テクノロジーを追求し、それをサービスとして社会へ提供していくことによるイノベーションを目指す株式会社マネーフォワード。ユーザーの人生を飛躍的に豊かにし、より良い社会創りに貢献することを目的とした各種サービスを展開しています。同社の主力事業である MFクラウドシリーズを管理するコンテンツ配信ネットワーク(CDN)の導入を担当した 2 人のエンジニアに、サービスインフラに関する取り組みについてお話を聞いてきました。



■ 写真左から
エンジニア 村上 勝俊氏
CISO 室 サービスインフラグループ 鈴木 陽介氏


■ 利用しているGoogle Cloud Platform サービス
Google Cloud StorageKubernetes EngineGoogle BigQueryGoogle Data Studio

株式会社マネーフォワード
マネーフォワードは、2012 年に設立。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションに基づき、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』 になる。」というビジョンを実現することを目的に 個人のお金の悩みや不安を解消する自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」や、企業のバックオフィス業務の効率化や経営改善に貢献するビジネス向けのクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供しています。

Fintech サービスのフロントを担う Fastly のログ基盤に採用された GCP


株式会社マネーフォワードが提供するサービスは、個人向けの「PFM(Personal Financial Management)サービス」と呼ばれる自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」と法人向けの「MFクラウドシリーズ」の大きく 2 つ。また、企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」や、自動貯金アプリ「しらたま」、“未来のおかね” を学べるお店「mirai talk」の運営など、新たなサービスも次々と展開しています。

PFM サービスは、利用者数が 650 万人を超えるシェアナンバーワン(出所 : 2017 年 3 月 23 日 ~ 2017 年 3 月 27 日 楽天リサーチ調べ)の家計簿アプリです。一方、MFクラウドシリーズは、会計、確定申告、請求書、給与、マイナンバー、経費、ファイナンスで構成される企業向け SaaS 型サービス プラットフォームです。

同社の強みについて、CISO 室 サービスインフラグループの鈴木 陽介さんは、次のように語ります。「前年同期比の売上高は、個人向けの PFM サービスが 49%、企業向けの MFクラウドサービスが 102% の成長をしており、両サービスで市場に存在感を示していることが最大の強みです。今後も Fintech と呼ばれる領域で、利用者に高い価値を提供できるサービスを展開していく計画です。」

テクノロジーこそが世界を大きく変えることを信じ、テクノロジーによるイノベーションを追求し続ける同社では、主力サービスである PFM サービスとMFクラウドシリーズで提供する各種サービスのフロントに CDN を利用しています。CDN として採用されたのが Fastly であり、ログ基盤として Google Cloud Platform(GCP)が連携されています。

BigQuery は大量のログから問題の原因を迅速に究明するための最適な選択肢


同社が CDN を利用する目的は、サービス利用者に高速なレスポンスを提供する事で、合わせてシステム負荷の軽減も狙っています。エンジニアの村上 勝俊さんは、「いまや CDN を導入しない選択肢はなく、Fintech サービスに求められるセキュリティを実現するためのコンフィグレーションの柔軟さ、圧倒的なパージ(キャッシュ済みのオブジェクトの削除)の速さと API ファーストな点を評価して Fastly を採用しました。GCP は、Fastly のログ基盤として利用しています。」と話します。



Fastly のログ基盤として、GCP が採用された理由を鈴木さんは、次のように語ります。「PFM サービスでは、月間で数十億件のリクエストがあり、大量のデータをフロント部分の CDN で処理しています。この部分で問題が発生した場合、大量のログから迅速に原因を究明するためには、BigQuery が最適な選択肢でした。」

Fastly と GCP の組み合わせは、2017 年 9 月より技術検証をスタートし導入を決定。10 月にデプロイメントツールを開発し、11 月より順次サービスを開始しています。鈴木さんは、「まだ移行の途中ですが、MFクラウドシリーズのフロント部分を Fastly と GCP の組み合わせにした CDN へ移行する計画です。」と話します。

CDN を導入する前は、複数のミドルウェアの組み合わせでコンテンツを管理していましたが、設定変更作業がすべてのサーバーで必要なため、作業負荷が増大していました。村上さんは、「Fastly の設定変更は全世界にあるサーバーを意識することなく、1 か所の設定でグローバルに素早く設定が反映されます。また API を使い設定変更はコード化、また自動化を行っており、運用コストを下げることも実現しました」と話します。

また鈴木さんは、「Fastly を単なる CDN とは考えていません。負荷分散やリバースプロキシの機能を集約したいと思い採用しました。Elastic Load Balancing(ELB) と nginx で構築したリバースプロキシを fastly に移行したことで、運用コストの大幅な削減を実現しています。」と話しています。

GCP の高いパフォーマンスやリアルタイム性、Fastly との相性などを評価


Fastly と GCP の組み合わせでは、Fastly のログを Google Cloud Storage(GCS)に送り、5 分に 1 回、GCS から BigQuery にアップロードされるように Kubernetes Engine(GKE)からリクエストを発行しています。鈴木さんは、「Fastly から直接 BigQuery に送る構成も考えたのですが、GCS の利用でコスト削減効果が期待できます。」と話します。

村上さんは、「Fastly のログは、1 分あたり 20 ファイル程度作成されるのですが、他社のクラウドサービスは、小さいファイルをまとめて検索するのが苦手なため、ログの検索で期待する性能を発揮することができませんでした。その点、BigQuery の検索性能は優秀でした。」と話します。

BigQuery にアップロードされたログは、Google Data Studio で解析されます。鈴木さんは、「Data Studio で可視化して、問題がないかチェックしています。現在、国別 / 地域別のリクエスト数やクライアント別のリクエスト数なども可視化しています。」と話します。

Data Studio を利用する背景を村上さんは、次のように語ります。「BigQuery をバックエンドにできる BI ツールがあまりないことが理由です。また、KPI を Google スプレッドシートで管理していることから、そのための数字を作るときに、BigQuery と Google スプレッドシートを両方サポートしている Data Studio が最適でした。」

また、2015 年ごろから BigQuery や Firebase を使っていた実績も、GCP を採用した理由の 1 つでした。村上さんは、「Fastly のログ解析以外でも、BigQuery をデータ分析に利用したり、開発環境を GCP 上に構築したりしています。Fastly との相性はもちろん、高いパフォーマンスやリアルタイム性、導入実績など採用しやすい状況でした。」と話します。

GCP を採用した効果について鈴木さんは、次のように語ります。「GCP を利用することで、全体として、導入・運用コストが削減できると感じています。特に PFM サービスは、1 日あたり 4,000 万件程度のログがアップロードされるので、この大量のログを検索したり、解析したりする場合、BigQuery は他社のサービスに比べて高速、かつ、安価に利用できます。」
さらに村上さんは、「G Suite を利用していることから、GCP 全体を 1 つの ID、1 度のログインで管理できるほか、プロジェクトの使い勝手もよいのでとにかく便利です。また、BigQuery へのアクセスも非常に簡単で、利用者がデータソースに簡単にアクセスできます。Fastly との連携サポートがしやすかったことも GCP のメリットでした」と話します。

今後の取り組みについて鈴木さんは、「Fastly に関しては、キャッシュ効率をさらに向上させていきます。また GCP においては、社内での横展開を考えています。既に、グループ会社である MF KESSAI株式会社の企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」は、完全に GCP で構築しており、今年設立したグループ会社マネーフォワードフィナンシャル株式会社が今後展開していく「仮想通貨交換所」のプラットフォームにおいてもフル GCP で構築することを検討しています。


株式会社マネーフォワードの導入事例 PDF はこちらをご覧ください。
GCP のその他の導入事例はこちらをご覧ください。


Create Dataset ウィンドウが表示されます。
  • Dataset ID フィールドにデータセットの名前(たとえばfastly_bigquery)を入力し、OK ボタンをクリックします。

    1. BigQuery テーブルの追加
      BigQuery データセットを作成したら、BigQuery テーブルの追加が必要です。テーブル スキーマの作成方法には次の 3 つがあります。
      1. BigQuery のウェブ インターフェースを使ってスキーマを編集する。
      2. BigQuery のウェブ インターフェースのテキスト フィールドを使ってスキーマを編集する。
      3. 既存のテーブルを利用する。

      私たちとしては、新しいテーブルを作り、ユーザー インターフェースを使ってスキーマを作成する方法をお勧めしますが、テーブル スキーマのテキスト表現を編集してもよいでしょう。実際、テキスト バージョンとユーザー インターフェース バージョンはいつでも切り替えられます。

      なお、Fastly ユーザー インターフェースで使うロギングのフォーマットの例と、それに対応するテキスト形式の BigQuery スキーマを後述していますので、お役立てください。重要なのは、Fastly から送るデータが BigQuery テーブルのスキーマと一致していることです。一致していない場合は、データが壊れたり、エラー メッセージなしで格納されなかったりします。

      BigQuery のドキュメントに従い、サイドバーのデータセット名の横にある矢印をクリックし、Create new table を選択します。

      Create Table ページが表示されます。
    • Source Data セクションで Create empty table を選択します。
    • Table name フィールドにテーブル名を入力します(たとえば、logs)。
    • BigQuery ウェブ サイトの Schema セクションで、インターフェースを使ってフィールドを追加し、スキーマを完成させます。そして Create Table ボタンをクリックします。

    1. ロギング エンドポイントとしての BigQuery の追加
      次の手順に従い、ロギング エンドポイントとして BigQuery を追加します。
    • Fastly の『Setting up remote log streaming』ガイドに目を通してください。
    • BigQuery のロゴをクリックし、BigQuery エンドポイント作成ページを開きます。
    • Create a BigQuery endpoint の各フィールドを次のように指定してください。
      • Name フィールドには人間が読めるエンドポイント名を入力します。
      • Log format フィールドには BigQuery に送るデータを入力します。詳細は『Log streaming : Google BigQuery』ガイドの Example format セクションをご覧ください。
      • Email フィールドには BigQuery アカウントの client_email アドレスを入力します。
      • Secret key フィールドには BigQuery アカウントの秘密鍵を入力します。
      • Project ID フィールドには GCP プロジェクトの ID を入力します。
      • Dataset フィールドには BigQuery データセットの名前を入力します。
      • Table フィールドには BigQuery テーブルの名前を入力します。
      • Template フィールドには、テーブルのテンプレート サフィックスとして使う strftime 互換文字列を入力します(オプション)。
    • Create をクリックし、新しいロギング エンドポイントを作成します。
    • Activate ボタンをクリックし、構成変更をデプロイします。

    BigQuery に送信する JSON オブジェクトのフォーマット例

    BigQuery に送るデータは、JSON オブジェクトとしてシリアライズする必要があります。また、JSON オブジェクトのフィールドは、すべてテーブルのスキーマの文字列に対応していなければなりません。

    JSON では入れ子状のデータを格納できます(たとえば、オブジェクトのキーに対応するバリューは他のオブジェクトになることがあります)。次に示すのは、BigQuery にデータを送るためのフォーマット文字列の例です。

    {
      "timestamp":"%{begin:%Y-%m-%dT%H:%M:%S%z}t",
      "time_elapsed":%{time.elapsed.usec}V,
      "is_tls":%{if(req.is_ssl, "true", "false")}V,
      "client_ip":"%{req.http.Fastly-Client-IP}V",
      "geo_city":"%{client.geo.city}V",
      "geo_country_code":"%{client.geo.country_code}V",
      "request":"%{req.request}V",
      "host":"%{req.http.Fastly-Orig-Host}V",
      "url":"%{cstr_escape(req.url)}V",
      "request_referer":"%{cstr_escape(req.http.Referer)}V",
      "request_user_agent":"%{cstr_escape(req.http.User-Agent)}V",
      "request_accept_language":"%{cstr_escape(req.http.Accept-Language)}V",
      "request_accept_charset":"%{cstr_escape(req.http.Accept-Charset)}V",
      "cache_status":"%{regsub(fastly_info.state, "^(HIT-(SYNTH)|(HITPASS|HIT|MISS|PASS|ERROR|PIPE)).*", "\\2\\3") }V"
    }


    BigQuery スキーマの例

    上に示したフォーマット例に対応するテキスト形式の BigQuery スキーマは、次のようなものになります。

    timestamp:STRING,time_elapsed:FLOAT,is_tls:BOOLEAN,client_ip:STRING,geo_city:STRING,geo_co
    untry_code:STRING,request:STRING,host:STRING,url:STRING,request_referer:STRING,request_use
    r_agent:STRING,request_accept_language:STRING,request_accept_charset:STRING,cache_status:S
    TRING

    BigQuery テーブルを作るときは、“Edit as Text” をクリックし、この例をペーストします。

    今すぐお試しを!

    以上で、Fastly のログがリアルタイムで Cloud Storage と BigQuery に送信されるようになります。BigQuery ではログの分析が簡単になり、あなたのアプリケーションとエンドユーザーとのやり取りがより深く理解できるでしょう。

    質問があれば、私たち Fastly にお問い合わせください。すでに Fastly をご利用なら、Fastly と GCP をどのように使っているかをぜひ教えてください。まだご利用でなければ、無料でお試しいただけます。こちらでサインアップしてください。

    * この投稿は米国時間 8 月 17 日、Fastly の VP of Product Strategy である Simon Wistow によって投稿されたもの(投稿はこちら)の抄訳です。

    - By Simon Wistow, VP of Product Strategy, Fastly


    Cloud Storage Coldline : 長期アーカイブ用の低レイテンシ ストレージ クラス

    Coldline は、長期アーカイブやディザスタ リカバリ用に設計された、Cloud Storage の新しいストレージ クラスです。ビッグデータやマルチメディア コンテンツのアーカイブ ニーズに最適で、企業は数年分のデータのアーカイブが可能です。Coldline は瞬時に(ミリ秒レベルのレイテンシで)データにアクセスできるため、コールド データの保存やアクセスに対する企業の考え方を変えるでしょう。

    アーカイブ データも他のデータ並みにアクセスしやすくするというのが、私たち GCP チームの考えです。Coldline の API と低レイテンシのデータ アクセスは、他のストレージ クラスと一貫しています。つまり、既存システムはアプリケーションに変更を加えることなく Coldline にデータを保存し、アクセスでき、そのデータをエンドユーザーにミリ秒レベルのレイテンシで直接提供できます。

    Coldline の利用料金はわずか 0.007 ドル / GB / 月で、シンプルで予測可能なデータ検索には 0.05 ドル / GB がかかります。アクセス頻度が 1 年間あたり 1 回に満たないデータを最も経済的に保存できるストレージ クラスとなっています。

    また、Coldline は Nearline と密接に連携し、Cloud Storage の階層型ストレージにおいてアクセス頻度の低いコールド データ向けの階層を担います。Coldline のほうがよりアクセス頻度の低いデータ向けです。私たちが最近行った Nearline のレイテンシとスループットの改善により、すべてのストレージ クラスで同等のパフォーマンスが確保されています。

    Cloud Storage の Coldline などへのデータ移行を支援するため、私たちは使いやすい Google Cloud Storage Transfer Service を提供するとともに、Switch and Save プログラムを拡大して Coldline を対象に加えました。このプログラムでは、Coldline に移すデータの量に応じて、最大 100 PB までのデータを数か月間、無料で保存できます。Switch and Save の詳細については、Google の営業担当者までお問い合わせください

    Google Cloud Storage Multi-Regional および Regional

    GCP のお客様は、要件の厳しいさまざまなワークロードに Cloud Storage を利用しています。一部のユースケースでは、Google Compute Engine インスタンスと同じくらい可用性が高いストレージが必要とされています。さらに高いレベルの可用性や地理的冗長性が必要なユースケースもあります。こうしたニーズに対応できるように、私たちは既存のストレージ クラスもアップデートしました。

    Google Cloud Storage Multi-Regional は、可用性が高く、地理的冗長性を備えたストレージ クラスです。このストレージ クラスは、ビジネス コンティニュイティの確保や、地理的に分散したユーザーへのマルチメディア コンテンツの配信に最適です。

    あるリージョンで障害が発生した場合でも、Cloud Storage はリクエストを別の使用可能なリージョンに透過的に転送し、アプリケーションがそのまま機能し続けるようにします。

    Multi-Regional ストレージの利用料金は 0.026 ドル / GB / 月です。この中には、すべてのレプリカの保存、Google ネットワーク経由のレプリケーション、接続の再転送の料金が含まれます。

    Multi-Regional ストレージは現在、米国、EU、アジアで利用できます。マルチリージョンで使われていた既存の Standard ストレージ バケットは、すべて Multi-Regional ストレージ クラスに切り替えられています。

    メディアのホスティング、共有、ストリーミング サービスを提供する Vimeo は、Google Cloud Storage Multi-Regional を利用して、高可用性と低レイテンシのデータ アクセスを実現しています。同社は全体的なストレージ コストを最小限に抑えるために Cloud Storage Nearline も使用しています。

    Vimeo は最高の視聴体験を提供することを目指しており、Google Cloud Storage とリアルタイム CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスの Fastly の連携機能を活用しています。Fastly のおかげで Google Cloud Storage からコンテンツをユーザーに瞬時に配信でき、応答時間は 150 ミリ秒未満に抑えられています。


    「私たちは Google Cloud Platform の Google Cloud Storage や Compute Engine などを Fastly とともに利用して、人気のあるコンテンツやたまにしかアクセスされないコンテンツなどをすべて保存、配信し、トランスコーディングのピーク ロードも処理しています」

    - Naren Venkataraman 氏、Vimeo のシニア エンジニアリング ディレクター


    「Fastly のお客様は、低レイテンシで高スループットのストレージに加え、ネットワーク エッジから高速かつ柔軟、そして安全にコンテンツを配信する仕組みを必要としています。Google Cloud Storage と Fastly の Cloud Accelerator の組み合わせにより、Vimeo のようなお客様は、コンテンツの保存と配信を十分に最適化し、コストを管理しながらグローバルなパフォーマンスを向上させることができます」

    - Lee Chen 氏、Fastlyの戦略提携責任者

    Google Cloud Storage Regional は、単一のリージョン内で冗長性を確保した、可用性が高いストレージ クラスです。リージョン内でストレージとコンピュート リソースを組み合わせ、Google Compute EngineGoogle Cloud DataprocGoogle Cloud Machine LearningGoogle BigQuery などで実行されるデータ トランスコーディングやビッグデータ分析といったワークロードにおいて、エンド ツー エンドの低レイテンシと高スループットを実現するのに最適です。

    Regional ストレージ クラスの利用料金は 0.02 ドル / GB / 月です。単一リージョンで使われていた既存の Standard ストレージ バケットは、すべて Regional ストレージ クラスに切り替えられています。これは 23 % の値下げに相当し、切り替えられたバケットの料金変更は 11 月 1 日から適用されます。

    Regional ストレージ クラスをすでにご利用いただいているお客様の 1 社が Spotify です。同社は 1 億人以上のユーザーに対して音楽のストリーミング提供を行っており、信頼性と耐久性の高い環境でコストを制御しながらスケールするために、Compute Engine とともに Cloud Storage を使用しています。Cloud Storage には 3,000 万曲以上の楽曲が格納されています。


    「Spotify は、音楽の保存や提供のために Google Cloud Storage を使用しています。Regional ストレージ クラスを使用すれば、本番ストレージとほぼ同等のオーディオ トランスコーディングが Google Compute Engine で実行できます。さらに Google は、当社のすべての CDN プロバイダーに対して、相互接続やパートナーシップだけでなく、オープンかつ明示的なピアリング設定の素晴らしいネットワーキングを提供しています」

    - Jyrki Pulliainen 氏、Spotify のソフトウェア エンジニア

    Multi-Regional と Regional の両ストレージ クラスの API 操作についても、値下げに相当する新料金が 11 月 1 日から適用されます。クラス A 操作は 0.005 ドル / 1,000 操作(50 % の値下げ)、クラス B 操作は 0.004 ドル / 10,000 操作(60 % の値下げ)となります。

    Coldline が追加され、Multi-Regional と Regional でストレージ クラスがアップデートされても、GCP のお客様は、すべてのホット データとコールド データで同じ API が使える便利さと、一貫したデータ アクセス パフォーマンスを享受できます。Coldline では、アプリケーションに変更を加えなくてもアーカイブ データを利用でき、そのデータ アクセス時間にも妥協はありません。一方、Multi-Regional はデータの高可用性と地理的冗長性の確保を容易にします。

    しかも、私たちはこうしたすべてを、以下に示すように、競争力の高い、わかりやすい料金で提供します。


    新しいデータ ライフサイクル管理機能

    お客様の多くは、さまざまなワークロードに応じて複数のストレージ クラスを使っています。これらのストレージ クラス全体にわたって単一の API を使用でき、一貫したデータ アクセス パフォーマンスが得られるおかげで、アプリケーションは複数のストレージ クラスをシームレスに利用できます。したがって、データに応じたストレージ階層の管理についても簡単であるべきです。

    私たちはこのたび、データ配置の管理を容易にする新しいデータ ライフサイクル管理機能のベータ提供を開始しました。どの Google Cloud Storage バケットも、さまざまなストレージ クラスのデータを保持できるようになり、ライフサイクル ポリシー機能がオブジェクトの存続期間に基づいて、オブジェクトを適切なコールド ストレージ クラスに自動的に移行してくれます。

    拡大する Cloud Storage パートナー エコシステム

    多くのお客様がすでに Cloud Storage の複数のストレージ クラスを利用しており、私たちのサービスから直接、そして私たちのパートナーを通じて、今回のアップデートの恩恵を受けられるでしょう。

    実際、多くのパートナーが新しい Coldline ストレージ クラスをいち早く製品やサービスに統合しています。以下に、新しいストレージ クラスを自社の環境で活用できるようにお客様をお手伝いするパートナーをいくつか紹介します。

    • Fastly : Fastly の CDN は、コンテンツ配信の管理機能、リアルタイム パフォーマンス分析機能、頻繁に変わるコンテンツをエッジでキャッシュする機能を企業に提供します。お客様は Google Cloud Storage をコンテンツの保存場所として構成できます。Fastly の Origin Shield が単一の Point-Of-Presence(POP)を指定し、Google ネットワーク全体にわたってキャッシュ ミスを処理します。
    • Veritas : これまで GCP をサポートしてきた実績をベースに、Veritas は Cloud Storage Coldline のサポートに力を注いでいます。Veritas Information Map と Veritas NetBackup、そして GCP とのユニークな組み合わせを利用することで、お客様は世界規模で全社的に Google Cloud への移行を進める中でデータの可視性を詳細に管理できます。Veritas と Google のコラボレーションは、企業の情報管理を支援することに両社がともにコミットしていることをよく表しています。
    • Cloudian : スマート データ ストレージ プラットフォームである Cloudian HyperStore は、Google Cloud Storage(Coldline を含む)とシームレスに統合されており、TB 規模から数百 PB 規模までのオンプレミス ストレージを提供します。ポリシー ベースのデータ移行機能により、データの種類、存続期間、アクセス頻度などのルールに基づいてデータを Coldline に移せます。
    • CloudBerry Lab : CloudBerry Backup は、Coldline を利用したクラウド バックアップ ソリューションです。リアルタイム バックアップやスケジュールされた定期バックアップ、暗号化、ローカル ディスク イメージ、ベア メタル リストアといった機能を提供します。さらに、最大限の効率を実現するブロック レベルのバックアップにも対応しているほか、個々のバックアップおよびリストア プランをリモートで追跡できるアラート機能も提供しています。
    • Komprise : データ管理ソフトウェアの Komprise により、企業は既存のオンプレミス ストレージとともに Cloud Storage のすべての階層を透過的に利用して、データのライフサイクルをシームレスに管理し、コストを 70 % 以上削減できます。Komprise の無料トライアルを利用すると、どれだけのデータを Cloud Storage に移行できるかの評価と予想 ROI を 15 分以内に入手できます。
    • StorReduce : StorReduce のインライン重複排除ソフトウェアでは、TB~PB 規模のデータを Coldline(または Cloud Storage の他のクラス)に移行し、そのデータを対象に検索などのクラウド サービスを利用できます。
    • Cohesity : 企業データのハイパーコンバージド セカンダリ ストレージ システムである Cohesity は、散在した非効率なセカンダリ ストレージを、仮想的に無限の容量を持つストレージ プラットフォームに集約します。Cohesity のポリシー ベース管理機能により、Coldline を任意のデータ保護ワークロードに利用できます。
    • Sureline : Sureline のアプリケーション モビリティ ソフトウェアは、仮想、クラウド、物理、またはコンテナ アプリケーションやサーバーを対象に、移行やリカバリの機能を提供します。SUREedge DR により、企業は時々アクセスされる DR イメージのディザスタ リカバリ先として Coldline を利用できます。
    パートナー エコシステムは拡大の一途をたどっており、これまで以上に多くのお客様が GCP のメリットを活用できるようになっています。

    Cloud Storage と新しいストレージ クラスについてもっと詳しく知りたい方は、こちらのウェブ ページにアクセスするか、技術ドキュメントをご覧ください。また、無料トライアルも用意されています。お問い合わせは営業担当者までどうぞ。


    * この投稿は米国時間 10 月 20 日、Product Manager である Kirill Tropin によって投稿されたもの(投稿はこちら)の抄訳です。

    - Posted by Kirill Tropin, Product Manager