平成17年度の勤労者弓道大会教職員予選大会ではもう一つの目玉として、
関東の某強豪校の監督であるM教士6段先生の講演+実技講習がありました。
講演の内容は、部活マネジメントの話が中心でした。
実技講習では、射法八節の基本を、妻手手の内を中心に展開されました。
妻手の話が中心と言うことで、カケについての技術論を、
じっさいに生徒の弦枕を調整しながら教えてくださいました。
M師匠のカケへのこだわり
M師匠はご自分の四ツかけを惜しげもなく見せてくださいました。
見た感じでは普通の四ツカケですが、特注品なのだそうです。
台革が柔らかめに作ってあるのだそうです。
台革が柔らかいのは、手首の自由度を確保するためです。
弦枕も見せて頂きました。
何と1ミリ!びっくりするぐらい浅い!
「弦の分だけ溝があれば、(ちゃんと取りかけていれば)暴発はしません。」
ちょっと、ビビるだいさん。
弦枕の調整
M師匠は、転任して新しい弓道部の顧問になると、
必ず、全部員のカケをチェックします。
そして全員の弦枕を調整します。
基本的には、弦枕の補強と、溝の調整です。
弦枕の両側の裾を押し下げ、弦が当たる部分を狭くして、
離れに鋭さを持たせる工夫です。
全体に浅めに調整するのですが、調整と同時に、
妻手の取懸けと打起し引き分け指導も行います。
弦枕の調整手順は以下の通りです。
【用意する物】
・松脂(クスネ)
・蝋(普通のろうそく)
・ミニアイロン(量販店で900円ぐらい)
・コテ(クスネをすくい取れるもの)
【調整手順】
その1:アイロンの上で、松脂を金属の容器ごと暖めます。
その2:コテでマッチの頭ぐらいの松脂をすくい取り弦枕の上に載せます。
その3:アイロンで弦枕の上部から包皮にかけて松脂をのばします。
その4:図のように、弦枕をアイロンで押して、富士山型に近づけます。
その5:最後に蝋を弦枕周辺全体に塗って、アイロンを軽く当てて完成です。
弦枕調整とその効果の実証
ちょうど近隣の高校生が顧問の先生のお供で来ていたので、
彼女に実際に引いてもらって、効果の検証です。
まず、調整前のカケで引いてもらいます。
すこし押し引きが強く、妻手が曲がっています。
妻手の人差し指が矢のしたに潜り込んでいて、
矢勢が出ず、掃き矢となりました。
M師匠がちゃちゃっと調整。
取懸け指導と打起し指導を加えて、もう一度引いてもらいます。
遙かに射形が良くなっています。別人のよう。
中りはしませんでしたが、矢勢が出て、的近くに飛びました。
感想を聞くと、「全く違います!」と明るい表情でした。
離れが軽くなったことで、矢勢が出て、素直に矢が飛んだようです。
さっそく、自分のカケも調整してみよう!
「でも、カケを一つつぶすつもりでやってみてくださいね。」
ひえ~。
おののいている私を見て、別の先生が、
「カケは、10個ぐらい買わないと……」
はあ、そういうものですか。
一馬力で養っているオトーサンには厳しい世界です。
Author:ダイサン
メダカ100匹、ヌマガメ1匹を屋外で飼っています。時々、愛車のワゴンRとWISHのカーオーディオをいじってます。車中泊にも出かけます。日々のウォーキングも楽しんでおります。
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