲りずに生成AIで描かせた。チコたちを失って、今、自分が好きに登場させられる猫はこのバーチャルなもの以外はほぼない。カセットデッキを書いてくださいとお願いをしたら、CDみたいなものがくるくる高速で回っている。SONY製のカセットデッキって指定したけど、今回も全く関係ない謎装置だった。それだけ今の世界から遠いオーディオ装置に鳴ってしまったと言えるのかもしれない。 天下のAdobeも「カセットテープデッキ」としていして出てくるのはこういうゲテモノというか謎装置だ。ラジカセですら無いのがとても面白いし、インターフェースが猫向きになっているのか、不思議な形状だし、意味不明の構造を沢山AIは思いつくようだ。
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