Facebook アプリの
PHANTOM CHRONICLE (ファントム クロニクル)というゲームをご存知ですか? テンポの良いシンプルなカードバトル ゲームでありながら、世界中で 100 万ダウンロードを超えて遊ばれています。
その Android 版としてリリースされたのが、
PHANTOM CHRONICLE RUSH FIRE (ファントム クロニクル ラッシュファイアー)。世界観はそのままに、スマートフォン用にゲーム システムがリメイクされ、”連打式戦術カードバトル” という名が示している ”連打” による ”破壊的スピード” のアクション性と、カードの配置による戦術が組み合わさって、Facebook 版とはまた違う面白さを楽しるゲームになっています。
主に家庭用のゲーム ソフトを作っている、開発元の
株式会社 Good Feel (グッド・フィール)さんに、なぜソーシャル ゲーム、スマートフォン ゲームを自ら発信するようになったのか、そして Facebook 版から今回の Android 版も含めて、そのバックエンドに
Google App Engine を使っている理由をお聞きしました。
写真左から、株式会社 グッド・フィール 制作部 第 2 制作グループ、ディレクターの阿部 裕一さん、開発を担当されている加藤 大和さん、プロデューサーの畠山 恵一さん。
阿部さんは、Facebook 版の頃からプランナー、ディレクターとして企画や開発の取りまとめを行い、加藤さんも同様に継続してサーバー サイドの開発を続けています。畠山さんは、部全体で他のタイトルも含めたプロデューサーとして、広告やプロモーション関連のマネージメントをされています。
ゲームの形が変わっても、本質的な面白さや楽しませ方は不変
そもそも Facebook でアプリケーションをリリースした理由と、今 Android アプリケーションをリリースした理由、これまで家庭用ゲーム ソフトを開発されていた皆さんが何故ソーシャル / スマートフォン ゲームをリリースされたのですか?
畠山さん : 2009-10 年くらいの段階で、ソーシャル ゲームとして、モバゲーさんやグリーさんが出てきました。僕はクリエイティブよりビジネス面に多くかかわってきましたので、直観的にこれをやらないとまずい、ゲームのあり方が大きく変わるのではないかと思ったわけです。僕らは家庭用ゲームのノウハウはそれなりに持っていますが、どうも違う。正直、最初にソーシャルゲームを遊んだときは、なんだこの面白くないものはと思いました(笑)でもたくさんの人が楽しんでいる。それはなんでだろう、そこが一番最初の始まりですね。この遊び方というのを僕らが知らなかったら生き残れないんじゃないか、という思いも個人的にありました。
Android アプリをリリースすることに関しては、ある意味、自然な流れだと思っています。これまで家庭用ゲーム ソフトを作る仕事をしてきましたが、ハードは、時代の流れで変わっていきます。そのとき必要とされるハードに向けて作る、でも僕らの作るものは変わらないと思いますけどね。
プランニングする上で、家庭用ゲーム ソフトと違い、遊ぶ人の価値観を違うものとして考えなければいけないことも多かったと思います。
阿部さん : 家庭用ゲームの場合、最初にお金を払って購入しますので、買ったからには最後まで遊びたい、ストーリーが気になるとか、”どれだけ楽しめるか、じっくり楽しめるか” ということに、価値観を感じられる方も多いと思います。一方で、スマートフォン ゲームの場合には、今これが欲しい、すぐ強くなりたい、というように、短い時間で楽しむことに変わってきています。バランスをとってじっくり遊ばせるのか、バランスをあえて崩した遊びにするのか。そういった考え方が大きく違ってきていて、苦労しているところです。ただ、ゲームを遊んでいただく中での面白さや、楽しませ方というところの本質は変わっていないと思ってます。面白さの感じ方、そこまでの段取り、手順が大きく違ってきていると感じていますね。
PHANTOM CHRONICLE は、ゲームシステムの特徴もありますが、まずはカードとその絵柄に目が行きます。
畠山さん : 最初に Facebook で展開したゲームは、海外をターゲットにしたアクション RPG のような ゲームを作っていましたが、運用を含め上手くいきませんでした。その当時、日本国内ではカード バトルが全盛で、それを海外で展開し、人気の出たカード バトルのゲームが出てきた頃でしたので、Facebook ゲームでもカードバトルは、いけるのではないかと考えたわけです。
確信は何もないまま、アメリカをメインターゲットとして出してみたところ、最初は少ない出だしでしたが、途中から、何が原因かはっきりわからないのですが、ユーザーが大幅に増えて、アメリカのユーザーはもちろん、意外だったのは南米系の方々や、東南アジア系の人たちに、幅広く遊んでいただけるようになりました。ダウンロード数で、トータル 130 万くらいのユーザーに遊んでいただいています。
グラフィックは、いわゆるトレーディング カード風に作っていて、今回の Android アプリもターゲットは最初から北米に設定し、スタートしています。
Google App Engine で実現した「止まらない」サービス
PHANTOM CHRONICLE RUSH FIRE のバックエンドは Google App Engine ということですが、最初に Facebook 版をリリースされた頃から App Engine を利用されているのですか?
畠山さん : Google App Engine は 2010 年の頃、ソーシャル ゲームを始めようとした頃から調査をしていて、本格的な導入を検討し始めたのが 2011 年。実際に使ったのが 2012 年の 11 月。 第1弾 Facebook ゲームのときに初めて使いました。その後、第 2 弾で PHANTOM CHRONICLE を作るにあたっても、一番ナレッジがあり、実績があったので使っています。
当時、なぜ App Engine に興味を持たれたのですか?
畠山さん : 当時は、自社でサーバーを構築してやるというのも検討しましたが、何分ベンチャー企業なので、ゼロからの構築はまず難しい。それで AWS の EC2 であるとか調べた中で、一番使いやすそうだったのが App Engine。それに従量課金だったことも、”ダメだったら安くすむ” ということは、ベンチャー企業にとって一番のメリットです。
App Engine は、インターネット上でいろいろな技術情報を調べる中で出てきたという感じです。2009 年くらいは Mixi のゲームが流行っていて、例えば、そのゲームを作るとした場合、まずサーバー立てるにはどうしたらいいのだろうと、開発者のフォーラムだとかを探しまわり、その中で見つけた感じです。
先ほど Facebook で急にユーザーが増えたというお話でしたが、特に問題なく対処できました?
加藤さん : そうですね。世間で良く聞くインストールが集中してサーバーが落ちたということは経験してないですね。なので、ユーザーの数にかかわらず、一定の動きをしてくれています。
阿部さん : そういうところは App Engine で助かっております。実際にずっと運用し続けていまして、メンテナンスなどでサービスを止めたことはありません。ユーザー数が急に増えるといった変化の中でも、サーバーの増築等を行わず、サービスを止めずに運用し続けられている、安定して稼働できているのは、凄く助かっていますね。インフラの運用を Google におまかせできる。
畠山さん : 本当にそういうところは大きなメリットだと思います。
App Engine でのアプリケーション開発で使われているプログラミング言語など開発環境や、開発で困ったこと、最近取り入れた機能など教えてください。
加藤さん : 最初の Facebook のアプリケーションが Java で、それを引き継いで開発を始めたので、言語は Java ですね。フレームワークに Slim3 を使っています。Datastore の読み書きなどが綺麗にまとまって、面倒な処理を Slim3 が吸収してくれている部分もあって、開発はし易いです。App Engine を使っていて、使い方がよくわからなくて困った、という経験はあまりないですね。
最近ですと、Facebook のプロジェクトから、スマートフォンのプロジェクトを始めるときに、App Engine Modules という機能が出来て、それまでは Backends という形で提供されてきたものがよりロジカルに分割できて、かつ機能的にも強固になって、次はこれを使おうと調べました。ドキュメントも何度も見て、自分の今の開発環境でどうやったらできるのかと実験した上で使っています。
Google Cloud Platform に期待しているところや、こういう機能を使っていきたいというところはありますか?
加藤さん : むしろまだまだ勉強不足なところがあって、今使っているところでも App Engine や Slim3 の機能を使いこなしているとは思っていないので、それが先ですね。
阿部さん : 私も PHANTOM CHRONICLE RUSH FIRE の開発で手一杯で、十分調べきれていませんが、
Cloud SQL と
Cloud Storage は少し興味を持っていまして、今社内でやっている部分や、他社さんの製品を使っているところを、できれば集約したいなと考えています。
BigQuery は特に、データ集計で苦労していますのでもう少し調べたいと思っています。
以前取材したところで、これまでに家庭用のゲームを作ってきた会社だと、サーバー サイドを担当できる開発者や知識が不足しているという話を聞きました。
畠山さん : その通りだと思いますね。実際にソーシャル ゲームを作り始めるとクライアントのゲームよりもサーバー サイドが主になりますね。でも、専任のサーバー サイド開発者がいるわけではなく、さりとて、どの会社も欲しいサーバー サイドのエンジニアを中途で採用するのも難しい。となると、やっぱり社内の優秀な人をそこに投入して、育て、さらに後輩を育ててもらうという流れでやっていくしかないかなと思っています。
最近のスマートフォン ゲームを見ているとゲームは運営の時代なのかと思うのですけど、やはりそういう変化はあります?
阿部さん : そうですね。ユーザーさんが、どのように遊んでくれているのか、どこで停滞しているのか、どの機能を使っているのかを把握した上で、難しいところを簡単にするとか、簡単なところを難しくしたりだとか、いろんなイベントを足していったりだとか、常に流動的に変わっていきます。ユーザーさんが求めている所を熱いうちに叩かなければならない、速く対応しなければいけない、というところは非常に苦労しているところであり、気をつけているところです。売り切りのゲームでは 1 から 10 まで準備して、あとはゆっくり結果を待つだけでしたけど、直ぐに対応出来る分、対応しなきゃいけないということが、面白くもあり、大変なところでもありますね。
そのとき運営にもそれなりの人数が必要になると思うのですが、開発も含め、どれくらいの規模で運営されているのですか?
畠山さん : 人数的には、開発チーム全員が結果的に「運用」にも関わっています。専用の運用人員は居ませんが、うちよりも少ない人数で運用している 100 万ダウンロード規模のゲームもある様ですし、やり方はいろいろではないでしょうか。また、どこもスタートしたときは、数名でそれをまわす方法を考えて、必要なところに必要な人材を入れているのではないかと思っています。グッド・フィールでも、今できる範囲でやれることをして、ビジネスの成長にあわせ必要な人材を追加できればと考えています。
Google を使ったアプリ ビジネスとゲームのこれから
プロモーションに Adwords を使うそうですね。開発、プロモーション、エンゲージメント、収益化まで全体に Google を使っていただいています。
畠山さん : 1 つの塊になって、その中でビジネスが展開できることは、凄くメリットがあるような気がします。他に、Facebook を使っていますが、簡単に使える反面、詳細な説明が少ない分、自力で調べて自力でやる事になります。その点、Adwordsの場合、日本語での丁寧な説明がホームページで展開されている上、弊社は幸運な事にGoogleからサポートを受ける機会があり、担当の方から使い方のアドバイスを得られるなど、こうしたサポート面でも助かっています。
最後に、皆さんが思っている、これからのゲームのあり方について一言お願いします
畠山さん : ゲームの世界に入ったら普通の世界に戻ってこれないんじゃないのかというくらいの没入感を持って遊ぶゲームと、今のスマートフォンで展開されている様な、隙間時間から自分の都合のいい時間を使って、都合の良い遊びをするゲーム、この 2 極化になるのではと思っています。
阿部さん : 畠山が話したより没入感のあるゲームは、私も是非やってみたいですし、今後出てくると思ってます。一方で、自分の生活の隙間時間に、ちょっとずつ関わってくる何かという感じで、ゲームがもっと浸透していくと思っております。特に最近のゲームは、他のユーザーとの繋がりがかなり重視されています。友達と話すネタだったり、競争だったりとか、そのためにやってみようというところもあると思いますので、そういう意味では今後もどんどん広がっていくと思いますね。
加藤さん : コンシューマーゲームではエンディングという大きな一つの区切りがありますが、こういったオンラインゲームでは、バージョンアップで要素が増えていくため、そういった区切りが無いですよね。その代わり、それぞれのユーザーが小さな目標を定めて達成、クリアしていくという遊び方と、それに合わせた提供の仕方というのがあると思うので、ユーザーの目線としても提供側としてもそこを意識していく必要があるのかと思っています。
■ Google Cloud Platform のその他の
導入事例はこちら から
Facebook アプリの
PHANTOM CHRONICLE (ファントム クロニクル)というゲームをご存知ですか? テンポの良いシンプルなカードバトル ゲームでありながら、世界中で 100 万ダウンロードを超えて遊ばれています。
その Android 版としてリリースされたのが、
PHANTOM CHRONICLE RUSH FIRE (ファントム クロニクル ラッシュファイアー)。世界観はそのままに、スマートフォン用にゲーム システムがリメイクされ、”連打式戦術カードバトル” という名が示している ”連打” による ”破壊的スピード” のアクション性と、カードの配置による戦術が組み合わさって、Facebook 版とはまた違う面白さを楽しるゲームになっています。
主に家庭用のゲーム ソフトを作っている、開発元の
株式会社 Good Feel (グッド・フィール)さんに、なぜソーシャル ゲーム、スマートフォン ゲームを自ら発信するようになったのか、そして Facebook 版から今回の Android 版も含めて、そのバックエンドに
Google App Engine を使っている理由をお聞きしました。
写真左から、株式会社 グッド・フィール 制作部 第 2 制作グループ、ディレクターの阿部 裕一さん、開発を担当されている加藤 大和さん、プロデューサーの畠山 恵一さん。
阿部さんは、Facebook 版の頃からプランナー、ディレクターとして企画や開発の取りまとめを行い、加藤さんも同様に継続してサーバー サイドの開発を続けています。畠山さんは、部全体で他のタイトルも含めたプロデューサーとして、広告やプロモーション関連のマネージメントをされています。
ゲームの形が変わっても、本質的な面白さや楽しませ方は不変
そもそも Facebook でアプリケーションをリリースした理由と、今 Android アプリケーションをリリースした理由、これまで家庭用ゲーム ソフトを開発されていた皆さんが何故ソーシャル / スマートフォン ゲームをリリースされたのですか?
畠山さん : 2009-10 年くらいの段階で、ソーシャル ゲームとして、モバゲーさんやグリーさんが出てきました。僕はクリエイティブよりビジネス面に多くかかわってきましたので、直観的にこれをやらないとまずい、ゲームのあり方が大きく変わるのではないかと思ったわけです。僕らは家庭用ゲームのノウハウはそれなりに持っていますが、どうも違う。正直、最初にソーシャルゲームを遊んだときは、なんだこの面白くないものはと思いました(笑)でもたくさんの人が楽しんでいる。それはなんでだろう、そこが一番最初の始まりですね。この遊び方というのを僕らが知らなかったら生き残れないんじゃないか、という思いも個人的にありました。
Android アプリをリリースすることに関しては、ある意味、自然な流れだと思っています。これまで家庭用ゲーム ソフトを作る仕事をしてきましたが、ハードは、時代の流れで変わっていきます。そのとき必要とされるハードに向けて作る、でも僕らの作るものは変わらないと思いますけどね。
プランニングする上で、家庭用ゲーム ソフトと違い、遊ぶ人の価値観を違うものとして考えなければいけないことも多かったと思います。
阿部さん : 家庭用ゲームの場合、最初にお金を払って購入しますので、買ったからには最後まで遊びたい、ストーリーが気になるとか、”どれだけ楽しめるか、じっくり楽しめるか” ということに、価値観を感じられる方も多いと思います。一方で、スマートフォン ゲームの場合には、今これが欲しい、すぐ強くなりたい、というように、短い時間で楽しむことに変わってきています。バランスをとってじっくり遊ばせるのか、バランスをあえて崩した遊びにするのか。そういった考え方が大きく違ってきていて、苦労しているところです。ただ、ゲームを遊んでいただく中での面白さや、楽しませ方というところの本質は変わっていないと思ってます。面白さの感じ方、そこまでの段取り、手順が大きく違ってきていると感じていますね。
PHANTOM CHRONICLE は、ゲームシステムの特徴もありますが、まずはカードとその絵柄に目が行きます。
畠山さん : 最初に Facebook で展開したゲームは、海外をターゲットにしたアクション RPG のような ゲームを作っていましたが、運用を含め上手くいきませんでした。その当時、日本国内ではカード バトルが全盛で、それを海外で展開し、人気の出たカード バトルのゲームが出てきた頃でしたので、Facebook ゲームでもカードバトルは、いけるのではないかと考えたわけです。
確信は何もないまま、アメリカをメインターゲットとして出してみたところ、最初は少ない出だしでしたが、途中から、何が原因かはっきりわからないのですが、ユーザーが大幅に増えて、アメリカのユーザーはもちろん、意外だったのは南米系の方々や、東南アジア系の人たちに、幅広く遊んでいただけるようになりました。ダウンロード数で、トータル 130 万くらいのユーザーに遊んでいただいています。
グラフィックは、いわゆるトレーディング カード風に作っていて、今回の Android アプリもターゲットは最初から北米に設定し、スタートしています。
Google App Engine で実現した「止まらない」サービス
PHANTOM CHRONICLE RUSH FIRE のバックエンドは Google App Engine ということですが、最初に Facebook 版をリリースされた頃から App Engine を利用されているのですか?
畠山さん : Google App Engine は 2010 年の頃、ソーシャル ゲームを始めようとした頃から調査をしていて、本格的な導入を検討し始めたのが 2011 年。実際に使ったのが 2012 年の 11 月。 第1弾 Facebook ゲームのときに初めて使いました。その後、第 2 弾で PHANTOM CHRONICLE を作るにあたっても、一番ナレッジがあり、実績があったので使っています。
当時、なぜ App Engine に興味を持たれたのですか?
畠山さん : 当時は、自社でサーバーを構築してやるというのも検討しましたが、何分ベンチャー企業なので、ゼロからの構築はまず難しい。それで AWS の EC2 であるとか調べた中で、一番使いやすそうだったのが App Engine。それに従量課金だったことも、”ダメだったら安くすむ” ということは、ベンチャー企業にとって一番のメリットです。
App Engine は、インターネット上でいろいろな技術情報を調べる中で出てきたという感じです。2009 年くらいは Mixi のゲームが流行っていて、例えば、そのゲームを作るとした場合、まずサーバー立てるにはどうしたらいいのだろうと、開発者のフォーラムだとかを探しまわり、その中で見つけた感じです。
先ほど Facebook で急にユーザーが増えたというお話でしたが、特に問題なく対処できました?
加藤さん : そうですね。世間で良く聞くインストールが集中してサーバーが落ちたということは経験してないですね。なので、ユーザーの数にかかわらず、一定の動きをしてくれています。
阿部さん : そういうところは App Engine で助かっております。実際にずっと運用し続けていまして、メンテナンスなどでサービスを止めたことはありません。ユーザー数が急に増えるといった変化の中でも、サーバーの増築等を行わず、サービスを止めずに運用し続けられている、安定して稼働できているのは、凄く助かっていますね。インフラの運用を Google におまかせできる。
畠山さん : 本当にそういうところは大きなメリットだと思います。
App Engine でのアプリケーション開発で使われているプログラミング言語など開発環境や、開発で困ったこと、最近取り入れた機能など教えてください。
加藤さん : 最初の Facebook のアプリケーションが Java で、それを引き継いで開発を始めたので、言語は Java ですね。フレームワークに Slim3 を使っています。Datastore の読み書きなどが綺麗にまとまって、面倒な処理を Slim3 が吸収してくれている部分もあって、開発はし易いです。App Engine を使っていて、使い方がよくわからなくて困った、という経験はあまりないですね。
最近ですと、Facebook のプロジェクトから、スマートフォンのプロジェクトを始めるときに、App Engine Modules という機能が出来て、それまでは Backends という形で提供されてきたものがよりロジカルに分割できて、かつ機能的にも強固になって、次はこれを使おうと調べました。ドキュメントも何度も見て、自分の今の開発環境でどうやったらできるのかと実験した上で使っています。
Google Cloud Platform に期待しているところや、こういう機能を使っていきたいというところはありますか?
加藤さん : むしろまだまだ勉強不足なところがあって、今使っているところでも App Engine や Slim3 の機能を使いこなしているとは思っていないので、それが先ですね。
阿部さん : 私も PHANTOM CHRONICLE RUSH FIRE の開発で手一杯で、十分調べきれていませんが、
Cloud SQL と
Cloud Storage は少し興味を持っていまして、今社内でやっている部分や、他社さんの製品を使っているところを、できれば集約したいなと考えています。
BigQuery は特に、データ集計で苦労していますのでもう少し調べたいと思っています。
以前取材したところで、これまでに家庭用のゲームを作ってきた会社だと、サーバー サイドを担当できる開発者や知識が不足しているという話を聞きました。
畠山さん : その通りだと思いますね。実際にソーシャル ゲームを作り始めるとクライアントのゲームよりもサーバー サイドが主になりますね。でも、専任のサーバー サイド開発者がいるわけではなく、さりとて、どの会社も欲しいサーバー サイドのエンジニアを中途で採用するのも難しい。となると、やっぱり社内の優秀な人をそこに投入して、育て、さらに後輩を育ててもらうという流れでやっていくしかないかなと思っています。
最近のスマートフォン ゲームを見ているとゲームは運営の時代なのかと思うのですけど、やはりそういう変化はあります?
阿部さん : そうですね。ユーザーさんが、どのように遊んでくれているのか、どこで停滞しているのか、どの機能を使っているのかを把握した上で、難しいところを簡単にするとか、簡単なところを難しくしたりだとか、いろんなイベントを足していったりだとか、常に流動的に変わっていきます。ユーザーさんが求めている所を熱いうちに叩かなければならない、速く対応しなければいけない、というところは非常に苦労しているところであり、気をつけているところです。売り切りのゲームでは 1 から 10 まで準備して、あとはゆっくり結果を待つだけでしたけど、直ぐに対応出来る分、対応しなきゃいけないということが、面白くもあり、大変なところでもありますね。
そのとき運営にもそれなりの人数が必要になると思うのですが、開発も含め、どれくらいの規模で運営されているのですか?
畠山さん : 人数的には、開発チーム全員が結果的に「運用」にも関わっています。専用の運用人員は居ませんが、うちよりも少ない人数で運用している 100 万ダウンロード規模のゲームもある様ですし、やり方はいろいろではないでしょうか。また、どこもスタートしたときは、数名でそれをまわす方法を考えて、必要なところに必要な人材を入れているのではないかと思っています。グッド・フィールでも、今できる範囲でやれることをして、ビジネスの成長にあわせ必要な人材を追加できればと考えています。
Google を使ったアプリ ビジネスとゲームのこれから
プロモーションに Adwords を使うそうですね。開発、プロモーション、エンゲージメント、収益化まで全体に Google を使っていただいています。
畠山さん : 1 つの塊になって、その中でビジネスが展開できることは、凄くメリットがあるような気がします。他に、Facebook を使っていますが、簡単に使える反面、詳細な説明が少ない分、自力で調べて自力でやる事になります。その点、Adwordsの場合、日本語での丁寧な説明がホームページで展開されている上、弊社は幸運な事にGoogleからサポートを受ける機会があり、担当の方から使い方のアドバイスを得られるなど、こうしたサポート面でも助かっています。
最後に、皆さんが思っている、これからのゲームのあり方について一言お願いします
畠山さん : ゲームの世界に入ったら普通の世界に戻ってこれないんじゃないのかというくらいの没入感を持って遊ぶゲームと、今のスマートフォンで展開されている様な、隙間時間から自分の都合のいい時間を使って、都合の良い遊びをするゲーム、この 2 極化になるのではと思っています。
阿部さん : 畠山が話したより没入感のあるゲームは、私も是非やってみたいですし、今後出てくると思ってます。一方で、自分の生活の隙間時間に、ちょっとずつ関わってくる何かという感じで、ゲームがもっと浸透していくと思っております。特に最近のゲームは、他のユーザーとの繋がりがかなり重視されています。友達と話すネタだったり、競争だったりとか、そのためにやってみようというところもあると思いますので、そういう意味では今後もどんどん広がっていくと思いますね。
加藤さん : コンシューマーゲームではエンディングという大きな一つの区切りがありますが、こういったオンラインゲームでは、バージョンアップで要素が増えていくため、そういった区切りが無いですよね。その代わり、それぞれのユーザーが小さな目標を定めて達成、クリアしていくという遊び方と、それに合わせた提供の仕方というのがあると思うので、ユーザーの目線としても提供側としてもそこを意識していく必要があるのかと思っています。
■ Google Cloud Platform のその他の導入事例はこちら から