地球物理学
【英】: geophysics
物理学の原理を応用して地球内部および外部の性質を解明しようとする学問分野である。一般的に地質学が記述的学問分野に属するのに対し、地球物理学は科学的字問分野に属し、数学的、物理学的方法論を採る。地球物理学の対象は広範囲にわたり、地震学(地震現象、弾性波動論、地殻)、重力および測地学(地球重力場、地球の形・大きさ)、地球熱力学(地球内部熱、熱対流、火山)、地球電気学(空電流、地電流)、地球磁気学、地下水学(地下水、地表水、温泉、氷河)、海洋学、気象学、応用地球物理学の分野である。物理地質学、地球年代学、地球進化論も含められることがある。各国の大学の地球物理学教室はおおむね上記分野の講座を持っているようであるが、わが国の大学では物理地質学、地球年代学、地球進化論は地質学教室の講座になっている。また応用地球物理学のように両教室に重複して類似講座を持つ大学もある。炭化水素鉱床の探査を目的とした物理探査は、上記のうち応用地球物理学に属し、地震学、重力および測地学、地球電磁気学、海洋学などの原理を特に商業探査を意図して応用した分野である。石油業界では「物理探鉱学」と “geophysics”とを同義に用いているが、“exploration geophysics”のことである。 |
地球物理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 13:11 UTC 版)
地球物理学(ちきゅうぶつりがく、英語: geophysics)は、地球を物理的な手法を用いて研究する学問分野。[1][2][3][4]20世紀後半に大きく発展した。
注釈
出典
- ^ Lowrie, W., & Fichtner, A. (2020). Fundamentals of geophysics. Cambridge University Press.
- ^ 地球の物理(島津康男 著) - 裳華房
- ^ 地球物理学入門 (地球科学入門シリーズ 8) シドニー・クラーク、竹内均・河野芳輝(訳)1972年、共立出版。
- ^ 応用地球物理学の基礎、狐崎長琅、2001年、古今書院。
- ^ Torge, W., & Müller, J. (2012). Geodesy. Walter de Gruyter.
- ^ Vanicek, P., & Krakiwsky, E. J. (2015). Geodesy: the concepts. Elsevier.
- ^ 萩原 幸男『測地学入門』東京大学出版会、1982年。
- ^ Shearer, P. M. (2019). Introduction to seismology. Cambridge University Press.
- ^ Bullen, K. E., Bullen, K. E., Bullen, K. A., & Bolt, B. A. (1985). An introduction to the theory of seismology. Cambridge University Press.
- ^ 地震学 第3版 / 宇津 徳治 著 | 共立出版
- ^ 火山学、大谷栄治・長谷川昭・花輪公雄 編集・吉田武義・西村太志・中村美千彦 著、2017年、共立出版。
- ^ 基礎から学ぶ気象学、佐藤尚毅、2019年、東京学芸大学出版会。
- ^ Knauss, J. A., & Garfield, N. (2016). Introduction to physical oceanography. Waveland Press.
- ^ Talley, L. D. (2011). Descriptive physical oceanography: an introduction. Academic Press.
- ^ 地球電磁気学、力武常次、2012年、岩波書店。
- ^ 青木の地学基礎をはじめからていねいに、青木秀紀、2016年、ナガセ。
- ^ 地学 改訂版(検定教科書)磯崎行雄、川勝均、佐藤薫(編)啓林館。
- ^ もういちど読む数研の高校地学、2014年、数研出版編集部(編)。
- 1 地球物理学とは
- 2 地球物理学の概要
- 3 概要
- 4 関連項目
地球物理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 01:26 UTC 版)
「ウィリアム・トムソン」の記事における「地球物理学」の解説
1862年、トムソンはフーリエの熱伝導理論を用いて球の冷却速度を計算し、地球の年齢が数千万年、長くても4億年を越えることはないと結論した。これは地球全体がどろどろに融けた状態から現在の温度に冷えるまでの時間を求めたものであった。またトムソンは同年に、太陽の熱が重力収縮によって発生するとし、太陽の年齢を1億年未満、最大で5億年とした。別々に計算した太陽と地球の年齢がおおむね一致し、トムソンの議論を説得力のあるものにした。しかし、地質学の斉一説とは矛盾し、当時生まれたばかりの進化論を交えて一部の地質学者と論争になった。 トムソンの計算は、当時発見されていなかった放射性元素の崩壊熱や核融合のエネルギーが考慮されておらず、また地球内部の熱伝導率が場所によらず一定という仮定が誤っていたため、正しい値からは大きくずれていた。現代では、トムソンの地球の年齢推定が大きくずれていた理由は、地球内部の対流により熱が表層よりも内部で速く伝わることを知らなかったことが大きく、放射性崩壊熱の影響は小さいとわかっている。 1863年にトムソンは、地球の形状が太陽や月の潮汐力によって変形していること(地球潮汐)を利用して地球のかたさを求めた。
※この「地球物理学」の解説は、「ウィリアム・トムソン」の解説の一部です。
「地球物理学」を含む「ウィリアム・トムソン」の記事については、「ウィリアム・トムソン」の概要を参照ください。
地球物理学
「地球物理学」の例文・使い方・用例・文例
地球物理学と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- 地球物理学のページへのリンク