完成した試作機とは? わかりやすく解説

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完成した試作機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 05:17 UTC 版)

九二式重爆撃機」の記事における「完成した試作機」の解説

1931年昭和6年)に試作1号機完成し各務原飛行場初飛行行った機体武装艤装以外はほぼG.38のままで、ユンカース独特の全翼機構想に基づく大きくて厚い主翼持ち胴体や翼は波板外板覆われていた。主翼内は搭乗者通行可能で、飛行中エンジンや翼内タンク点検することも可能だった爆弾胴体主翼下に懸吊し、旋回機関銃銃座機首胴体背部との他にエンジンナセルの上下にも設けられていた。固定式主脚タンデム2輪式で左右1基ずつあり、尾輪有していた。また3枚垂直尾翼持ち、それを上下から挟むように水平尾翼取り付けられ尾翼全体箱型になっていた。 本機試作要領において「自衛用ノ武装及其射界充分ナラシメ掩護ヲ受クルコトナク独立シテ行動シ得ルヲ立前トス」とされているため、口径20mmの機関砲であるエリコン AL輸入し改修した九四式旋回機関砲1門と、口径7.7mmの機関銃である八九式旋回機関銃など8挺を装備していた。 エンジンには当時としては大馬力ユンカース液冷V型12気筒エンジン「ユ式1型オリジナル名はL88、出力800 hp)」を搭載していた。また5号機6号機では安全性の向上燃費改善とを目指し液冷直列対向12気筒ディーゼルエンジン「ユ式ユモ4型オリジナル名はJumo 204出力720 hp)」を搭載したエンジン大出であったものの総重量25tにもなる機体飛行させるには性能不足で、鈍重な機体最高速度200 km/hであったまた、機体巨大さゆえ離着陸が他の機種比べて格段に難しく着陸の際に接地感知するための長い棒を胴体ぶら下げるほどであり、実用機とするには様々な問題点があった。しかも試作1号機完成後の製造ペース1年に1~2機と遅く、さらに5号機の製作中には生産工場火事見舞われ結局6号機まで製作したその頃には既に時代遅れ機体となり開発中止とされた。完成した試作機は実戦には参加せず日本本土満州研究のための試験飛行を行うに止まったが、収穫として三菱本機製造に際して大型機や全金属製機のノウハウ蓄積することになった対米戦用に秘匿され実戦には投入され旧式化した本機であったが、その巨大な機影は見る者を圧倒するものがあり、陸軍では宣伝目的プロパガンダ)に本機積極的に利用した1940年昭和15年1月観兵式には3機が示威飛行行い、また雑誌などでも紹介されるなど広く一般に知られるようになったその後航空国防博覧会等に展示されるなどし、1機は所沢航空記念館に終戦時まで保管されていた。

※この「完成した試作機」の解説は、「九二式重爆撃機」の解説の一部です。
「完成した試作機」を含む「九二式重爆撃機」の記事については、「九二式重爆撃機」の概要を参照ください。

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