■老人や障害者vs労働者として解釈する参院選

1. 選挙結果

• 投票率は58.51％で2007年（57.92％）以来の高さとなり、前回2022年比で6.46pt上昇した。
• 与党（自民・公明）は47議席にとどまり参院でも少数与党へ転落。対照的に国民民主党が17議席、参政党が14議席を獲得し大幅増。

2. 得票構造

• 出口・事前調査では18-29歳の支持政党トップが国民民主党（29％）、次点が参政党（20％）だった。
• 18・19歳の投票率も41.74％と前回比＋6ptで上昇。

両党は「手取りアップ」「社会保険料・所得税減」を掲げ、現役世代の可処分所得拡大を前面に訴求。現役世代に直接響いた。

3. 「保護」重視勢力の後退

• 年金上積みや生活保護拡充を強調した共産党は改選7→3議席、社民党は横ばい1議席にとどまった。
• 高齢層の基盤票は依然大きいが、投票率上昇の主因が期日前利用増・都市若年層動員であったため、高齢者偏重の得票増には結び付かなかった。

4. 投票率上昇がもたらした力学

• 期日前投票が過去最多。３連休中日という日程が若年・中間層の「ついで投票」を後押しし、従来より均質な年代構成となった。
• 40代以下の比率が拡大したことで「天引き減」「社会保障負担の世代間公平」を訴える政党が議席を伸ばし、相対的に高齢者・障害者保護を前面に出す政党が議席を減らす結果をもたらした。

5. 結論

• 若年層の投票参加が顕著に増え、彼らの負担減を約束する国民民主・参政党が最大の伸びを示した。
• 一方で高齢者・障害者重視の共産・社民は議席減、立憲も横ばいと伸び悩んだ。
• 投票率上昇が世代構成を「高齢者中心」から「より平均化」へシフトさせたことが、この力学を加速させた。

もっとも、与党失速には物価高対応への不満や多党化による票分散など複合要因が絡んでおり、世代だけで結果をすべて説明することはできない。

だが「現役世代の負担軽減」を旗印にした勢力が若者票を取り込み、議席を大きく伸ばした事実は動かし難い。

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