おうちで中華 - 白切鶏(茹で鶏)
今日の料理は、広東料理の白切鶏(茹で鶏)。鶏を茹でて、タレにつけて食べる。それだけの料理だが、僕は単純にして至高の鶏料理だと思っている。
広東には「無鶏不成宴(鶏料理がないと宴席が成り立たない)」という言葉がある。つまりはそれほど鶏料理を重要視しているのだが、数ある鶏料理の中でも王様的存在が白切鶏だ。
「ただ鶏を茹でるだけの料理が王様?」とあなどることなかれ。うまいこと茹でた鶏は、しっとりした肉はもちろん、艶やかな皮やその下のゼラチン質、骨周りの軟骨など全てがご馳走になるのだ。
白切鶏 白切鸡
báiqiē jī
一度この料理の旨さを知ったら、食べるときは無我夢中。口の周りをテラテラ光らせながら、骨までしゃぶりつくすようになる。鶏を味わう醍醐味とはこういうことだなと、いつも思う。
元々広東料理には、「素材の持ち味をそのまま活かす」という和食にも似た精神があるので、その精神にピタリと合致している料理だとも言えそうだ。
また、白切鶏は優れた拡張性と利便性を持つ料理でもある。
少し手を加えるだけで、口水鶏(よだれ鶏)、醉鶏(よっぱらい鶏)、檸檬鶏(レモン鶏)、葱油鶏(茹で鶏の青葱ソース)など様々な料理を作ることができる。
また、鶏の茹で汁でご飯を炊けば白切鶏の最良のお供・鶏油飯が作れるし、茹で汁を利用して西紅柿鶏蛋湯(トマトのかき玉スープ)、山薬蛋花湯(長芋のかき玉スープ)など、多種多彩なスープ料理を作ることもできるのだ。
どうだろう、わくわくしてこないだろうか。白切鶏ひとつを覚えるだけで、おうちで中華の世界が一気に広がるのである。
尚、本来の白切鶏は鶏一羽を丸ごと茹でるものだが、今回は骨付き腿肉を使ったレシピにした。まあ、丸ごと一羽でもやることは同じなので、入手できる人は是非ともお試しあれ。
また、白切鶏に添えるタレは地域ごとに様々な種類があるのだが、今回は本場・広東省広州の定番である姜蓉醤(生姜ダレ)をご紹介する。
現地では極めて基本のタレなのに、日本ではあまり知られていないように思う。シンプルイズベストの味わいを堪能してほしい。
因みに、この料理が海南華僑の手でシンガポールに渡り、海南チキンライスに変化を遂げた。その源流となった美味を一度お試しあれ!
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