愛媛果試第28号【エヒメカシダイ28ゴウ】(果樹)
登録番号 | 第12981号 | |
登録年月日 | 2005年 3月 23日 | |
農林水産植物の種類 | かんきつ | |
登録品種の名称及びその読み | 愛媛果試第28号 よみ:エヒメカシダイ28ゴウ | |
品種登録の有効期限 | 25 年 | |
育成者権の消滅日 | ||
品種登録者の名称 | 愛媛県 | |
品種登録者の住所 | 愛媛県松山市一番町四丁目4番地2 | |
登録品種の育成をした者の氏名 | 喜多景治、重松幸典、薬師寺弘倫 | |
登録品種の植物体の特性の概要 | ||
この品種は、「南香」に「天草」を交配して育成されたものであり、果形が短卵形、果実の重さが重、果皮色が濃橙の育成地(愛媛県松山市)では12月中旬に成熟するかんきつである。樹姿は中間、樹の大きさはやや大、樹勢は強である。枝梢の太さは太、節間長は短、枝梢のとげの多少は中である。葉身の形は紡錘形、波状の程度は無、葉身の大きさは小、葉身長は中、葉身幅は狭、網脈の鮮明度はやや明瞭である。翼葉の形は楔形、幅及び葉柄の長さは中、太さは太である。花序の形成は単生、花(蕾)の重さは軽、花弁の形は紡錘形、長さは短、幅は中、色は白、数は5枚、花糸の分離の程度は分離、花粉の多少は中である。果実の形は短卵形、果形指数は中、果頂部の形は平坦、放射条溝及び凹環の有無は無、果梗部の形は球面、放射条溝の多少は中である。果心の充実度はかなり粗、大きさは小、果実の重さは重、果皮の色は濃橙、油胞の大きさは大、密度は疎、凹凸は凸、果面の粗滑はやや滑、果皮の厚さは薄、果皮歩合は極小、剥皮の難易は中である。じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形及び大きさは中、色は黄橙である。果汁の多少は多、甘味はやや高、酸味は低、香気の多少はやや多、種子数は少、胚の数は単胚である。発芽期及び開花期は中、成熟期はかなり早で育成地においては12月中旬である。隔年結果性は中、浮皮果の発生は無、裂果の発生は少、貯蔵性はやや短である。「南香」と比較して、翼葉の幅が広いこと、果皮歩合が小さいこと等で、「天草」と比較して、果実の形が短卵型であること、種子数が少ないこと等で区別性が認められる。 | ||
登録品種の育成の経過の概要 | ||
この品種は、平成2年に愛媛県立果樹試験場(松山市)において、「南香」に「天草」を交配し、その実生の中から選抜、以後、増殖を行いながら特性の調査を継続し、14年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したものである。 |
愛媛果試第28号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/10 08:25 UTC 版)
紅まどんな(べにまどんな)は、ミカン科の常緑樹で柑橘類の一種である。市場では商業的に「愛媛 果試第28号」として流通している。栽培は愛媛県内に限られている。[1]
特徴
愛媛県農林水産研究所果樹研究センターで、「南香」と「天草」の交配により育成された。2005年3月23日に品種登録、2007年には全農えひめが「紅まどんな」として商標登録した。紅まどんなは出荷前に選別が行われ、外観、着色、形状のチェックや光センサーによる糖度測定に合格したものだけが「紅まどんな」という名称で販売される。この糖度測定に届かないものや、各果樹園が独自で販売するものなどは、「愛媛まどんな」「媛まどんな」「あいか」「姫まどんな」「愛果28号」といったそれぞれの名称で出荷される。
収穫は12月〜翌年の1月頃で、既存の中晩柑類と違い、年内での出荷がメインとなる。
果実重は250 グラム程度。果皮は濃橙色で薄い。カットフルーツとして食されることも多い。浮皮の発生はなく、裂果は少ない。糖度は12度とやや高く、香りがよい。果肉は柔軟多汁で、じょうのうは薄くてやわらかく、そのまま食べられ、よく「ゼリーのような食感」と言われる。種子は少ない[2][3][4]。
日本における2019年の収穫量は4,127.7 トンで、その全てが愛媛県において生産されている[5]。
生産する際に、果梗部周辺に発生する輪紋状の細かな亀裂(クラッキングと呼ばれる)が問題となっている。これは、主に降雨が原因であるため、それを遮断するために簡易ハウスなどを利用した雨よけ栽培が薦められている。
紅まどんな方式の利点と弊害
2019年には愛媛県独自柑橘の新品種として、紅まどんなに甘平を掛け合わせたものが「紅ぷりんせす」として発表されたが、光センサーを通した規格以外のものについてはブランド名を名乗れない「紅まどんな方式」にするかどうかはまだ検討中である旨が愛媛県知事より述べられた。ここには、紅まどんなのようなブランド選別のなかった甘平において良悪の品質のばらつきが市場において価格低下を招いたこと、「紅まどんな方式」よりも厳しい規格の「クィーンスプラッシュ方式」では合格する個体が少ないことが要因にある。[6]
韓国・中国での栽培
韓国にはデコポン、せとか、甘平などと同じく2000年代初頭に種苗が日本から済州島へ流出。
2009年より「黄金香(황금향)」の名称で高級品種として取引され、2018年の段階で栽培面積353ha、生産量3,711 トンであった[7]。
韓国独自開発の栽培品種は全体の3%に過ぎないことを現地関係者が考慮し、2023年より甘平と紅まどんなの交配種を独自新品種として公表する予定である[8]。
中国では「紅美人」の名称で知られる。2001年に浙江省象山県へ種苗が導入され、「象山紅美」として2008年より増産し、2015年に国内12省の農産関係者が視察して種苗が譲渡された。2017年、「象山柑橘」は国家工商総局の地理的表示認証商標の審査に合格、「象山紅美」はその一部である。重慶市、湖北省などでも増産されている[9]。また中国では「愛媛38号」の栽培も人気であり、北米へも盛んに輸出されている[10]。
脚注
- ^ 全農えひめ 紅まどんな
- ^ 農林水産省品種登録データベース2013年6月14日閲覧
- ^ 重松幸典 愛媛果樹試研報第19号1-6「カンキツ新品種‘愛媛果試第28号’について」(2005)2013年6月20日閲覧
- ^ 愛媛果試第28号(愛媛県農林水産研究所果樹研究センター)2013年7月25日閲覧
- ^ 農林水産省 特産果樹生産動態等調査2023年2月22日閲覧
- ^ 愛媛県庁知事記者会見録 かんきつ新品種の名称決定に関する記者発表の要旨について (愛媛県)2020年12月18日閲覧
- ^ 済州特別自治道農業技術院
- ^ 『済州農業技術研究所所長インタビュー 済州島、独自の柑橘類開発に努める』コリアヘラルド、2022年11月14日
- ^ 『紅美人』百度百科
- ^ 『なぜ?「愛媛38号」みかんが中国で勝手に栽培 生産者怒りも...カナダに輸出【まるっと!サタデー】』TBS、2023年3月11日
参考文献
- 社団法人農産漁村文化協会編(2010) 『中晩柑を作りこなす 有望品種の魅力と上手な取り入れ方』 社団法人農産漁村文化協会
- 愛媛果試第28号のページへのリンク