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今年の「かわいい」
note.com/chijintianxia
切り方ひとつで野菜の味は変わる。身近な食材ほど、いつもと切り方を変えてみると、ガラッと印象が変わって面白いものだ。蓮根を使った今日の料理も、初めて食べたときは本当に驚いた。 その名も、清炒藕絲(蓮根の細切り炒め)。その名の通り、蓮根を縦に細切りして炒めたものだ。 清炒藕絲 清炒藕丝 qīng chǎo ǒu sī清炒藕絲(蓮根の細切り炒め)それだけと言えばそれだけなのだが、これが旨い。縦に細切りすることで生まれる軽妙な食感が最大の魅力だ。 炒めるうちに勝手に程よい粘り気が出てきて、彩りのピーマンと上手くまとまる。それを最低限の味付けで仕上げてやると、蓮根の香りと甘味を存分に味わうことができる。 細切りを面倒と思うかもしれないが、そんなに細く切り揃える必要はなくて、少し太めくらいが食感が活きて美味しい。不揃いでも食感にアクセントが生まれて却って美味しいくらいなので、気軽に試そう。 これからの
中国の、大皿にどかんと盛られた料理が好きだ。最近そういうのを作ってないなと思い立ち、土豆燉排骨(じゃが芋と骨付き豚スペアリブの煮込み)を作った。 土豆燉排骨 土豆炖排骨 tǔdòu dùn páigǔ 土豆燉排骨(豚スペアリブとじゃが芋の煮込み)下茹でした豚スペアリブとじゃが芋を、八角風味の醤油味で煮込む。要は、豚スペアリブを使った中華肉じゃがと思ってもらえばいい。 シンプルな料理なので、どの地域のものというものでもないが、僕が大好きな東北地方の仕上がりを意識してみた。 煮崩れたじゃが芋と汁が一体化してソースのようになり、豚スペアリブにからむ。てらてらとして、そそる。 柔らかな豚肉と旨味の染みたじゃが芋。こういう単純で豪快な料理がなんだかんだで好き。量も味のうちなので、たっぷり作ってガッツリ食べる。 「すごい、これはおいしいねえ」 たまたま我が家に遊びに来ていたおかん(義母)も喜んで食べて
今日の料理は、菌菇土鶏火鍋(キノコと鶏肉の煮込み鍋)。かつて雲南で出会い、あまりの旨さに呆然とした逸品だ。 雲南の野生のキノコと地鶏で作るやつが至上の旨さだけど、日本で買えるキノコと鶏肉で作ってもべらぼうに旨いので、ご紹介する。 菌菇土鶏火鍋 菌菇土鸡火锅 jūngū tǔjī huǒguō菌菇土鶏火鍋(雲南式・キノコと鶏肉の火鍋)溶け合う旨味。作り方はシンプル極まりない。要は、煮込むだけだ。それだけに、材料にはできる限りこだわりたい。 鶏肉は、いつものより良いものを買い求めよう。丸鶏が理想で、ぶつぎりを買うにしても骨付きが必須だ。 キノコは最低でも4、5種類は欲しい。スーパーで売ってるような栽培キノコだけでなく、通販で天然キノコを取り寄せれば、美味しさは層倍になる。 こんな感じでお取り寄せそれらをじっくりと煮込む。葱や生姜といった薬味は入れない。味と香りが濁るからだ。やがてキノコの香りが
北京・広州・上海在住→2019年帰国。初中国でローカル中華に魅入られてから、四半世紀以上。本場で知った素人でも作れる本格中華料理を紹介しています。23年10月発売の初レシピ本「あたらしい家中華」がなんと11刷! 本場の中華料理レシピや食情報、横浜の食べ歩きに興味をお持ちの方を募集しています。本場の中華料理に魅入られて四半世紀、中国の三都市(北京・上海・広州)で10年暮らし、今は野毛・中華街界隈で食べ歩きの日々を送っている酒徒が、現地で知った中華料理レシピや様々な食情報をアップしていきます。 メンバーの皆さまから頂くサポートが食材や酒に姿を変え、メンバー限定記事となって還元される…という相互扶助の関係を目指しています。 ■活動方針や頻度 以下①②で毎月8本以上の記事を発信! ①新作中華料理レシピ ②食コラム ・食全般にまつわるつぶやき ・本場で知った小吃・料理紹介 ・野毛や横浜中華街のお気に
今回は、これからの夏にぴったりの「中華サラダ」をご紹介しよう。涼拌青椒西紅柿(青唐辛子とトマトの冷菜)だ。SNSに載せたら大反響を頂いたので、早速レシピ化してみた。 涼拌青椒西紅柿 凉拌青椒西红柿 liángbàn qīngjiāo xīhóngshì涼拌青椒西紅柿(青唐辛子とトマトの冷菜)この料理と初めて出会ったのは、十五年以上前の湖南省・張家界だ。張家界は、高さ数百mを超える巨大な石柱が何千もそびえたつ奇観を誇り、映画アバターの舞台のモデルになったことでも知られている。 そこの食堂でさらっと出てきたのが、これ。見た目は刻んだトマトと玉葱のサラダのようで、中国にもこういう料理があるんだなあと思いつつ、レンゲを伸ばした。 数秒経って舌に走った衝撃を、今も忘れない。現地で食べたものには写真より遥かに多くの「青椒」が入っていたのだが、それは全て青唐辛子だったのだ。そう、中国西南部では「青椒」は
春。ニラが美味しくなる季節だ。今日は、そんな今こそ作りたい韮菜鶏蛋炒粉条(ニラと卵と太春雨の炒めもの)をご紹介しよう。 シンプルな家庭料理で、ひと言で言えば、ニラ玉に春雨を足すだけだ。だが、それだけで異様に食欲をそそるひと皿が完成する。初めて食べる人は、「なんでこの組み合わせを思いつかなかったんだ!」と驚愕するはずだ。 韭菜鸡蛋炒粉条 韮菜鶏蛋炒粉条 jiǔcài jīdàn chǎo fěntiáo韮菜鶏蛋炒粉条(ニラと卵と太春雨の炒めもの)モチモチの春雨。ふわふわ卵。シャッキリしたニラ。個性は違えど好相性の三者が甘じょっぱい醤油味で見事にまとまり、口の中で賑やかに躍る。 ビールを呼ぶ味でもあり、ご飯が進む味でもある。要は、大人も子供も大好きな味だ。加えて、簡単で、旨くて、材料費が安くて、ボリュームたっぷりなので、家庭料理として百点満点の料理と言えるだろう。 「モチモチの春雨?春雨ってモ
今回ご紹介する肉末蒸豆腐(甘辛豚ひき肉の蒸し豆腐)は、簡単さと美味しさが反比例している。つまりは、むちゃむちゃ簡単なのにむちゃむちゃ美味しい。 ザ・家庭料理なのでレストランで見かけることはまずないが、いざ作って食べてみれば、「こんなに簡単でこんなに美味しくなるの!?」という驚きが身体を突き抜けるはずだ。 肉末蒸豆腐 ròumò zhēng dòufu肉末蒸豆腐(甘辛豚ひき肉の蒸し豆腐)ほら、見た目からして美味しそうでしょ。ひき肉を炒めて豆腐の上にのせて蒸すだけだが、皿に溜まったスープと共にひき肉と豆腐をレンゲですくってハフハフ頬張れば、ミチミチとした甘じょっぱいひき肉と滑らかな豆腐が口の中で混じり合い、弾ける。 「これ、本当に美味しいね」「ぼく、ごはんにのせたい!」と酒徒家でも大好評。我が子が言うように、ご飯にのせて食べるのも最高に美味しい。 材料は豚ひき肉、豆腐、青葱だけという点も、家庭
今日のひと皿は、久しぶりにじゃが芋中華。中国の家庭料理では定番中の定番・醋溜土豆絲(千切りじゃが芋の酢炒め)をご紹介しよう。 醋溜土豆絲 醋溜土豆丝 cùliū tǔdòusī醋溜土豆絲(千切りじゃが芋の酢炒め)日本でじゃが芋の食感を形容する言葉といえば、「ほくほく」が定番。しかし、この料理のじゃが芋は「シャキシャキ」だ。 シャキシャキとしたじゃが芋に酢の風味と酸味がまろやかにからみ、大いに食欲を刺激する。野菜料理なのにビールを呼ぶし、酒を飲まない子供もわしゃわしゃ食べる。定番になるのも納得の美味しさなのである。 料理名の「醋溜 cù liū」とは、酢を入れて炒める調理法のことだ。この料理では、酢が実に大事な働きをしている。ひとつには、酢の風味と酸味が料理を爽やかにする。またひとつには、酢を入れることでじゃが芋がシャキシャキになるのだそうだ。 その他にも、シャキシャキに仕上げるには、いくつ
今日は、夏にぴったりの爽やかで刺激的で作るのも簡単な一品をご紹介しよう。かつて陝西省西安で食べ、瞬時に好きになった涼拌餄餎(冷やしまぜそば)だ。 涼拌餄餎 凉拌饸饹 liángbàn héle涼拌餄餎(陝西式冷やしまぜそば)餄餎(hé le)とは、韓国の冷麺のように、円柱状にまとめた生地を専用機器で湯の中にところてん式に押し出して作る麺の総称で、中国北西部で広く親しまれている。麺の原材料には豌豆粉(エンドウ豆の粉)や蓧麦粉(カラスムギの粉)も使われるが、今回採り上げるのは蕎麦粉で作った餄餎だ。 とはいえ、自分で餄餎を作るのは難儀なので、僕は普通に日本の蕎麦を使って作っている。そこはまあ、見逃してください(笑)。 蕎麦を茹でつつタレを作れば、思い立ってからものの10分で完成する手軽さが魅力だ。茹でて〆た蕎麦に辛味ダレをたっぷりかけ、碗の底からガシガシ混ぜて食べる。 とにかくよく混ぜて食べるべ
今日はとびきりのご馳走をご紹介する。雲南料理の薄荷牛肉湯(ミントと牛肉のスープ)だ。SNSに上げたら予想以上に大きな反響を頂いたので、早めにレシピ化してみる。 牛肉を煮込んだあっさりスープに、大量のミントをどっさりちぎり入れ、煮えばなを食べる。ミントを!?牛肉と!?大量に!?どんな味なの!?そういう驚きの声をたくさん頂いたが、実際に作れば、今度はあまりの美味しさに驚いてもらえるはずだ。 薄荷牛肉湯 薄荷牛肉汤 bòhe niúròu tāng柔らかな牛肉。優しさに満ちたスープ。煮えばなのミントの爽やかな香りがたまらない。薬味ではなく、具としての存在感。ミントの真の力を知る。 これが蘸水(薬味タレ)で更に化ける。蘸水(zhànshuǐ )とは、雲南料理に欠かせないつけダレの総称だ。この料理の場合、香菜、葱、生姜、大蒜など様々な薬味を醤油でまとめ、辛味も加えてキリリと仕上げる。 牛肉やミント
「おうちで中華」の全レシピ一覧です。料理は食材別に分類されていて、料理名からレシピへ飛べます。各分類の中の食材はあいうえお順です。 (→調理法別一覧もあります) 本ページの一番下には、これまで刊行したお得なマガジン(10~50個のレシピがまとまっています)のリンクもありますので、併せてご検討ください。 葉茎菜類(葉や茎を食べる野菜)アスパラガス 蘆筍炒蛋(アスパラの卵炒め) おかひじき 白灼松柳菜(広東式おかひじきの湯引き) キャベツ 手撕包菜(手ちぎりキャベツの炒めもの) 包菜炒粉絲(千切りキャベツと春雨の炒めもの) 茎レタス(セルタス) 涼拌萵筍絲(茎レタスの冷菜) クレソン 西洋菜滾牛肉湯(クレソンと牛肉のスープ) 紫蘇(しそ) 紫蘇煎黄瓜(紫蘇ときゅうりの激辛炒め) 春菊(しゅんぎく) 生拌茼蒿(生春菊の冷菜) 蒜蓉炒茼蒿(春菊のニンニク炒め) 茼蒿小豆腐(春菊の中華炒り豆腐) 老
今日は久々に魚料理をご紹介しよう。上海など江南地方の家庭料理として親しまれている雪菜焼黄魚(高菜漬けとイシモチの煮付け)だ。 名前から焼き魚と思うかもしれないが、中国語だと「焼」は煮ること。魚と雪菜(≒高菜漬け)を一緒に煮ることで、互いの旨味が互いに染み込み、優しく深い味わいが生まれる。 雪菜焼黄魚 雪菜烧黄鱼 xuěcài shāo huángyú雪菜焼黄魚(高菜漬けとイシモチの煮付け)用いる魚は、イシモチ(シログチ)。上海周辺では黄魚と呼ばれ、日常的に食べられている魚のひとつだ。因みに、小黄魚はキグチ、大黄魚はフウセイ。大雑把な名前の付け方が、大陸っぽい(笑)。 それはさておき、ふんわりと煮付けけられたイシモチの身には、薬味の香りと雪菜の旨味が染みていて、とても旨い。日本の煮魚とはまた違った独特のコクがあり、「中国の煮魚も旨いものだな」と思うはずだ。 しっかり中華味ちょっと濃いめ甘めの
そろそろ空豆の旬がやってくる。その前に、単純にして至高の空豆中華・葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)を紹介しておこう。空豆好きにとって、この料理を知らないのは人生の損失だ。嗚呼、全世界の空豆好きに伝えたい。 つやつやとした葱油(青葱ソース)をまとって翡翠のように輝く空豆は、実に艶めかしい。いざ頬張れば、皮まで柔らかな空豆にまず驚き、歯をかみ合わせるごとに広がる旨さにもう一度驚くことになる。 葱油蚕豆 cōngyóu cándòu葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)空豆と葱油が奏でる香りと甘味の協奏曲。その圧倒的な旋律を経験して頬がゆるまない人間はいないはず。天下無敵の旨さだ。なんの誇張もなく、ご飯のように空豆が進む。止まらぬレンゲ。下がる目尻。単なる空豆が、押しも押されぬメインディッシュになるのだ。 春の上海には欠かせない旬の一皿で、上海の市場で八百屋のおばちゃんに作り方を教わったのは、もう十数年前のこと。
今日の料理は、ニラの味が濃くなるこれからの季節にお勧めしたい韮菜炒山薬(ニラと長芋の炒めもの)だ。 ニラと長芋。日本では意外に思われる組み合わせだが、中国の江南地方では定番の組み合わせだ。 韮菜炒山薬 韭菜炒山药 jiǔcài chǎo shānyào炒めることでホクホクシャキリとした山芋に、そのとろみでニラが上手いことからみつく。香りも味も両者の相性は抜群で、一度知ったら病みつきになること請け合いだ。 緑と白の組み合わせは見た目にも美しく、野菜だけなのに妙に満足感が高いので、上海在住時はよく注文していた。 あれこれ入れず食材を1つ2つに絞り、味付けも最低限に抑えた野菜炒めの美味しさは、もっと日本で知られていいと思う。「シンプルな味付けで旬の食材を味わう」発想は、中華料理にだってあるのだ。 その一例として、このひと皿、是非お試しいただきたい。 レシピは1本300円ですが、マガジン「春から夏
今日の料理は、油淋小扇貝(蒸しベビーホタテの香味だれかけ)。冬から春にかけて出回るホタテの稚貝を使ったお手軽料理だ。 海鮮天国である山東省の青島へ定期的に出張していた頃、生の青島ビール片手によくつまんでいた料理のひとつだ。安いのに豪華感があるし、小さな殻をひとつずつかじる動作がビールの合いの手に丁度良く、気に入っていた。 油淋小扇貝 油淋小扇贝 yóulín xiǎoshànbèi油淋小扇貝(蒸しベビーホタテの香味だれかけ)自分で作るようになってからも、お気に入りポイントは変わらない。1パック数百円のホタテ稚貝がゴージャスな一皿に化けるので、作っていて嬉しくなる。「わあ、きれいだねえ!」と、幼い我が子も歓声を上げてくれた。 完成した瞬間に立ち昇る醤油ダレの香りもご馳走で、何とも食欲をそそる。ひとつひとつ食べていくも良し、まとめていくつかを殻から外したっぷりの薬味と一緒に頬張るも良し(最近は
今日は、久々にスープ系。蝦米蘿蔔湯(干し海老と大根のスープ)をご紹介しよう。SNSでアップしたら、数日で1万いいねがついた人気料理だ。 食材は、大根と干し海老と青葱だけ。作り方も呆気にとられるほど簡単なのに、旨さがおびただしいので、一度知ったら定番になること請け合いだ。 蝦米蘿蔔湯 虾米萝卜汤 xiāmǐ luóbo tāng淡く優しい旨味のスープが、しみじみと身体に染み渡る。柔らかく煮えた大根の甘くてうまいこと。 「はああ・・・」 家族三人、思わず感嘆のため息が出て笑顔になった。 大根は一年中出回っているとはいえ、冬の大根の甘さはやはり格別。寒い今こそ是非ともお試し頂きたい。 僕は小ぶりの土鍋で作ってる。蓋をとったとき立ち昇る香りもご馳走。清々しいたたずまい。さあ、いただきます!実はこの料理、上海在住時、連れの産後に家事手伝いをお願いした安徽省出身のおばちゃんに教わったものだ。当時おばち
今日の料理は、手撕包菜(手ちぎりキャベツの炒めもの)。キャベツを簡単に大量消費したいなら、この料理にお任せあれ!である。 食材は、キャベツとわずかな薬味だけ。炒める時間はたったの数分。それなのに食べ応えバッチリのひと皿が出来上がるので、とても重宝している。 手撕包菜 shǒusī bāocài甘辛酸っぱい醤油味が、この料理のポイントだ。味が染みにくいキャベツには、やや濃いめの味付けがピタリとハマる。コクや辛味がしっかりしているので、キャベツ単体の料理なのに、ビールにも合うのが嬉しい。 元々は湖南料理(凄まじく辛い料理体系)なので、現地では舌が震え上がるほど辛いものが出ることもある。辛い物好きは自分好みに調整してほしい。逆に辛味なしで作っても旨いので、子供がいる家庭でも楽しめる。 余談になるが、キャベツは中国でも比較的新しい野菜で、中国で栽培され始めてからまだ百数十年と言われている。そのせい
冬真っ盛り。白菜が一番美味しい季節だ。今日は中国北方の家庭料理で、我が家でも定番中の定番である醋溜白菜(白菜の黒酢炒め)をご紹介しよう。 この料理、我が家では「白菜キラー」の異名を持っている。白菜の料理なのに白菜キラーとはおかしな名前ではあるが、要は大量の白菜を簡単に消費できるということだ。半玉は余裕である。 醋溜白菜 cùliū báicài醋溜白菜(白菜の黒酢炒め)作り方をひと言で言うなら、白菜を黒酢で炒めるだけ。それなのに、何でこんなに旨いのだろう。炒めることで甘く柔らかくなった白菜に、コクのある黒酢の酸味がまろやかにからみ、飲むかの如く白菜を食べられるのだ。地味な見た目だからと、バカにしてはいけない。 これほど白菜が堂々と主役を張る料理は、他にはあるまい。肉も魚も一切入らないのに、「これでいいのだ。これ以上何も必要ない」という確信と満足感を与えてくれるのがすごい。 我が家では、冬の
今日の料理は、口水鶏。四川料理の冷菜の中でも、知名度トップ5に入る一皿だろう。日本でも「よだれ鶏」という名前で認知されてきているので、お好きな方も多いのではないだろうか。 白切鶏(茹で鶏)を紹介した際、「茹で鶏をマスターすれば、様々な料理にアレンジすることができる」と書いた。この口水鶏も、白切鶏の発展形だ。 口水鶏 口水鸡 kǒushuǐ jīしっとりと茹でた鶏肉にからむ真っ赤な激辛ソース。ひと口かじれば、刺激的な辛味と豊かな旨味が口の中で弾ける。口水鶏の最良の友はビールで、辛さに悲鳴を上げた舌に冷たいビールを流し込む愉しさは格別だ。 激辛ソースを作って茹で鶏に合わせるだけだから、作るのは超簡単。そのわりに華がある料理だし、「こういう四川料理って家でも作れるんだ!」と驚いてくれる人が多いので、宴会料理にも向いている。 タレの決め手は辣椒油なので、良いものを選びたい。自家製の辣椒油なら間違い
今日の料理は、今が旬の長芋を使った山薬蛋花湯(長芋のかき玉スープ)。極簡単な家庭料理なのでSNSで気軽に紹介したら、意外なほど反響を頂いたので、レシピ化してみた。 山薬蛋花湯 山药蛋花汤 shānyào dànhuā tāng山薬蛋花湯(長芋のかき玉スープ)長芋のとろとろと卵のふわふわが合わさって、何とも優しい舌触りが生まれる。長芋のとろみのおかげで保温力も高まるし、身体を温める生姜も入っているので、冬にぴったりのあったかなスープになる。 特別な食材や技術は一切いらない。簡単なのに旨すぎて、作った本人がびっくりしたくらいだ(笑) 食材はどれも地味なのに、仕上がりが華やかなのもポイントだ。親バカながら4歳の我が子の表現を借りると、「このスープはとてもきれいだねえ。ねぎのみどりとにんじんのあかとおいものしろとたまごのきいろにおさらのあおまであって、おいしそう!」だそうだ(笑)。 理想を言うなら
dancyu 2022年1月号「新しい家中華」でも紹介されたレシピです! 今日の料理は、満を持して葱油芋艿(里芋の葱油炒め)をご紹介しよう。毎年、里芋の旬が来たら真っ先に作る最強の里芋料理だ。 食材も見た目も地味なのに、毎年SNSでアップするたびにプチバズる人気料理でもある。 葱油芋艿 cōngyóu yùnǎi葱油芋艿(里芋の葱油炒め)里芋と青葱を組み合わせるだけでこんなに美味しくなるの!?という驚きが、人気の理由かなと思っている。とろりとして香ばしい葱油(青葱ソース)がねっとりとした里芋にからみ、とんでもない美味に化けるのだ。 作り方も至ってシンプルで、誰が作っても失敗知らず。これほど簡単なのに大量の里芋を勢いよく消費できてしまう料理を、僕は他に知らない。 唯一の注意点は、たっぷり作ること。「芋は腹にたまるから少しでいいや」なんて気持ちで作ると、後悔必至ですぜ。 瞬殺間違いなしの美味を
新たに過去記事の一部をマガジンにまとめました。今回は夏と秋が旬の食材を使った中華料理のレシピが20個入っています。 販売部数1000部越えに感謝して、毛豆炒蛋(枝豆の卵炒め)のレシピを追加しました!購入済みの方はもちろんご覧頂けますし、未購入の方もこの機会にご検討ください。これからの季節に活躍するレシピばかりです。 マガジンの価格は、1冊目同様、ビール一杯のイメージで500円とさせてもらいました。 今回も売れ行きに従って値上げを検討させて頂きますが、売れないからと言って値下げは致しません。早く買ってくださった方が得をするようにしますので、ご安心ください。 おかげ様で大変なご好評を頂きまして、現在は980円です。燗酒大徳利1本のお値段になり恐縮ですが、きっとお役に立つレシピだと思います! 「ビール一杯のイメージって、なんのことだ?」と思われた方は、マガジン有料化に当たって書いた文を再掲します
おうちで中華マガジン - 夏から秋の中華料理20選+1 新たに過去記事の一部をマガジンにまとめました。今回は夏と秋が旬の食材を使った中華料理のレシピが20個入っています。 マガジンの価格は、1冊目同様、ビール一杯のイメージで500円とさせてもらいました。 今回も売れ行きに従って値上げを検討させて頂きますが、売れないからと言って値下げは致しません。早く買ってくださった方が得をするようにしますので、ご安心ください。 「ビール一杯のイメージって、なんのことだ?」と思われた方は、マガジン有料化に当たって書いた文を再掲しますので、よろ
今日の料理は、山東料理の木須肉(豚肉と卵の五目炒め)。ムーシューロウやムースーロウといった名前で日本の町中華でも見かけるので、ご存知の方も多いのではないだろうか。 木須肉という変わった名前は、炒めた卵をキンモクセイの花に見立てたことに由来する。キンモクセイの「木犀(muxi)」が、似た発音で簡単な漢字の「木須(muxu)」に置き換わったのだ。料理自体は大衆的な見た目だが、実は典雅な名前なのである。 木須肉 mù xū ròu木須肉(豚肉と卵の五目炒め)豚肉と卵を醤油味で炒める料理なので、美味しさの想像は付くと思う。甘じょっぱい味はビールにむちゃむちゃ合うし、ご飯にもすこぶる合う。ムチムチ、ふわふわ、シャキシャキ、コリコリ、モキュモキュといった食感が口の中で踊り、ひと口ひと口が楽しい。 使う食材が多いので、下ごしらえはそれなりに手間がかかるが、その価値はある。肉と卵に加えて様々な食材をいっぺ
「おうちで中華」の全レシピ一覧です。料理は調理法別に分類されていて、料理名からレシピへ飛べます。(→食材別一覧もあります) 本ページの一番下には、これまで刊行したお得なマガジン(10~50個のレシピがまとまっています)のリンクもありますので、併せてご検討ください。 涼菜(冷菜)- 野菜類 拍黄瓜(キュウリの冷菜) 老虎菜(青唐辛子とパクチーときゅうりのサラダ) 涼拌土豆絲(千切りじゃが芋の冷菜) 涼拌胡蘿蔔絲(千切りニンジンの冷菜) 涼拌木耳菜(ツルムラサキの冷菜) 涼拌青椒西紅柿(青唐辛子とトマトの冷菜) 番茄喃咪(ダイ族のトマトソース) 新疆老虎菜(新疆式・青唐辛子と夏野菜のサラダ) 涼拌茄子(蒸し茄子の冷菜) 茄泥(胡麻だれ茄子) 焼椒茄子(焼き唐辛子と茄子の冷菜) 涼拌意大利瓜(千切りズッキーニの冷菜) 涼拌金針菇(えのきだけの冷菜) 涼拌竹筍(筍の冷菜) 涼拌薄荷(ミントの冷菜)
【dancyu(2022年1月号)の掲載レシピです】 今日の料理は、僕がかつて江南地方の田舎町で知った鮮烈の美味をご紹介しよう。香菜粉皮(香菜と板春雨の炒めもの)だ。 粉皮とは、板状の春雨。それを香菜とニンニクと炒めるだけで、肉やダシは一切入らない。味付けもあってなきがごとしだ。レシピを見たら「これでいいの?」と思う人も多そうだが、このシンプルさこそが食材の特徴を際立たせるのである。 香菜粉皮 xiāngcài fěnpí香菜粉皮(香菜と板春雨の炒めもの)香菜とニンニクがたっぷりからんだ板春雨をずずっとすすれば、むちっとした板春雨の食感とともに、香菜の香りとニンニクの辛味が弾ける。その意外な旨さたるや、「この手があったか!」と心の中で叫びたくなる。 一度食べ始めたら、ズビズバーッと止まらなくなること請け合いだ。我が家では毎回、食前に「作りすぎたかな」と言い、食後に「もっと作ればよかったね」
今日の料理は、醉鶏(よっぱらい鶏)。名前の通り、鶏を酔わせて作る江南料理の名酒肴だ。馥郁たる紹興酒の香りが魅力なので、下戸の人には勧めないが、酒好きの人なら必ず気に入ってもらえると思う。 醉鶏 醉鸡 zuìjī 醉鶏(よっぱらい鶏)白切鶏(茹で鶏)の発展形のひとつでもあり、茹で鶏をその茹で汁と紹興酒を合わせた浸け汁にひたし、冷蔵庫の中でじっくり寝かせる。 すると、しっとりとした鶏肉に程よく紹興酒と香辛料の風味が染みて、ひと口ひと口をしみじみ味わいたくなる滋味に化ける。これをつまみに紹興酒を飲み始めたら、おおよそ止まるものではない。 この料理においては、時間こそが最良の調理師。怠惰な酒飲みが作るにふさわしい、お手軽料理と言えよう。 我が家では、白切鶏を作るときに多めに鶏を茹でて、その日に食べ切れない分を醉鶏に回すのが定番。気軽にお試しいただきたい。 レシピは1本300円ですが、マガジン「3
今日の料理は、夏にぴったりの西紅柿鶏蛋湯(トマトのかき玉スープ)。少し前に結構な反響を頂いた西紅柿炒蛋(トマトの卵炒め)のスープ版である。 トマトの色味が染み出たスープに、雲のようにふわふわの卵が浮かぶ。目にも美しく、食欲をそそる料理だ。 西紅柿鶏蛋湯 西红柿鸡蛋汤 xīhóngshì jīdàn tāng西紅柿鶏蛋湯(トマトのかき玉スープ)ものの10分で作れるお手軽料理だが、いざ口にすれば、心に染み入るような滋味深さに驚くことだろう。トマトの旨味が最低限の味付けでぶわりとふくらむのである。 理想を言うなら、白切鶏の副産物である「鶏だし」を使って作ると最高の仕上がりになる。ただ、それがない場合は、水で作っても十分に美味しい。 現代日本の食文化は、「なんにでも旨味を足さないと気が済まない病」に罹患している感があるが、トマトの旨味だけでも旨いスープはできるのだ。 そんなわけで、気軽にお試しくだ
今日の料理は、広東料理の白切鶏(茹で鶏)。鶏を茹でて、タレにつけて食べる。それだけの料理だが、僕は単純にして至高の鶏料理だと思っている。 広東には「無鶏不成宴(鶏料理がないと宴席が成り立たない)」という言葉がある。つまりはそれほど鶏料理を重要視しているのだが、数ある鶏料理の中でも王様的存在が白切鶏だ。 「ただ鶏を茹でるだけの料理が王様?」とあなどることなかれ。うまいこと茹でた鶏は、しっとりした肉はもちろん、艶やかな皮やその下のゼラチン質、骨周りの軟骨など全てがご馳走になるのだ。 白切鶏 白切鸡 báiqiē jī白切鶏(茹で鶏)一度この料理の旨さを知ったら、食べるときは無我夢中。口の周りをテラテラ光らせながら、骨までしゃぶりつくすようになる。鶏を味わう醍醐味とはこういうことだなと、いつも思う。 元々広東料理には、「素材の持ち味をそのまま活かす」という和食にも似た精神があるので、その精神にピ
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